カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • わたしたちが孤児だったころ

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    何でもない生活の描写や子供の頃の思い出話で惹きつける流石の筆力。でも回想が幾重にも重なり時系列が迷路のようで読みにくい。流れに身を任せて読み進めると段々と情景が浮かび上がる。長くも感じるが、最後の怒涛の展開は止まらない面白さなので耐えて読み切りたい。

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    2023年09月28日
  • 夜想曲集

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    4冊目のカズオ・イシグロの作品である。
    カメレオンのように作風を変えられる、“ひとり映画配給会社”と私は彼を呼んでいる。
    そのイシグロは、実は音楽にも精通していて、シンガーソングライターを目指していたこともあったとか。そんなところから生まれているのがこの短編集で、5篇をひとつとして味わうように求められており、すべてミュージシャン(もしくは音楽愛好家)を題材としている。
    今まで読んだ中で、最も読みやすい、ムード漂う作品集である。ドラマ性や落ちはなく、人生の一瞬を描く趣向となっている。長編小説とは全く異なる素顔のイシグロの感性が垣間見られた。
    主人公は皆、才能はあるが認められておらず、たゆたゆと人

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    2023年08月20日
  • 忘れられた巨人

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    記憶がなくなる、ということは、嬉しいことや悲しいこと、怒り、憎しみなどの全ての感情を忘れていくこなのだ、と感じた。
    忘れるということは、ある意味幸せなことなんだろうな。

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    2023年07月14日
  • 日の名残り

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    まず読み終わって感じたことは、読みやすかったと言うこと。外国の翻訳された本が苦手な私でも楽に読めた。日本の本でも同じなのだが、その国の人ならある程度分かる事でも、他国の人には分かり難い事がある。その国の歴史、文化、地理的な事とか。例え注釈があっても、その注釈を見ながら読むと話の流れが途切れ途切れになり話に入り込めない。この点、この小説は分からない事は分からないなりに読んでいっても話に入り込めた。これは作者、翻訳者の力量もさることながら、この小説が「昔ながらの品格ある執事」の1人称の語りという形をとっているからだろうと思う。この語りで、話の内容も雰囲気も分かりやすくなっていると思う。「昔からの由

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    2026年03月19日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    『クララとお日さま』読んだ後、カズオ・イシグロの積読あったよなと取り出して読んだ一冊。イシグロの祖父が上海で働いていて、その縁もあって上海を舞台の小説を書いているよって教えられて買ったもの。
    ホントは、純粋にミステリー小説としても読めるんだろうけど、話に出てくる上海の租界の様子を想像しながら読み進めた。そうなんだよね。日中戦争の時、上海の市街も戦場になったんだよね。
    途中で出てくるキャセイホテルは今の和平飯店。ここも聖地巡礼しておかないと。
    最後、親子愛が隠れたテーマなんだなと気づき、ちょっとほろっとした。

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    2023年03月16日
  • 浮世の画家〔新版〕

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    戦争前後の人間関係を回想を交えて語る一人称小説です。これまで築き上げた自分と時代や価値観の変化にどう折り合いをつけていくか苦悩する様子が本人目線で綴られています。

    主人公の記憶や印象に基づいた真実が事実であるとは限らない曖昧さに翻弄されました。過去の出来事が徐々に明らかになるにつれて、「自分が捉える自分」と「他人から見た自分」の乖離も露わになり、痛みを感じました。

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    2023年03月06日
  • 浮世の画家〔新版〕

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    第二次大戦前から画家として活躍してきた小野が、うまくいかない娘の縁談や周囲の態度から過去を回想していく。師匠の耽美主義を離れて精神主義に傾き、戦時のプロパガンダに加担し評価され、自信を深めるが、価値観が一変した戦後の日本社会で、そのアイデンティティをどう扱ったらいいか迷い悩む。
    語りの中で、小野が自分の記憶の曖昧さを何度も確かめるように表現している。話の筋そのものにはあまり関係しないが、読み手としてなぜかそこにひっかかりを感じてひきこまれる。
    人が過去を振り返るときの記憶の曖昧さこそが、人間らしさであり、だからこそ生きていけるのかもと思わせる。ここに焦点を当てる語りが、著者の技の一つかもしれな

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    2022年12月09日
  • 夜想曲集

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    常に音楽が流れている短編集。
    冷めきった関係を復元しようとする老歌手や、メジャーデビューのために整形手術を受けるミュージシャンとか、設定が微妙に現実離れしているところに面白さがあって、すぐ読めてしまいます。
    面白くて品のある短編集です。

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    2022年12月02日
  • 浮世の画家〔新版〕

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    ネタバレ

    少しばかり自意識過剰な画家が、思い出を振り返りながら、戦前戦後で浮き流れる世の中を生きる話。
    日の名残りに少し似ているかな?と思ったが、あちらの方がカタルシスを強く感じた。
    レポート書き終えたら、英訳でまた読み直そうかな。

    覚悟と信念を持って行動すれば、成否に関わらず清々しい気分になると、彼らは自らの人生の妥協点を見出した。

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    2022年11月05日
  • 夜想曲集

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    副題は「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」。

    全盛期を過ぎた歌手が再起を目指して愛する妻と別れようとする「老歌手」。

    音楽の趣味でつながった大学時代の友人夫妻との、今となっては埋めようもない価値観の溝をコミカルに描く「降っても晴れても」。

    メジャーデビューに目指し作曲にいそしむ主人公が旅回りの音楽家の夫妻とのわずかな交流の中に、人生のままならなさを感じる「モーバンヒルズ」。

    「夜想曲」は、「老歌手」で出てきたリンディが再び登場する。
    風采の上がらないサックス奏者が整形手術を受けさせられ、術後を過ごすホテルの隣室に彼女がいる。
    二人とも顔を包帯でぐるぐる巻きにされている中で、退屈しのぎに深

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    2022年09月23日
  • 充たされざる者

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    最後のなにも解決してないのに知らない下層階級の人に泣きついて朝食を食べるラストが気持ち悪すぎて変な夢を見た。
    でも読んだ本に左右されて眠れなくなるほど心に色が付いていない部分があったんだと知って嬉しくなる。ずっと子どものまま小さいものも大きく感じたい。

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    2022年07月27日
  • 夜想曲集

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    チェロの師匠の話が衝撃で面白かった。

    船と歌のシーンは、ロマンティックなムードの情景が頭に浮かび、印象に残っている。
    素敵だった。

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    2022年06月02日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    タイトルは魅力的なのに、裏表紙のあらすじ紹介がイマイチ気に食わなくて手に取らずに来たものの、食わず嫌いもよろしくないと思い手に取った一冊。
    あらすじ紹介より面白いです。
    「冒険譚」なんて紹介されているけれど、どちらかというと主人公が不条理さに巻き込まれていきながら、最後は何とか抜け出して戻ってくる、というほうがよいかと。
    とにもかくにも、予想より面白かった一冊です。

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    2022年05月16日
  • 充たされざる者

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    「充たされざる者」(カズオ・イシグロ : 古賀林 幸 訳)を読んだ。
    読んでいる間中〈混乱〉か〈苛立〉もしくは〈混乱と苛立〉に支配される。
    『ライダー』は泥濘んだ方泥濘んだ方へと足を踏み出さざるを得ない状況に落ちていく。
    カズオ・イシグロ氏は読み手の辛抱強さを試しているみたいだ。(笑)
    過去に一度挫折した作品だが、今回は腰を据えてじっくりと向き合った。
    最後の最後に救済が待っていた。

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    2022年02月28日
  • 忘れられた巨人

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    最初のページから、いきなり6〜7世紀のブリテン島にタイムスリップしたような感覚を覚え、物語の中に知らず知らず惹き込まれていく。カズオ・イシグロが一流のストーリー・テラーであることをあたらめて実感させられた。

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    2022年01月23日
  • 忘れられた巨人

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    作中にでてくる「霧」のように 物語も文も霧に包まれたような 不思議…というかボンヤリと進んでいく感じ.
    グイグイ読み進めるというよりは ん?? んん??と思いながら毎日少しずつ読み進めました.
    読む人によって大分印象が変わるだろうなぁ… 私は面白かったです.
    過去の記憶をとりもどしたアクセルは今後どうするんだろう??
    少年と戦士はこの後どうするんだろう??
    それは自分で考えてね.って事??
    読んでる途中もだけど 後からジワジワ色々考える内容でした.

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    2022年01月06日
  • 浮世の画家〔新版〕

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    数冊読んだイシグロ作品の中で一番好きだなあ。小津安二郎の世界に、ほんのちょっと社会派的要素を垂らしたような感じが良かった。ためらい橋とか、名前もなんかすてきだった。訳が良かったのもあるのかな。

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    2021年12月31日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    ネタバレ

    今回はロンドンと上海。
    大戦中の上海の様子が、生々しい。日本の侵略が書かれていると同時に、イギリスが犯したアヘン貿易についても書かれている。
    『わたしたちが孤児だったころWhen we were orphans 』のタイトルにある孤児とは、両親が行方不明になるまでの子供の頃までではなく、父の死と母に会うまでの時間も含まれているのではないだろうか。
    危険な地域に両親を探しに行くときは、中尉やアキラに止められても、語り手の頭を占めていたのは、戦争ではなく両親だった。
    カズオ•イシグロの作品には、何度も同じセリフがでてきたり、自分がされたことを結局は自分が他の人にすることになるという設定が多いように

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    2021年10月30日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    2017年ノーベル文学賞の受賞記念講演。
    今までの生活、文章を書き始めた時のこと、ターニングポイントや自分にとっての物語とはなどが、わかりやすい英語(日本語訳も)で表されている。
    左ページに英文、右ページに日本語訳が掲載されているので、英文を読みながら日本語も確認できてとても読みやすかった。

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    2021年10月27日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    10歳で孤児となった主人公が、大人になってから行方不明の父母を探す話。子供の頃の回想を挟んで、両親に関する真相が徐々に明るみになっていく。タイトルを見ると過去にフォーカスされた話かなと想像してしまうが、この作品はむしろ、過去と決別し新たな生き方を模索する主人公の姿が最終的に描かれている。長編でなかなか核心に迫らないもどかしさはあったが、イシグロの他の作品と比べると、リアリティー性が強く、話に入り込みやすかった。

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    2021年10月24日