大島真寿美のレビュー一覧
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離婚調停中の両親を持つ高校二年生の依子の物語。
父は福岡に赴任中、母親と暮らしていたが、母親も上海に長期出張することになる。
北海道にある母親の実家へ行けと言われ、途方に暮れる依子に、「うちに来る?」と住みかを提供してくれたのは友だちの梢。
両親共働きで子供一人の依子の家は、おしゃれなマンション。
梢の家は、祖父母・両親・子ども三人でにぎやか。
以前は居候も絶えなかったという。
あまりの『家庭』の姿の違いにおどろく依子だが、割とすぐに馴染んでいく。
しかし、立派に仕事をしているにもかかわらず、驚くほど幼稚で身勝手な両親だ。
(特に、幼稚な父親は嫌だな)
それに対して、依子は醒めているというか大人と言うか。
淡々と進む、いつもの大島真寿美の、少女の成長小説。
透明感がある。 -
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日々を退屈して過ごしていた、高校一年生の女の子が、一皮むける本。
つるん、と、まるでライチの皮をむくように。
ひと夏物語でもある。
同じ年頃の人に読んでもらいたい、もう自分は真似したくても出来ない、輝かしい物語だ…
と思ったけれど、おばあちゃん、後日譚の中に、何気に凄いことが描いてある。
いくつになっても遅すぎることはないのか…
香港にはやはり特別な力があるのだろうか?
人間の生命力に作用するカンフル的街なのか?
「父親も知らない」自分を、否定から肯定へと変化させたヒロインの、成長ぶりが鮮やかだ。
…けれど、やはり大島真寿美なので、淡々とした文章で語られる。 -
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寝言が原因で夫と離婚し、雑貨作りの小商いをしながら実家で暮らしている。
人に寝言を聞かれる恐怖心からか実家で眠れなくなってしまったが、雑貨を卸している「梅屋」の奥の小部屋では熟睡できるので、頻繁に梅屋に眠りに通っている。
幼いころに「天使のおじさん」に誘拐された記憶を持ち、いつか「誘拐犯」が自分の前に現れるのではないかという期待を持っている。
話としては梅屋のバイトのみなみちゃんや、近所の人、そして両親や伯母と過ごす中で、「誘拐事件」の真相を知るという展開である。
離婚の原因にもなってしまった、心の引っかかり続ける「天使のおじさん」の正体を知ることで、過去を乗り越える、という、よくありがちな傷ついたアラサー女性再生物語である。 -
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『虹色天気雨』の3年後。
いまだに奈津は夫と別居中。
全然事態が進展しない中、大人びて健気で空気読み~で美少女だった美月は、いっぱしの大人のつもりで、分かってない事まで分かったつもりで大人の生き方に口をはさみ、批判し、不潔扱いするという、まさに中二病真っ盛りの女子に変貌を遂げた。
そして、主人公の市子は、厄介事を次々と押しつけられ、善意でした事(というか断れなかっただけ?)をみんなから非難され、家には押し掛けられ…という気の毒な状態。
前作はそんなに気の毒にも感じなかったのだけれど…
まりとか美月が何だか強烈で。
前作は運動会、今作は、小糸ちゃんの結婚式やリンゴ狩り?
登場人物が総出で楽しむ。
切れたと思ったら、まだ繋がっていて、ちょっとついたと思ったら、ずっと切れなくて、納豆のような人間関係である。
離婚したり、元夫と撚りを戻したりと、波乱といえば、皆、波乱に満ちた人生を歩んでいるのだが、まるでお経を聞いているような語り口で書かれている。
以前、ドラマになったそうなのだが、この淡々とした感じを出す事が出来たのだろうか?
厄介事が次々と舞い込む…と書くとマイナス印象だが、実は主人公のマンションは、みんなの帰る場所のような、つまり安らぎの空間なのである。
そして、大所帯な行事の写真を“興奮した犬みたいに”写真に撮りまくる土方さんが、目に浮かんでくるようで、なんだか可愛かった。
前作では、失踪してまで憲吾さんが何したいんだか全然分からなかったのだが、今回、長野が描かれるに至って、何だかちょっと分かったような気がした。
“女性の友情”は、前作の方が感じたかなあ…
私は、今作のまりはちょっと遠慮したいです。 -
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【本の内容】
むかしむかしあるところに、私たちが家族だった頃がある―。
母と兄、そして父も、私をおいていなくなった。
孤独な日常を送っていたとうこのもとに、ある日転がりこんできた従妹の瑠璃。
母とともに別居する双子の兄・陸は時々とうこになりかわって暮らすことで、不安定な母の気持ちを落ち着かせていた。
近所の廃屋にカフェを作るためにやってきた夫婦や、とうこの祖母。
それぞれが大きな喪失を抱えながら、ゆっくり立ち上がっていく、少女とひと夏の物語。
[ 目次 ]
[ POP ]
父を亡くして以来、無気力になったとうこが少しずつ変化していく。
何か劇的な出来事がきっかけになるわけではない。
転がり込んできた従妹の瑠璃の何気ない言葉や行動。
近所の廃屋にある日突然やってきた夫婦。
説教めいたことも感動的な台詞も言わないが、黙って彼らを見たり聞いたりしているうちに、とうこの喪失は得体の知れない大きな重圧から自分の血肉になっていく。
おそらく本当に大きな傷は、自分でも気付かないようなささやかな変化を繰り返して癒えていくものなのだろう、と思わされた。
離れ離れになっていた双子の兄の陸と実際に会ってから、とうこはようやく自分が家族を失ったことを受け入れる。
逃げていた現実を受け入れる、と書くと陳腐に見えてしまうけれど、仰々しく変化しない様子がリアルで、まるでこちらまで一緒に成長したかのような錯覚を覚える。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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柚木真喜子という映画監督に関わった6人の女性たちの物語。
柚木が海外の小さな映画祭で賞に輝いたというニュースに触れた6人のそれぞれの記憶と思いが綴られる。
大島真寿美って文章巧いよねぇ。登場人物の言葉と思いを、読点で続けて、パシパシとテンポ良く読ませていき、下世話な話もこの手になると淡~い切ない感じの物語になる。
とは言え、男の私には共感性の薄い話でちょっと喰い足りない感じも、この作者のこれまでの作品と同じく。嫁さんはどう見てるか聞いてみたい気もするな。
最後の章は蛇足な感じだけど、昔、キネマ旬報でこんな具合に映画の脚本めいたものを読んでいたのを思い出した。
映画を題材にした本が続いて、定年になったら、競馬がない平日は昔のように映画三昧も良いなと思ってきた。 -
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学校で合わせることに辟易し、自分の居場所がわからないという気持ちは、10代ではなくても、大人でもわかる気がする。実の父親が香港にいると連れていかれる彩美。香港でのホームステイを自分で決め、香港での生活を楽しみ始めて、自分というものを持ち始めた彩美の姿を見ていて、何だか励まされました。はじめは読んでいてなじめなかったけれど、彩美が香港を好きになったっ瞬間、この物語が肯定された気がして、自分の中にも何だかすとんと入ってきました。彩美にもたくさん、彩美自身を支えてくれる身内がいる。その様子がまたいいなと思う。香港の甘い豆腐=豆腐花。私も大好き。食べたくなりました。辻村深月さんの解説が良かった。
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漫画原作者である佐紀(あかね)はデビューより共に戦ってきた編集者の玖美子を突然の死により失う。喪失した中でスランプにおちいり、淡々と日々をこなす佐紀が、幼馴染、新しい編集者、元彼などと接し、何気ない穏やかな毎日をすごすことで、徐々に緩やかに立ち直っていくお話。喪失やスランプがあったとしても人間は生き続ける。立ち直るのに、特別なことがあるわけではなくて。何気ない日々の生活を描かせたら、大島さんに勝る人はいないのではないだろうか。酸いも甘いも知った年だからこそ、その中であきらめの心境もあり、複雑なんだけど、これが大人というものなのかなと思う作品でした。連作短編集。