大島真寿美のレビュー一覧
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【本の内容】
むかしむかしあるところに、私たちが家族だった頃がある―。
母と兄、そして父も、私をおいていなくなった。
孤独な日常を送っていたとうこのもとに、ある日転がりこんできた従妹の瑠璃。
母とともに別居する双子の兄・陸は時々とうこになりかわって暮らすことで、不安定な母の気持ちを落ち着かせていた。
近所の廃屋にカフェを作るためにやってきた夫婦や、とうこの祖母。
それぞれが大きな喪失を抱えながら、ゆっくり立ち上がっていく、少女とひと夏の物語。
[ 目次 ]
[ POP ]
父を亡くして以来、無気力になったとうこが少しずつ変化していく。
何か劇的な出来事がきっかけになるわけでは -
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柚木真喜子という映画監督に関わった6人の女性たちの物語。
柚木が海外の小さな映画祭で賞に輝いたというニュースに触れた6人のそれぞれの記憶と思いが綴られる。
大島真寿美って文章巧いよねぇ。登場人物の言葉と思いを、読点で続けて、パシパシとテンポ良く読ませていき、下世話な話もこの手になると淡~い切ない感じの物語になる。
とは言え、男の私には共感性の薄い話でちょっと喰い足りない感じも、この作者のこれまでの作品と同じく。嫁さんはどう見てるか聞いてみたい気もするな。
最後の章は蛇足な感じだけど、昔、キネマ旬報でこんな具合に映画の脚本めいたものを読んでいたのを思い出した。
映画を題材にした本が続いて、定年に -
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学校で合わせることに辟易し、自分の居場所がわからないという気持ちは、10代ではなくても、大人でもわかる気がする。実の父親が香港にいると連れていかれる彩美。香港でのホームステイを自分で決め、香港での生活を楽しみ始めて、自分というものを持ち始めた彩美の姿を見ていて、何だか励まされました。はじめは読んでいてなじめなかったけれど、彩美が香港を好きになったっ瞬間、この物語が肯定された気がして、自分の中にも何だかすとんと入ってきました。彩美にもたくさん、彩美自身を支えてくれる身内がいる。その様子がまたいいなと思う。香港の甘い豆腐=豆腐花。私も大好き。食べたくなりました。辻村深月さんの解説が良かった。
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漫画原作者である佐紀(あかね)はデビューより共に戦ってきた編集者の玖美子を突然の死により失う。喪失した中でスランプにおちいり、淡々と日々をこなす佐紀が、幼馴染、新しい編集者、元彼などと接し、何気ない穏やかな毎日をすごすことで、徐々に緩やかに立ち直っていくお話。喪失やスランプがあったとしても人間は生き続ける。立ち直るのに、特別なことがあるわけではなくて。何気ない日々の生活を描かせたら、大島さんに勝る人はいないのではないだろうか。酸いも甘いも知った年だからこそ、その中であきらめの心境もあり、複雑なんだけど、これが大人というものなのかなと思う作品でした。連作短編集。
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マンションの11階に暮らす家族を描いた中編2作。
両親と弟、祖母と暮らす女子高生が主人公。
ある日祖母にボケの症状が見られはじめ、平凡な日常にズレが見られていく。
”運針の病”と名づけた謎の行動など、ボケの描写はあるものの介護の苦しみや家庭崩壊などはなく、静かな日々が描かれる。
2作目は小学生の弟の親友兄弟と主人公との交流。
ちょっと展開が唐突かな。2作目より1作目がよかった。
文章表現は巧みで、特にタイトルにある通り地上40メートルのマンションの一室について描写する表現がいい。
こういう雰囲気の作品はハマると感動すると思う(今回はそういうメンタリティじゃなかった)。 -
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恋愛、家族や老後を考える四十路女性三人の友情を中心とした物語。三者三様の人生がお互いに絡み合いながら進み、その会話の掛け合いが面白い。NHKのドラマを見て読もうと思った。小説よりドラマのほうがスピード感があって面白いと感じた。それは女優3人(りょう、和久井映見、鈴木砂羽)の演技力の賜物か。
恋愛できる最期ではという思い、自分の価値観を大切にしたい気持ち、老後一人を恐れる気持ち。お互いのさわやかな関係が浮かんできて、とても気持ちよい。この妙齢の女性を対象とした小説はドロドロ、嫉妬といったものがイメージされるが、それらがなく、読み終えて気持ちよかった。 -
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漫画家を志していたものの、致命的に絵が下手で漫画原作者となった主人公。
彼女に原作者としての道筋を示し、二人三脚でやってきた編集者が急死してしまう。
大切な戦友を失った主人公が喪失感を抱えながらも生きていくお話。
とても大島さん的な文章で、数十ページに渡って主人公の一人語りで物語が進んでいったりする。
主人公を取り巻く人々のキャラクタや人生も陰影がくっきりしていて魅力的である。
戦友が死に続けている世界で生き続けている主人公。
がんばってる感なくでも精一杯生きている感じがして穏やかな気持ちになる話。
ただ、読む人とテンションを選ぶ作品だと感じるから、しばらく読んで合わないなと思ったら少