浮世の画家〔新版〕

浮世の画家〔新版〕

戦時中、日本精神を鼓舞する作風で名をなした画家の小野。多くの弟子に囲まれ、大いに尊敬を集める地位にあったが、終戦を迎えたとたん周囲の目は冷たくなった。弟子や義理の息子からはそしりを受け、末娘の縁談は進まない。小野は引退し、屋敷に籠りがちに……。著者による序文を収録した新版。

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浮世の画家〔新版〕 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2019年08月23日

    再読
    カズオイシグロの一人称で語られる第二作目の長編小説。謎解きのよう。
    主人公は忘れることと記憶することの間で生きている。
    人間の記憶というのは矛盾してるものなのだなー。

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    Posted by ブクログ 2019年07月28日

    2回目。いつも素晴らしい小説をありがとう。

    初めて日の名残りを読んだ時はたまげたけど、テーマほんとうにそっくり。
    日の名残りの方が華やかさと鮮やかな色彩感があって好きだけど、地味で淡々としていて暗いこちらも良い小説。
    主人公のやるせなさや辛さも、周囲の気まずさや不満も、どちらも手に取るようにわかる...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2024年04月14日

    戦後を舞台に、戦前、戦中に画家として活躍した小野が自身の過去を語る回顧録形式の小説。
    日本を破滅へと導いた軍国主義を是とし、その信念をもって数々の絵画を発表。
    当時大いに受け入れられ賞賛された価値観は、敗戦後には唾棄すべきものとして扱われる。

    新しい価値観を理解し、それを認め、受容すること。
    それ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2024年02月01日

    あなたのやったことは間違いだ、と言われるのは腹が立ちます。間違いか間違いではないかの前に、自分以外の誰かに言われることに、まず腹が立つだろうと思います。なぜなら、間違いかどうかを決めるには「これが正解」という基準が必要ですが、その正解はどこから来るのかが人によって違うはずだからです。私が行った「何か...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年03月06日

    戦争前後の人間関係を回想を交えて語る一人称小説です。これまで築き上げた自分と時代や価値観の変化にどう折り合いをつけていくか苦悩する様子が本人目線で綴られています。

    主人公の記憶や印象に基づいた真実が事実であるとは限らない曖昧さに翻弄されました。過去の出来事が徐々に明らかになるにつれて、「自分が捉え...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年02月12日

    以前「記憶というものは思い出すたびに書き換えられている」と読んだ。終戦により今まで是とされてきたことが悉く覆される中、様々な記憶があやふやになり、自分のアイデンティティもあやふやになりかける主人公。
    戦時中にいわゆる大人であった人は自分自身の崩壊とその再構築に苦労しただろうと想像した。

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    Posted by ブクログ 2022年12月09日

    第二次大戦前から画家として活躍してきた小野が、うまくいかない娘の縁談や周囲の態度から過去を回想していく。師匠の耽美主義を離れて精神主義に傾き、戦時のプロパガンダに加担し評価され、自信を深めるが、価値観が一変した戦後の日本社会で、そのアイデンティティをどう扱ったらいいか迷い悩む。
    語りの中で、小野が自...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年12月31日

    数冊読んだイシグロ作品の中で一番好きだなあ。小津安二郎の世界に、ほんのちょっと社会派的要素を垂らしたような感じが良かった。ためらい橋とか、名前もなんかすてきだった。訳が良かったのもあるのかな。

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    Posted by ブクログ 2021年05月19日

    これを30歳そこそこで書いたのか!とまずそこに驚く。たしかに日本人ぽくない言い回しや思考回路、やりとりはあちこちに見られる。特に、一郎。理路整然と喋りすぎ。けれど、主人公である小野は明治生まれの鼻もちならないじいさん。そんな作者自身からかけ離れた人間の自分語りを、その年齢でこのレベルの作品に仕上げる...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年11月03日

    過去の過ちを認めたことと、マダム川上のバーがオフィスへと変わったときのタイミングが重なるのは、本作を象徴的に表している。現実と対峙するには、浮世(マダム川上のバー)から離れなくてはならない。

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