カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • 充たされざる者

    Posted by ブクログ

    この作家は、読者に霧のなかを歩かせる。名声高いピアニスト、ある街のリサイタルに招かれるが、住民の厄介ごとに巻きこまれ....。テーマは家族愛だろうか。最後救いあるけど、仕事人間のお父さんへのペーソスを感じる。どこの国、時代、家庭にもありそうな不条理。読み終えるのが難渋で、再読はしたくない。

    0
    2018年06月25日
  • 忘れられた巨人

    Posted by ブクログ

    静か。だ。霧が深いところも。霧が晴れてしまった後も。
    忘れるべき記憶とか、思い出さない方が良い過去とか、そういうのがテーマらしい。ある意味政治的ともいえる主題と、それに付随する読者のあーだこーだな五月蠅い解釈を、越え、貫かれる一本のしんとした静謐に、ただただ心を打たれた。

    0
    2018年06月14日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

    Posted by ブクログ

    ガスオ・イシグロのノーベル文学賞受賞記念講演を書籍化したもの。英語と日本語の対訳式なのは嬉しいが、99ページしかない本(つまり日本語はその半分)で1404円はさすがに高い。元を取るため英語でも読み直そうかな。
    ただし中身は短いながらも充実したもの。彼を日本人作家のように扱う風潮は批判されて当然だが、同時に彼の文学の根幹をなすものが「記憶の中の日本」というファクターであることが、本作を読むとよく分かる。創作に関わる面では、タイトルにもなっているハワード・ホークスの映画『特急二十世紀の夜』にからめ、「登場人物」にも増して「登場人物同士の関係性」が面白くないと、物語は面白くならないことに気づくくだり

    0
    2018年04月30日
  • 忘れられた巨人

    Posted by ブクログ

    世界観がすごい、というか、とにかく壮大だった。
    読んでいて思わず上橋菜穂子作品を読んでいる錯覚に陥りそうになる。壮大なファンタジー作品というべきか。
    老夫婦が遠方に住む息子を訪ねて旅に出る。その道程で出会った様々な人々や生き物。様々な風景。様々な出来事。
    人物の交わす会話の中に、文章の中に、いろんな意味や暗示が込められている。愛と復讐と裏切りと恨みと。。。それらを逃さず読まなきゃと一語一句必死で読み進めていたらやたらと時間がかかってしまい大変だった(笑)
    結末は、何とも言えない複雑な気持ちが残った。

    0
    2018年04月09日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

    Posted by ブクログ

    カズオイシグロ氏のノーベル賞受賞講演を翻訳、書き起こしたもの。左に英文、右に日本語訳が載っている。受賞時期にネットに毎日新聞の訳文が載っていたが、やはり本の方が読みやすく、文もこなれている感じがして購入。訳者はイシグロ氏の本を多数訳した土屋政雄さんだった。

    20代、30代、40代、の区切りをつけながら、小説を書くに至った経緯や書きながらの分岐点などが語られ、氏の歩んできた道と、文学に対する信頼や希望が語られ、改めて氏の人となりに好感を持った。

    0
    2018年08月30日
  • 忘れられた巨人

    Posted by ブクログ

    日本語タイトルは「忘れられた巨人」ですが、原語の意味は少し違うようです
    それは、今の日本そのものなのかもしれません

    訳本なので原作はどうか分かりませんが、とても読みやすい物語です
    舞台はあの有名ファンタジーを彷彿とさせますが、内容は作者の今までの作品との共通性を感じさせます
    物語の結末が明解にされないところもそうですね

    様々な人物が登場し、そちらの方が大きく変化していくのですが、主人公たちはどこか坦々と自分たちの人生を歩んでいきます
    しかし、その人生にも紆余曲折があったことが明かされていきます

    何かを得たようで、何を得たのか分からないそんな話でした

    0
    2018年03月08日
  • 忘れられた巨人

    Posted by ブクログ

    とうとう読みましたよ!
    今までのカズオ・イシグロさんの中では、一番読みやすかった。
    みんなで竜退治をしよう!というファンタジー。
    いや、もちろんディストピア小説ではあります。
    希望を持って読み進めていくんだけど、まただんだんいやーーな気持ちに(苦笑)

    「忘れられた巨人」とはなにか、わかったときにどーんとまたいやーーな気持ちに…

    浅いレビューですみません。(あずきこ)

    0
    2018年02月03日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    購入済み

    話題作

    ドラマ化され、世界的な有名な賞をとり、
    初めてですが読んで見ることにしました
    最初は、なんだか話がよくわからないなあ、、なんて
    思ってましたが、途中からページをめくる手が止まりませんでした
    自分には程遠い世界と思いがちですが、実際に起こっている世界とだといいことを
    認識していたいと思いました。一度は読んでおきたい作品だと思います

    0
    2017年10月16日
  • 忘れられた巨人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    アーサー王伝説の舞台を借りたファンタジー。人々が物忘れをするようになり、おぼろげに息子のことを覚えている老夫婦が息子の住む村に向けて旅立ちます。旅の過程で、物忘れの原因を突き止め、断ち切ることに成功します。その結果記憶は戻ってきましたが当然幸せなことばかりではなく。そして「巨人」の意味も分かります。
    Buried giantが「忘れられた」に訳されているけど、これは読んでみて初めてわかるネタばれ。
    相変わらずイシグロらしい独特のじれったい語り口です。

    0
    2018年11月05日
  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    Nocturnes(2009年、英)。
    音楽をメインテーマとした短編集。チェーホフを彷彿とさせる哀切感漂う3編(奇数章)と、アメリカンコメディーのような2編(偶数章)で構成されている。

    「降っても晴れても」が一番好きだ。著者の作品としては例外的に軽妙に笑える。とはいえ、根源にあるのはやはり哀愁なのだが…。全編を通して私が最も好きな登場人物が、この物語の主人公、レイモンドなのである。他の人々が自分の才能を人に認めさせようと躍起になる中、彼だけは自分のアドバンテージを自ら放棄して、親友夫妻のために道化役を演じるのだ。それが本人の意図を超えて、何もそこまでやらんでも、というほど必要以上に道化になっ

    0
    2022年09月06日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    感慨文学ほぼ初めて挑戦しました。
    向いていないかも、、。
    登場人物たちの感情がなんとなく掴みづらかった。

    物語の雰囲気はとても好き。人物たちには入り込めなかったけど物語の風景とかは想像しやすかった。
    いつもは人物に感情移入をして小説を楽しむけど、今回は物語に入って登場人物達を傍観してる感じで、違った楽しみ方ができました。

    キャシーとトミーが一緒にテープを探すシーン大好き。
    淡くてキラキラでふわふわの映像が脳に流れてきた。

    0
    2026年06月11日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    翻訳が硬めでなかなか読み読みづらくはあったものの、それでも最後まで読みきれたのは、内容が勝っていたからだと思います。
    人工知能を持ったロボットが織り出す物語ですが、人間とロボットの間にある感覚の違いを見事に表しています。
    ロボットだからお役御免でいいのかと思ってしまいました。
    ふと自分も壊れた機械を何も考えず燃えないゴミで出してるなと思い、その感覚に近いのかなとも思いました。

    0
    2026年06月08日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    前にドラマでありましたね。衝撃を受け全話みたのですが原作と出会えたので一読。
    こんな話だったな…と思いながら独特の怖さと隣り合わせ。
    こういう事はもちろん許されてはならないが、形は違えどどこかで行われてかも。と妙に現実味も感じ取れ…
    誰か幸せになれなんだろうか?

    0
    2026年06月03日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    仮に自分の将来が、誰かのために捧げられるものだと決まっていたら、どのように人生を生きれるのだろうか?
    そのように、生きる意味を考えさせられる作品だった。

    物語は主人公の淡々とした回想によって進んでいく。
    施設で過ごした幼少期の日々や仲間たちとの交流が静かに描かれ、その穏やかな語り口だからこそ、登場人物たちに課せられた過酷な運命がより際立って感じられる。

    読み終えたあとには強いやるせなさが残った。
    人間らしく生きることの意味や尊厳について深く考えさせられ、読後に長く余韻を残す一冊。

    0
    2026年06月03日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    父親の臨終に立ち会わず、道を過つ元主人ダーリントン卿を止めず、ハウスキーパー(家政婦長)だったミス・ケントンの想いに一切気付かず……。

    常に「品格」を意識して「偉大な執事」たらんと長年努めてきたスティーヴンス。そうして得たのは冷淡、無関心、傲慢、空虚——傍から見ればおよそ人間的な温もりを感じられない立ち居振る舞いと半生だった。終盤にようやく少し認識できた彼のこれから先や如何に。

    己の領分に留まり、そこで全うする。——程よければまっとうだが、過ぎれば世界に対して無自覚・無関心・無批判で空っぽになる恐ろしさ。世界情勢はおろか目の前のミス・ケントンの気持ちにすら暗すぎるスティーヴンスが、彼の上品

    0
    2026年06月02日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    救いようもない話だが、彼らは「不幸」だったのか?
    子供時代からヘールシャム(施設)を出るまではクローンである事を除けば普通の学生達のような穏やかな青春群像だった。
    時は過ぎ当時の仲間とも関係は希薄になっていきやがて「提供者」としてどんどん消えていく。
    ラストで有刺鉄線を見つめる主人公が想像した世界とはどんなものだったろう。
    クローンをモノとして扱う華やかな外の世界の残酷さとクローンである事も自分の運命も淡々と受け入れている彼らの対比が切ない。それでも彼らの人生には間違いなく感情という「彩り」は存在していた。「かわいそうな子たち」と切り捨てられてはたまらない。何が正解だったのか。重たい問いだけが

    0
    2026年05月26日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    やっぱりカズオ・イシグロの本。情景描写が上手くてどんな風景を見ているのかよくわかる。あと登場人物が時々出てくるやつとかが多くてあれ?こいつ誰だっけと思うことがあったり。あなたも当然知ってるよねのスタンスで新キャラを出してくる。
    話はかなりグレーな感じだけど、やっぱり落ち着いた雰囲気を出しながら読者に考えを出させようとする。
    ほんの中には答えがありそうでない感じ最高にカズオ・イシグロ

    0
    2026年05月20日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    真面目な執事の生涯を綴った物語。執事としてのプライドと、仕事第一が故に見過ごした男女の機微。
    豊かな情景描写と細やかな心の動きの表現が淡々とした日常を鮮やかに思い浮かばせる。

    0
    2026年05月14日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    イギリスの歴史本を借りたのでせっかくならイギリス文学を、と一緒に借りた本。

    「この人、執事としての矜持にこだわり過ぎて生きにくそうだなぁ」と思いながら読み進めていたが、最後はとても哀愁を感じる終わり方だった。

    当時のイギリスの貴族文化がどんなものだったのかわかっておらず、教養のなさが浮き彫りになるような感想しか浮かばなかった。
    解説でこの作品の読み方を学んだ。

    この作品から味わえることの半分も味わえてない気がしている。

    0
    2026年05月06日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    静謐
    映画化良さそうじゃねと思った、、
    明言せずに設定を雰囲気とか背景で匂わせてくる本だった

    『でも、カパルディさんは探す場所を間違ったのだと思います。特別な何かはあります。ただ、それはジョジーの中ではなく、ジョジーを愛する人々の中にありました。』

    0
    2026年04月29日