大島真寿美のレビュー一覧
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ネタバレ北上次郎大絶賛の本作、俺も読んでみた。
北上次郎書評はぴったりハマる時と、首をかしげるときが両方あるんだが、本作はハマった方である。北上好みの情表現が俺好みの方に上手いというか、表現はカラっとあっさり読めて、ちょっと考えると「あぁそれあるある」と入り込めるというか…。
親友同士女性二人の物語で、片方が亡くなってから話が始まるって設定も斬新だが、奇をてらった感は少なく、むしろこの設定ないと書けない友情モンなんだっただろうなぁ。
…あっ、この設定にある何かこそ、北上次郎を揺さぶったものなのかも。残された人々の日常って、好きそうやモンな。 -
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これも大阪で買ってきた一冊。
以前から読みたいと思っていた本です。
スカイツリーを見上げる下町のかたすみに、
ひっそりと息づく商店街がありました。
それがー『明日町こんぺいとう商店街』。
明日町こんぺいとう商店街を舞台にした7つの物語。
七人の作家さんのアンソロジー。
大島真寿美 『カフェスルス』
大山敦子 『あずかりやさん』
彩瀬まる 『伊藤米店』
千早茜 『チンドン屋』
松村栄子 『三波呉服店ー2005-』
吉川トリコ 『キッチン田中』
中島京子 『砂糖屋綿貫』
読んだことのある作家さんは、彩瀬まるさん、中島京子さんの二人だけ。
どの物語も心がほんわかします。 -
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選べるのはどれか一つだけです。
コンティニューもリセットもできません。
チュートリアル的なものは…子ども時代かな?
それだって、生まれる場所を選ぶことはできないのだから、その先の選択肢には限りがある。
やがて後戻りできないくらいの年齢になって、「こんなはずじゃなかった」「どこで選択肢を間違えたのだろう?」「あの時ああしていれば…?」的なことを考え始めるのが凡人。
逆に、恐ろしいくらいの黄金狂時代に突入してしまった人や、シンデレラストーリーに恵まれた女性がいたりして、今度は人生が猛スピード過ぎて着いて行けない。
待って、待って、もう少し考えさせて!これでいいのかな?…って。
私くらいの年齢になってある程度達観すると、自分の身の丈が何となくわかってくる。
「あの夢は、まあ、はなから無理だったのだ」とか、「どこをどう選んでも、結局、今のここに立っているのだろう」と思える。
人は一生に一つしか人生を生きることができない。
だから、「物語が欲しくて欲しくてたまらない」のだろう。
そのなかで、何度でもお好みの人生を生きるのだ。
ホリー先生の元夫・蓑嶋さんは真実を知っている。
ホリー先生は、物語を紡ぎ、未来も見ることができる魔女なんじゃないか。
ホリーの秘書・宇城さんと、編集の鏡味氏は、他人の人生に寄り添う、実態を持った影のようでもある。
そして、ヒロインの國崎真実は、“本当の人生は”なんてはなから思わないところが自由である。
「コロッケ揚げるだけの人生も有りかなって思うんです」
創作活動に命をかけている人が聞いたら目をむきそうな…
真実にとっては、創作活動もコロッケを揚げることも同じように人生なのだ。
そんな迷いなく(彼女の名誉のために書いておけば、迷わなかったわけではない)やりたいことをやる、そんなところがやっぱり猫っぽい。 -
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スカイツリーを見上げる下町の片隅にある、架空の商店街の物語、第3弾。
知らない作家さんの名前も増えてきたが、今回もまた一段と、箱庭世界が充実していった。
自分のコレクションが増えていくような気持ち。
自営業と後継ぎという定番の物語、古くなってしまった業種、逆に商店街にはそぐわないようなおしゃれな店舗のことなど、品ぞろえ多数。
その中、シリーズで一番最初のお話だったカフェ・スルスのその後の様子を知ることができてよかった。
また、店の内情は一つもうかがわせず、舞台として使われている「アイスバイン」は、ちょっと異色で、文学的にして官能的である。
『明日の湯』が一番好きかも。
そして、お店をやっていくというのは、才能が必要なのだと改めて感じた。
自営業はみな「専門家」だ。今更ながら。
一軒目『カフェ スルス ~一年後~』 大島真寿美
スルス一周年記念のお祝いをすることになるが、招きウサギが勘違いで出雲大社でハワイアンでアニソンで!(意味不明)
二軒目『ブティックかずさ』越谷オサム
商店街のイベントステージに立つ悪魔?
三軒目『エステ・イン・アズサ』青谷真美
いくつになっても。
四軒目『明日の湯』秋山浩司
風呂屋の申し子のような名前を持つ三木家の長男。
祖母がいきなり銭湯を畳むと言い出し、急に納得できなくなる。
五軒目『ドイツ料理屋「アイスバイン」』島本理生
あの人は肉を食べない。
六軒目『多肉植物専門店「グリーンライフrei」』加藤千恵
母親の離婚で、男を信用できない10歳の少女の、冷めた発言がまたかわいい。
七軒目『赤城ミート』彩瀬まる
私と、もう一人の私。
別の才能を持ち、別の才能を持たない。 -
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ネタバレ大好きな明日町シリーズ、第三弾
一軒目「カフェ スルス~一年後~」大島真寿美
平均年齢60歳。老後の楽しみに開いたお店に咲く恋の花。
二軒目「ブティックかずさ」 越谷オサム
三十近いひきこもりがちのバンドマンの一人息子VS昭和の香りプンプンな「ブティックかずさ」を守り続けている父。
三軒目「エステ・イン・アズサ」青谷真未
お互いを思いやるお嫁さんと姑さん、なんて素敵なんだ。
四軒目「明日の湯」秋山浩司
銭湯の壁の絵にまつわるおばあちゃんの恋心に、心がぽかぽか♪。
がんばれ三太郎!
五軒目「ドイツ料理屋・アイスバイン」島本理生
ずっと好きでいたいからと、他の男性と結婚した主人公。
だから、その罰として義母をきちんと介護するんだなんて…
温かなポトフの匂いがするわりには、美味しそうに思えなかった。
お店のマスター目線で読みたかったかな。
六軒目「多肉植物専門店・グリーンライフrei」加藤千恵
多感な小学生の女の子と、憧れの叔母さん。
サボテンのとげがちょっぴりささる感じ。
七軒目「赤城ミート」彩瀬まる
彩瀬まるさんはとても好きで、特に楽しみにしてたんですが…
最後まで読めなかった。ふがいない…
特に好みだったのは二軒目
語りは「ブティックかずさ」の飼い猫・黒猫のオジーちゃん。(ちゃんをつけると妙ですが)
普段はほどよい距離でほっておいてくれと言いながら、
ぎくしゃくする親子の関係に、あれこれ気をもみ駆け回るオジーがかわいすぎる!
こんぺいとう商店街のすみっこにいる、片耳の折れた招きうさぎ。
今日もお鼻をひくひく、ぴょんぴょんぴょん。
できれば24店舗といわず、ずっと続いてほしいです。 -
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スカイツリーを見上げる下町の片隅にある、架空の商店街。
大山淳子氏の「あずかりやさん」がとても良かったので、"出身地"である、こんぺいとう商店街のことをもっと知りたくなりました。
個人商店が立ち並ぶ商店街は、現代では衰退の傾向にあるけれど、こんぺいとう商店街は、たたむ店あり、新しくできる店ありで細々と続いている。
家業を継いだ若者や、出て行ってまた戻ってきた者、新しい商売の形、幼なじみと小さな恋の話など、懐かしい雰囲気の中で語られる。
後に行くにしたがって、他の商店の名前が登場するようになって、箱庭世界が充実していくのが面白い。
一軒目『カフェ スルス』 大島真寿美
ほぼ還暦世代の演劇仲間が集まって、カフェを開くことになる。
バイトで食いつないで来た者ばかりなので、即戦力!
「スルス」はフランス語で「泉」
ちょっとお洒落なカフェができたと、なかなか繁盛。
二軒目『あずかりやさん』 大山淳子
一日100円で何でもあずかる、あずかりやさん。
開店のきっかけになった男が桐島透にあずけた物と、盲目の店主に本を点訳してくれる女性、少年に託された茶色いかばんの中身。
三件目『伊藤米店』 彩瀬まる
「米屋の息子がいい男になって戻ってきた!」と、桐子の周りで話題になる。
なんと、かつての同級生、「野球部の伊藤くん」だった!
おいしいおにぎりと、ひと時の幻想。
四軒目『チンドン屋』 千早茜
テレビが普及してCMがかかるようになるまでは、「チンドン屋」は貴重な宣伝手段だった。
今毘羅屋清治郎が語る、チンドン屋、今昔。
五軒目『三波呉服店――2005――』 松村栄子
着物を着る人が少なくなって、由緒ある呉服店も、卒中で後遺症が残る店主が帳場を守るばかり。
そこへ吹く新しい風と、人間国宝が染めた辻が花の着物の由来。
六軒目『キッチン田中』 吉川トリコ
「ヒナギク生花店」の娘・ひな菊が胸に秘める、「キッチン田中」のシェフ・修(おさむ)への思いのゆくえ。
七軒目『砂糖屋綿貫』 中島京子
砂糖屋の二階に下宿した、浅木耕太が見る、大家・綿貫徳次郎のシルバー・ライフと、耕太の後輩・キズナの謎の行動(耕太にとって) -
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「幻の女流小説家」と呼ばれることになったツタは、けれどただの一度も本を出版したこともなければ、自身でそう名乗ったこともなかった。彼女がどうしてそう呼ばれたのか、その半生からたどってゆく物語です。
耳元に呼びかけるような、話しかけるようなどこか柔らかな抑揚のついた文章で紡がれるのは、まっすぐで不器用に、けれど自分に正直に生きてきたたくましい女性の姿。
ツタよ、ツタ。
それであなたは本当に良いの?
そんなふうに投げかけたくなる無軌道さもあるけれど、自分を信じて自分の大切な人や信じるもののために生きる姿は、羨ましいようなあっけにとられるような、そして「でもしょうがない、あなたはあなたなんだから」と苦笑交じりに頷かずにはいられないような、そんなくっきりとした彼女らしさに満ちている。
彼女の人生を素晴らしいとかかっこよいとか、そういう風には思わないしそう描いてもいないけれど、さまざまな運命に翻弄されながら、違う名前を得て活き活きと人生をまっとうした彼女の姿は、窮屈に肩を縮こめがちな現代に、とてもうらやましくまぶしくも感じられたのでした。 -
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マイナーな映画を撮る映画監督・柚木真喜子が海外の映画祭である賞を受賞した。
彼女と関わった人、関わらなかった人、関わった人にかかわった人…
それが、柚木真喜子という人物または彼女の作品で意外な繋がりを描き出す。
一番普通で地味なのは、妹の七恵かもしれない。
彼女の姉が映画監督だと知って、スーパーで声をかけて来て話題に喰らいつき、興奮して喋りまくるママ友が強烈。
いるな~、こういう人。
テレビにちょっと出たとか、有名人とつながりがあると聞くと、大騒ぎしちゃう人。
そのセリフが、芋づる式にずるずる止まらないおしゃべりが、すごくリアル。
そのセリフ以外でも、鍵括弧にくくられずに、地の文章の中に台詞が平たんに書かれている事が多いのが、この作家の特徴でもある。
鍵括弧のセリフと違って、立体的に立ち上がってこないセリフたち…
だから、夢の中のように感じるのかなあ…
目の前で会話のやり取りを見ているのが、鍵括弧セリフの部分。
地の文に埋め込まれたセリフは、「で、彼女はこう言うんだよね」みたいに、人に語り聞かせてもらっているような印象だ。 -
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女同士の友情、いいなあ。
誰かが結婚したり、子供が出来たりすると、別の人間関係の方が育ってしまって、幼なじみでも、仲良しの仕事の同僚でも疎遠になって行くことも多いけれど…
こんな関係はうらやましい。
そして、10才に育った子供が女の子だったから、もう、この女子会に加わっているような感じがするのも面白い。
気になるキャラは三宅ちゃんだ。
オネエやゲイのキャラが、主人公の人間関係に登場する作品は割と多い。
そして、何故か、人情に厚く、面倒見が良かったりする。
だいたい、私はそのキャラクターを、いいな、と思う。
何で、オカマっていいなあ~ってことになるのか、今回考えてみて、ふと思ったんだけど…
そういうキャラは、なんだか『おっかさん』みたいな感じがするのだ。
どーんと構えていて頼もしく、自分の子よその子わけへだてなく抱擁する…そういう、大きい女性。
最近、おっかさんって絶滅危惧種なんじゃないかと思う。
みんな、“おっかさん”じゃなくて“ママ”になりたいのだ。
あれ?
脱線。