カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    人生って、誰か一人を愛することよりずっと大きいんだと思う。あなたはその人生に出ていくべき人よ、スティーブ。あなたみたいな人はその他大勢と一緒にいちゃだめ。わたしをご覧なさい。この包帯がとれたって、はたして二十年前に戻れるかどうかわかりゃしない。それに独身だったときなんて、もう大昔だしね。でも、わたしは出ていって、やってみる。

    0
    2026年02月21日
  • 充たされざる者

    Posted by ブクログ

    振り回され続ける主人公にイライラして何度もやめたくなったけど、そのうちクセになって逆にやめられなくなった。
    一筋縄じゃいかない、すごい小説。

    0
    2026年02月18日
  • わたしたちが孤児だったころ

    Posted by ブクログ

     上海租界で少年時代を過ごしたイギリス人クリストファー。その地には隣家の日本人少年アキラとの楽しい思い出もある。しかし、父親の失踪、それに次ぐ母親の誘拐という事件を経て孤児となり、イギリスの叔母のもとに引き取られることとなる。この少年が、長じて優れた探偵として名を馳せるようになり、満を持して上海に舞い戻り、消えた両親の謎の解明に挑む。
     真実を知りたい、という気持ちで読んでいけるミステリー小説のような推進力がありながら、そこで描かれる世界に立ち込める闇は深い。ってその世界とは私たちの住むこの世界である。途中途中、ウィキペディアなどで世界史のおさらいをしながら読み進めた(アヘン戦争、上海租界、日

    0
    2026年02月07日
  • わたしたちが孤児だったころ

    Posted by ブクログ

    冒頭は1930年代で主人公クリストファー・バンクスは20代なかば。ロンドンで、子供の頃からの夢だった探偵として認められつつある。
    クリストファーは子供時代を上海の租界(外国人居留地)で過ごした。父親はイギリス貿易会社の社員で、母は上海の人々がイギリスが売りつける阿片で苦しんでいることを許せずにいる。そして自分たちの不自由のない生活には中国人たちを阿片付にしていることで父を責める。
    クリストファーの一番の友達は日本人一家のアキラだった。二人とも異国で暮らしているのだが、自分の国は上海だと思っている。子供なりに人生を見つめる独自の理論や哲学、自分を保つための嘘もある。
    だがクリストファーの父が、次

    0
    2026年02月01日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    悲しい終わり方。クララに感情移入してしまった。そこは筆者の力技ともいうべきか。映画A.I.に近い筋立てだが、こちらは、人間の心の核というものを掘り下げている。登場人物は、現代と変わらない心の浮き沈みがあり、そこの描写も面白い。

    0
    2026年01月23日
  • わたしたちが孤児だったころ

    Posted by ブクログ

    なんだろ、ファンタジーを歩いているようなふわふわした感覚がありながら、後に残る感情は妙に生々しいものがある、という感じだった。
    すべてはパフィンの夢だったのではないかとも思えるような子供じみた奇妙な展開がところどころにあるが、読み終えてみると、実は全てこうなることは最初からクリストファー自身が分かっていたかのような感覚を受けた。そのアンバランスさがこの時代背景や孤児ということをより際立たせているように感じた。少しミステリーぽい要素もあり、スラスラと読めた。

    0
    2026年01月16日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    カズオ・イシグロさんの『クララとお日様』を読みました。

    物語は、AF(人工親友)であるクララの視点で語られます。
    最初は聞き慣れない用語が多く出てきて少し戸惑いますが、丁寧な筆致を読み進めるうちに、徐々にこの世界の輪郭が見えてきます。

    ハッキリとは描かれていませんが、科学技術が進歩しすぎたことで様々な分断が生まれている、そんな「ディストピア」な社会であることが想像できます。

    そんな厳しい世界の中で、常に人に寄り添い、優しくあろうとするクララ。人間よりも、信仰心を持ち続ける彼女の方が、よほど人間味を感じられる点がとても印象的でした。最後にクララが見出した、「人間を人間たらしめるものは何か?

    0
    2026年01月17日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

    Posted by ブクログ

    ノーベル文学賞を受賞したカズオイシグロ氏のデビュー作とのことです。
    今イギリスで生活している女性の人生について、戦後の長崎で生活していた時の記憶を交えて描かれています。

    「遠い山なみの光」というタイトルは、主人公の女性の記憶にある戦後まもない長崎の風景と当時の将来への希望を表したものであると思います。

    ストーリーですが、主人公の悦子はかつて戦後まもなくの長崎に夫と二人で生活していて、初めての子供を妊娠して幸せに暮らしていました。女の子を出産後、理由は描かれていませんが当時の夫とは別れ、二人目のイギリス人の夫と共に娘(景子)を連れてイギリスに渡り、現在はイギリスの田舎で生活しています。

    0
    2026年01月13日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    最終章でのAFロボット・クララの考察、人間が人間たらしめているものとはの一節で大号泣。好奇心と観察眼が人一倍強い彼女だから、気がつけた心理。
    それを語ったのはロボット達の終着地である、あの場所だなんて…。
    懸命に祈りを捧げる彼女の姿は、もはやロボットを超えた別の生命体。もし物語が続くのならば、彼女の幸せを願わずにはいられない。

    0
    2026年01月03日
  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    カズオ イシグロの短編集。男と女の惹かれ合う思いや言葉、外国のその地での情緒の他に、何よりも流れ出てくるメロディーの調べが心地よい。そしてくるりと笑ってしまう展開。これまで読んできたイシグロ氏の著作の中でこんなに面白みのある本、あったでしょうか。映像化されたら、どれもこれもまた違った楽しいものになるでしょうね。

    0
    2025年12月13日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    万里子に繰り返し「なんでそんなもの持ってるの」と言われる、あの綱。
    あれは景子の首に掛かるものだったのか。
    佐知子の記憶が現在の心境によって揺らがされていることに気づいてハッとさせられた。

    0
    2025年12月06日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    カズオイシグロは、前にも日の名残り、私を離さないでを読んだことがあり、
    今回映画化されたことを受けて興味をもって読んだ。
    流れ、雰囲気は日の名残りに近い。
    途中途中のエピソードが何に繋がるのか、なんでそのようなことを思い出すのか、最後に少しわかる。

    相変わらずの読後感に圧倒されたが、今回一番圧倒されたのは、意外にも巻末の三宅香帆さんの書評だった。
    書評に解説が書いてあり、人によってはつまらなく感じるかもしれないが、自分は三宅さんの書評を読んでこの本の理解と読後感を深めることができた。

    人は誰しも人には言えないことを抱えて生きる。
    そして、テクニック的には書かれていないことを想像して読むのが

    0
    2025年11月19日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

    Posted by ブクログ

    深い。
    これは秘密にしたい後悔という「亡霊」の物語である。
    それは足元にからまった縄のように、私たちに気もつかぬうちに絡まりついている。

    0
    2025年10月18日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    「わたしを離さないで」について

    ノーベル賞作家のカズオ・イシグロが端正な筆致で綴る、ある女性の人生の物語。

    提供者を慰める介護人の職に長くついていた女性。彼女が職を辞めるにあたり、自分のこれまでの人生、特に生まれ育ったヘールシャムで仲間と過ごした日々を回顧する。

    提供者、介護人など説明なく出てくる言葉の意味が、女性の回想から次第に明らかになってくるにつれ、世界の残酷な姿が浮かび上がってくる。
    この世界の真実は、SF小説のファンならばすぐに見当がついてしまうだろう。

    読みどころは、むしろ小説としての巧さ、人間描写の厚みの部分だ。大きな状況に翻弄される主人公たちが、小さな人間関係にすがる姿がなんとも哀しく映るのだ。

    #切ない

    0
    2025年08月29日
  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    老歌手からもうすでにいい。構成とキャラ設定、ストーリーの流れ、全部拍手喝采。行を追うのが止まらない。

    0
    2025年08月19日
  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    翻訳ものは誰が翻訳したかによっても評価が分かれると思いますが、とても読みやすかったです。訳されることを前提に書いていると知った時は驚きました。
    音楽をテーマに5つの短編が収録されていますが、一つ一つ異なるテイストで楽しく、すぐに世界に引き込まれました。
    余韻のある読後感も心地よい一冊だと思います。

    0
    2025年08月10日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    物語はキャシーの回想
    何者として生まれたのか 保護官 提供者といった聞きなれないワードが並ぶ中…人と同じように成長する人生が端正な語りで描かれてゆく

    まず第一印象は静かな長編だった。思い出の美しさ昔の宝物の箱を覗いたようなイメージが、そして物語の世界観の異様さ、これは読中も読後ももどう受け入れるべきか…倫理的問題があったと思う
    物語序盤で少なからず読者は気づくのでネタバレではないと思うがクローン人間の世界ということ。しかし普通に教養をうけ青春も、何者なのかを明かされた時 息が止まってしまった。生徒たちは抗うことなく静かに飲み込んでゆく、自分だったら狂ってしまうのに静かに受け入れた彼らをどう思

    0
    2026年06月27日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    3年前に一度読んだが、原書を読み始めたのでこちらも再読。
    読んでいる間一瞬も気の抜けない小説(既に内容を知っているからかもしれないが)。キャシーが回顧するヘールシャムの日々は、管理が行き届き、大人に守られた、温かくかけがえのないものとして語られる。その一方で読者は「展示会」や「提供」の描写から作品世界の核心に近づくにつれ、胸騒ぎを感じるようになるだろう。キャシーとルース、トミーの関係性の揺れ動きもまた本作のコアであり、些細な(些細でないこともある)出来事で仲違いと仲直りを繰り返す様子が切実に描かれている。根底に深い悲しみが流れる作品だが、キャシーが自分の境遇を嘆いて自棄になる人間ではないことが

    0
    2026年05月06日
  • 浮世の画家〔新版〕

    Posted by ブクログ

     時代の空気感がよくわかる。戦中の正義は戦後の悪となり、個人が信じたものも否定されてしまう。それでも家族を思う気持ちは大切だと思った

    0
    2025年03月29日
  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    5篇の短編からなる。
    「夜想曲」などに出てくるリンディーガードナーはカズオ・イシグロのお気に入りキャラだろう。
    天真爛漫なセレブに売り回されるミュージシャンたち。
    5篇の短編はすべて音楽に関係のあるストーリーで、切なく、ときにクスッと笑える要素を含む。

    0
    2025年02月02日