カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    個人的にはトミーに共感することが多く、深く感情移入した。感情の爆発を抱えながらも不器用にしか生きられない彼が、どこか他人事に思えなかった。

    トミーが介護人を変えてから亡くなるまでの日々が、穏やかであったらいいなと願う。キャシーのことを、静かに思い出しながら逝ったのだろうと思う。

    0
    2026年07月05日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    クララは子供の成長を手助けするAF(人工親友)として開発された人工知能搭載ロボット。
    人間の言葉を理解できて、見た目で人間の年齢も推定し、人間の感情を理解しようと努める。
    ショーウインドーから街ゆく人々や来店するお客を観察し、外の世界を学び続け、自分を買ってくれる人が現れるのを待っている。
    ある日クララはジョジーという病弱な少女と出会い、この少女の家に買い取られてゆくのですが、それはとても感動的なシーンでした。

    今やAIアプリなどの普及で「人工の友人」との関わりが身近になってきている時代。
    新型のAFがどんどん開発され、お店で売られる日が本当に来るかもしれない…。

    クララは献身的で感受性豊

    0
    2026年07月02日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    再読。前に読んだ時は語り手のことに気付かず読み流していた。改めて物語の構成を理解して読んだが、クライマックスの場面は感極まるものだった。フレーズ的な良さよりはストーリー的な良さ。

    0
    2026年07月01日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    ノーベル文学賞受賞後の第一作目の作品。
    人工親友AFと呼ばれる太陽光エネルギーの人型ロボット、クララが販売店に陳列され、ジョジーという女の子に買い取られます。

    物語はAFのクララ目線で回想されるところから始まります。

    その語り口は優しく、常に敬語で、人間を敬っているのが読み取れます。そう開発されたのでしょう。それがいじらしく、切なく、親しみを抱きます。

    ジョジーに愛され、ジョジーの困難を全力で救い、自分の身を犠牲にしていくクララ。きめ細かい気遣いを見せるクララ。ロボットでありながら感情も情緒もあるクララ。だからこそその姿勢は痛ましく、涙を誘います。

    二人の関係は、あたかもドラえもんとの

    0
    2026年06月25日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    すごい話だった...

    優秀な介護人キャシーの1人語りで描かれる回想のストーリー。キャシーは誰に話しかけていたのかなあ
    "提供者"という言葉、ヘールシャムでの講師陣の謎の発言など、平和な幼少時代の描写の隅々に少し不穏な空気が漂う。
    どんどんキャシーたちの立ち位置が明らかになり、物語に引き込まれていった。
    真相、物語の運び、全てが美しく整った完璧なフィクションだったと思う。
    如何にも近い未来起こりそうな...倫理を考えさせられる話。

    情景描写が細やかで、海外文学独特の読みにくさが無かった。すごく良い文章。
    キャシーのトミーに対する態度・心情のすべてがもどかしい恋心に基づいた

    0
    2026年06月21日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    スティーブンスは後悔したのだろうか?

    彼が長年仕えたダーリントン卿は、歴史的には誤った判断をした人物として描かれる。利用されていたとも言える。
    ミス・ケントンと再開し、昔の恋を打ち明けられた後、スティーブンスは「その瞬間、私の心は張り裂けんばかりに痛んでおりました。」と語る。

    スティーブンスは後悔したのか? 何かを失ったのか? という問いだけで読むと、少しずれる気がする。
    彼は、何かを犠牲にして職務に逃げたのではない。彼にとっては、職務をまっとうすることこそが、自分の人生をまっとうすることだった。主人が政治的失敗をおかしたとしても、ミス・ケントンとの愛を取り逃がしたのだとしても、だからとい

    0
    2026年06月20日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    あらすじを読まず何も前情報なしに読むのが自分流 途中まで 学校での思い出 恋愛の話なんだ とささーっと読んでて、途中から、うん、?提供者??うん!?
    となり、後半は切ない気持ちになった。。
    運命の残酷さがいい感じに俺に刺さった、、また読み直す時は、時間をかけて、しっかり読みたい!

    0
    2026年06月18日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    このお話を読んだのは何年前だろう。もう優に10年ぐらいは経っているのかもしれない。
    そのせいでキャラクターの名前や、展開までもが朧げだ。それでもこの話の醸し出す空気感は今でも忘れられないままで、私が数冊本を選べと言われたらこれが出てくるだろう。
    それぐらい当時の私にも、今の私にも強烈な印象を残している。

    まず特色として感じたのは、主人公および世界が、正常を持ち合わせていないことだ。
    よくある物語では、正常の中の異常が書かれる。
    つまり、異常な出来事は異常として書かれる。
    「そんなのおかしい!」みたいなことを、誰かは言ってくれる。
    この物語ではそんな救済はほとんどない。
    主人公たちがおかしいこ

    0
    2026年06月17日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    語れるほど本を呼んでいないけれど、今まで読んだ本では一二を争うほどの作品でした!

    カズオ・イシグロは「日の名残り」を読んでとても良かったと思ったのですが、これはそれを遥かに越えた読書体験でした!

    自分と他人の心の動きや、繊細で不完全な人間関係の動きが、過剰なまでの記憶の詳細な描写から知らず知らずに身にしみて、ある時ぶわっと感情があふれる瞬間があって、泣いてしまったシーンや泣きそうになったシーンがいっぱいありました。
    今までどこか登場人物と読者である自分の間に見えない壁があったような気がしましたが、この作品では、主人公のキャシーの体験を一緒に体験しているかのようで、余韻がすごく、忘れられない

    0
    2026年06月09日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    特にラストがgood ワイは学がないので世界史とか全然わからないですが、そういうものを知っているとより面白いのかなと思います

    0
    2026年06月07日
  • わたしたちが孤児だったころ

    Posted by ブクログ

    筆舌しがたい。
    日中戦争やアヘン貿易に振り回された庶民の姿がまざまざしく感じられる小説。

    彼がノーベル文学賞を受賞したわけが読めばわかる。最後の100ページの怒涛の展開にページを繰る手が止まらなかったです。

    戦争は起こしてはならない。
    今でも中東やウクライナは戦火にまみれているが。

    0
    2026年05月27日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    とても素晴らしい作品だった!

    同じくカズオイシグロの「わたしを離さないで」と通じるところがあって、生きるとは何か、その人らしさとは何か、それを問い続けることがカズオイシグロのテーマの1つなのだろう。

    この作品でも、思いもかけないアプローチで生きることへの問いかけを試みている。

    最後に再びクララの前に現れる店長の姿は何を物語っていたのだろう。あれはもしかしたら「わたしを離さないで」とリンクしているのかもしれない。

    そして読後はもう、なんとも言えない気持ちに襲われてしまった。
    AIであるクララの言葉が清らかで淡々としていて、そのことがより一層読み手の感情を揺さぶるのだろう。

    0
    2026年05月17日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    未来の話ではなく過去であるという設定がとても気に入った。歴史を学ぶとなぜそんなことが?ということが平気で起こっている。でもそれが現在に住んでいるということ。生活そのものが不条理に包まれていることを染み込ませられながら生きていく、そこから抜け出すという発想すら無に帰すどうしようもない空気はすごくクリーンな灰色で軽やか。

    キャシーは結局誰に話しかけていたんだろう。

    0
    2026年05月14日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    いいお話でした。
    スティーブンスの執事に徹した生き方は、それはそれで素晴らしいものだと思いました。

    「人生楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。」
    優しい言葉。

    0
    2026年05月10日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    カズオ・イシグロの本を読んだことがないなぁと思い、手に取ってみました。
    まったく何の前知識もなく読み始めたのですが、最初は、何のことを語っているのか分からない表現があり、頭の中に、すこし「?」をもちながら読み進めました。物語は、ある種の青春群像かなと思いながら、話に引き込まれていったのですが、物語後半で、彼らが何者であるか分かったときの、ショックというか、悲しさというか、虚しさというか…
    読後感は、必ずしもすごくいいものではないと思いますが、読書体験としては、他に代えがたいものがあるのではないかと思います。

    0
    2026年05月04日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    イギリス文学最高峰のブッカー賞を受賞したという本、ようやく読む機会ができました。忖度なしで面白かった。私は「クララとおひさま」ではじめてイシグロ氏の本に出会い、これが2冊目ではありますが、共通して感じるのは「静謐さの中にある感動」。本書で扱われている時代は2つの世界大戦をはさむ激動の時期なのですが、あえて舞台は牧歌的風景の広がる英国貴族の屋敷(その意味でドラマ「ダウントン・アビー」を彷彿させる)。しかも主人公はその貴族ではなく執事です。このアプローチは「クララとおひさま」にも共通していると思います。クララとおひさまでは、貴族にあたるのがジョジ―という少女で、執事にあたるのがAI搭載ロボットのク

    0
    2026年05月02日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ヘールシャムやコテージでの生活を回想するパートが、丁寧ですごく好き。外の世界について想像を巡らせたり、ちょっとしたことで激しく動揺したり、友達と険悪になったり、保護官のあれこれについて仲間と議論し合ったり…。施設で育った主人公たちの描写がリアルで、辻村深月さんの「琥珀の夏」を思い出した。
    訳もきれいで、すっと入り込めて一気に読んでしまった。

    0
    2026年04月30日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    過剰なまでの遠慮ともてなしとこだわりには日本と通じるものを感じる。ただ翻訳文だからか、「執事なのにその言い方は無礼では!?」みたいな箇所もときどきある。日本とイギリスの文化の対称性の分析とかで深めるのも面白そう。
    この本を読んで、品格は何に宿るのかを考えた。主人公が毎日こだわり抜いて磨いた銀器が要人の機嫌をよくするのに一役買ったことを、自分の仕事が世界情勢の好転に少しでも寄与したと誇っているシーンがあって、毎日積み重ねたこだわりや努力が実を結んだときにこう思えることこそが報いであって、そのために自分が是とすることを粛々と継続することは、どのような立場にあっても高貴なのだと思った。モットーと言い

    0
    2026年04月21日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    苦しいほど切ない。
    作中、いくつも希望が生まれては消え、展示館を通じて提供までの猶予を得られるかもしれないという最大の希望がただの噂にすぎなかったと知る。
    主要な登場人物であるキャシー、トミー、ルースはそれぞれの性格が細部まで描かれており、漫画やアニメのキャラクターのような「仲良し3人組」になりきらない部分にリアルさを感じた。
    全員がとても人間臭い部分を持っていて、3人それぞれに自然と感情移入してしまう。
    だからこそ、終盤は物語を読み進めるのが辛くなってくる。
    ヘールシャムの生徒たちも、保護官も、マダムも登場人物が優しい人ばかりで、その優しさが社会の仕組みや時代の流れにかき消されてしまうという

    0
    2026年04月20日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    クローンとは言えど、提供者という抗えない運命に生まれた彼らを思うと、どうしても「最初から真実を伝えるべきだ」というルーシーの考えに共感してしまう。でも同時に、「せめて子ども時代だけは普通の幸せを」というエミリ先生の想いも否定しきれない。どちらも人間的で、だからこそ苦しい。

    キャシーとトミーも、もっと早く愛し合ってほしかったと悔やんでしまう。気づいたときにはもう遅い残酷さが胸に残る。

    しかし結局、彼らと我々は与えられた時間の長さと扱いが違うだけで、誰もが終わりに向かっている。だからこそ、日々の中で大切なことや想いを分かち合いながら生きたい。何も知らない、伝えないまま終わるのではなく、不完全で

    0
    2026年04月15日