大島真寿美のレビュー一覧
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「幻の女流小説家」と呼ばれることになったツタは、けれどただの一度も本を出版したこともなければ、自身でそう名乗ったこともなかった。彼女がどうしてそう呼ばれたのか、その半生からたどってゆく物語です。
耳元に呼びかけるような、話しかけるようなどこか柔らかな抑揚のついた文章で紡がれるのは、まっすぐで不器用に、けれど自分に正直に生きてきたたくましい女性の姿。
ツタよ、ツタ。
それであなたは本当に良いの?
そんなふうに投げかけたくなる無軌道さもあるけれど、自分を信じて自分の大切な人や信じるもののために生きる姿は、羨ましいようなあっけにとられるような、そして「でもしょうがない、あなたはあなたなんだから -
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マイナーな映画を撮る映画監督・柚木真喜子が海外の映画祭である賞を受賞した。
彼女と関わった人、関わらなかった人、関わった人にかかわった人…
それが、柚木真喜子という人物または彼女の作品で意外な繋がりを描き出す。
一番普通で地味なのは、妹の七恵かもしれない。
彼女の姉が映画監督だと知って、スーパーで声をかけて来て話題に喰らいつき、興奮して喋りまくるママ友が強烈。
いるな~、こういう人。
テレビにちょっと出たとか、有名人とつながりがあると聞くと、大騒ぎしちゃう人。
そのセリフが、芋づる式にずるずる止まらないおしゃべりが、すごくリアル。
そのセリフ以外でも、鍵括弧にくくられずに、地の文章の中に -
Posted by ブクログ
女同士の友情、いいなあ。
誰かが結婚したり、子供が出来たりすると、別の人間関係の方が育ってしまって、幼なじみでも、仲良しの仕事の同僚でも疎遠になって行くことも多いけれど…
こんな関係はうらやましい。
そして、10才に育った子供が女の子だったから、もう、この女子会に加わっているような感じがするのも面白い。
気になるキャラは三宅ちゃんだ。
オネエやゲイのキャラが、主人公の人間関係に登場する作品は割と多い。
そして、何故か、人情に厚く、面倒見が良かったりする。
だいたい、私はそのキャラクターを、いいな、と思う。
何で、オカマっていいなあ~ってことになるのか、今回考えてみて、ふと思ったんだけど…
そ -
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【本の内容】
「どうせ父親も知らない私ですから」十七歳の彩美は、うまくいかないことをすべて父親のせいだと思っていた。
夢がないのも自信がないのも。
退屈な夏休み。
突然、彩美は母親からパスポートとエアチケットを渡される。
どうやら父親はいま香港にいるらしい。
会いたいと望んだことなんて一度もなかったのに。
ガッツよ、ガッツ。
初めて知る出生の秘密に、へこたれそうになる自分を鼓舞し、彩美は空港へ降り立った―。
熱気に溢れる香港の町。
力強い響きの広東語。
活気に満ちた人々と出会い、少女がたおやかに成長を遂げる青春の物語。
[ 目次 ]
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17歳の彩美は、人付 -
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”完璧な小説だ。”とは北上次郎さんの文庫解説の冒頭の文。
これは単行本の時の感想で、装丁・挿画・造本等はこの原稿を書いている文庫版がどうなるかは判らない。と書いている訳だが、この文庫は「北上さんの解説まで含めて完璧」だ。
漫画原作者の主人公佐紀と同年齢の編集者玖未子との関係を描いた小説だが、実は冒頭から仕掛けが施されている。
六話の連作短編の中で時間は過ぎ行き、あっというまの20年前後を描いている。
話の終らせ方が実に巧みで、短編にありがちな「それからどうなった?」と思わせないところがいい。それでいて、解説によれば「それから」が描かれた小説もあるらしいからニクイな。