大島真寿美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み終わってすぐ、もう一度読んだ。
淡々と語られる、大島真寿美の文章は心地よい。
1行目にして“生前”という単語が出てくる、亡き友を偲ぶ物語だ。
親友の玖美子の他にも、別れや、別れの予感のようなものに満ちている。
元彼、すなわち、既に別れた人との食事。
親友との思い出の場所のオーナーは、病に倒れ、入退院を繰り返し、確実に弱っているように思われる。
それに伴い、想い出のその店も、なんとなくもう潮時を迎えていそうな…
逆に、死んだと思っていた音信不通の人がひょっこり現れたり、偶然、幼なじみに再会したり。
平凡な一日は、しかし健やかな一日でもあり、友の死につづける世界の中で、ヒロインは毎日生 -
Posted by ブクログ
【本の内容】
女子高に通う雛子の家は、マンションの11階にある4LDK。
どうにかこうにか宙空を、地球と一緒にぐるぐる回っている。
暇さえあれば寝てしまう雛子、歳の割にしっかりした小学生の弟・真人、時々ヒステリックな母の圭以子。
同居する祖母の萩乃が「運針の病」にかかってしまったことで、ぎりぎり保たれていた均衡がゆらぎ出した…。
不安定な心のうつろいと喪失に、まっすぐにむきあう姉弟の物語。
[ 目次 ]
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眠ってばかりいる高校生の雛子を主人公とする、家族の物語。
詩的なタイトルは、マンションの11階にある雛子の住み処を表したもの。
空の家、ではなく、宙の家。
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Posted by ブクログ
ネタバレNHKのドラマ、「ビターシュガー」の原作者として大島真寿美さんを知りました。この本はその第一章。
口語体が中心のするりと読める文章。仕事合間の移動時間での読書にもかかわらず、一日で読めてしまった。「」(かっこ)で表さない会話が多いことも特徴かな。かっこをつけない会話って、ドラマや映画で風景画を映しながらバックで流れる会話のよう。
結論から言うと、わたしはこのお話が好きだった。それも、かなり。日本版SATCのようという表現はたしかにそうかもしれない。ただそこで繰り広げられる会話や動作にはきっとSATC以上に共感できるはず。なぜならそこには、日本ならではの謙遜や遠慮、社交辞令も、とてもたくさん出て -
Posted by ブクログ
数々の「書き手の業」を描いてきた大島さんが、近松門左衛門の次に選んだのは、なんと漫画家!はい、彼女たちも、確かに業を持っていた。作中では、鵺と表現されている。
1969年、人類が月面着陸をした年に出版社に就職した辰巳牧子は、経理補助として「週刊デイジー」「別冊デイジー」編集部で働き始める。親分肌の川名編集長が率いる「週デ」は、漫画班・活版班・グラフ班に分かれて編集部員一同、日々忙しく動き回り、「別デ」を率いる小柳編集長は、才能あふれる若い漫画家たちを見出し、次々にデビューさせていた。
半世紀以上経って、紙媒体から電子媒体に変わるなんて、誰も思っていなかった頃、少女漫画にぽつぽつとスタ