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広瀬すず主演で映画化! 2025年夏公開 英国で暮らす悦子は、娘を喪い、人生を振り返る。戦後の長崎で出会った母娘との記憶はやがて不穏の色を濃くしていく。映画化原作
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「遠い山なみの光」
2025年9月5日公開 出演:広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊
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Posted by ブクログ
ノーベル文学賞を受賞したカズオイシグロ氏のデビュー作とのことです。 今イギリスで生活している女性の人生について、戦後の長崎で生活していた時の記憶を交えて描かれています。 「遠い山なみの光」というタイトルは、主人公の女性の記憶にある戦後まもない長崎の風景と当時の将来への希望を表したものであると思いま...続きを読むす。 ストーリーですが、主人公の悦子はかつて戦後まもなくの長崎に夫と二人で生活していて、初めての子供を妊娠して幸せに暮らしていました。女の子を出産後、理由は描かれていませんが当時の夫とは別れ、二人目のイギリス人の夫と共に娘(景子)を連れてイギリスに渡り、現在はイギリスの田舎で生活しています。 イギリス人の夫との間にも女の子(ニキ)が生まれますが、長崎で前の夫との間に生まれイギリスに連れてきた長女(景子)は、イギリスでの生活に馴染めず引き篭もりとなり、やがて家を出たいと言い出して、独り暮らしをする中で自殺してしまいます。 イギリス人の夫との間に生まれた次女(ニキ)も今は家を出て独り暮らしをしており、母親を心配して一時的に家に戻りますが、その娘と生活する中で、かつて自分が長崎で生活していた時のことを思い起こします。 長崎で、悦子は幼い娘を抱えるシングルマザーの佐知子という女性と知り合います。佐知子は戦後の混乱期を幼い娘を抱えて乗り越えようとしていました。一方、当時の悦子は良い夫にも恵まれ、お腹には子供も授かり、幸せな生活をしていると満足していたはずですが、そんな自分が、やがて夫と別れ、幼い娘を連れてイギリスに渡ってきた今になって、かつて長崎で出会った佐知子のことを思い出し、今の自分と重ね合わせます。当時の佐知子は、確証もないまま愛人のアメリカ人を頼って長崎を抜け出しアメリカに渡ろうとしていたのですが、悦子はそんな佐知子を見て、環境を変えることは幼い娘が可哀想と思い、口には出さないまでも佐知子を批判的に見ていました。 しかし、悦子もやがて夫と別れ幼い娘を連れてイギリスに渡り、その娘も失ってしまったわけで、未来に夢を見つつも現実に翻弄されていた当時の佐知子を思い出しながら、今の自分を重ねていたのだと思います。当時は佐知子に批判的だった悦子ですが、今は肯定的に思わざる得ない自分をこの時は認識していたと思います。 物語の中では、結婚して義父に甲斐甲斐しく尽くす旧態然とした悦子の姿や、戦後の価値観の変化についていけず民主主義や男女平等に不満を漏らす義父・緒方の姿が描かれ、一方でこれと対比的な思想の佐知子や悦子の夫・二郎が描かれていて、これも戦後の日本における思想の移行が、この小説のもうひとつのテーマになっていると思います。 長崎で幸せな生活を送っていたはずの夫と別れ、自らの意思で娘を連れてイギリス人の新しい夫とともにイギリスに渡り、その結果娘の景子を犠牲にしてしまったという自責の念が、悦子の意識の中には常に存在していたと思うのですが、後悔しても戻すことはできない、先に進むことはできないと、まるで何事もなかったかのように、これからの人生を生きていこうとする女性・悦子の姿がこの小説には描かれています。 イギリス人の夫との間に生まれた次女ニキは、現在の自立した考え方をする女性の象徴的な存在として描かれているのですが、彼女から悦子が長崎で生活していた当時の思い出の資料が欲しいと頼まれ、悦子は長崎の港の風景のカレンダーを渡します。そこに遊びに行った時の思い出を話し、その時は本当はまだ妊娠中であったにもかかわらず、「あの時は景子も幸せだったのよ。みんなでケーブルカーに乗ったの。」と、ニキに嘘をつきます。これも過去を忘れて(偽ってでも)生きていくしかないという、自立して生きていこうとする悦子の思いを示しているように思いました。 ただ、小説の中で語られていない真実を、小説の中で語られている事実の断片から、読者が想像して判断するしかない部分が多々見られるように思います。例えば、なぜ悦子は長崎を離れイギリスで生活するようになったのか、長崎で生活していた当時の夫である二郎となぜ別れたのか、景子はなぜ独り暮らしを始めたのか、景子とニキとの関係はどうだったのか、景子はなぜ自殺したのか、などです。 最後に思うのは、悦子が長崎で知り合ったという佐知子は架空の人物で、実は悦子そのもの(本人)のことだったのかもしれないなということです。
深い。 これは秘密にしたい後悔という「亡霊」の物語である。 それは足元にからまった縄のように、私たちに気もつかぬうちに絡まりついている。
【文学の森】2025年9月クールのテーマ作品。 戦後の世の中、価値観の違う人たちが精一杯生きる姿を静かに描いている。 わからない部分もあったので、平野啓一郎さんの解説を聞いたあと、再読したい。 翻訳物は基本的に苦手だが、本作に関しては全く違和感なく、素晴らしいと感じた。日本語の表現の多彩さを考え...続きを読むると、原作より表現が豊かになっているのではないかと思った(原作は読んでないけど)。 石川監督の映画も気になる。
映画を観て、じゅうぶん理解できたのか分からなかったので、本を読んでみようと思った。読み終わって、ますます分からなくなった気がする。 映画はもっと具体的なしかけ?があるが、本は違う。読み手に委ねるというか、映画とは違う気がした。どちらにしろ原作も映画も、カズオ・イシグロ作品だなと思ったこと。映画のほ...続きを読むうが映像で目に入ってくるので、より分かりやすいのに、それでも全部は語らず、受け取り側に委ねるところは原作と変わらないのかもしれない。読んだことのある人と考察したくなる。この作品がデビュー作とは、さすがとしか言いようがない。
確か『わたしを離さないで』を読んだ時にも感じたことなのだが、ずーっと感じる不安感、不穏な感じがここにもある。 読んでいると次第に悦子が佐知子と重なってくる。 そして、バサっと終わってしまう。 池澤夏樹氏の解説がとてもいい。 「人間は互いに了解可能だという前提から出発するのが哲学であり、人間はやは...続きを読むりわかりあえないという結論に向かうのが文学である。」 「それでも、われわれは日本語でこれを読みながらでも、これがあくまでも英文学、むしろ英語文学の作品であることを忘れない方がいい。訳がいかに巧みで、会話が日本語としていかに滑らかに流れていても、登場するのがすべて日本人でも、これは日本文学ではない。」
時代の移り変わりとそれが生む歪み。被害者というのは語感がやや強すぎるのだけれど、時代の流れに、パラダイム・シフトに晒され、翻弄された人々。その生き様。 メッセージを読み取るのが難しい作品だったけど、解説を読むと色々なことがしっくりくる感じがした。 佐知子と万里子、藤原さん、緒方さんという他人につい...続きを読むての回想が全編を占めるにも関わらず、全ての要素が今の悦子に帰結していく点で、この物語の構成は爽快感すらある。イギリスへの移住と景子の自死、その詳細が語られることはほぼ無いのにも関わらず、回想とのシンクロ性が、悦子の人生に纏わり付く陰の輪郭をぐっと強めている。 集団的なトラウマ、というのがこの小説の主題を考える上でふと思いついた言葉。 しかし、三宅さんのYouTube解説、めちゃめちゃ参考になりました。「信用のならない語り手」ね。読み手に多くを託されている作品。 次は日の名残りを読みたいなー
映画を観て感動したので原作を購入しました。 絵のラフを描く時、線をなんとなくでシャッシャと描くように読み、そのラフの中から真実という線画を完成させていくタイプの作品でした。私がラフ線から線画を描こうとしていると、物語から線を待たずに絵の具を塗られていて、「待って…置いていかないで」となりながらも線画...続きを読むを仕上げると絵が完成していた…というような感覚でしょうか。 何度も読み返したくなる好み作品でした。同著者の別作品も読んでみたいと思います。
カズオイシグロのデビュー作。 娘が自殺した女性が、過去の長崎での日々を回想する物語。とても面白いのだが、ストーリー展開的な面白さというより、登場人物たちの会話や、主人公の感覚に違和感を感じて先が気になる、そんな読み方をしたように思う。 読み終えたときに、佐和子は自分自身で、万里子は景子を投影してるの...続きを読むかなと感じたのだが、解説があったことでよりわかりやすくなった。解説を踏まえてもう一度読みたくなった。 どうして今、自分はこの記憶を思い出すのか?そんな視点を持って読むと、わかりやすくなると思う。語られないストーリー、語られない思いが多くあるけれど、何を見るのか、読者に託された余白の部分がイメージとして鮮やかで、いい意味でもやもやの残る小説。 とりあえずは素直に全部読むことを勧めたい。何かを信じることの痛々しさを、噛み合わない会話で表現するカズオイシグロ節が効いていてとても良かった。
映画を先に観た。映画では、佐知子と万里子は架空の人物、または悦子が作り出した幻想であったようなラストだった。原作では、ふわっとした終わり方だが、佐知子も万里子も実在の人物である。ただし、悦子の遠い記憶なので、自分と景子の記憶と混同しているかもしれない。過去の後悔を否定せず、忘れもせず、自分の中に受け...続きを読む入れて、薄明の中で生きていく。そんな悦子の姿が描かれていたように思う。
『ミス・サイゴン』だと思った。戦後の痛みと、混乱のなか、世の中が「変化」していくことを嘆き、もがく旧世代の緒方さん(=悦子の義父)と、「停滞」する日本にいてはいけないと信じて、アメリカへ渡ろうとする佐知子。やがて同じように、離婚を経てイギリスに移民した、悦子。佐知子も悦子も、子どもを連れて越境する。...続きを読む本作において、ヒロインたちはとにかく自分を時代の前へ前へ、駒を進めようとする。子どもを巻き込んで。 ミス・サイゴンでは、ヒロインのキムは我が子に未来を切り拓くため、自分の命を犠牲にして、我が子をアメリカに渡らせた。 何が人を越境させるんだろう。海を渡った先に、約束された未来、少なくとも今よりもいい未来があると盲信させるものは何だろう。 この国の家族の形は随分変わった。特に、女性の生き方は。海を渡った悦子の次女・ニキの今も含めて、家族の形と女性の生き方を考えた。映画を観ているような読書時間だった。 文末にカズオ・イシグロの名訳者小野寺健氏、池澤夏樹氏、そして三宅香帆氏の三者三様の充実した解説がある新版が、とてもよかった。
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遠い山なみの光〔新版〕
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カズオ・イシグロ
小野寺健
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