カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • 忘れられた巨人

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    読んでいくうちにこれは童話ではないか、と思うようになった。守り人と同じようなプロットである。挿絵がないだけで、漢字にルビを振れば子どもが読める本である。竜退治という最終目的とアーサー王の騎士が出てくるのでイギリスであるが、日本の子どもでも読める。

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    2022年05月05日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    購入済み

    淡々とした中にあるインパクト

    特殊な暮らしにおける日常の描写、心情が淡々と書かれているものの、ミステリーがちりばめられているよう不思議な小説でした。

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    2022年03月18日
  • 浮世の画家〔新版〕

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    ネタバレ

    名作「日の名残り」と同じように、自分なりのポリシーを持って難しい時代を生きた老人の回想という形をとっている。
    老人は戦時中に、愛国心を支えるような活動をしてきた画家。一時期は高い地位を得ていた(それも本人の記憶の中だけで、実際はどうだったのか、最後の方には現実と記憶の乖離も考えられるようになっているのが面白い)。
    戦後、新しい価値観が広がる世の中で、自分のしてきたことに対する誇りや反省、保身、様々な感情が入り乱れる。娘や義理の息子たちにどう思われているかも気になるし、威厳は保ちたいし…。
    「時代の変化」の中で、小さな一個人が翻弄される…というほど大げさな設定でもない(戦場に行くわけでもなく、戦

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    2021年08月07日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    カズオ・イシグロのノーベル賞受賞記念講演の日本語訳。
    毎日新聞のウェブサイトで英語・日本語訳の両方とも読めるので少し迷ったが、やはり、手元に置いておこうかなと。
    生い立ち、何に気をつけて小説を書いているか、今の時代とこれからの未来について思うこと、丁寧に語られています。
    I'll have to carry on and do the best I can.
    左ページは英語、右ページは日本語。赤いハードカバーの小さな素敵な本でした。

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    2021年06月04日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    日常がもっと好きになるような小説だった。その時代の空気感、時代感が伝わってきた。自分自身の理想の世界を作り上げるために生きていたっていいじゃないか。どんな現実にぶつかってもそれが自分の信念なら変える必要はないと、自分の人生観を考えさせてくれた作品だ。

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    2021年05月14日
  • 充たされざる者

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    とても風変わりな作品。私はこういうの好き。

    夢の中のように脈絡なく続くストーリー、歪んだ時間、辿り着かない目的地、見知らぬ知人達(矛盾してるけど"見知らぬ知人"が正しい表現だと思う。)
    永遠と続くワンカットシーンのような小説。

    読後は長い夢を見終わったような気だるさ。

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    2020年11月16日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ネタバレ

    2017年12月7日ストックホルムでの
    スピーチを左ページに英語、右ページに翻訳
    を載せた本。

    1979年秋24歳から始まり、子供時代、
    自分の心の中の日本とそれを書くこと、
    プルーストや歌手などから作品に影響を受けたり、
    人間間の関係を書くことの大切さに
    気付いたり、現在の世界の状況を憂い、
    自分がその一助となれるか、若い作家への
    期待と希望、文学は多様になるべき、など
    が語られています。

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    2020年10月30日
  • 日の名残り

    mac

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    人生の黄昏

    一部ご紹介します。
    ・「わしはあんたの言うことが全部理解できているかどうかわからん。
    だが、わしに言わせれば、あんたの態度は間違っとるよ。
    いいかい、いつも後ろを振り向いていちゃいかんのだ。
    後ろばかり向いているから、気が滅入るんだよ。
    なんだって?昔ほどうまく仕事ができない?
    みんな同じさ。いつか休む時が来るんだよ。
    わしを見てごらん。隠退してから、楽しくて仕方がない。
    そりゃ、あんたもわしも、必ずしももう若いとは言えんが、それでも前を向き続けなくちゃいかん」
    「人生楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。
    みんなにも尋ねてご

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    2022年09月30日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    mac

    ネタバレ 購入済み

    人生の尊厳

    一部ご紹介します。
    ・「あなた方は教わっているようで、実は教わっていません。
    形ばかり教わっていても、誰一人、本当に理解しているとは思えません」
    「あなた方の人生はもう決まっています。これから大人になっていきますが、あなた方に老年はありません。
    あなた方は一つの目的のためにこの世に産み出されていて、将来は決定済みです。ですから、無益な空想はもうやめなければなりません」
    「みっともない人生にしないため、自分が何者で、先に何が待っているかを知っておいてください」
    ・「絵も、詩も、そういうものは全て、作った人の内部をさらけ出す。作った人の魂を見せる」
    ・すぐにも行動を起こさないと、機会

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    2022年09月30日
  • 浮世の画家〔新版〕

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    ネタバレ

     こういう感想文を投稿するのは初めてなのでご容赦ください。以下の感想は読み終わったばかりの勢いで書いています。


     最初から最後まで、画家・小野の視点で描かれている。『価値観の変動』と『生き方』に焦点を当てた作品だと感じた。私がこの本から受け取ったメッセージを以下に示す。

    《価値観は時代とともに移ろい行くものだから、誰しも後になって自らの過ちに気がつくかもしれない。しかし、『自分の信念に従って、全力で生きた』ならば、それの信念が間違いであったとしても後悔はしないであろう。》


     また、この作品では、とかく何かを明言するのを避ける傾向にある。しかし、多数の場面を組み合わせて、人の心の動きを

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    2020年05月05日
  • 充たされざる者

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    この本はすごい。ほとんどもしくはすべての登場人物が自分のことしか考えられない。もどかしい思いで何度も本を閉じたのだが、読みきったあともう一度それぞれのエピソードを読んでみると、噛めば噛むほど味が出てくる。吸い尽くせないほどに。頑張って読み切る価値がある。

    自分は果たして本当に誰かのことを知りたいと思ったことがあったのか? そう思っていたと感じていたときでも、ただ自分のことを誰かがどう思っているかを知りたかっただけではなかったのか? 時に誰かに優しくすることはできるが、結局いつも自分のことばかりだったんじゃないか? そんなことを思う。

    最初は荒唐無稽で夢のような世界の話だと思うのだが、読み終

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    2020年04月19日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    イギリスと上海(中国)の間を行き交い、事件解決と共に、アイデンティティを追求する男の物語。

    「戦争」が絡む文学を手にすると、そこに人間への希望と失望を必ずやみることになる。
    そして、戦争と平和が、こんなにも「隣人」であることに衝撃を受ける。

    本を閉じたとき、嗚咽ではなく、心の襞を静かに潤わす涙が出た。

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    2020年03月17日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    ネタバレ

    後半からは、一気に最後まで読みました。
    というより、読まずにはいられませんでした、先が気になって。

    どういったらよいかわからない気持ちです。
    幼い日の、当時の自分には責任はないし、気付くはずもない小さな判断が自分と周囲の人の運命を変えてしまったかもしれないという罪悪感、無力感。
    正義感、責任感、向上心、愛情を持っていたからこそ訪れてしまった家族の悲劇、知人の悲劇、世の中の悲劇…。そして、それを利用して生き延びる人々もいる。

    ひとつの事実によって、これほどまでに、自分の思い出や自尊心や家族や知人への印象・想い、経験したことの意味が変わってしまうということがあるのでしょうか。
    自分がこの主人公

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    2019年11月24日
  • 浮世の画家〔新版〕

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    2回目。いつも素晴らしい小説をありがとう。

    初めて日の名残りを読んだ時はたまげたけど、テーマほんとうにそっくり。
    日の名残りの方が華やかさと鮮やかな色彩感があって好きだけど、地味で淡々としていて暗いこちらも良い小説。
    主人公のやるせなさや辛さも、周囲の気まずさや不満も、どちらも手に取るようにわかるから、読んでて少ししんどくなる部分すらあった。


    今主人公を責める周りの人たち、すなわち二人の娘や素一や三宅家の人たちは、戦争中は何を考えてどう行動してたの?
    主人公が先陣切ってやったことが戦後的価値観に照らし合わせれば良くない行いだとしても、当時彼ら周囲の人たちはそれを支持して尊敬したんじゃない

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    2019年07月28日
  • 忘れられた巨人

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    やはりカズオ イシグロの作品はとても面白いですね♪
    記憶が霧に消されている時代の老いた夫婦が息子を訪ねる旅に出るところから始まった物語は不思議な臨場感を伴いながら読者をブリテンの神話世界に誘うけど門外漢の私達にも違和感無くいにしえの世界を旅させて呉れる。「忘れられた巨人」との邦題になっているけど原題(埋められた とか葬られた)のほうがピッタリな気がする。それにしても面白かった!

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    2018年12月14日
  • 充たされざる者

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    巻末の解説によると、発表当初から賛否が大きく分かれたという本書。デビューからそれまでに寡作ながらいずれも高い評価と栄誉ある賞を得た作家が、本当に書きたかったものを書いたそうです。

    出だしから登場する人たちの長いセリフ、それに続く非現実な場面転換。序盤から、読み進める側は、この奇妙な小説をどう受け止めていいのか、戸惑います。否定的な感想を持つ人は、おそらくこの戸惑いを消化できなかったのではないでしょうか。そうした気持ちも当然と言えるほど、風変わりな小説です。

    自分は、その風変わりさが、ルイス・キャロルのファンタジー小説に通じるものとして呑み込み、非現実な進行も含めて楽しむようになり、中盤から

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    2018年11月01日
  • 充たされざる者

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    深い動揺と混乱を得た。
    夜見る夢をこんなにも緻密に具現化したものは見たことがない。恐ろしい。悪夢である。

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    2018年01月19日
  • 忘れられた巨人

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    忘れられた巨人

    ともかく、読んで下さい
    全ての描写に感動する筈です

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    2017年10月12日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    提供者と呼ばれる人達を世話する介護人キャシーが、子供時代から現在に向かって淡々と回想を始めます。 読んでいくと奇妙な事に気がつきます。キャシー達子供は、隔離された施設で、奇妙な授業をしながら育っていきます。 本書は、一言でネタバラシできますが、早いうちに気づくと思います。感情を押し殺した文章が、本書が描く異常な世界を徐々に明らかにしていきます。文章が淡々としているのに強く惹きつけられた作品でした。

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    2025年12月21日
  • 充たされざる者

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    カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』が面白いと話題なので読んでみようかと思ったのだが、そう言えば『充たされざる者』が未読だったのを思い出して、読んでみた。

    時間も空間も歪んだ世界で、登場人物は何重にも重なり、悪夢のような(というか悪夢そのものの)不条理が延々と続くが、個々のエピソードが魅力的でグイグイと読ませる。大きな話の筋は世界的ピアニストのライダーが「町の命運は音楽藝術の解釈次第にかかっている」と信じられている町に招かれて演奏と講演を行うというストーリー。その枝葉として、やがて彼の義父であることが明らかになるポーターのグスタフとその娘ゾフィーとの不条理な関係、その関係と相似する名指揮者グロ

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    2018年05月17日