大島真寿美のレビュー一覧
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副題「妹背山婦女庭訓 魂結び」。
もう一人の近松、操浄瑠璃(あやつりじょうるり。現在の文楽)の作家・近松半二の一代記です。
ちょっと変わった構成です。主役の半二の一代記なのですが、一つの章では一つの事件に絞って扱い、脇役も章ごとに代わって行きます。事件は時系列で並んでいるのですが、章の書き出しは前の章の結末より少し前という事も有ります。ただシンプルに一章一事件(テーマ)なので頭の中に入って来やすい。
人形浄瑠璃そのものはしっかりと描かれておらず文楽ファンの方には物足りなく感じる人も多いようです。しかし、(文楽に留まらず)物書きとしての半二の熱気や悩み、当時の世相を全編大阪弁で描いた、直木賞受賞 -
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スカイツリーが見える、東京の下町。
古くからのお店と新しいお店が混じり合う、明日町こんぺいとう商店街の、七軒のお店の物語を7人の作家が描くアンソロジー。
既読の作家さんは、大島真寿美さん、彩瀬まるさん、千早茜さん、中島京子さん。
それぞれの持ち味が出ていて、どれも面白かった。
大山淳子さんの『あずかりやさん』が、盲目の店主が一日百円で大切なものをあずかるというお店を舞台にしていて、にぎやかな商店街の中、しんとしずかな店という感じが良かった。
アンソロジーを手に取ると、こうして新しく好みに合いそうな作家さんが見つかるのが楽しみ。
こんぺいとう商店街シリーズとして続刊もあるらしいので、続きも -
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ネタバレ「久路千紗子」として「ツタ」が書いた琉球の話をめぐる騒動は、沖縄への差別と女性に対する差別の二重構造だったのだろう。
この話とは別に、差別される側ではさらに女性はその下、という事実は昔からよくある話。
先日の、森喜朗(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長)の女性蔑視発言を見ても、変らぬ意識の根強さにはガッカリ。
ツタの話に出てくる、父や二人の夫について、今でこそ『それってDV!』と指摘できるが、そんな言葉も知らないまま過ごし続けたツタやその母のような女性が日本にはワンサカいるんだなあ、と感じ入った。本筋から外れた感想でゴメン。 -
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先祖の清助さんは大の花火道楽。金に糸目をつけず花火に費やし、かつては大地主だった家系を落ちぶらせてしまった。だけどそんな清助さんのことを悪く言う人はいない。彼の道楽のおかげで、何も無い普通の日にも花火を楽しめた村の人たち、彼ののんびりとした性格に癒され(時には困らされ)た家族、皆が清助さんを好きだったから。
花火に魅せられた男の人生が時代の流れを反映させながら描かれています。読んでいて私も清助さんをどんどん好きになる。人生は本当に花火のようなものかもしれませんね。自分自身だけでなく周りの人から見ても綺麗な花火。そんな人生を送れたらいいなと思います。 -
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読み終わったときに,なんかホッコリするような,それでいてもの悲しいような,そんな感じのする作品.
花火に入れ込んでしまったせいで身代を傾けてしまった,少し浮き世離れしたところのある,大地主(東京から遠くない村の元名主)の次男坊の静助さんのお話.
こう書くと,ただの愚者の話と思われるかもしれませんが,さにあらず.
静助さんは,ご一新のあと急激に変わっていく風潮やその流に乗って流されていく人々に違和感を感じる鋭い感性を持っているし,名主の代わりもある程度きちんと務めている.ただ,やっぱり何か(おそらく財産を守ろうとする執着心)が欠落していて,周り人たちの心を慰めようと思っていた花火に入れ込んでし -
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主人公の宮永知世子は高校2年生。本当の名前はチョコリエッタ(うそ)。進路指導調査に「犬になりたい」と書いて呼び出しをくらいます。チョコリエッタが幼稚園の時の夏休みに家族で山に遊びに行く途中に事故に遭い、お母さんが亡くなり、チョコリエッタもしばらく入院し、小学校は2ヶ月遅れで入学します。事故のあった時にお父さんの妹の霧湖ちゃんが飼い犬のジュリエッタのお世話で留守番をしていたのですが、そのままジュリエッタとチョコリエッタのお世話をしています。そんなチョコリエッタの日常と夏休みのお話です。
全体的によくわからないのかわかるのか、わからないお話ですが、イタリア映画の情景を思いながら、緩やかにチョコリエ