カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    無駄な装飾が無く淡々と進むのに、惹きつけられ深みのある文章だった。ある意味近代的なテーマなのに古典のような安定感がある。
    また幼少期から思春期を超え、大人になるまでの登場人物の絶妙な関係性の揺らぎがものすごいバランス感覚で描かれていて、ノーベル賞作家の格の違いを感じた。

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    2026年01月04日
  • クララとお日さま

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    最終章でのAFロボット・クララの考察、人間が人間たらしめているものとはの一節で大号泣。好奇心と観察眼が人一倍強い彼女だから、気がつけた心理。
    それを語ったのはロボット達の終着地である、あの場所だなんて…。
    懸命に祈りを捧げる彼女の姿は、もはやロボットを超えた別の生命体。もし物語が続くのならば、彼女の幸せを願わずにはいられない。

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    2026年01月03日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    話の中で出てくる主人公の友達に対する複雑な感情は共感できるものもあり、共感できなくても何故か懐かしい気持ちにさせられた。ハッピーエンドとは言えず、決まった運命どおりの最後を迎えることになる。最後キャシーは自分の人生をどのように振り返ったのか。後悔したのだろうか。キャシーは3人でいることの関係を強く重視していたと思う。だから自分のトミーに対する思いを封じてでも、3人でいることを選んだ。自分も含め、誰かが1人だけ除け者になることを嫌がっていた。最後のシーン。キャシーは1度だけ空想を許した。これはもっと早くトミーと一緒になりたかったという空想だったのではないだろうか。3人でいることを重視したことを後

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    2025年12月31日
  • 日の名残り

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    『正しい人生』などというものがこの世にあるのだろうか?そんなことは誰にも分からない。
    それゆえに、人生を捧げて全力を尽くした「何か」が、今思えば間違っていたということもあるだろう。
    でも、それでいいのかもしれない。
    燦然と輝いた太陽が沈む頃、『日の名残』とも言うべき光もまた美しいものなのだ。

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    2025年12月30日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    物語の設定、主人公たちが核心に迫る過程は勿論面白かったですが、何よりも、著者の表現力が素晴らしかったです。
    情緒あふれる表現はあまり多くなく、比較的簡単で丁寧な言葉のみで語り手が思っている事、感じている事がありありと伝わってきます。また、話題にする出来事が生き生きとしています。誰しもが持つ大切な記憶を覗いているようで、ノスタルジーを感じることができました。

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    2025年12月28日
  • 日の名残り

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    執事という職業自体が私にとっては、外国文学の中でしか触れることのない職業で、執事がどんなものかは作品の中で想像するしかないが、このお話の主人公は第二次世界大戦前から大戦後までをイギリスの貴族のお屋敷で働いていた1人の執事。初めは、世界大戦中の、貴族や国の重要人物のお話だったら、もっと面白そうなのに、なんで、執事のお話なんだろう?と思って読んでいた。主人のダーリントン卿が出会う国の中枢の人物たちとの話が漏れ聞こえてきて、執事は、ダーリントン卿がいかに立派な考えを持っているかということを説明していく。でも、何せ、漏れ聞こえてくる情報だけしか私たちには知らされないから、なんだか、曖昧でもやがかかって

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    2025年12月21日
  • 日の名残り

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    福大病院図書室で借りる。久々感動の本。何がよいのか?スッと言葉が出ない。が、読みながら残りページ(紙の厚さ)が少なくなっていくのが残念になるという初めての経験をした。まだ終わってほしくない、まだ読み続けたいと。主人公が「品格」にとてもこだわりがあり自分も「品格」ある行動をせねばと思うようになった。

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    2025年12月18日
  • 日の名残り

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     途中までよくわからなかったが、最後の方になってどういう話だったのかわかる気がした。
     スティーブンスが首相、外相、駐英ドイツ大使リッベントロップの会談をうまく凌いで幸福感を感じるが、その20年後に分かった女中頭の自分への恋慕の情がそれをふいにしてしまった。スティーブンスは鈍感すぎた。僕も読んでる最中全く気が付かなかったから鈍感なのかなと思った(笑)
     解説を読んで分かった気になったが、自分でわからなかったのが悔しい。また読みたい。

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    2025年12月17日
  • 夜想曲集

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    カズオ イシグロの短編集。男と女の惹かれ合う思いや言葉、外国のその地での情緒の他に、何よりも流れ出てくるメロディーの調べが心地よい。そしてくるりと笑ってしまう展開。これまで読んできたイシグロ氏の著作の中でこんなに面白みのある本、あったでしょうか。映像化されたら、どれもこれもまた違った楽しいものになるでしょうね。

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    2025年12月13日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ネタバレ

    万里子に繰り返し「なんでそんなもの持ってるの」と言われる、あの綱。
    あれは景子の首に掛かるものだったのか。
    佐知子の記憶が現在の心境によって揺らがされていることに気づいてハッとさせられた。

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    2025年12月06日
  • クララとお日さま

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    クララに癒されながら、同時に不穏な世界観も楽しめた。
    この本はChat GPTに選書して貰ったので余計に感慨深い……クララと比べるとバカだけど選書センスが最高!

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    2025年11月25日
  • 日の名残り

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    カズオイシグロは難解だ、
    訳文だからか私の読解力不足だからか読みづらい、
    映画にもなってるそうなのでイージーそうなそっちから読めばよかったか?
    なんて逡巡を口笛で飛ばす読後感です。
    氷河期世代で仕事人間たる私には、重みが残りました。
    仕事を選んできた人生に後悔はないか?と問われるとイエスと即答できない。
    同じように仕事を選んできたあの人にも、読んで欲しい。

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    2025年11月23日
  • クララとお日さま

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    AFの存在が、こんなに大きくなる世界は、そう遠くないと感じる。
    身体性を持つことができるか?
    身体性が必要なのか? はわからない。

    自分(AF)の中で、正義を確立することができるのかは、ちょっと怖いとも思える。

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    2025年11月22日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ネタバレ

    カズオイシグロは、前にも日の名残り、私を離さないでを読んだことがあり、
    今回映画化されたことを受けて興味をもって読んだ。
    流れ、雰囲気は日の名残りに近い。
    途中途中のエピソードが何に繋がるのか、なんでそのようなことを思い出すのか、最後に少しわかる。

    相変わらずの読後感に圧倒されたが、今回一番圧倒されたのは、意外にも巻末の三宅香帆さんの書評だった。
    書評に解説が書いてあり、人によってはつまらなく感じるかもしれないが、自分は三宅さんの書評を読んでこの本の理解と読後感を深めることができた。

    人は誰しも人には言えないことを抱えて生きる。
    そして、テクニック的には書かれていないことを想像して読むのが

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    2025年11月19日
  • 日の名残り

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    ネタバレ

     時代は第二次世界大戦の後,1950年代。
     執事スティーブンスは、現在はアメリカ人の主人に仕えているのだが、主人が帰省する間、かつて同僚だった女中頭に会いにいくことになった。かつてかれらは、有力貴族ダーリントン卿に仕えていた。物語は大半は、旅中で想起される戦前の出来事(1920〜30年代くらい)が中心となっている。
     ダーリントン卿は、政界にコネを持ち、その屋敷は幾度のなく国際政治上の密会の場となっていた。そして、スティーブンスは主人に心酔していた。彼は、ダーリントン卿がいかに偉いか、ということを何度も回想している。
     と同時に、そのように高らかに誇張されることによって、その陰にあった(が実

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    2025年11月06日
  • 日の名残り

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    こーれはすごい
    まるで実在する執事が滔々と自らの職業人生を語っているかのようで、ノンフィクションの自伝を読んでいるような錯覚に陥りそうになる
    確かな構成力に加えて生真面目な執事が時折見せる人間臭さや登場人物の会話など、ここまでのリアリティと緻密さをもって細部まで描き切る著者の筆致の力量に圧倒された

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    2025年11月02日
  • クララとお日さま

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    人間よりもいつしかクララに共感する。彼女と祈り、彼女の代わりに胸を痛めるうちに、共感を行動に移す力を自分こそが手放しかけていることに気づかされる。

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    2025年10月24日
  • クララとお日さま

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    AIが身近なロボットとして富裕層の家庭が手に入れられる時代があるならば、まさにこういう未来があるのではないかと非常にリアリティのある内容を、AI親友ロボットの一人称視点で語られる物語。
    今の世のAIが質問に何とか答えようとして情報を寄せ集め嘘をついてくることや、よく想像される人に取って代わるというような、興奮性の刺激となる流れでない。淡々と、静かに、しかし確かな川底に流れる熱さをもって、世や人間の美しさや不思議さ、愚かさ、差別、またAIのこころや信仰のような思考の波をとりあげていく。

    冒頭で、ショーウィンドウにいるAIロボットのクララが “コーヒーカップのご婦人とレインコートの老人” を見、

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    2025年10月21日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    深い。
    これは秘密にしたい後悔という「亡霊」の物語である。
    それは足元にからまった縄のように、私たちに気もつかぬうちに絡まりついている。

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    2025年10月18日
  • クララとお日さま

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    子供の良きAF(人工親友)になるべく開発された人型AIクララを語り手に、病弱な少女ジョジーとの出会いから別れまでが描かれる。

    クララは観察眼に優れ勉強熱心で優秀なAFだけど、人の心の機微には疎く淡々とした言動の描写からやはり人間とは違う存在なのだと改めて感じさせられる。観察と学習を繰り返した末に、人の心や感情は模倣できるのか。
    終盤、人間に作られた存在であるクララが文字通り自身を犠牲にして主人であるジョジーを救おうとする健気さに心打たれた。

    AIは人間の道具なのか、パートナーなのか。心とは、優しさとは。
    近い将来、こんな未来がくることもあり得るのだろうかと考えさせられる結末だった。
    機械が

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    2025年10月01日