カズオ・イシグロのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ全く前知識なく読んだ方が良いです。
これは。
読めば読むほど、そういうこと?!と、
色々なことが分かっていって、読むのが止まらない。
本当に止まらなくなります。
どんどん心の鉛が増えていく感じもあるけど、一生私の中に残り続けるだろうなという印象深いシーンもどんどん出てきて、カズオ・イシグロさんの天才的な表現力を痛感します。
私の今年に読んで良かった本ベスト10に入ると思います。
それどころか、もし誰かに「どういう本が好きなの?」と聞かれたら、「土屋政雄訳、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』」とまず答えてしまうかもしれないです。
それくらい良かった。面白かった。
本ってすごい。
バケモノ -
Posted by ブクログ
ネタバレ先日読んだ『わたしを離さないで』から2冊目のカズオイシグロ。免疫(?)がついた状態だったので語り手をかなり疑いながら読んでいました笑
スティーブンスの自己イメージは完璧主義なプロフェッショナルなんだと思うけど、それとは裏腹に人間らしいところが垣間見れてなかなか愛おしいおじさんだった…ミス・ケントン惹かれていたらしい(スティーブンスの独白によるとだけど)のも理解できるかな。
ラストのシーンは閉鎖的だった空間がひらけてふっと風が通り抜けるような感覚があり、かわいそうとも尊いとも笑いともつかない、色々な感情がないまぜになり泣けてしまった。
イギリスとナチスドイツの関係やスエズ危機など、歴史に疎 -
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令和になって共感者がなお増えるのでは
主人公・小野益次が自分の過去の記憶を辿る真面目な姿勢に好感を持つ。なぜだろう。
漱石の『こころ』の主人公・先生は、明治の精神に殉死した。その死は衝撃的で、読者への問いかけはあまりにも大きく、先生は「先生」という神になり読者に越えられない存在となった。
その点、読後の小野は身近だった。戦前は耽美主義的な絵を習い、戦時中にかけ軍国主義を煽る絵を描いて名声を得、戦後は画家を引退したが、時代の大きな変わり目を迎え、先生と呼ばれなくなっても、殉死せず生き続けている。過去を振り返る姿勢は、ある時は自分に厳しいが、ある時は自分の行動を肯定し美化する。信念に従って生 -
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愛と平和は、雌竜が吐く霧によって保たれている。夫婦の愛と社会の平和は、忘却によって保たれている。
雌竜の霧。いい表現だ。
それはともかくカズオ・イシグロが導き出す現実は、身も蓋もないぐらいに厳しい。『私を離さないで』を読んだ後、目の前が真っ暗になるような思いをしたが、この『忘れられた巨人』も同様の読後感を持った。アーサー王物語も古代ブリテンの歴史も知識がほとんどないまま、ファンタジー的な物語なのかと思って読み進めていたが、終盤の終盤に一気に心が鬱になりかけた。
夫婦の旅の目的地は、三途の川の向こうの死の世界だ、と私は読んだ。結局、死は一人で迎えるしかないものである。最後の場面、主人公の決 -
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生まれた時から自分の使命が決まっている。見ず知らずの人のために生きて、覚悟して、自分で選択して終わりを迎える。どんな気持ちなのだろうか。
私はこれまで、自分のことは全て自分で選択してきた。それがどれだけ恵まれている環境だったのかと改めて感じた。親にも、夫にも、感謝しかない。
医学のために存在するクローンの人権についても考えさせられた。現代の医学では、「臓器だけ」だけ作る、よりも「人間」の方が作りやすいんだって。誰かが犠牲にならなくてはいけない世界。今後もより良くなることを願うばかり。研究者の方、日々ありがとうございます。
キャシーとルースは、私と親友Aにとても似ていて何度も思い出さずにはいら -
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ネタバレ自分のためじゃくてジョジーのためだけに全てを尽くすクララが持ってるのは、果たして人間的な心なのか。思いやりや憐憫は確かに心の一側面ではあるやろうけど、保身、嫉妬、依怗みたいな醜い感覚が排除されてるそれを心と呼んで良いのかは難しい。
とはいえそんなクララが、人間を特別たらしめるものを看破してるのが何よりも尊い。
お日さまとの約束とかいう、信仰に近い論理に心からの希望を見出してる感じ、映画『A.I.』と同じくSF作品の中でファンタジーに解決策を見出す矛盾と無力感があった。このパターン心が苦しいからやめて欲しい。
最後の店長の「B3型には愛情を感じられなかった」という言葉、人間に近づき過ぎたもの -
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上海租界で少年時代を過ごしたイギリス人クリストファー。その地には隣家の日本人少年アキラとの楽しい思い出もある。しかし、父親の失踪、それに次ぐ母親の誘拐という事件を経て孤児となり、イギリスの叔母のもとに引き取られることとなる。この少年が、長じて優れた探偵として名を馳せるようになり、満を持して上海に舞い戻り、消えた両親の謎の解明に挑む。
真実を知りたい、という気持ちで読んでいけるミステリー小説のような推進力がありながら、そこで描かれる世界に立ち込める闇は深い。ってその世界とは私たちの住むこの世界である。途中途中、ウィキペディアなどで世界史のおさらいをしながら読み進めた(アヘン戦争、上海租界、日 -
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冒頭は1930年代で主人公クリストファー・バンクスは20代なかば。ロンドンで、子供の頃からの夢だった探偵として認められつつある。
クリストファーは子供時代を上海の租界(外国人居留地)で過ごした。父親はイギリス貿易会社の社員で、母は上海の人々がイギリスが売りつける阿片で苦しんでいることを許せずにいる。そして自分たちの不自由のない生活には中国人たちを阿片付にしていることで父を責める。
クリストファーの一番の友達は日本人一家のアキラだった。二人とも異国で暮らしているのだが、自分の国は上海だと思っている。子供なりに人生を見つめる独自の理論や哲学、自分を保つための嘘もある。
だがクリストファーの父が、次 -
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映画公開時に、映画を見て小説も読んだんだけどまったく理解してなかった、と思う。
カズオ・イシグロのノーベル賞受賞(受賞から数年経っちゃってるけど)でちゃんと読んでみることにした。
1956年、オックスフォードの由緒正しいお屋敷ダーリントンホールに勤める初老の執事スティーブンスは、今のご主人ファラディ氏の休暇に伴い小旅行を計画した。ダーリントンホールは以前は名門貴族ダーリントン卿の持ち物だったが、卿の死後アメリカ人富豪ファラディ氏が屋敷を買い取り、スティーブンスはそのまま新しいご主人に仕えている。政財界に携わり世界の情勢に影響力を持つイギリス人貴族と、戦後の自由なアメリカ人。ご主人の違いにも悩