カズオ・イシグロのレビュー一覧
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もっと早く読んでおけばよかった。こんな世界が、パラレルワールドとしてどこかに存在しているのではないかと思うような素朴さとリアルさ。ルースとキャシーの関係は、私には奇妙に見えた。自分の感情の根っこを見つけるのがキャシーは上手。ルースは不器用。トニーもいい奴。「使命」という、少し誇りを孕んでいるよう言葉を使わないと、彼らも読者も、その宿命を受け止めるのは困難だと思った。余白も絶妙で、読後の満足度も高い。少し厚めの本だけど、読みやすすぎて一気読み。
昔ドラマをやってて、それが良かったのでその後原作を買い、そこから積んでいたので……相当眠っていたな。
すごく美味しい食べ物を食べた後って、お腹が満たされ -
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ネタバレ英国執事スティーブンスが、亡き主人との日々を回想する。偉大な執事とは何かを問う、ノーベル文学賞作家の一冊。
めちゃくちゃいい執事小説だった。
品格のある執事とは、どんな執事が優れた執事なのか、ということをたくさん考えられてよかった。
主人たちの会話を邪魔しないように、かつ、呼ばれたらすぐ反応できるように、宴会場の物陰に立っているというシーンが個人的にかなり印象に残った。これがよき執事というものか。
父親との話は彼らにしか分からない感動があってよかった。スティーブンスがカッコよかった。
この物語の終わりでスティーブンスが受け入れるべき結末も父をまったく同じものとなるのか。と思いながら読み進め -
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ネタバレ臓器提供のために生まれたクローン人間の主人公が過去に過ごした施設での出来事や、同じ境遇の友人達との思い出を振り返っていくストーリー。
はじめは謎が多かったが、少しずつ真実が明らかになっていき、しかもその謎が割とサラッと明かされる。一瞬理解が追いつかず、一拍おいてから驚きが来るのが面白い感覚だった。
メインの登場人物(キャシー、ルース、トミー)についても単なる仲良し3人組ではなく、嫉妬や憐れみなど負の感情を何度もぶつけ合っていたので、途中読むのがしんどくなる時があった。でも彼らの置かれた立場や状況を鑑みるとそういった行動になってしまうのは仕方がないと感じた。自分が同じ境遇だったらきっと彼らの -
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偉大な執事とは何か。
品格とは何か。
自らの仕事に人生を捧げた男の、独白。
執事という仕事に人生を捧げたスティーブンスが、最後にミス・ケントンと出会い、そして彼女が心境を打ち明けた時に彼女の幸福を祝福した(してしまった)シーンで、僕は少し涙が出た。
偉大な執事として、ダーリントンホールに君臨したスティーブンスとしてなら、かつての同僚の幸福を祝福するのは至極当たり前である。しかし、その地位と引き換えに、スティーブンスという1人の人間としての本能はかき消されてしまったのかもしれない。それが良い、悪いではなく、それが生きるということなのだと思う。
カーディナル卿との会話で、スティーブンスは頑なに自 -
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ネタバレヘールシャム出身でない提供者は、キャシーがそこの出身と聞くと、その話を聞きたがるという。
それは提供者が自身の記憶として、ヘールシャムを思い出すことができるかもしれないから。
それ以外の提供者にはつらい記憶しかないから…。
キャシーは介護人としての12年間、多くの提供者に話して聞かせてきたのでしょう。
ヘールシャムは幸福な時代だったのかもしれません。
介護人を終えたキャシーは提供者としての運命をたどるはず。
キャシーはヘールシャムの記憶を持つ最後の提供者となるのでしょうね。
そして、その後も提供者たちは生まれ続ける…。
残酷な世界を淡々と語るこの小説を読み終え、何とも言えない感覚になりました。 -
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ネタバレできること、できないこと
『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』で、「もののあはれ」を感じたと書かれていたので気になって。
プロローグから、スティーブンス執事への愛おしさがすごい込み上げてくる!冗談を言ってくるアメリカ人の主人にどう対応するか、悩む様が可愛らしい。終始、話が回りくどくて長いのもいい。
定義するって、言葉でその言葉を説明するのではなく、具体的な出来事等から、その言葉の意味を抽出したり感じたりすることなのかもな。「品格」についての定義を読んでいて思った。
旅の間中、ダーリントン卿を救えなかったことやミス・ケントンがいなくなってしまったことについての出来事を思い返す描写 -
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ネタバレてっきりそれぞれの話が完全な独立しているものだと思っていましたが、ちょっとした繋がりもあって、一冊で連作短編集となっているのですね。
そしてその一篇一遍がレベルが高い!
『老歌手』
ヴェネチアという舞台設定がもうロマンチックなんですが、内容もウェット。愛し合っているけど、これからの自分達の先のために別れる、という芸能界ならではの価値観も、元共産圏の主人公だからこそ、色眼鏡がつかずに、スッと読むことができました。
『降っても晴れても』
カズオ・イシグロはコメディセンスがある、と解説で言っていましたが、本作は確かに然り。切れ味のある台詞の応酬もそうですが、散らかした部屋を偽装するために犬の真似 -
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読んでるときのシチュエーションや、現実世界での出来事、感情、、なども良きスパイスとなって、忘れられない作品になりました。
カズオイシグロさん作品、まだまだ未読のものが多いけど、きっとどれも好きになるという確信めいた感覚がある。著者の持っている根本的なもの、世界の見方とか、人間への洞察とか、そういうものへの信頼の厚さというか。
「カパルディさんは探す場所を間違ったのだと思います。特別な何かはあります。ただ、それは…」という部分が特に好きでした。
この作品を読んでいる間に考えていたこと、それは、「優しさ=想像力」なのかな、ということ。相手の様子、感情、考え、などを理解しようお思いを馳せること -
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『日の名残り』を読んでまず感じたのは、これは英国の老執事が過去を振り返る物語ではなく、「自分の信念を貫いて生きた先に、本当に後悔は残らないのか」を問い続ける作品だった。
主人公のスティーブンスは、名門ダーリントン邸に長年仕えた執事である。ある日、かつての同僚ミス・ケントンを訪ねる旅に出た彼は、その道中で自らの半生を静かに振り返っていく。主人への忠誠を何よりも重んじ、一流の執事として職務を全うすることだけを人生の誇りとして生きてきたスティーブンス。しかし、その回想をたどるほどに、彼が仕事と引き換えに失ってきたものが少しずつ浮かび上がってくる。物語は大きな事件や劇的な展開で読ませるのではなく、一 -
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ネタバレメリーバッドエンドともいえる結末。
クララ本人は、幸せいっぱい。でも、結局廃棄されてしまっているし、献身的に尽くしたジョジー、そしてリックの道は分かれます。
でも、すべては、本当に無駄だったのか、意味が無かったのか?というのはNOだと個人的には思います。
クララ本人が、よかったと思えたのなら……。
そもそも、意味、こころ、愛、信仰とは何か?人間だけが持ち得ると思われているものが極めて曖昧であることに気付かされる一作だと思いました。
本作の独自要素として、『向上処置』というものがあります。こちらは、知性の向上が望める処置で、受けさせているのが現代だと多数のよう(少なくとも一定の階級家庭では)。 -
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ネタバレchatGPTと話してると、よくオススメされるのと、SF好きなので一度は読んでみたかった本作。
展開が遅いのと、徐々に徐々に設定が明らかにされていく構成で、あと一歩で積読になりそうだったんですが、奥歯にものが挟まったかのような書き方が逆に、これどうやって風呂敷畳むの?作者はこの作品で何を描きたいの?という疑問を増幅させ、無理やり60%くらい読み進めたところ、やっと没入できてそこからラストまでは速かったです。
で、読後感が異常なほど切ないのと、結局作者が何を描きたかったのかはバシッとわかりませんでした。
ただ、ヘールシャム〜介護人になるまでが、リアル人生でいうところの学生〜社会人 介護人〜提供者 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃおもろかったんやけどなにこれ
ADHDの頭の中みたい!
自分の思考回路全部言い当てられている。急に怒りが湧いてきたり急に自信が湧いてきたり、次々に訪れる事柄にただ翻弄され、自分の行動や感情でさえも自分自身で選択したものではないような感覚。全くもって乗りこなせていないけれど、自分を正当化することでまた仮初の希望みたいなものを抱いて歩き始める。悪夢の中にいるみたいだ。
それでいて、登場人物たちが主人公の幼年期から老年期のメタファーとして存在することで、ただ微視的に悪夢のようなものを示すだけでなく、人生そのものを俯瞰的に示すような構造になっているのがとても魅力的だ。俯瞰で人生を見せられ