大島真寿美のレビュー一覧
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読み終えてまず思ったのは、
「あ~、わたしもこういうの、面白いって思うようになったんだなぁ」
ということ。
誤解を恐れずに言うと、これを読んで何かしら共感したり、面白いと思えたりするのは、どこかしら「年、とったなあ」と自分で感じ始めている人なんじゃないだろうか。
事実わたしはちょうどそんな時期にあるわけで。
きっとこの本を5年前に読んだなら、けっして「面白い」とは思わなかっただろうし、まず手に取ることさえしなかっただろう。
20代から30代へ、30代から40代へ…そんな、ちょっとした人生の区切りにある人には、どこか共感できて、ちょっとだけ勇気と元気をもらえる、ほんな「ほっこり」した一冊だと思う。
小説というよりは、長編エッセイのような本作。
主人公は40代だか50代だか、恐らく漫画家らしい女性。(すみません、前作読んでないもので。)
未婚、子供はなし、恋愛にも興味なし。
そんな自分の現状に特に不満を持つわけでもなく、個性的な友人とその子供達に囲まれて、日々を淡々と、しかしピリッと刺激はありつつ楽しみながら生きている。
そう、まさにビターシュガーな日々である。
わたしはバツイチ。
おまけに、大恋愛の末のこの結末だから、正直もう一生「恋愛」はできないと思ってる。
実はそんな自分自身にちょっと焦りと感じていたりして。
新しい出逢いを求めて新しい環境に飛び込んでみたり。
旅に出てみたり。
まあ、ここ一年半、足掻いてきたけれど…。
なぁんか、別にいいんじゃない?
読み終えたとき、カラッとそう思った。
不思議なくらい、自然にカラッと。
いいんじゃない、一生分の恋をしたんなら。もう無理して恋愛に拘らなくても。「友愛」の果てが一緒にいる相手だった、でもアリじゃない。
良い友人、大好きな妹ちゃん、おちゃらけて明るい両親、絶対出会うことはなかっただろう人々…そんな人達と、楽しく元気に生きていければ。
その中でちょっとシュガーだったりビターだったり、いろいろ感じながら生きていけば。
気楽に生きよう。
レッセフェール、ケセラセラ。
奇しくもずっと自分のモットーであったその生き方に、巡り巡って辿り着いた感じ。
本当に、本との出会いは奇なるもの。
「傑作だ」とか「これ絶対読んでほしい」という作品ではない。
でも、わたしのように、「一般的な人生ってなんだろう」と、それとの乖離に密かに焦っているような人には、ちょっと読んで欲しい一冊。
ビターシュガー。
人生ってそんなもの。
気負わず、わたしも、日々のシュガーとビターを淹れたての珈琲を味わうが如く噛み締めつつ生きていこう。
ふと、そう思った本なのでした。 -
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ピンと来ないと書いたものの、もう買っちゃたし、読んでる内に良さが分るかもと思って、続編へ突入。
前作から3年経っていて、奈津の別居は続いていて、マリは旭と別れていて、市子は相変わらずで…、っていうシチュエーション。
サクサクと読めるところは相変わらず。で、物語のテイストにも慣れたのか、まりが内藤さんのことをひとり惚気る場面とか美月のことで奈津がごちる場面とか小糸ちゃんの結婚パーティーで3人で昔話をするところなどなどなど、成程、確かに感じが出てて巧いよねぇ~って気もしてきた。
最後の解説に『ああ、仲間に入りたい。この人たちと、一緒にお喋りして騒ぎたい』ってあるけど、こういう風に思えるかどうかが、多分、この本への評価の分かれ目。
私には、何だかホントに女性軍の井戸端会議に巻き込まれて居心地が悪くて、もじょもじょするって感じ。 -
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嫁さんに、何か読みたい本は?と聞いたら、この前から始まったNHKの「よる☆ドラ」の原作なんだけど、『ビターシュガー』を買って来て~、ついでだから、これ続編らしいから最初のお話も、ってことで買って来た。帯の写真を見ながら、この3人の誰が誰の役でって、あまり無い夫婦の会話に一役買うわけですわ。
まあ、それはそれでいいんだけれど…。
幼馴染みのアラフォー、奈津と市子とまり。ある日、奈津の夫が失踪したことから始まるお話しは、夫の行方を捜す奈津と、その間、子どもの美月を預かる市子の生活を中心に、彼女らとそれを取り巻く人々の心理と行動がこれでもかと語られる。
『すでに…何度も繰り返してきた』出来事に対し、これまで『嫌になるくらい経験し』『それがどういうことなのか…理解できるようになってしまった』年齢で、それでも、成り行きの中で心や行動は動いていく。
なかなか複雑なんだけど、『言っても詮無い話』を諄々と語られているようで、私には何となくピンと来ませんでした。 -
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「虹色天気雨」が好きだった気がするんだけどな……。
うーん、ドラマ化もされるらしいけど、そういえば脚本を読んでいるような感じ。ほとんど会話で進んでいくような。あんまり登場人物の内面には踏み込まないような。なんだか全体的にものすごーく薄い印象なんだけど。主人公も、外からほかの人々をぼんやりながめているような。自分のことすら。なにを考えているのかよくわからない。
だいたい、30、40代になって、仲間?で集まったり、出かけたりなんてあんまりないんじゃないかなあ。なんだかおとぎ話みたいに思えてしまって。
つまらなかったってわけじゃあないけど、めずらしくけっこう退屈したような。自分の体調のせいとかかもしれません、すみません。 -
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幼いころ両親が離婚したことで、母親と双子の兄と離れて生活することになった20歳の女子大生が主人公です。一緒に暮らしていた父親が急死したことで、大学を休学し、けだるい日々を送る主人公。そんな時、子供のころから何度も家出を繰り返している従妹が、主人公の暮らすマンションに転がり込んできます。従妹はもう何年も実家に連絡を取っておらず、親からは死んだも同然とあきらめられているようです。家出癖のある従妹は、主人公の家の近所に昔からある廃屋を、将来自分の住処にしようと考えていたようですが、その廃屋に手を入れて、カフェにしようと目論む男女が現れます。自分たちの手で、少しずつ改修しているために、いつまでたってもオープンしないカフェ。けれどそこは、なんとなく落ち着ける場所。カフェの女性には、若いころ亡くした我が子の姿がいまも見えているようです。いろんな人に巡り会い、小さな経験を積む中で、しだいに主人公の心は解きほぐされていきます。
生きるってことは、たいせつなものを失っていくこと。傷を負い、負わせながら、それでも人は、飄々と何気なさそうに生きています。この物語の登場人物たちもそうです。一度壊れてしまったものを、もとに戻すことはできません。傷ついた心が癒されるなんてこともありません。けれど、その悲しみを受け入れたとき、人は一歩足を踏み出せるのかもしれませんネ。 -
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新入部員が集まらず、廃部になりかけている映画研究部に所属している、知世子という女子高生が主人公です。知世子は幼いころ、両親と出掛けたドライブ旅行で事故にあい、母親を失ってしまいます。亡くなった母親の忘れ形見が、ジュリエッタと名づけられた犬。知世子とジュリエッタは姉妹のように、ずっと一緒に過ごしてきました。その愛犬ジュリエッタも歳老いて亡くなり、知世子は学校の進路調査のアンケートに、将来の希望を「犬になりたい」と書きます。心に暗い影を持ち、どちらかというと世界を否定して生きてきた知世子にとって、本当に心を許し合えたのはジュリエッタだけだったから。
映画好きの方はすでにお気づきかもしれませんが、犬の名は、往年の映画女優ジュリエッタ・マシーナから取られたものです。仔犬の瞳がクリクリと愛らしく、ジュリエッタ・マシーナの目にそっくりだったから。名前をつけたのは、事故で亡くなった母親でした。
物語の中にはジュリエッタ・マシーナが主演した、フェデリコ・フェリーニ監督の名作〝道〟と、ニーノ・ロータの曲がしばしば出てきます。〝道〟はボクも感銘を受けた大好きな映画なので、それだけで嬉しくなってしまいました。
この小説は知世子の夏休みと、その前後の日常が静かに綴られているだけで、大きな起伏があるわけではありません。けれど、たまらなく良いのです。青春時代を映画と共に過ごした方なら、きっと分かっていただけるのではないでしょうか? -
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表題作である「宙の家」の続編である「空気」を含む二編の連作。
とあるマンションの1105室に暮らす家族の物語です。宙空の4LDKに住まうこの一家の家族構成は、主人公の女子高生・雛子のほかに母親と、小学生の弟と、祖母。父親は九州に単身赴任中。
ある日突然、祖母が交信不能(痴呆症)になったことで、平穏な家庭にズレが生じ、その波紋が少しずつ広がっていく模様が雛子の視点で描かれます。
続編では、祖母の死後、自分の扱いが下手になってしまった雛子の心情が、弟の友人とその腹違いの歳の離れた兄・波貴との関わりの中で語られていきます。波貴もまた、自分を持て余し、周囲との折り合いをつけるのが苦手なタイプの男性なのでした。
・・・・・と書くと、なんだかジメジメしたお話のように思われるかもしれませんが、淡々とした文体で、あまり多くを語り過ぎないことで微妙な距離感が保たれ、湿っぽさのない物語に仕上がっています。
「宙の家」はデビュー作なんだそうですが、若い女性がなぜこのような作品を書こうと思ったのか、そのことにとても興味を惹かれました。 -
Posted by ブクログ
現実と夢のようなものがごっちゃになっていたりして、なんか不思議な話ですね。
離婚のときに母に置いて行かれ、自殺に近い死に方で父親を失ったとうこ。とうこを置いて出たことを悔やみ、精神を病みかけた母親。その母を支えるためにとうことの二役を演じる陸。息子に先立たれた祖母。厳しすぎ、身勝手な両親から逃れようと家出を繰り返す瑠璃。そして、小さな息子を亡くした喫茶店の奥さん。
様々な人たちの一種の再生物語なのですが、そうした物語に多い力強さは感じられず、どこかふんわりとした雰囲気です。
でもその雰囲気のためか、少々まとまりに欠け、焦点が会わない感じが残念です。