カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • 日の名残り

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    途中まで、いや、6割読むまで!何が面白いんだろう。ここから何が起こるんだろうと考えながら読んでいましたが、最後まで何も起こりませんでした。

    ネタバレとなりますが、この、「信頼できない語り手」の無意識のバイアスを上手に表現していて、読後は、スティーブンへ思いを馳せ、作者の技巧に感嘆することになると思います。

    興味があれば!ぜひ!

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    2026年01月26日
  • クララとお日さま

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    悲しい終わり方。クララに感情移入してしまった。そこは筆者の力技ともいうべきか。映画A.I.に近い筋立てだが、こちらは、人間の心の核というものを掘り下げている。登場人物は、現代と変わらない心の浮き沈みがあり、そこの描写も面白い。

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    2026年01月23日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    希望が砕け散り、真実が明らかになっても絶望せず、平穏な日々を送り続けるトミーとキャシー。

    割と中盤で彼らはクローン人間で、臓器提供の為に作られたと明かされる。が、臓器提供の為に死ぬっておかしくね?ってなるはずなのにそのまま物語が進んでいくのが少し怖いまであった。

    君たちはどれだけ恵まれた人間かを説くエミリが印象に残る。諦念を避けるために全てを教えないという意見は筋が通っているが冷酷で、むしろそっちの方がルーシー先生の意見よりも理論的ではと思った。

    仲間の死を見届ける役割までもクローンにやらせるという自己完結性は彼らの制限された世界を象徴していると思う。(オリジナルによる良心の呵責や罪悪感

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    2026年01月20日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    なんだろ、ファンタジーを歩いているようなふわふわした感覚がありながら、後に残る感情は妙に生々しいものがある、という感じだった。
    すべてはパフィンの夢だったのではないかとも思えるような子供じみた奇妙な展開がところどころにあるが、読み終えてみると、実は全てこうなることは最初からクリストファー自身が分かっていたかのような感覚を受けた。そのアンバランスさがこの時代背景や孤児ということをより際立たせているように感じた。少しミステリーぽい要素もあり、スラスラと読めた。

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    2026年01月16日
  • クララとお日さま

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    カズオ・イシグロさんの『クララとお日様』を読みました。

    物語は、AF(人工親友)であるクララの視点で語られます。
    最初は聞き慣れない用語が多く出てきて少し戸惑いますが、丁寧な筆致を読み進めるうちに、徐々にこの世界の輪郭が見えてきます。

    ハッキリとは描かれていませんが、科学技術が進歩しすぎたことで様々な分断が生まれている、そんな「ディストピア」な社会であることが想像できます。

    そんな厳しい世界の中で、常に人に寄り添い、優しくあろうとするクララ。人間よりも、信仰心を持ち続ける彼女の方が、よほど人間味を感じられる点がとても印象的でした。最後にクララが見出した、「人間を人間たらしめるものは何か?

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    2026年01月17日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ノーベル文学賞を受賞したカズオイシグロ氏のデビュー作とのことです。
    今イギリスで生活している女性の人生について、戦後の長崎で生活していた時の記憶を交えて描かれています。

    「遠い山なみの光」というタイトルは、主人公の女性の記憶にある戦後まもない長崎の風景と当時の将来への希望を表したものであると思います。

    ストーリーですが、主人公の悦子はかつて戦後まもなくの長崎に夫と二人で生活していて、初めての子供を妊娠して幸せに暮らしていました。女の子を出産後、理由は描かれていませんが当時の夫とは別れ、二人目のイギリス人の夫と共に娘(景子)を連れてイギリスに渡り、現在はイギリスの田舎で生活しています。

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    2026年01月13日
  • 日の名残り

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    品格とは何かを問う素晴らしい小説。

    主人公のスティーブンスは偉大なる執事として、感情を排した献身こそが品格であると信じ生きてきた。
    しかし、幾つかの出来事が示す様に、その信念によって自らの人生を縛り、結果として取り返しのつかない後悔を生んでいった。

    では彼は自らの心に誠実でなかったから、品格がなかったのか?そうは思えない。

    もしここで彼が過去を否定し、失敗を他人のせいにし、感情を受け入れていなければ品格のない人間に成り下がっていたのかもしれない。
    しかし、彼は旅の中で、自らの後悔を受け入れ、人生を投げ出さず、執事として生き続けることを選んだ。

    自らが生きてきた人生に向き合い、後悔を受け

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    2026年01月11日
  • 日の名残り

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     訳者が相当に技量のある人なのだと思う。特に感嘆詞などは、一体これに該当する英語は何になるのだろうと想像しても全く思い浮かばないが、不自然に思う瞬間や違和感を感じる瞬間は全くなかった。物語を楽しめた。
     一方、訳者の技量に頼らず生の英語によってダイレクトに本書を読みたいという気持ちも芽生えた。日本語でこんなに心地よく読めたなら、英語ならどれだけ素晴らしいか、、。
    次は英語で読むべきだろう。

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    2026年01月05日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    前情報が「信用できない語り手」しか無く、この言葉を理解できていなかったため、変に期待して読み進めてしまったためあっさりとした読後感になった。

    この本は、というかカズオイシグロというかキャシーは(トミー〜ヘームシャル含め)記憶をテーマにしていて、p426に一度だけ「これをお読みの方も」と出てくる。これは、私が途中から感じていたこの回想は誰に向けての語りだろうというものの終着点であると感じた。つまりキャシーに、ヘームシャルのことを、読者である私たちが教えてもらう体験型小説のような感覚のため、没入して読めたのかもしれない。

    回想形式で進められて行くためたった1人の語り手であることに気付いてからそ

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    2026年01月16日
  • クララとお日さま

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    最終章でのAFロボット・クララの考察、人間が人間たらしめているものとはの一節で大号泣。好奇心と観察眼が人一倍強い彼女だから、気がつけた心理。
    それを語ったのはロボット達の終着地である、あの場所だなんて…。
    懸命に祈りを捧げる彼女の姿は、もはやロボットを超えた別の生命体。もし物語が続くのならば、彼女の幸せを願わずにはいられない。

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    2026年01月03日
  • 日の名残り

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    『正しい人生』などというものがこの世にあるのだろうか?そんなことは誰にも分からない。
    それゆえに、人生を捧げて全力を尽くした「何か」が、今思えば間違っていたということもあるだろう。
    でも、それでいいのかもしれない。
    燦然と輝いた太陽が沈む頃、『日の名残』とも言うべき光もまた美しいものなのだ。

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    2025年12月30日
  • 日の名残り

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    執事という職業自体が私にとっては、外国文学の中でしか触れることのない職業で、執事がどんなものかは作品の中で想像するしかないが、このお話の主人公は第二次世界大戦前から大戦後までをイギリスの貴族のお屋敷で働いていた1人の執事。初めは、世界大戦中の、貴族や国の重要人物のお話だったら、もっと面白そうなのに、なんで、執事のお話なんだろう?と思って読んでいた。主人のダーリントン卿が出会う国の中枢の人物たちとの話が漏れ聞こえてきて、執事は、ダーリントン卿がいかに立派な考えを持っているかということを説明していく。でも、何せ、漏れ聞こえてくる情報だけしか私たちには知らされないから、なんだか、曖昧でもやがかかって

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    2025年12月21日
  • 日の名残り

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    福大病院図書室で借りる。久々感動の本。何がよいのか?スッと言葉が出ない。が、読みながら残りページ(紙の厚さ)が少なくなっていくのが残念になるという初めての経験をした。まだ終わってほしくない、まだ読み続けたいと。主人公が「品格」にとてもこだわりがあり自分も「品格」ある行動をせねばと思うようになった。

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    2025年12月18日
  • 日の名残り

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     途中までよくわからなかったが、最後の方になってどういう話だったのかわかる気がした。
     スティーブンスが首相、外相、駐英ドイツ大使リッベントロップの会談をうまく凌いで幸福感を感じるが、その20年後に分かった女中頭の自分への恋慕の情がそれをふいにしてしまった。スティーブンスは鈍感すぎた。僕も読んでる最中全く気が付かなかったから鈍感なのかなと思った(笑)
     解説を読んで分かった気になったが、自分でわからなかったのが悔しい。また読みたい。

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    2025年12月17日
  • 夜想曲集

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    カズオ イシグロの短編集。男と女の惹かれ合う思いや言葉、外国のその地での情緒の他に、何よりも流れ出てくるメロディーの調べが心地よい。そしてくるりと笑ってしまう展開。これまで読んできたイシグロ氏の著作の中でこんなに面白みのある本、あったでしょうか。映像化されたら、どれもこれもまた違った楽しいものになるでしょうね。

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    2025年12月13日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ネタバレ

    万里子に繰り返し「なんでそんなもの持ってるの」と言われる、あの綱。
    あれは景子の首に掛かるものだったのか。
    佐知子の記憶が現在の心境によって揺らがされていることに気づいてハッとさせられた。

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    2025年12月06日
  • クララとお日さま

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    クララに癒されながら、同時に不穏な世界観も楽しめた。
    この本はChat GPTに選書して貰ったので余計に感慨深い……クララと比べるとバカだけど選書センスが最高!

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    2025年11月25日
  • 日の名残り

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    カズオイシグロは難解だ、
    訳文だからか私の読解力不足だからか読みづらい、
    映画にもなってるそうなのでイージーそうなそっちから読めばよかったか?
    なんて逡巡を口笛で飛ばす読後感です。
    氷河期世代で仕事人間たる私には、重みが残りました。
    仕事を選んできた人生に後悔はないか?と問われるとイエスと即答できない。
    同じように仕事を選んできたあの人にも、読んで欲しい。

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    2025年11月23日
  • クララとお日さま

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    AFの存在が、こんなに大きくなる世界は、そう遠くないと感じる。
    身体性を持つことができるか?
    身体性が必要なのか? はわからない。

    自分(AF)の中で、正義を確立することができるのかは、ちょっと怖いとも思える。

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    2025年11月22日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ネタバレ

    カズオイシグロは、前にも日の名残り、私を離さないでを読んだことがあり、
    今回映画化されたことを受けて興味をもって読んだ。
    流れ、雰囲気は日の名残りに近い。
    途中途中のエピソードが何に繋がるのか、なんでそのようなことを思い出すのか、最後に少しわかる。

    相変わらずの読後感に圧倒されたが、今回一番圧倒されたのは、意外にも巻末の三宅香帆さんの書評だった。
    書評に解説が書いてあり、人によってはつまらなく感じるかもしれないが、自分は三宅さんの書評を読んでこの本の理解と読後感を深めることができた。

    人は誰しも人には言えないことを抱えて生きる。
    そして、テクニック的には書かれていないことを想像して読むのが

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    2025年11月19日