大島真寿美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
やはり満点にしよう。
はっきり言って、わからないヒトには全くわからない内容なのです。かなり実名に近いけれど、匿名のドキュメンタリーだから。
逆に、その時代にリアルタイムで「週デ」「別デ」のモデルとなった雑誌を読み、自身が「熱狂」した記憶があれば、読みながらあの頃の感覚に浸れるはず。強くそう思います。
とにかく、当時を多少なりとも知っている身からすれば、そのリアルさに驚くのです。
登場する作家、作品名、さらには小柳編集長まで…そして、「別デ」のキャッチフレーズも。(本作の出版が集英社なのも納得ですよ…)
1974年に創刊された別会社の「あの雑誌」についても…あ〜、きゃー、と心で叫びながら読みました。
「革命が近づいている」…そのキモチで、リアルで読んでいた人たちが少しうらやましい。私自身は、雑誌を継続して購入し、リアルタイムで全てを読むには、5年ほど遅かった世代です。
でも、高校で世界史を迷わず選択したのは間違いなくこの作品により…中学生でロシア革命にかぶれたのも、この先生により…(笑)さらに、某歌劇団が大好きなのも、同様…
別作品(別先生の)の、ヒロインを無茶ぶりでしごく(笑)ニヒルな2枚目は、編集者がモデルとか!あはは〜
作家さんたちの変名の正体(本名?)もだいたい突き止めました!(エヘン)でも、ただ一人、「葉山楓」先生がわからず…毎日ぐるぐるしております。
軽い読み物と思ったら、大間違いの分厚さでしたが、とにかく私にはおもしろく読み応えありました。さらさら読めなかったのは、変名の正体を知りたくて、検索しながらだったから。今の時代に書いてくださり、大島先生には感謝!
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Posted by ブクログ
ネタバレ私がこよなく愛する「戦友の恋」のスピンオフ作品
大和湯の美和ちゃん目線の物語
美和ちゃんは玖美子を知らないので、玖美子が死につづけている世界に生きつづけている佐紀のことは分かっていない
美和ちゃんの目から見る佐紀は、当初豪快なおばちゃんとして描かれる
でも、達貴を追いかけていた時に佐紀から声をかけられて(ここは戦友の恋でも出てきたシーン、でもここだけ、そして佐紀は美和ちゃんが達貴に恋してることに実は気づいてる)、その後を描いてる
佐紀の部屋で一緒に飲んで、親しくなってる
そして君津とのこと
色々あったんだね
大和湯で人生を見つけた美和ちゃんのこれから
周辺のおじさんおばさんを馬鹿にすることなく、親しんでいられる美和ちゃんはきっとこれからしっかり生きられる
高校中退して、プラプラしてたのも無駄じゃなかったんだね、と親戚目線で思ったりした
それと
「フィルムの外」という短編が付されていたが
これが鳥肌立つほど良かった
自分で自分を演じているような気になることって、若い頃はあったかなと思う
特に恋愛してると、演じ分けすらしていたような笑(恥ずかしい)
今はもうそれが普通
母を演じ、妻を演じ、娘を演じ
そして社会人でもある
どれが本当の私?
全部なんだなって思っている
そしてラスト
その夏に撮っていた映画を30年経ってから観る“ぼく”(この語り手の男の子は固有名詞を表してた?)
映画に出てくるその夏を過ごした家を取り巻く景色
観た瞬間に、その夏を色濃く再体感する
匂いとか、音楽とかってそういう感覚あるけれど、それの景色バージョンなんだなと思った
こういう記憶の蓋の開きかたって急激で、色鮮やか
激流になって記憶がなだれ込む
それが一夏だけの、恋人でも友だちでもない、年の違う異性との特別な思い出であれば、涙が出てしまいそう
由奈も観たかな
由奈も“ぼく”を思い出したかな
由奈も幸せならいいな -
Posted by ブクログ
ネタバレ何度読んだか分からないこの本
私の人生の1冊、と言える
(ただし、人生の1冊は複数あるが)
玖美子と佐紀の友情と、2人で築き上げた佐紀の仕事のお話がベース
割とお仕事小説って好きなんだけれど、そのルーツはこの本かも
恋愛とかもほのかにありつつ、生きるベースが仕事ってやっぱりいいなと思う
生きる糧を得る手段というだけじゃなく、生きる過程そのものに仕事があるっていいな
私はごく普通のパート民で、職場にも仕事にも恵まれて楽しくやってはいるけれど、自活できるだけの仕事がここまで自分の人生そのものならいいなって最近思う
もちろん綺麗事ばっかりじゃないんだろうけれどね
それとは別に、玖美子亡き後の佐紀の「玖美子が死につづけている世界で自分は生きつづける」みたいな文章があって、人を喪う悲しさというか、まさに喪失ってそういうことだなって思った
恋愛要素は全体に薄めだけれど、達貴と佐紀がこれからどうなるか、ちょっと含みを持たせてる感じもいい -
Posted by ブクログ
すごく読みやすいのに、すごく半二の気持ちがダイレクトに伝わってくる、不思議な本。虚が実を取り込む、まさにその渦に自分も巻き込まれたのだと思う。
人形浄瑠璃の知識はまったくなかったけど、この本を読んで一度見てみたいと思った。ただ、もうその時点で近松半ニの描いていた未来とは今は大きく違うんだろうなと考えると、すごく切ない気持ちになる。時代は変わるもので誰が悪いわけではないけど、言い表せない悲しみが胸に来る。
浄瑠璃の栄枯盛衰もさることながら、人の生と死も描かれているのが特徴的。そこにあったのに消えてしまった実感が、文章を通してひしひしと伝わるから、とてつもない喪失感にこちらも襲われる。
作り手ではないけど、言わんとしてることがすごくわかる部分もあった。不思議だけど自分にとっては興味深く魅力的で衝撃的な一冊だった。