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広瀬すず主演で映画化! 2025年夏公開 英国で暮らす悦子は、娘を喪い、人生を振り返る。戦後の長崎で出会った母娘との記憶はやがて不穏の色を濃くしていく。映画化原作
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「遠い山なみの光」
2025年9月5日公開 出演:広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊
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Posted by ブクログ
深い。 これは秘密にしたい後悔という「亡霊」の物語である。 それは足元にからまった縄のように、私たちに気もつかぬうちに絡まりついている。
【文学の森】2025年9月クールのテーマ作品。 戦後の世の中、価値観の違う人たちが精一杯生きる姿を静かに描いている。 わからない部分もあったので、平野啓一郎さんの解説を聞いたあと、再読したい。 翻訳物は基本的に苦手だが、本作に関しては全く違和感なく、素晴らしいと感じた。日本語の表現の多彩さを考え...続きを読むると、原作より表現が豊かになっているのではないかと思った(原作は読んでないけど)。 石川監督の映画も気になる。
映画を観て感動したので原作を購入しました。 絵のラフを描く時、線をなんとなくでシャッシャと描くように読み、そのラフの中から真実という線画を完成させていくタイプの作品でした。私がラフ線から線画を描こうとしていると、物語から線を待たずに絵の具を塗られていて、「待って…置いていかないで」となりながらも線画...続きを読むを仕上げると絵が完成していた…というような感覚でしょうか。 何度も読み返したくなる好み作品でした。同著者の別作品も読んでみたいと思います。
カズオイシグロのデビュー作。 娘が自殺した女性が、過去の長崎での日々を回想する物語。とても面白いのだが、ストーリー展開的な面白さというより、登場人物たちの会話や、主人公の感覚に違和感を感じて先が気になる、そんな読み方をしたように思う。 読み終えたときに、佐和子は自分自身で、万里子は景子を投影してるの...続きを読むかなと感じたのだが、解説があったことでよりわかりやすくなった。解説を踏まえてもう一度読みたくなった。 どうして今、自分はこの記憶を思い出すのか?そんな視点を持って読むと、わかりやすくなると思う。語られないストーリー、語られない思いが多くあるけれど、何を見るのか、読者に託された余白の部分がイメージとして鮮やかで、いい意味でもやもやの残る小説。 とりあえずは素直に全部読むことを勧めたい。何かを信じることの痛々しさを、噛み合わない会話で表現するカズオイシグロ節が効いていてとても良かった。
映画を先に観た。映画では、佐知子と万里子は架空の人物、または悦子が作り出した幻想であったようなラストだった。原作では、ふわっとした終わり方だが、佐知子も万里子も実在の人物である。ただし、悦子の遠い記憶なので、自分と景子の記憶と混同しているかもしれない。過去の後悔を否定せず、忘れもせず、自分の中に受け...続きを読む入れて、薄明の中で生きていく。そんな悦子の姿が描かれていたように思う。
『ミス・サイゴン』だと思った。戦後の痛みと、混乱のなか、世の中が「変化」していくことを嘆き、もがく旧世代の緒方さん(=悦子の義父)と、「停滞」する日本にいてはいけないと信じて、アメリカへ渡ろうとする佐知子。やがて同じように、離婚を経てイギリスに移民した、悦子。佐知子も悦子も、子どもを連れて越境する。...続きを読む本作において、ヒロインたちはとにかく自分を時代の前へ前へ、駒を進めようとする。子どもを巻き込んで。 ミス・サイゴンでは、ヒロインのキムは我が子に未来を切り拓くため、自分の命を犠牲にして、我が子をアメリカに渡らせた。 何が人を越境させるんだろう。海を渡った先に、約束された未来、少なくとも今よりもいい未来があると盲信させるものは何だろう。 この国の家族の形は随分変わった。特に、女性の生き方は。海を渡った悦子の次女・ニキの今も含めて、家族の形と女性の生き方を考えた。映画を観ているような読書時間だった。 文末にカズオ・イシグロの名訳者小野寺健氏、池澤夏樹氏、そして三宅香帆氏の三者三様の充実した解説がある新版が、とてもよかった。
本書はカズオ イシグロのデビュー作で最近映画化もされ話題になった作品なので読んでみたいと思い手に取った。 他の方のレビューにある通り難解だった。 舞台は1980年代のイギリスで主人公悦子の元にある理由で娘のニキが帰省し、イギリス(現在)と戦後まもない長崎を回想しながら交互に物語は進んでいく。 読...続きを読むみ進めていくと違和感と?が満載で読み終わったあとも霞が懸かってうっすらしか先が見えない感じ。 それもそのはず、具体的に語られていない部分があるので、解釈を読み手に委ねるタイプ。 なので池澤さんや三宅さんの解説、映画も解釈の一つで正解はないということ。 佐知子、万里子母娘の言動も謎や違和感ばかりで、ちょっとホラーっぽいところもあるし。 悦子の嘘か記憶が曖昧なのか?浮き彫りになったのがタイトルの元にもなっているであろう稲佐山ロープウェイのシーン。 悦子と佐知子、万里子の3人で登った筈なんだけど、そしてこの場所で悦子は必ず幸せになると未来は希望に充ちていたのに、景子への後悔の気持ちを思うと胸が痛みます。 謎や違和感は多く悦子は多くは語らないので時代背景や登場人物の心情を汲み取り推測、想像するのが本書の醍醐味なのかな。 この物語の背景には戦争の不条理さがあるのを忘れてはいけない。 女性の生きずらさや戦後の急激な変化、悲しみや苦しさを乗り越え必死に幸せになろうとした悦子や佐知子の逞しさ、時代の変化の犠牲になった景子が描かれている。 戦争は物だけでなく人の心や人生も狂わせる。 とても奥が深く物語を想像する楽しさがあり読みごたえのある一冊。そして自分の読解力のなさを痛感させられた一冊でもある。 こういう読書もあるのかと良い学びになったかな。 下衆の勘繰りだけど景子は二郎の子供なのかな?○○さんの可能性もあるような気がしてならない。もしかして離婚の原因は…
先に映画を見たら、分からないことがいくつかあり、原作を読んでみた。疑問が解消されたわけではないが、それでいいのかも知れないと思えたし、読んでよかった。 なんだかすべてが霧の中に霞んでる感じ。なのに、強い印象を受ける場面がいくつかあった。 とくに、主人公と舅が戦争にまつわる思い出にふれながら、肝心の...続きを読むことはお互いに避けているような会話。 (ここは映画では、もっと具体的なことを話していた) 主人公と友人の佐知子が稲佐山でかわした会話も、かみ合っているのかいないのか。でも佐知子という鏡をとおして、主人公の気持ちがしだいに分かるように思えた。 映画を見て、分からないことに不満を覚えていたが、分からないことをそのまま受け入れたいという気もちになった。
物語を全体的に覆っているこの薄暗さはなんだろう、と読んでいる間ずっと感じていたことがイシグロワールドと言われるものの正体なのかもしれない。主人公の悦子が抱えた「後悔」というものを軸に、長崎での思い出、そこで出会った佐知子と万里子という存在と、日本を出た彼女と長女の存在、悦子が感じていた価値が大きく変...続きを読む化する時代の中での齟齬が今の彼女に当てはまることに気づいた時、著者イシグロの描きたかった世界が見える。少し難解な作品ではあったが、そこに作品の深さと著者が信頼足り得るというのを掴むには十分だった。彼の別作品もぜひとも拝読したい。
著者のカズオ・イシグロさん、初読みです。長崎生まれでイギリス国籍の方です。ブッカー賞、ノーベル文学賞などを、受賞されています。この作品は初長編で、1982年に彼が英語で書いた小説を、小野寺健さんが翻訳された本です。 私は映画を先に観たので、登場人物は俳優の顔が浮かび、情景も映像が浮かびながらの読書...続きを読むでした。疑問に思っていたことを知りたくて、この本を読みました。訳者のあとがきと、作家の池澤夏樹さんと文芸評論家の三宅香帆さんの解説に助けられて、ようやく理解できました。(と思っていましたが、色々な解釈があることをあとで教わりました。) 小説は、悦子が長崎で過ごした過去と、イギリスで暮らす家に休暇で訪れた娘ニキと過ごす日々が書かれています。喪失を経験した悦子の現在の様子は、戦後、夫と生まれてくる子どもと幸せになるという確信に満ちた言葉からは、想像できないものでした。時が流れた後、悦子と長崎で出会った佐知子の境遇が重なっていく感じがしました。戦前と戦後の考え方の違いも語られ、変わっていくことへの様々な思いを感じることができました。 読後、「遠い山なみの光」のように良い思い出があれば、人は何かあっても生きていけるんじゃないかと思いました。 難しくて自分の読解力のなさを感じましたが、またカズオ・イシグロさんの作品を読んでみたいと思いました。
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遠い山なみの光〔新版〕
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カズオ・イシグロ
小野寺健
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