浮世の画家〔新版〕

浮世の画家〔新版〕

戦時中、日本精神を鼓舞する作風で名をなした画家の小野。多くの弟子に囲まれ、大いに尊敬を集める地位にあったが、終戦を迎えたとたん周囲の目は冷たくなった。弟子や義理の息子からはそしりを受け、末娘の縁談は進まない。小野は引退し、屋敷に籠りがちに……。著者による序文を収録した新版。

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浮世の画家〔新版〕 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     時代の空気感がよくわかる。戦中の正義は戦後の悪となり、個人が信じたものも否定されてしまう。それでも家族を思う気持ちは大切だと思った

    0
    2025年03月29日

    Posted by ブクログ

    2回目。いつも素晴らしい小説をありがとう。

    初めて日の名残りを読んだ時はたまげたけど、テーマほんとうにそっくり。
    日の名残りの方が華やかさと鮮やかな色彩感があって好きだけど、地味で淡々としていて暗いこちらも良い小説。
    主人公のやるせなさや辛さも、周囲の気まずさや不満も、どちらも手に取るようにわかる

    0
    2019年07月28日

    Posted by ブクログ

    引退した心穏やかな画家の、内面に潜む葛藤を深く鋭く描いている。
    前作『遠い山なみの光』と同じく、地域や世代による認識の狭間で揺れる主人公だ。だがこの作品ではそれがより洗練されている。
    これをさらにキレイに纏め、舞台をイギリスに移したものが次作の『日の名残り』と言えそうだ。

    次の世代の方々との考え方

    0
    2025年06月07日

    Posted by ブクログ

    主人公の思い出した通りに(時間軸が飛び飛びに)話が進んでいくので、少々読みづらく感じることもあったが、挫折することなく読み終えることができて良かった。次はメモをとりながら読み返そうと思った。
    本の内容とは全く関係ないが、この本を読み終わってから「無言館」に行った時に、絵で成功し、立場(階級、地位)を

    0
    2025年06月06日

    Posted by ブクログ

    カズオ・イシグロの第二作。戦後日本を舞台としていること、一人称の回想の語りによる作品であることは前作『遠い山なみの光』と同様。登場人物同士の視点や価値観のズレが読者に異和を感じさせながら展開していくことも共通しているが、大きく異なるのは『遠い山なみの光』におけるズレは未来に対する視点の違いにあったの

    0
    2025年02月07日

    Posted by ブクログ

    時代の流れの中で、持て囃されたり、批判されたりするものは一変する。戦前戦後は特に激変する中、迎合したり、反省して死すら選ぶ人も描かれている中、自分の信念を貫いたと信じ切ることの悲哀が、回りくどい会話や微妙な人との邂逅によってぼんやりと浮かび上がってくる。変化し続けることが重要、という無意識に根ざされ

    0
    2024年10月13日

    Posted by ブクログ

    戦後を舞台に、戦前、戦中に画家として活躍した小野が自身の過去を語る回顧録形式の小説。
    日本を破滅へと導いた軍国主義を是とし、その信念をもって数々の絵画を発表。
    当時大いに受け入れられ賞賛された価値観は、敗戦後には唾棄すべきものとして扱われる。

    新しい価値観を理解し、それを認め、受容すること。
    それ

    0
    2024年04月14日

    Posted by ブクログ

    あなたのやったことは間違いだ、と言われるのは腹が立ちます。間違いか間違いではないかの前に、自分以外の誰かに言われることに、まず腹が立つだろうと思います。なぜなら、間違いかどうかを決めるには「これが正解」という基準が必要ですが、その正解はどこから来るのかが人によって違うはずだからです。私が行った「何か

    0
    2024年02月01日

    Posted by ブクログ

    戦争前後の人間関係を回想を交えて語る一人称小説です。これまで築き上げた自分と時代や価値観の変化にどう折り合いをつけていくか苦悩する様子が本人目線で綴られています。

    主人公の記憶や印象に基づいた真実が事実であるとは限らない曖昧さに翻弄されました。過去の出来事が徐々に明らかになるにつれて、「自分が捉え

    0
    2023年03月06日

    Posted by ブクログ

    以前「記憶というものは思い出すたびに書き換えられている」と読んだ。終戦により今まで是とされてきたことが悉く覆される中、様々な記憶があやふやになり、自分のアイデンティティもあやふやになりかける主人公。
    戦時中にいわゆる大人であった人は自分自身の崩壊とその再構築に苦労しただろうと想像した。

    0
    2023年02月12日

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