大島真寿美のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
女同士の友情、いいなあ。
誰かが結婚したり、子供が出来たりすると、別の人間関係の方が育ってしまって、幼なじみでも、仲良しの仕事の同僚でも疎遠になって行くことも多いけれど…
こんな関係はうらやましい。
そして、10才に育った子供が女の子だったから、もう、この女子会に加わっているような感じがするのも面白い。
気になるキャラは三宅ちゃんだ。
オネエやゲイのキャラが、主人公の人間関係に登場する作品は割と多い。
そして、何故か、人情に厚く、面倒見が良かったりする。
だいたい、私はそのキャラクターを、いいな、と思う。
何で、オカマっていいなあ~ってことになるのか、今回考えてみて、ふと思ったんだけど…
そ -
Posted by ブクログ
【本の内容】
「どうせ父親も知らない私ですから」十七歳の彩美は、うまくいかないことをすべて父親のせいだと思っていた。
夢がないのも自信がないのも。
退屈な夏休み。
突然、彩美は母親からパスポートとエアチケットを渡される。
どうやら父親はいま香港にいるらしい。
会いたいと望んだことなんて一度もなかったのに。
ガッツよ、ガッツ。
初めて知る出生の秘密に、へこたれそうになる自分を鼓舞し、彩美は空港へ降り立った―。
熱気に溢れる香港の町。
力強い響きの広東語。
活気に満ちた人々と出会い、少女がたおやかに成長を遂げる青春の物語。
[ 目次 ]
[ POP ]
17歳の彩美は、人付 -
Posted by ブクログ
”完璧な小説だ。”とは北上次郎さんの文庫解説の冒頭の文。
これは単行本の時の感想で、装丁・挿画・造本等はこの原稿を書いている文庫版がどうなるかは判らない。と書いている訳だが、この文庫は「北上さんの解説まで含めて完璧」だ。
漫画原作者の主人公佐紀と同年齢の編集者玖未子との関係を描いた小説だが、実は冒頭から仕掛けが施されている。
六話の連作短編の中で時間は過ぎ行き、あっというまの20年前後を描いている。
話の終らせ方が実に巧みで、短編にありがちな「それからどうなった?」と思わせないところがいい。それでいて、解説によれば「それから」が描かれた小説もあるらしいからニクイな。 -
Posted by ブクログ
海外で生活することで今まで見えなかったものが見えるようになる、考えたこともなかったようなことを考える、単純に言ってしまえば成長するということだが、海外で生活したことのある人には共感して頂けるのではないだろうか。
本書の主人公「彩美」もその一人で、高校2年の夏に母親から連れられて香港へ行くことになる。目的は今までいないと教えられてきたはずの実の父親に会うためであった。それまで、人付き合いが下手なのも、自分に自信がないのも、頭が悪いのも、溌剌としていないのも、夢がないのも、希望がないのも、全部父親がいないことのせいにしてきた彩美。学校をサボってることが母にバレて、そのことでグチグチ言われた時つい -
Posted by ブクログ
『虹色天気雨』から3年後の話。奈津の娘である美月を例に挙げれば、彼女が小学5年生から中学2年生になったということだ。3年も経てば何かしら変化が起こってるはずで、高校からの同級生まりがそれまで付き合っていた旭(あきら)と別れた、とか、三宅ちゃんの事務所で働いている小糸ちゃんが結婚する、とか、お騒がせ娘の辻房恵が別の男性の子どもを身ごもったまま元夫と再婚する、とかまあいろいろあるのだ。ただ、一番大きな変化はまりの元彼である旭が市子の部屋に居候していることだろうか。「同棲」と言うと男女間に恋愛感情が発生していることが暗に含まれてると思うのだが、この場合はあくまで居候である。
事の発端は三宅ちゃんだ -
Posted by ブクログ
父親が失踪した美月のことを奈津の幼馴染である市子をはじめ、奈津の友人や知人がサポートしていく。運動会のシーン、美月が某テーマパークのポスターガール(言葉があってるか定かでない(汗)に採用されたため、リニューアルオープンイベントに皆で行くシーンが印象的だ。父親がいなくなったことによる暗いイメージを受けることはない。むしろ、逆で、本書に出てくる女性たち(ゲイを含む)は皆精神的に強い。男なんていなくたって生きていけるんじゃないか、そう思わせてくれる。
大島真寿美さんの作品を読んだのはこれが初めてだったのだが、読みやすいテンポだし、女性たちのリアルな会話の描き方が上手だなと思った。僕は喫茶店でバイト -
Posted by ブクログ
ネタバレ短編集。
表題作は、離婚調停中の両親に親権を争われうんざりしているリサと、
父の愛人との妙な交流を描いたお話。
タイトルの『ふじこさん』が愛人の名前。
リサの自分自身への無関心さと人生への倦怠感が溢れている。
リサは小学生。
でも小学生は小学生なりに人生を悲観し、鬱屈としたものを抱えているのだよね、と自分の子供時代を重ねて思う。
自分を支配しようとして、当然の権利のように自分を引き取ろうとする母&祖父母への反感と対になり父親への好意(いや同情か)が強くなるものの、
物語を通して「男は身勝手で無神経」という側面を出すことで主人公は本当に自分自身の価値基準を自分の中に持てる子になったのかなと思