カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    希望も絶望もない、それは受け入れ。
    介護者として働くキャシーは31歳、「この仕事は潮時だ。」と感じると同時に子供時代施設での日々を思い返す。その記憶は彼女たちには残酷な事実でした。

    訳者あとがきには、この小説「ネタバレOK」と記載がありますが、やっぱり明かすには気が引けますね。
    序盤に近い中盤で、彼女たちが生きる意味と謎があっけないほど唐突に明かされます。

    「あなた達に夢は要りません。」
    そんな彼女たちが過ごした青春時代。

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    2026年02月19日
  • 日の名残り

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    アンソニー・ホプキンス主演の実写映画を鑑賞後、早速読んでみました。
    英国貴族ダーリントン卿が住んでいた荘厳な邸宅は、今はアメリカ人の手に渡っていた。ダーリントン卿に何十年と仕えていた執事スティーブンスはお屋敷に残ったものの、当時のスタッフ達は離れていき人手不足に困り果てている。
    そんな折、当時女中頭を務めていて結婚を機に屋敷を離れた元同僚ミス・ケントンからダーリントンホールでの日々が懐かしいと郷愁を滲ませる内容の手紙が届く。
    ミス・ケントンがお屋敷に戻ってきてくれるのではという期待を込めて、スティーブンスは彼女に会いに行くことを決めたその道中、素晴らしい故郷の風景に

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    2026年02月19日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    いつか救いがあるかもと信じて読み進めていたので悲しくなった
    もう一回読むにはかなり勇気がいると思うので、その日が来るのかはわからない

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    2026年02月01日
  • 充たされざる者

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    とある街の式典に招かれた著名ピアニスト・ライダー。けれど式典の詳細もはっきりせぬまま、数々の依頼事に巻き込まれ…。曖昧な記憶、徒労感と高揚が入り交じる長い数日間の物語は、両親や妻子と離れて世界を彷徨う一人の男が見ている夢の世界のよう。
    自分のことばかりな街の人々、けれど次第に彼らはライダー自身の自己中心的な部分の投影、分身のように思えてくる。長大な文章に込められた、自分を見てほしい、認めてほしいという欲求。しかし視線は虚しくすれ違い、誤解はもはやほぐせない。旅の終点に、いつかライダーはたどり着けるのだろうか。

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    2026年01月25日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    映画を観て、じゅうぶん理解できたのか分からなかったので、本を読んでみようと思った。読み終わって、ますます分からなくなった気がする。
    映画はもっと具体的なしかけ?があるが、本は違う。読み手に委ねるというか、映画とは違う気がした。どちらにしろ原作も映画も、カズオ・イシグロ作品だなと思ったこと。映画のほうが映像で目に入ってくるので、より分かりやすいのに、それでも全部は語らず、受け取り側に委ねるところは原作と変わらないのかもしれない。読んだことのある人と考察したくなる。この作品がデビュー作とは、さすがとしか言いようがない。

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    2026年01月25日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    とても、苦しい。
    トミーと結ばれたあとの心情があまりにも悲しい。
    もっと早くこうなれていれば、という想いが常に付き纏う。提供者という運命にあるからこその苦しみ。

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    2026年01月25日
  • 浮世の画家〔新版〕

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    ネタバレ

    20260118ー0130NHKドラマで渡辺謙が主演。それが面白かったので原作を入手。心理描写が過去と現在を行きつ戻りつしながら、戦後の日常が淡々と進んでいく。

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    2026年02月01日
  • 夜想曲集

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    短編集。カズオイシグロの「少し前に一世を風靡したのに今はもう若い世代の尊敬を受けられない初老の男」に対するこの執着はなんなんだ。日の名残も含めていろんな人種、いろんな職業を着せ替えては、若い頃から繰り返し「昔はすごかった男」の物語を描き続けていてcreepyでさえある。

    2話目の音楽の趣味のいい英語教師の話がいちばん書き手自身が投影されていそうなのに、プロットはメチャクチャで笑ってしまった。

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    2026年01月24日
  • 浮世の画家〔新版〕

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    遠い山なみの光の主人公の父親と同じカテゴリーに属する、戦前にステータスがあって尊敬されていた男性が、戦後にそれまでの若者たちからの尊敬を一気に失って怒りと戸惑いの後に自分の中の落とし所を見つけていく物語

    どちらの男性も途中で子や孫に対して上っ面だけの論理でmanipulateしようとする場面が本当にムカついて、その父親をさらに上っ面だけの傾聴でmanipulateしようとする嫁や長女の姿が、つい最近の日本でもまだ女と役割として求められていた、あるいはまだ求められていることと合わせてさらに怒りを感じるとともに、これをもう亡き父にはしなくてよい/してあげられないことを虚しく思った

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    2026年01月24日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ノーベル文学賞受賞記念講演
    途中で止めて、いったんトムウェイツのRuby's Armsを聴かずにはいられなかった

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    2026年01月24日
  • 日の名残り

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    スティーブンスの鈍さが最後まで一貫していたのが良かった。確かに彼は卿の判断を信じただけの受動的な人間だが、それについて思索を巡らせることができる時点で立派な人物だと思った。

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    2026年01月19日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    自分が生まれた意味・・・
    親の顔を見たこともなければ、親は存在しないとされて育つ。
    性的な雑誌の中に自分と似た人を必死に探し、「わたしを離さないで」と、赤ちゃんに見立てた毛布を抱いて揺らす。
    キャシー、トミー、ルースともに言葉にはしないけれど、親、自分を無条件愛するはずの人を探している。
    言葉で表現されないからか、その想いがひしひしと伝わってきて切なかった。
    最後まで救われなかった。有刺鉄線の向こうの荒涼とした風景の向こうでトミーの姿が浮かんで消えた・・・

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    2026年01月18日
  • クララとお日さま

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    気になっていたクララとお日さま

    正直、読み進めるのに苦労した。
    それもそのはず。
    この物語は、人工知能搭載ロボット(AF)のクララが
    主役なのだから。

    子供の成長を手助けするロボット、クララ。
    病弱な少女ジョジー。
    ふたりの友情が育まれつつ、ジョジーを取り巻く
    大人たちの問題にクララが巻き込まれていくが、
    クララは、見聞きしている情報を正確に捉え分析し、クララなりの答えを出していく。
    その結果は。。。

    この物語は、クララを通じて多くのことを考えさせ
    られた。
    子供に対する大人の倫理観と感情論。
    環境に対する問題。
    クララは静かに分析し。
    ジョジーは冷静になりつつも大人達の考えに
    導かれる

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    2026年01月17日
  • 日の名残り

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    ひたむきで有能な執事の残りの人生を失意の中に放り込まず、ユーモラスに締めくくってくれたイシグロに拍手。

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    2026年01月03日
  • クララとお日さま

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    カズオ・イシグロは好きで何冊も読んできたが、なぜか読んでいなかったクララとお日さま。ノーベル文学賞受賞でものすごい話題になってからの第一作目で、推しがとんでもなく有名になりすぎてなんだか距離が…みたいな感覚?

    ようやく文庫版を手に取る。読み始めたらもう一気に読んだ。相変わらず静謐でシンプルな素敵な文章。「私を離さないで」のような、読者に隠されたままの世界の秘密(今回はとうとう最後まですべては明かされなかった)。そして、人工知能ロボットという、人間の世界を学習中の、語り手として信頼をしきれない主人公クララ。読者は足元がぐらつき、視野が制限されたまま、クララの目を通して、クララの主であるジョジー

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    2025年12月28日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    確か『わたしを離さないで』を読んだ時にも感じたことなのだが、ずーっと感じる不安感、不穏な感じがここにもある。

    読んでいると次第に悦子が佐知子と重なってくる。
    そして、バサっと終わってしまう。

    池澤夏樹氏の解説がとてもいい。
    「人間は互いに了解可能だという前提から出発するのが哲学であり、人間はやはりわかりあえないという結論に向かうのが文学である。」
    「それでも、われわれは日本語でこれを読みながらでも、これがあくまでも英文学、むしろ英語文学の作品であることを忘れない方がいい。訳がいかに巧みで、会話が日本語としていかに滑らかに流れていても、登場するのがすべて日本人でも、これは日本文学ではない。」

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    2025年12月25日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    時代の移り変わりとそれが生む歪み。被害者というのは語感がやや強すぎるのだけれど、時代の流れに、パラダイム・シフトに晒され、翻弄された人々。その生き様。
    メッセージを読み取るのが難しい作品だったけど、解説を読むと色々なことがしっくりくる感じがした。

    佐知子と万里子、藤原さん、緒方さんという他人についての回想が全編を占めるにも関わらず、全ての要素が今の悦子に帰結していく点で、この物語の構成は爽快感すらある。イギリスへの移住と景子の自死、その詳細が語られることはほぼ無いのにも関わらず、回想とのシンクロ性が、悦子の人生に纏わり付く陰の輪郭をぐっと強めている。
    集団的なトラウマ、というのがこの小説の主

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    2025年12月21日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロさんの講演録です。
    興味深い内容でしたので、イシグロさんのルーツについてもっと知りたいと思いました。

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    2025年12月19日
  • 日の名残り

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    おじさんの虚無。

    読んでいる途中、激しい感情の起伏は起こらないけれど、執事さんの脳内トークの言い訳に味があって、だんだんと面白くなってくる。
    そして、しみじみとする。

    品とノスタルジアの小説。

    仕事ばかりしてプライベートを台無しにする日本のおじさんに(おばさんにも)お勧めする。

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    2025年12月19日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    クララはユア・フォルマの通常アミクスのようではなく、自律的に思考する感情のある存在だったので、あのラストにはうーんとなってしまった。そんなことある?
    ラストでクララが廃棄場にいる時に店長さんが話しかけてくるシーン、あれってこれから廃棄されるクララたちAFにまた会えて嬉しいってどうなの。普通感情移入しない? ジョジーも、本当の親友って言いながらこれから廃棄されるクララに手を振りますか?
    人と見分けのつかない形をしているのかはわからなかったけれど(登場人物たちがクララをAFだと迷いなく判断していたので割とメカっぽいのかも?)、今まで幼少期に寄り添ってくれた存在をここまでぞんざいに扱えるものだろうか

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    2025年12月03日