カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • 日の名残り

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    ひたむきで有能な執事の残りの人生を失意の中に放り込まず、ユーモラスに締めくくってくれたイシグロに拍手。

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    2026年01月03日
  • クララとお日さま

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    カズオ・イシグロは好きで何冊も読んできたが、なぜか読んでいなかったクララとお日さま。ノーベル文学賞受賞でものすごい話題になってからの第一作目で、推しがとんでもなく有名になりすぎてなんだか距離が…みたいな感覚?

    ようやく文庫版を手に取る。読み始めたらもう一気に読んだ。相変わらず静謐でシンプルな素敵な文章。「私を離さないで」のような、読者に隠されたままの世界の秘密(今回はとうとう最後まですべては明かされなかった)。そして、人工知能ロボットという、人間の世界を学習中の、語り手として信頼をしきれない主人公クララ。読者は足元がぐらつき、視野が制限されたまま、クララの目を通して、クララの主であるジョジー

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    2025年12月28日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    確か『わたしを離さないで』を読んだ時にも感じたことなのだが、ずーっと感じる不安感、不穏な感じがここにもある。

    読んでいると次第に悦子が佐知子と重なってくる。
    そして、バサっと終わってしまう。

    池澤夏樹氏の解説がとてもいい。
    「人間は互いに了解可能だという前提から出発するのが哲学であり、人間はやはりわかりあえないという結論に向かうのが文学である。」
    「それでも、われわれは日本語でこれを読みながらでも、これがあくまでも英文学、むしろ英語文学の作品であることを忘れない方がいい。訳がいかに巧みで、会話が日本語としていかに滑らかに流れていても、登場するのがすべて日本人でも、これは日本文学ではない。」

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    2025年12月25日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    時代の移り変わりとそれが生む歪み。被害者というのは語感がやや強すぎるのだけれど、時代の流れに、パラダイム・シフトに晒され、翻弄された人々。その生き様。
    メッセージを読み取るのが難しい作品だったけど、解説を読むと色々なことがしっくりくる感じがした。

    佐知子と万里子、藤原さん、緒方さんという他人についての回想が全編を占めるにも関わらず、全ての要素が今の悦子に帰結していく点で、この物語の構成は爽快感すらある。イギリスへの移住と景子の自死、その詳細が語られることはほぼ無いのにも関わらず、回想とのシンクロ性が、悦子の人生に纏わり付く陰の輪郭をぐっと強めている。
    集団的なトラウマ、というのがこの小説の主

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    2025年12月21日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロさんの講演録です。
    興味深い内容でしたので、イシグロさんのルーツについてもっと知りたいと思いました。

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    2025年12月19日
  • 日の名残り

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    おじさんの虚無。

    読んでいる途中、激しい感情の起伏は起こらないけれど、執事さんの脳内トークの言い訳に味があって、だんだんと面白くなってくる。
    そして、しみじみとする。

    品とノスタルジアの小説。

    仕事ばかりしてプライベートを台無しにする日本のおじさんに(おばさんにも)お勧めする。

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    2025年12月19日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    クララはユア・フォルマの通常アミクスのようではなく、自律的に思考する感情のある存在だったので、あのラストにはうーんとなってしまった。そんなことある?
    ラストでクララが廃棄場にいる時に店長さんが話しかけてくるシーン、あれってこれから廃棄されるクララたちAFにまた会えて嬉しいってどうなの。普通感情移入しない? ジョジーも、本当の親友って言いながらこれから廃棄されるクララに手を振りますか?
    人と見分けのつかない形をしているのかはわからなかったけれど(登場人物たちがクララをAFだと迷いなく判断していたので割とメカっぽいのかも?)、今まで幼少期に寄り添ってくれた存在をここまでぞんざいに扱えるものだろうか

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    2025年12月03日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    読者として気になることや知りたいことにはっきりと触れることはないけど、ちゃんと所々から読み取れるようになってて、読後良いモヤモヤしか残らない加減がすごいなと思った。
    感情があるということと心があるということは別なのかな。
    クララには心がないのかも知らないけど、語り手がクララなのもあってすごく共感とか同情とか感じながら読み進めてた。
    クララが最後に言った、特別な何かはジョジーの中ではなくジョジーを愛する人々の中にある、というセリフが本質だと思う。

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    2025年11月22日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    映画を観て感動したので原作を購入しました。
    絵のラフを描く時、線をなんとなくでシャッシャと描くように読み、そのラフの中から真実という線画を完成させていくタイプの作品でした。私がラフ線から線画を描こうとしていると、物語から線を待たずに絵の具を塗られていて、「待って…置いていかないで」となりながらも線画を仕上げると絵が完成していた…というような感覚でしょうか。
    何度も読み返したくなる好み作品でした。同著者の別作品も読んでみたいと思います。

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    2025年11月05日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    カズオイシグロのデビュー作。
    娘が自殺した女性が、過去の長崎での日々を回想する物語。とても面白いのだが、ストーリー展開的な面白さというより、登場人物たちの会話や、主人公の感覚に違和感を感じて先が気になる、そんな読み方をしたように思う。
    読み終えたときに、佐和子は自分自身で、万里子は景子を投影してるのかなと感じたのだが、解説があったことでよりわかりやすくなった。解説を踏まえてもう一度読みたくなった。
    どうして今、自分はこの記憶を思い出すのか?そんな視点を持って読むと、わかりやすくなると思う。語られないストーリー、語られない思いが多くあるけれど、何を見るのか、読者に託された余白の部分がイメージとし

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    2025年11月03日
  • クララとお日さま

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    読んだ後になんとも言えない感情、余韻に浸らせてくれる。
    明記はしないけど、ところどころに物語のキーとなる事柄が散りばめられてて、結局それは最後まで明かされないものもある。
    読み手に考える余白を与えてくれて、読んだ後も余韻に浸れるのが良い。

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    2025年11月01日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ネタバレ

    カズオイシグロの信頼できない語り手はデビュー作から健在だった。信頼できなさでいったら今まで読んだ中でもトップ。
    結局彼女の回想やこの物語は何を言いたいのか、
    全てはぼんやりとしか見えないのだが、言葉にできない印象にあふれている。

    戦前の価値観を引きずる「緒方」、典型的な昭和の親父の「二郎」。彼らは悦子にとっていつのまにか足にからまる縄のような存在だったのだろうか。佐知子の行動は悦子のイギリス行きに影響したのだろうか。佐知子と万里子はその後どうなったのだろうか。悦子は日本を棄てたことを後悔しているのだろうか。

    新しい時代への希望、家父長制への怒り、敗戦国の人間のプライド、女性の自立、殺人

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    2025年10月23日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    映画を先に観た。映画では、佐知子と万里子は架空の人物、または悦子が作り出した幻想であったようなラストだった。原作では、ふわっとした終わり方だが、佐知子も万里子も実在の人物である。ただし、悦子の遠い記憶なので、自分と景子の記憶と混同しているかもしれない。過去の後悔を否定せず、忘れもせず、自分の中に受け入れて、薄明の中で生きていく。そんな悦子の姿が描かれていたように思う。

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    2025年10月17日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    『ミス・サイゴン』だと思った。戦後の痛みと、混乱のなか、世の中が「変化」していくことを嘆き、もがく旧世代の緒方さん(=悦子の義父)と、「停滞」する日本にいてはいけないと信じて、アメリカへ渡ろうとする佐知子。やがて同じように、離婚を経てイギリスに移民した、悦子。佐知子も悦子も、子どもを連れて越境する。本作において、ヒロインたちはとにかく自分を時代の前へ前へ、駒を進めようとする。子どもを巻き込んで。

    ミス・サイゴンでは、ヒロインのキムは我が子に未来を切り拓くため、自分の命を犠牲にして、我が子をアメリカに渡らせた。

    何が人を越境させるんだろう。海を渡った先に、約束された未来、少なくとも今よりもい

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    2025年10月15日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ネタバレ

    私の友達にもすずみたいな子がいたな..舐めてるのに都合よく甘えてくるんだよね..私の運命引いていった罰当たり、

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    2025年10月13日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    本書はカズオ イシグロのデビュー作で最近映画化もされ話題になった作品なので読んでみたいと思い手に取った。

     他の方のレビューにある通り難解だった。
    舞台は1980年代のイギリスで主人公悦子の元にある理由で娘のニキが帰省し、イギリス(現在)と戦後まもない長崎を回想しながら交互に物語は進んでいく。
    読み進めていくと違和感と?が満載で読み終わったあとも霞が懸かってうっすらしか先が見えない感じ。
    それもそのはず、具体的に語られていない部分があるので、解釈を読み手に委ねるタイプ。
    なので池澤さんや三宅さんの解説、映画も解釈の一つで正解はないということ。

    佐知子、万里子母娘の言動も謎や違和感ばかりで、

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    2025年09月28日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    著者のカズオ・イシグロさん、初読みです。長崎生まれでイギリス国籍の方です。ブッカー賞、ノーベル文学賞などを、受賞されています。この作品は初長編で、1982年に彼が英語で書いた小説を、小野寺健さんが翻訳された本です。

    私は映画を先に観たので、登場人物は俳優の顔が浮かび、情景も映像が浮かびながらの読書でした。疑問に思っていたことを知りたくて、この本を読みました。訳者のあとがきと、作家の池澤夏樹さんと文芸評論家の三宅香帆さんの解説に助けられて、ようやく理解できました。(と思っていましたが、色々な解釈があることをあとで教わりました。)

    小説は、悦子が長崎で過ごした過去と、イギリスで暮らす家に休暇で

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    2025年09月22日
  • クララとお日さま

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    読んでいる途中にいくつも疑問が浮かび、それらが後半で少しずつ明らかになっていきました。
    読み終わっても分からないところも複数あります。
    特に、雄牛がなぜあのように描写されたのか分からず気になっています…

    読み終わってしばらくしても心に残る作品。

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    2025年09月08日
  • 日の名残り

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    執事の回顧によるダウントン・アビー ダウントン・アビーに出てくるようなお屋敷に仕える執事の物語。最初の方は、堅くて面白くなさそうな文体だな、と思ってたけど、車での旅に出るとイギリスの自然や緑が広がる風景と執事の回顧から見えてくるお屋敷の豪奢な作りやその佇まいがとってもステキな情景として見えてくる。古き時代の輝かしい公爵、伯爵たちがいた頃の、まさにこれがイギリス!

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    2026年03月14日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    楽しい優しい思い出。ノスタルジア。
    どこまでが事実でどこからが想像か。
    クリストファーは上海の街を目隠し状態で動き回る。固く信じている事実は本当に事実なのか。

    全文は
    www.akapannotes.com

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    2025年08月06日