あらすじ
女の子特有の仲良しごっこの世界を抜け出したくて、高校を突発的に中退した美和。祖父が営む小さな銭湯を手伝いながら、取りまく人々との交流を経て、進路を見いだしていく。ほわほわとあたたかな物語。
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Posted by ブクログ
なんだかほんわかとした表紙に惹かれて購入、
こんな表現は変かもしれないけど、
足湯に浸かっているような感覚の読書体験。
確かに浸かってはいるんだけど、身体の感覚に馴染みすぎて、自身の体験を振り返っているような。
大和湯で働く世間的にはちゃらんぽらんな美和の、スローなテンポで進む物語と、
ひと夏を仮の家で過ごす、はかなく温かい物語。
いいくみあわせだった。
Posted by ブクログ
やりたいことが何もない状態から、だんだんと自分の向いていることに目覚め、進んでいくところ、生きているなあという感じ。美和の周りにいる大人たちのほどよく気の抜けた雰囲気もいい。
表紙もかわいくてすてき。銭湯が舞台の小説でおすすめを聞かれたらこれを紹介したい。知恵と勇気!!!
Posted by ブクログ
高校を中退し、祖父の銭湯を手伝う美和は18歳。流されてるような雰囲気なのに退学は決めたのだ。入浴客や従業員、家族らと付き合いながら日々を過ごしていく。次の決断の日はやってくるのだろうか?
凝り固まった自分を解放していく感じがして、気持ちがゆるやかになるのにホッとする。
Posted by ブクログ
2008年に単行本で一度読んでいた作品。
当時文庫化しないかなーと思っていたけど、ここにきて実現するとは…
当時読んでとても好きだったのに、内容を全く覚えていなかったので、ほぼ初見でした。
少しずつ時間が経って、銭湯の常連さんたちとの交流を通して、徐々に変わっていく美和。
ほどけるとける というタイトルのように、かちかちだった気持ちが解けていく様が眼に浮かぶ。
進んでいないように感じても、時間や誰かとの交流を通して、いつの間にか変わっていくものなのかもしれない。
それは希望。
Posted by ブクログ
しまったー.この本は中編「ほどけるとける」と短編「フィルムの外」の2本立てなんだけど,「フィルムの外」はアンソロジー「ひとなつの。」に掲載されていた作品だったんだ.
大島真寿美先生の作品は「ピエタ」とこれしか読んでないのに忘れていた.とはいっても「ほどけるとける」を読むにはこれを買うしかないので仕方ないか(面白かったし).
高校を中退してブーたれながらおじいちゃんの大和湯でアルバイトをしている美和ちゃん.何がしたいわけでも,将来の夢もわからない.そんな美和ちゃんが大和湯で色々な人と触れ合って,進む道を見つけていくっていう話で,「いいよなー,あの時期って・・・.」と懐かしむ感じと,なんか元気がもらえる作品.
思わぬ再読になってしまった「フィルムの外」だけど,やっぱりステキな話だった.「ひとなつの。」の別の話ももう一度読んでみようかな.
解説に書いてあった「ほどけるとける」のサイドストーリー「戦友の恋」,「フィルムの外」で撮影していた映画の原作「チョコリエッタ」も読んでみようと思う.
Posted by ブクログ
おじさんがいつか死んだときに今日みたいな何でもないような日の夢を見てくれたら嬉しいという言葉が良かった。高校がくだらなくて辞めたのに結局銭湯に来る客を毎日見てるとくだらなく思えてくるという点が共感というか、全てがくだらなく感じるときってあるよねと思った。
Posted by ブクログ
初め、とても戸惑った。
フジリネンのおじさんの、「」なしになっていく怒涛のセリフに。その後、美和ちゃんや佐紀さん、タエさんやおじいさん、みんなのセリフも、こんな調子でどんどん喋り倒していく。声が聞こえてきそうなくらい。すごい、生きてる人の、熱量を感じる。どんどん引きずり込まれてしまった。
いっぽう、美和ちゃんが「3D」に見えてくる男性は、姿のみの描写で、一切の言葉を発しない。美和ちゃんが見たままの世界だから。
「戦友の恋」の佐紀さんと、美和ちゃんで、映画にしてほしい。タイトルみたいにゆったりとしたテンポで、セリフだけで物語が進んでいくみたいな。瞑想キャスティングが始まるわ。