カズオ・イシグロのレビュー一覧
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ネタバレヘールシャム出身でない提供者は、キャシーがそこの出身と聞くと、その話を聞きたがるという。
それは提供者が自身の記憶として、ヘールシャムを思い出すことができるかもしれないから。
それ以外の提供者にはつらい記憶しかないから…。
キャシーは介護人としての12年間、多くの提供者に話して聞かせてきたのでしょう。
ヘールシャムは幸福な時代だったのかもしれません。
介護人を終えたキャシーは提供者としての運命をたどるはず。
キャシーはヘールシャムの記憶を持つ最後の提供者となるのでしょうね。
そして、その後も提供者たちは生まれ続ける…。
残酷な世界を淡々と語るこの小説を読み終え、何とも言えない感覚になりました。 -
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ネタバレできること、できないこと
『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』で、「もののあはれ」を感じたと書かれていたので気になって。
プロローグから、スティーブンス執事への愛おしさがすごい込み上げてくる!冗談を言ってくるアメリカ人の主人にどう対応するか、悩む様が可愛らしい。終始、話が回りくどくて長いのもいい。
定義するって、言葉でその言葉を説明するのではなく、具体的な出来事等から、その言葉の意味を抽出したり感じたりすることなのかもな。「品格」についての定義を読んでいて思った。
旅の間中、ダーリントン卿を救えなかったことやミス・ケントンがいなくなってしまったことについての出来事を思い返す描写 -
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ネタバレてっきりそれぞれの話が完全な独立しているものだと思っていましたが、ちょっとした繋がりもあって、一冊で連作短編集となっているのですね。
そしてその一篇一遍がレベルが高い!
『老歌手』
ヴェネチアという舞台設定がもうロマンチックなんですが、内容もウェット。愛し合っているけど、これからの自分達の先のために別れる、という芸能界ならではの価値観も、元共産圏の主人公だからこそ、色眼鏡がつかずに、スッと読むことができました。
『降っても晴れても』
カズオ・イシグロはコメディセンスがある、と解説で言っていましたが、本作は確かに然り。切れ味のある台詞の応酬もそうですが、散らかした部屋を偽装するために犬の真似 -
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読んでるときのシチュエーションや、現実世界での出来事、感情、、なども良きスパイスとなって、忘れられない作品になりました。
カズオイシグロさん作品、まだまだ未読のものが多いけど、きっとどれも好きになるという確信めいた感覚がある。著者の持っている根本的なもの、世界の見方とか、人間への洞察とか、そういうものへの信頼の厚さというか。
「カパルディさんは探す場所を間違ったのだと思います。特別な何かはあります。ただ、それは…」という部分が特に好きでした。
この作品を読んでいる間に考えていたこと、それは、「優しさ=想像力」なのかな、ということ。相手の様子、感情、考え、などを理解しようお思いを馳せること -
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『日の名残り』を読んでまず感じたのは、これは英国の老執事が過去を振り返る物語ではなく、「自分の信念を貫いて生きた先に、本当に後悔は残らないのか」を問い続ける作品だった。
主人公のスティーブンスは、名門ダーリントン邸に長年仕えた執事である。ある日、かつての同僚ミス・ケントンを訪ねる旅に出た彼は、その道中で自らの半生を静かに振り返っていく。主人への忠誠を何よりも重んじ、一流の執事として職務を全うすることだけを人生の誇りとして生きてきたスティーブンス。しかし、その回想をたどるほどに、彼が仕事と引き換えに失ってきたものが少しずつ浮かび上がってくる。物語は大きな事件や劇的な展開で読ませるのではなく、一 -
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ネタバレメリーバッドエンドともいえる結末。
クララ本人は、幸せいっぱい。でも、結局廃棄されてしまっているし、献身的に尽くしたジョジー、そしてリックの道は分かれます。
でも、すべては、本当に無駄だったのか、意味が無かったのか?というのはNOだと個人的には思います。
クララ本人が、よかったと思えたのなら……。
そもそも、意味、こころ、愛、信仰とは何か?人間だけが持ち得ると思われているものが極めて曖昧であることに気付かされる一作だと思いました。
本作の独自要素として、『向上処置』というものがあります。こちらは、知性の向上が望める処置で、受けさせているのが現代だと多数のよう(少なくとも一定の階級家庭では)。 -
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ネタバレchatGPTと話してると、よくオススメされるのと、SF好きなので一度は読んでみたかった本作。
展開が遅いのと、徐々に徐々に設定が明らかにされていく構成で、あと一歩で積読になりそうだったんですが、奥歯にものが挟まったかのような書き方が逆に、これどうやって風呂敷畳むの?作者はこの作品で何を描きたいの?という疑問を増幅させ、無理やり60%くらい読み進めたところ、やっと没入できてそこからラストまでは速かったです。
で、読後感が異常なほど切ないのと、結局作者が何を描きたかったのかはバシッとわかりませんでした。
ただ、ヘールシャム〜介護人になるまでが、リアル人生でいうところの学生〜社会人 介護人〜提供者 -
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めちゃくちゃおもろかったんやけどなにこれ
ADHDの頭の中みたい!
自分の思考回路全部言い当てられている。急に怒りが湧いてきたり急に自信が湧いてきたり、次々に訪れる事柄にただ翻弄され、自分の行動や感情でさえも自分自身で選択したものではないような感覚。全くもって乗りこなせていないけれど、自分を正当化することでまた仮初の希望みたいなものを抱いて歩き始める。悪夢の中にいるみたいだ。
それでいて、登場人物たちが主人公の幼年期から老年期のメタファーとして存在することで、ただ微視的に悪夢のようなものを示すだけでなく、人生そのものを俯瞰的に示すような構造になっているのがとても魅力的だ。俯瞰で人生を見せられ -
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キャシーの回想から始まるこの小説。序盤から強く引き込まれる。介護人、提供者、どれも聞き慣れない言葉。
彼女達が幼い頃を過ごした学園。幼き頃の思い出はとても鮮やかなもの。些細なことで友人と喧嘩したり、仲良しグループで固まったり、実は気があることを悟られぬようようこっそり異性の友達と落ち合ったり、どこにでもある、私たちにでもあるような子供時代。だけどとこか私たちとは違う。
少しずつ浮き彫りになっていく学園と自分たちの未来の真実。
学園で過ごした側の立場と、運営側の立場の違い、それ故の残酷さが、なんとも言えなかった。人間らしく扱うことに意味があると思っている側と、だうせ提供されるのなら教育も道徳も無 -
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クララは子供の成長を手助けするAF(人工親友)として開発された人工知能搭載ロボット。
人間の言葉を理解できて、見た目で人間の年齢も推定し、人間の感情を理解しようと努める。
ショーウインドーから街ゆく人々や来店するお客を観察し、外の世界を学び続け、自分を買ってくれる人が現れるのを待っている。
ある日クララはジョジーという病弱な少女と出会い、この少女の家に買い取られてゆくのですが、それはとても感動的なシーンでした。
今やAIアプリなどの普及で「人工の友人」との関わりが身近になってきている時代。
新型のAFがどんどん開発され、お店で売られる日が本当に来るかもしれない…。
クララは献身的で感受性豊 -
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ノーベル文学賞受賞後の第一作目の作品。
人工親友AFと呼ばれる太陽光エネルギーの人型ロボット、クララが販売店に陳列され、ジョジーという女の子に買い取られます。
物語はAFのクララ目線で回想されるところから始まります。
その語り口は優しく、常に敬語で、人間を敬っているのが読み取れます。そう開発されたのでしょう。それがいじらしく、切なく、親しみを抱きます。
ジョジーに愛され、ジョジーの困難を全力で救い、自分の身を犠牲にしていくクララ。きめ細かい気遣いを見せるクララ。ロボットでありながら感情も情緒もあるクララ。だからこそその姿勢は痛ましく、涙を誘います。
二人の関係は、あたかもドラえもんとの -
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すごい話だった...
優秀な介護人キャシーの1人語りで描かれる回想のストーリー。キャシーは誰に話しかけていたのかなあ
"提供者"という言葉、ヘールシャムでの講師陣の謎の発言など、平和な幼少時代の描写の隅々に少し不穏な空気が漂う。
どんどんキャシーたちの立ち位置が明らかになり、物語に引き込まれていった。
真相、物語の運び、全てが美しく整った完璧なフィクションだったと思う。
如何にも近い未来起こりそうな...倫理を考えさせられる話。
情景描写が細やかで、海外文学独特の読みにくさが無かった。すごく良い文章。
キャシーのトミーに対する態度・心情のすべてがもどかしい恋心に基づいた -
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スティーブンスは後悔したのだろうか?
彼が長年仕えたダーリントン卿は、歴史的には誤った判断をした人物として描かれる。利用されていたとも言える。
ミス・ケントンと再開し、昔の恋を打ち明けられた後、スティーブンスは「その瞬間、私の心は張り裂けんばかりに痛んでおりました。」と語る。
スティーブンスは後悔したのか? 何かを失ったのか? という問いだけで読むと、少しずれる気がする。
彼は、何かを犠牲にして職務に逃げたのではない。彼にとっては、職務をまっとうすることこそが、自分の人生をまっとうすることだった。主人が政治的失敗をおかしたとしても、ミス・ケントンとの愛を取り逃がしたのだとしても、だからとい