【感想・ネタバレ】遠い山なみの光〔新版〕のレビュー

あらすじ

広瀬すず主演で映画化! 2025年夏公開
英国で暮らす悦子は、娘を喪い、人生を振り返る。戦後の長崎で出会った母娘との記憶はやがて不穏の色を濃くしていく。映画化原作

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ノーベル文学賞を受賞したカズオイシグロ氏のデビュー作とのことです。
今イギリスで生活している女性の人生について、戦後の長崎で生活していた時の記憶を交えて描かれています。

「遠い山なみの光」というタイトルは、主人公の女性の記憶にある戦後まもない長崎の風景と当時の将来への希望を表したものであると思います。

ストーリーですが、主人公の悦子はかつて戦後まもなくの長崎に夫と二人で生活していて、初めての子供を妊娠して幸せに暮らしていました。女の子を出産後、理由は描かれていませんが当時の夫とは別れ、二人目のイギリス人の夫と共に娘(景子)を連れてイギリスに渡り、現在はイギリスの田舎で生活しています。

イギリス人の夫との間にも女の子(ニキ)が生まれますが、長崎で前の夫との間に生まれイギリスに連れてきた長女(景子)は、イギリスでの生活に馴染めず引き篭もりとなり、やがて家を出たいと言い出して、独り暮らしをする中で自殺してしまいます。

イギリス人の夫との間に生まれた次女(ニキ)も今は家を出て独り暮らしをしており、母親を心配して一時的に家に戻りますが、その娘と生活する中で、かつて自分が長崎で生活していた時のことを思い起こします。

長崎で、悦子は幼い娘を抱えるシングルマザーの佐知子という女性と知り合います。佐知子は戦後の混乱期を幼い娘を抱えて乗り越えようとしていました。一方、当時の悦子は良い夫にも恵まれ、お腹には子供も授かり、幸せな生活をしていると満足していたはずですが、そんな自分が、やがて夫と別れ、幼い娘を連れてイギリスに渡ってきた今になって、かつて長崎で出会った佐知子のことを思い出し、今の自分と重ね合わせます。当時の佐知子は、確証もないまま愛人のアメリカ人を頼って長崎を抜け出しアメリカに渡ろうとしていたのですが、悦子はそんな佐知子を見て、環境を変えることは幼い娘が可哀想と思い、口には出さないまでも佐知子を批判的に見ていました。

しかし、悦子もやがて夫と別れ幼い娘を連れてイギリスに渡り、その娘も失ってしまったわけで、未来に夢を見つつも現実に翻弄されていた当時の佐知子を思い出しながら、今の自分を重ねていたのだと思います。当時は佐知子に批判的だった悦子ですが、今は肯定的に思わざる得ない自分をこの時は認識していたと思います。

物語の中では、結婚して義父に甲斐甲斐しく尽くす旧態然とした悦子の姿や、戦後の価値観の変化についていけず民主主義や男女平等に不満を漏らす義父・緒方の姿が描かれ、一方でこれと対比的な思想の佐知子や悦子の夫・二郎が描かれていて、これも戦後の日本における思想の移行が、この小説のもうひとつのテーマになっていると思います。

長崎で幸せな生活を送っていたはずの夫と別れ、自らの意思で娘を連れてイギリス人の新しい夫とともにイギリスに渡り、その結果娘の景子を犠牲にしてしまったという自責の念が、悦子の意識の中には常に存在していたと思うのですが、後悔しても戻すことはできない、先に進むことはできないと、まるで何事もなかったかのように、これからの人生を生きていこうとする女性・悦子の姿がこの小説には描かれています。

イギリス人の夫との間に生まれた次女ニキは、現在の自立した考え方をする女性の象徴的な存在として描かれているのですが、彼女から悦子が長崎で生活していた当時の思い出の資料が欲しいと頼まれ、悦子は長崎の港の風景のカレンダーを渡します。そこに遊びに行った時の思い出を話し、その時は本当はまだ妊娠中であったにもかかわらず、「あの時は景子も幸せだったのよ。みんなでケーブルカーに乗ったの。」と、ニキに嘘をつきます。これも過去を忘れて(偽ってでも)生きていくしかないという、自立して生きていこうとする悦子の思いを示しているように思いました。

ただ、小説の中で語られていない真実を、小説の中で語られている事実の断片から、読者が想像して判断するしかない部分が多々見られるように思います。例えば、なぜ悦子は長崎を離れイギリスで生活するようになったのか、長崎で生活していた当時の夫である二郎となぜ別れたのか、景子はなぜ独り暮らしを始めたのか、景子とニキとの関係はどうだったのか、景子はなぜ自殺したのか、などです。

最後に思うのは、悦子が長崎で知り合ったという佐知子は架空の人物で、実は悦子そのもの(本人)のことだったのかもしれないなということです。

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2026年01月13日

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ネタバレ

万里子に繰り返し「なんでそんなもの持ってるの」と言われる、あの綱。
あれは景子の首に掛かるものだったのか。
佐知子の記憶が現在の心境によって揺らがされていることに気づいてハッとさせられた。

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2025年12月06日

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ネタバレ

カズオイシグロは、前にも日の名残り、私を離さないでを読んだことがあり、
今回映画化されたことを受けて興味をもって読んだ。
流れ、雰囲気は日の名残りに近い。
途中途中のエピソードが何に繋がるのか、なんでそのようなことを思い出すのか、最後に少しわかる。

相変わらずの読後感に圧倒されたが、今回一番圧倒されたのは、意外にも巻末の三宅香帆さんの書評だった。
書評に解説が書いてあり、人によってはつまらなく感じるかもしれないが、自分は三宅さんの書評を読んでこの本の理解と読後感を深めることができた。

人は誰しも人には言えないことを抱えて生きる。
そして、テクニック的には書かれていないことを想像して読むのが読書の楽しみのひとつなのだと知ることができた。

今回、紙の本と電子書籍を並行して読んだが、三宅さんの書評は電子版にもありました。
紙の本を売ってしまっても書評を今後も繰り返し読めるのが嬉しい。
自分にとっては今年一番の本です。

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2025年11月19日

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深い。
これは秘密にしたい後悔という「亡霊」の物語である。
それは足元にからまった縄のように、私たちに気もつかぬうちに絡まりついている。

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2025年10月18日

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ネタバレ

主人公の女性は、本当にできた人だと思った。舅にも優しく、逆らわず、古い価値観にとらわれていることも受け入れて相手を立てている。自分勝手な知り合いの頼みごとも断らず、わがままな言動にも怒らずに付き合う。お金まで貸してあげる。とにかく怒るということがない。そういう姿に「なんてできた人なんだろう」と思った
でも、今の彼女の状況を知ると「あれ?」と思う。離婚し、外国人と再婚している。ピアノ教師には意地悪な嘘までつく。あの時、舅に合わせていたのも本心じゃなかったのかもしれない。夫との離婚の理由も、恵子に何があったのかも明かされないままだ。
それでも、ニキの新しい価値観には理解を示していて、そこには相変わらずの柔軟さを感じる。価値観が急激に変わっていく世の中で、淡々と、しなやかに生きていく女性の強さを感じた。

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2025年09月22日

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ネタバレ

映画に比べて全てがぼんやりしていた。悦子は確かにいい母親ではなかったのかもしれない。でも、母親だからといって、自分のための選択ができないのはおかしい。とにかくこの時代は特にみんなが傷を負っていて、大人も大人のままではいられなくて、現代なら受け入れられる選択も景子を追い詰めたのだと思う。景子視点、二朗視点、景子の父親視点も気になる。

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2025年09月21日

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【文学の森】2025年9月クールのテーマ作品。

戦後の世の中、価値観の違う人たちが精一杯生きる姿を静かに描いている。
わからない部分もあったので、平野啓一郎さんの解説を聞いたあと、再読したい。

翻訳物は基本的に苦手だが、本作に関しては全く違和感なく、素晴らしいと感じた。日本語の表現の多彩さを考えると、原作より表現が豊かになっているのではないかと思った(原作は読んでないけど)。

石川監督の映画も気になる。

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2025年09月22日

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映画を観て、じゅうぶん理解できたのか分からなかったので、本を読んでみようと思った。読み終わって、ますます分からなくなった気がする。
映画はもっと具体的なしかけ?があるが、本は違う。読み手に委ねるというか、映画とは違う気がした。どちらにしろ原作も映画も、カズオ・イシグロ作品だなと思ったこと。映画のほうが映像で目に入ってくるので、より分かりやすいのに、それでも全部は語らず、受け取り側に委ねるところは原作と変わらないのかもしれない。読んだことのある人と考察したくなる。この作品がデビュー作とは、さすがとしか言いようがない。

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2026年01月25日

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確か『わたしを離さないで』を読んだ時にも感じたことなのだが、ずーっと感じる不安感、不穏な感じがここにもある。

読んでいると次第に悦子が佐知子と重なってくる。
そして、バサっと終わってしまう。

池澤夏樹氏の解説がとてもいい。
「人間は互いに了解可能だという前提から出発するのが哲学であり、人間はやはりわかりあえないという結論に向かうのが文学である。」
「それでも、われわれは日本語でこれを読みながらでも、これがあくまでも英文学、むしろ英語文学の作品であることを忘れない方がいい。訳がいかに巧みで、会話が日本語としていかに滑らかに流れていても、登場するのがすべて日本人でも、これは日本文学ではない。」

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2025年12月25日

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時代の移り変わりとそれが生む歪み。被害者というのは語感がやや強すぎるのだけれど、時代の流れに、パラダイム・シフトに晒され、翻弄された人々。その生き様。
メッセージを読み取るのが難しい作品だったけど、解説を読むと色々なことがしっくりくる感じがした。

佐知子と万里子、藤原さん、緒方さんという他人についての回想が全編を占めるにも関わらず、全ての要素が今の悦子に帰結していく点で、この物語の構成は爽快感すらある。イギリスへの移住と景子の自死、その詳細が語られることはほぼ無いのにも関わらず、回想とのシンクロ性が、悦子の人生に纏わり付く陰の輪郭をぐっと強めている。
集団的なトラウマ、というのがこの小説の主題を考える上でふと思いついた言葉。

しかし、三宅さんのYouTube解説、めちゃめちゃ参考になりました。「信用のならない語り手」ね。読み手に多くを託されている作品。

次は日の名残りを読みたいなー

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2025年12月21日

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映画を観て感動したので原作を購入しました。
絵のラフを描く時、線をなんとなくでシャッシャと描くように読み、そのラフの中から真実という線画を完成させていくタイプの作品でした。私がラフ線から線画を描こうとしていると、物語から線を待たずに絵の具を塗られていて、「待って…置いていかないで」となりながらも線画を仕上げると絵が完成していた…というような感覚でしょうか。
何度も読み返したくなる好み作品でした。同著者の別作品も読んでみたいと思います。

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2025年11月05日

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カズオイシグロのデビュー作。
娘が自殺した女性が、過去の長崎での日々を回想する物語。とても面白いのだが、ストーリー展開的な面白さというより、登場人物たちの会話や、主人公の感覚に違和感を感じて先が気になる、そんな読み方をしたように思う。
読み終えたときに、佐和子は自分自身で、万里子は景子を投影してるのかなと感じたのだが、解説があったことでよりわかりやすくなった。解説を踏まえてもう一度読みたくなった。
どうして今、自分はこの記憶を思い出すのか?そんな視点を持って読むと、わかりやすくなると思う。語られないストーリー、語られない思いが多くあるけれど、何を見るのか、読者に託された余白の部分がイメージとして鮮やかで、いい意味でもやもやの残る小説。
とりあえずは素直に全部読むことを勧めたい。何かを信じることの痛々しさを、噛み合わない会話で表現するカズオイシグロ節が効いていてとても良かった。

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2025年11月03日

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ネタバレ

カズオイシグロの信頼できない語り手はデビュー作から健在だった。信頼できなさでいったら今まで読んだ中でもトップ。
結局彼女の回想やこの物語は何を言いたいのか、
全てはぼんやりとしか見えないのだが、言葉にできない印象にあふれている。

戦前の価値観を引きずる「緒方」、典型的な昭和の親父の「二郎」。彼らは悦子にとっていつのまにか足にからまる縄のような存在だったのだろうか。佐知子の行動は悦子のイギリス行きに影響したのだろうか。佐知子と万里子はその後どうなったのだろうか。悦子は日本を棄てたことを後悔しているのだろうか。

新しい時代への希望、家父長制への怒り、敗戦国の人間のプライド、女性の自立、殺人


事実どのようなことがあったのかを考えてみると
イギリスに住んでいる語り手=悦子なのかどうかも怪しい。特に最後の稲佐に遊びに行った時にすでに景子は生まれていたかのような発言。万里子=景子、語り手=佐知子という可能性も考えられる。あるいは自分の中の美しい記憶と景子を結びつけるもの悲しい嘘か。

長崎での少女殺人事件で、女の子が木に吊るされているというイメージは何を表すのか。回想の最後でどうやら悦子は縄を持っているらしい、それを見た万里子は怯えたように逃げ出す。
悦子の娘、景子はのちに首吊り自殺をする。悦子は自身の渡英という決断が景子に与えた影響について悔いている。そしてブランコにのる女の子の夢。紐で吊られたものがおそらく揺れているだろう、かなり不吉なイメージの繰り返し。
長崎を回想する→佐知子という子供をかえりみない、ある種自分本位に行動していた女性を思い出す→自分も佐知子と同じように日本を出て、その結果景子を失う。そのことへの罪悪感→首吊り自殺の光景とブランコの夢。悦子は自分が思ってるよりも景子の自殺を受け止めきれていないのではないだろうか。

ミステリばっか読んでるせいで、事実関係にばかり気を取られてしまう。この作品に真実など必要ないのに。

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2025年10月23日

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映画を先に観た。映画では、佐知子と万里子は架空の人物、または悦子が作り出した幻想であったようなラストだった。原作では、ふわっとした終わり方だが、佐知子も万里子も実在の人物である。ただし、悦子の遠い記憶なので、自分と景子の記憶と混同しているかもしれない。過去の後悔を否定せず、忘れもせず、自分の中に受け入れて、薄明の中で生きていく。そんな悦子の姿が描かれていたように思う。

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2025年10月17日

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『ミス・サイゴン』だと思った。戦後の痛みと、混乱のなか、世の中が「変化」していくことを嘆き、もがく旧世代の緒方さん(=悦子の義父)と、「停滞」する日本にいてはいけないと信じて、アメリカへ渡ろうとする佐知子。やがて同じように、離婚を経てイギリスに移民した、悦子。佐知子も悦子も、子どもを連れて越境する。本作において、ヒロインたちはとにかく自分を時代の前へ前へ、駒を進めようとする。子どもを巻き込んで。

ミス・サイゴンでは、ヒロインのキムは我が子に未来を切り拓くため、自分の命を犠牲にして、我が子をアメリカに渡らせた。

何が人を越境させるんだろう。海を渡った先に、約束された未来、少なくとも今よりもいい未来があると盲信させるものは何だろう。

この国の家族の形は随分変わった。特に、女性の生き方は。海を渡った悦子の次女・ニキの今も含めて、家族の形と女性の生き方を考えた。映画を観ているような読書時間だった。

文末にカズオ・イシグロの名訳者小野寺健氏、池澤夏樹氏、そして三宅香帆氏の三者三様の充実した解説がある新版が、とてもよかった。

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2025年10月15日

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ネタバレ

私の友達にもすずみたいな子がいたな..舐めてるのに都合よく甘えてくるんだよね..私の運命引いていった罰当たり、

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2025年10月13日

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本書はカズオ イシグロのデビュー作で最近映画化もされ話題になった作品なので読んでみたいと思い手に取った。

 他の方のレビューにある通り難解だった。
舞台は1980年代のイギリスで主人公悦子の元にある理由で娘のニキが帰省し、イギリス(現在)と戦後まもない長崎を回想しながら交互に物語は進んでいく。
み進めていくと違和感と?が満載で読み終わったあとも霞が懸かってうっすらしか先が見えない感じ。
それもそのはず、具体的に語られていない部分があるので、解釈を読み手に委ねるタイプ。
なので池澤さんや三宅さんの解説、映画も解釈の一つで正解はないということ。

佐知子、万里子母娘の言動も謎や違和感ばかりで、ちょっとホラーっぽいところもあるし。
悦子の嘘か記憶が曖昧なのか?浮き彫りになったのがタイトルの元にもなっているであろう稲佐山ロープウェイのシーン。
悦子と佐知子、万里子の3人で登った筈なんだけど、そしてこの場所で悦子は必ず幸せになると未来は希望に充ちていたのに、景子への後悔の気持ちを思うと胸が痛みます。
謎や違和感は多く悦子は多くは語らないので時代背景や登場人物の心情を汲み取り推測、想像するのが本書の醍醐味なのかな。

この物語の背景には戦争の不条理さがあるのを忘れてはいけない。
女性の生きずらさや戦後の急激な変化、悲しみや苦しさを乗り越え必死に幸せになろうとした悦子や佐知子の逞しさ、時代の変化の犠牲になった景子が描かれている。
戦争は物だけでなく人の心や人生も狂わせる。

とても奥が深く物語を想像する楽しさがあり読みごたえのある一冊。そして自分の読解力のなさを痛感させられた一冊でもある。
こういう読書もあるのかと良い学びになったかな。

下衆の勘繰りだけど景子は二郎の子供なのかな?○○さんの可能性もあるような気がしてならない。もしかして離婚の原因は…

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2025年09月28日

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先に映画を見たら、分からないことがいくつかあり、原作を読んでみた。疑問が解消されたわけではないが、それでいいのかも知れないと思えたし、読んでよかった。

なんだかすべてが霧の中に霞んでる感じ。なのに、強い印象を受ける場面がいくつかあった。
とくに、主人公と舅が戦争にまつわる思い出にふれながら、肝心のことはお互いに避けているような会話。
(ここは映画では、もっと具体的なことを話していた)

主人公と友人の佐知子が稲佐山でかわした会話も、かみ合っているのかいないのか。でも佐知子という鏡をとおして、主人公の気持ちがしだいに分かるように思えた。

映画を見て、分からないことに不満を覚えていたが、分からないことをそのまま受け入れたいという気もちになった。


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2025年09月21日

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物語を全体的に覆っているこの薄暗さはなんだろう、と読んでいる間ずっと感じていたことがイシグロワールドと言われるものの正体なのかもしれない。主人公の悦子が抱えた「後悔」というものを軸に、長崎での思い出、そこで出会った佐知子と万里子という存在と、日本を出た彼女と長女の存在、悦子が感じていた価値が大きく変化する時代の中での齟齬が今の彼女に当てはまることに気づいた時、著者イシグロの描きたかった世界が見える。少し難解な作品ではあったが、そこに作品の深さと著者が信頼足り得るというのを掴むには十分だった。彼の別作品もぜひとも拝読したい。

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2025年09月18日

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著者のカズオ・イシグロさん、初読みです。長崎生まれでイギリス国籍の方です。ブッカー賞、ノーベル文学賞などを、受賞されています。この作品は初長編で、1982年に彼が英語で書いた小説を、小野寺健さんが翻訳された本です。

私は映画を先に観たので、登場人物は俳優の顔が浮かび、情景も映像が浮かびながらの読書でした。疑問に思っていたことを知りたくて、この本を読みました。訳者のあとがきと、作家の池澤夏樹さんと文芸評論家の三宅香帆さんの解説に助けられて、ようやく理解できました。(と思っていましたが、色々な解釈があることをあとで教わりました。)

小説は、悦子が長崎で過ごした過去と、イギリスで暮らす家に休暇で訪れた娘ニキと過ごす日々が書かれています。喪失を経験した悦子の現在の様子は、戦後、夫と生まれてくる子どもと幸せになるという確信に満ちた言葉からは、想像できないものでした。時が流れた後、悦子と長崎で出会った佐知子の境遇が重なっていく感じがしました。戦前と戦後の考え方の違いも語られ、変わっていくことへの様々な思いを感じることができました。

読後、「遠い山なみの光」のように良い思い出があれば、人は何かあっても生きていけるんじゃないかと思いました。

難しくて自分の読解力のなさを感じましたが、またカズオ・イシグロさんの作品を読んでみたいと思いました。





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2025年09月22日

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物語が断片的で、全体を把握するのが難しかった。戦後の混乱期や思想の転換期という時代に翻弄され、後悔を抱えながらも故郷の長崎での思い出を振り返る女性のお話。

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2026年01月13日

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他のレビューで見たような、最後の語りから想像できる部分が、私にはよく分からず、残念だった。もう一回読んだら分かるかな。
マリコはどうなったの?と分からないことばかりで、放り出されたような気持ちになった。
これもこの小説の良さなのかな…
ただ、戦後長崎の価値観が変化していく様や、その中で逞しく生きていく女性たちの生活感あふれる情景など目の前で広がっていくようだった。
そして当時の生や死の近さも、とても辛い描写もあったが、その分生々しさがとてもよく伝わった。

もう一度読んでみたい。

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2025年11月16日

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映画化されていた為、読んでみた。わかりやすい会話ですーっと読めてしまうが、何をいいたいのかがわからずに最後もあっけなく終わってしまった。解説を読んでぼんやりと感じていた事が明確になった。強烈なインパクトがある話ではないが、なんとなく記憶に残っていく気がする。

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2025年11月08日

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映画を見て、すごくよかったので原作も手に取った。
むずかし〜〜〜もうちょっと考えないと咀嚼しきれない!
もう一回読もうかな!

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2025年10月28日

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広瀬すずさん主演の映画を観た後、わからない感があったので原作を読みました。とてもスッキリです。カズオ・イシグロさんの作品の深さを知りました。

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2025年10月11日

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ネタバレ

映画→原作を経ても理解が難しい作品だった。カズオイシグロ作品は深く話の真理を追い求めると更に分からなくなるので、抽象的に読むのが1番読みやすいのかなと思う笑 でも読んだ人の分だけ解釈があるのは面白いなとも思う。私は悦子は景子のことを後悔するあまり、「自害させない為にどうすれば良かったか」を佐知子と万里子との思い出に重ねて、話していたのだと思った。その中には自戒も込めて、ありもしないような話も入れていたのだと思う笑 これを踏まえてまた映画が観たくなった。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

伏線回収!すっきり爽快!本ではありません。
自分的に気になってた箇所が明確にはならないのでモヤモヤ感が残りました。
あとがきを読んで、なるほどなぁと思う事が多々。ニキの言葉にはハッとさせられて思わずブックマークしてしまう文章も。そして会話がとても独特。会話の中で何度も繰り返される言葉が印象的だが、会話でその人の表情、心情まで読者に想像させてしまうところがすごいところ。

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

小説を読む限りは、佐知子は実在した人物で、過去の悦子にとってはその価値観に腹の底からは承服しかねる異質の存在だったように解釈していたが、映画ではそれは実は悦子そのものであり、そういう人物がいたかのように二キに嘘をついていたと最後にネタバレをして終わるように脚色されていた。原作に対してあまりにも分かりやすく説明し過ぎであり、火曜サスペンス劇場のような単なるエンタメサスペンス映像になってしまっており、舞台のセットや俳優陣は豪華であるものの、映画としてみると☆1。

記憶を無意識に変えずしては思い起こすこともはばかられるような過去を抱えながら、強く生き抜いてきた当時の人々の人生が思い起こさせられる。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画化を機に購入。有名作「わたしを離さないで」の世界観が好みだったことを思い出して迷わず読み始めたものの、私にはやや難解だった...。

起承転結が掴みにくくて、どうにも読み進まない。

ただ、日本にルーツを持つ著者が日本を舞台にして英語で書いた作品を、日本語で読む。
このねじれは面白かった気もする

映像の方もやや掴みづらそうなので
ただ世界観に浸るつもりで観に行こう。

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2025年09月14日

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過去と現在、真実と虚構が錯綜し、半ば混濁した視点から語られる物語に終始翻弄されながら何とか読み終えた。理解できた気はとてもしないけど、題名とも深く関わるケーブルカーの場面は忘れ難い。あと、三宅香帆さんの解説が「渾身」を感じさせるやつだった。

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2025年09月14日

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