大島真寿美のレビュー一覧

  • ツタよ、ツタ
    自分を見つめること。今の自分は本当の自分?これは私か私でないものか……
    短慮でも熟慮でも決めたことは決めたこと。瞬間の反発か流された結果か、そこにいるのはそれを選んできた自分。
  • ほどけるとける
    なんだかほんわかとした表紙に惹かれて購入、
    こんな表現は変かもしれないけど、
    足湯に浸かっているような感覚の読書体験。
    確かに浸かってはいるんだけど、身体の感覚に馴染みすぎて、自身の体験を振り返っているような。
    大和湯で働く世間的にはちゃらんぽらんな美和の、スローなテンポで進む物語と、
    ひと夏を仮の...続きを読む
  • 戦友の恋
    本の雑誌を購読している。その中で、蔦屋書店を通じて本の雑誌社が選んだ数冊を送ってもらえるサービスがある。いつもどうしても偏ったものを読んでしまう。
    こういった、「恋」と名のつくもの、ページ数が少ないものは、内容も見ずに手に取らない。
    人に選んでもらった数冊は、すべて大変刺激的であった。このお話も、じ...続きを読む
  • あなたの本当の人生は
    今年はまだ2月だが、今現時点でのNo1作品。
    優しい語り口に暖かい雰囲気。
    とにかく、コロッケがバツグンに効いている。
    心温まる傑作でした。
  • モモコとうさぎ

    モモコ イン ワンダーランド

    うさぎに導かれ"働くこと"と"生きること"を探すモモコ。
    一緒に現実世界のワンダーランドを冒険しているみたいでした。
    出会った人達から優しさや息苦しさを受けて、ふわふわモヤモヤしながら成長していくモモコは、"いつの日かの自分"でもあり "これからの自分"でもあるかも と感じさせてくれました。
    ...続きを読む
  • 戦友の恋
    恋愛小説と思うと構えてしまう自分がいて、というのはそれを読んで感じ入った記憶が殆ど無いからであって、本作も入手してみたものの、なかなか手が出なかった作品。”読むのが怖い”で大森氏も絶賛しているのを見て、それならばってことでトライ。で、これがまた素晴らしかったんです。やはり出色は表題作だけど、それ以外...続きを読む
  • ふじこさん
    多感で繊細だけど鋭い視点を持っている女の子と、家族との温度差をひしひしと感じる作品。
    どの作品も素敵ですが、「ふじこさん」が特に好きです。
    「夕暮れカメラ」、会話のかみ合わなさにせつなくなったけど、おばあちゃんを見つめる主人公のまなざしにぐっと来る。
    「春の手品師」、ファンタジーチックながら思春期の...続きを読む
  • 戦友の恋
    読み終わってすぐ、もう一度読んだ。
    淡々と語られる、大島真寿美の文章は心地よい。

    1行目にして“生前”という単語が出てくる、亡き友を偲ぶ物語だ。

    親友の玖美子の他にも、別れや、別れの予感のようなものに満ちている。
    元彼、すなわち、既に別れた人との食事。
    親友との思い出の場所のオーナーは、病に倒れ...続きを読む
  • 宙の家
    【本の内容】
    女子高に通う雛子の家は、マンションの11階にある4LDK。

    どうにかこうにか宙空を、地球と一緒にぐるぐる回っている。

    暇さえあれば寝てしまう雛子、歳の割にしっかりした小学生の弟・真人、時々ヒステリックな母の圭以子。

    同居する祖母の萩乃が「運針の病」にかかってしまったことで、ぎりぎ...続きを読む
  • 戦友の恋
    変わってしまったかつて行きつけのライブハウスで、自分の歴史を知らない若い女子の横に座り、変わってしまった味のペペロンチーノを食べながら、昔の思い出に耽る。この年取った感がいい。戦友のような友人を突然亡くしてからの日々が淡々と綴られる本書。生きてる彼女は年を取るのだ。優本!
  • 宙の家
    マンションの11階、空のすぐそばにある場所で暮らす雛子一家。なんとなく保たれていた均衡は祖母の萩乃が「通信不能」状態になったことで一気に崩れだす・・・
    「宙の家」だけでも完結しているが、後日譚の「空気」も含めて、この話はひとつにまとまっているような気がする。
    全体に漂うなにかもやもやとして抜け出せな...続きを読む
  • チョコリエッタ
    主人公はすこしおかしい女子高生。これといった山場もなく、続くモノローグ。
    好みが分かれる作品だと思いますが、私はどストライクでした。しかも解説は野中柊さん!
    読後までずっと漂っている喪失感とか、読後はすこし増している気がする幸福感とかが心地よくて、もやもやしているときとかに読みたい一冊です。
    「道」...続きを読む
  • 虹色天気雨
    NHKのドラマ、「ビターシュガー」の原作者として大島真寿美さんを知りました。この本はその第一章。
    口語体が中心のするりと読める文章。仕事合間の移動時間での読書にもかかわらず、一日で読めてしまった。「」(かっこ)で表さない会話が多いことも特徴かな。かっこをつけない会話って、ドラマや映画で風景画を映しな...続きを読む
  • 宙の家
    とてもいい作品。久々に気持ちをスーッと突き抜けてくミント味の物語を読んだ気がする。

    2019.8.11 再読
    直木賞を記念しての再読。
    登場人物みんなの心に影が見えるのは、背景に青い空があるから。光が強ければ影が濃い。
    でもそンなこともどうでもよくなるくらい、青い空が見える。物語自体は派手さは無い...続きを読む
  • ビターシュガー 虹色天気雨2
    端的に言えば四十路の女性3人の友情物語
    ですが、友情らしい熱く深くおしつけがましい感じはないです

    解説の方も書かれている通り、登場人物の距離感がいいけれど
    なかなかこんな距離感を保ちつつ誰かと仲良くするのは難しいように思います
    そんなこともないのかな…?ただの力不足かもしれません

    カンニングの竹...続きを読む
  • 香港の甘い豆腐
    17歳女子高生。なんとなくいろんなことがうまくいかない。学校にも行かなくなってしまった彩美。全ての根源は父親がいないこと、と言ってしまったばっかりに父親に会いに香港に連れて行かれ…香港の猥雑な街角と、傍若無人なのに優しい人々と、美味しい食べ物に囲まれているうちにこんがらがった心がほぐれていく過程が優...続きを読む
  • たとえば、葡萄
    仕事を辞めてしまった美月、母親の友人の市子のところに転がり込み、次の仕事や将来をなんとなくボヤボヤと模索する現状にやってくるコロナ禍と自粛社会…と、こう書くとなんだか、居心地の悪い小説のようだが。

    実は「虹色天気雨」「ビターシュガー」の続編になる。美月が転がり込んだ市子は美月の母親も同然の人だし(...続きを読む
  • 渦 妹背山婦女庭訓 魂結び
    江戸時代の大坂・道頓堀、浄瑠璃作家近松半二の物語

    テンポの良い大阪弁で語られ、生き生きとした登場人物たちに江戸時代ということを忘れてしまいそうで、文楽を題材にした架空の人物のストーリーかと思っていたら、近松半二は実在の浄瑠璃作家だったと知り、驚きました。
    物語を作り出す苦労。
    書いても舞台をヒット...続きを読む
  • 結 妹背山婦女庭訓 波模様
    妹背山婦女庭訓 シリーズ2

    近松半二が鬼籍に入り、操浄瑠璃が、ますます尻すぼみになっていた。
    それでも、浄瑠璃に魅せられた男たちが、ひたむきに、浄瑠璃に向き合う。

    耳鳥斎が
    近松徳三が
    十返舎一九が
    菅専助が
    武内確斎が
    畠中銅脈がいた。
  • たとえば、葡萄
    ちょうど自分がこれからの将来について悩んだときがたまたま27歳で絶対に読まないといけない気持ちに駆り立てられた本

    これの前の2巻読んでなかったけどこれだけでも十分理解出来たし読んでよかった