カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • 忘れられた巨人

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    世界観がすごい、というか、とにかく壮大だった。
    読んでいて思わず上橋菜穂子作品を読んでいる錯覚に陥りそうになる。壮大なファンタジー作品というべきか。
    老夫婦が遠方に住む息子を訪ねて旅に出る。その道程で出会った様々な人々や生き物。様々な風景。様々な出来事。
    人物の交わす会話の中に、文章の中に、いろんな意味や暗示が込められている。愛と復讐と裏切りと恨みと。。。それらを逃さず読まなきゃと一語一句必死で読み進めていたらやたらと時間がかかってしまい大変だった(笑)
    結末は、何とも言えない複雑な気持ちが残った。

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    2018年04月09日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    カズオイシグロ氏のノーベル賞受賞講演を翻訳、書き起こしたもの。左に英文、右に日本語訳が載っている。受賞時期にネットに毎日新聞の訳文が載っていたが、やはり本の方が読みやすく、文もこなれている感じがして購入。訳者はイシグロ氏の本を多数訳した土屋政雄さんだった。

    20代、30代、40代、の区切りをつけながら、小説を書くに至った経緯や書きながらの分岐点などが語られ、氏の歩んできた道と、文学に対する信頼や希望が語られ、改めて氏の人となりに好感を持った。

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    2018年08月30日
  • 忘れられた巨人

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    日本語タイトルは「忘れられた巨人」ですが、原語の意味は少し違うようです
    それは、今の日本そのものなのかもしれません

    訳本なので原作はどうか分かりませんが、とても読みやすい物語です
    舞台はあの有名ファンタジーを彷彿とさせますが、内容は作者の今までの作品との共通性を感じさせます
    物語の結末が明解にされないところもそうですね

    様々な人物が登場し、そちらの方が大きく変化していくのですが、主人公たちはどこか坦々と自分たちの人生を歩んでいきます
    しかし、その人生にも紆余曲折があったことが明かされていきます

    何かを得たようで、何を得たのか分からないそんな話でした

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    2018年03月08日
  • 忘れられた巨人

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    とうとう読みましたよ!
    今までのカズオ・イシグロさんの中では、一番読みやすかった。
    みんなで竜退治をしよう!というファンタジー。
    いや、もちろんディストピア小説ではあります。
    希望を持って読み進めていくんだけど、まただんだんいやーーな気持ちに(苦笑)

    「忘れられた巨人」とはなにか、わかったときにどーんとまたいやーーな気持ちに…

    浅いレビューですみません。(あずきこ)

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    2018年02月03日
  • 充たされざる者

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    不思議と読み進めてしまう

    非常に独特で、つかめそうでつかめないような、笑えるような笑っちゃいけないような、ぬるぬるした小説。
    これは誰もが見る「夢」の共通言語で描いたというインタビューを見て、その描写のあまりの巧みさに気付いた。

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    2017年12月21日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    購入済み

    話題作

    ドラマ化され、世界的な有名な賞をとり、
    初めてですが読んで見ることにしました
    最初は、なんだか話がよくわからないなあ、、なんて
    思ってましたが、途中からページをめくる手が止まりませんでした
    自分には程遠い世界と思いがちですが、実際に起こっている世界とだといいことを
    認識していたいと思いました。一度は読んでおきたい作品だと思います

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    2017年10月16日
  • 忘れられた巨人

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    ネタバレ

    アーサー王伝説の舞台を借りたファンタジー。人々が物忘れをするようになり、おぼろげに息子のことを覚えている老夫婦が息子の住む村に向けて旅立ちます。旅の過程で、物忘れの原因を突き止め、断ち切ることに成功します。その結果記憶は戻ってきましたが当然幸せなことばかりではなく。そして「巨人」の意味も分かります。
    Buried giantが「忘れられた」に訳されているけど、これは読んでみて初めてわかるネタばれ。
    相変わらずイシグロらしい独特のじれったい語り口です。

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    2018年11月05日
  • 夜想曲集

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    Nocturnes(2009年、英)。
    音楽をメインテーマとした短編集。チェーホフを彷彿とさせる哀切感漂う3編(奇数章)と、アメリカンコメディーのような2編(偶数章)で構成されている。

    「降っても晴れても」が一番好きだ。著者の作品としては例外的に軽妙に笑える。とはいえ、根源にあるのはやはり哀愁なのだが…。全編を通して私が最も好きな登場人物が、この物語の主人公、レイモンドなのである。他の人々が自分の才能を人に認めさせようと躍起になる中、彼だけは自分のアドバンテージを自ら放棄して、親友夫妻のために道化役を演じるのだ。それが本人の意図を超えて、何もそこまでやらんでも、というほど必要以上に道化になっ

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    2022年09月06日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    最初は翻訳感が強い文章で、背景もイマイチ読めないまま外れかな、なんて感じで始まるものの、途中でだんだん引っかかるものが出てきて、その違和感がだんだん形になっていく中で一気に読んでしまった。
    ある種ディストピア的でミステリ的で、最後も別に明確に終わりがあるわけではない、という点で個人的には消化不良感がある。

    最終的には提供者として死んでいく。その中で幻かもしれないが人生の素晴らしさ、それは主に創作とこの小説の中ではされてると思うけど、それを味わえたことをよしとしているのか、いや残酷だというところなのか、そこの判断はある種委ねてるのかなとは思う。

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    2025年11月29日
  • 日の名残り

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    後半一気に面白くなるタイプの本。ナチドイツ周辺の歴史的な知識があればもっと面白く読めたかもしれない。信念を突き詰めるのもひとつの素敵な生き方だと思うが、スティーブンスは色々なものを引き換えに差し出しすぎたのだろうと思う。人間臭くてよかった。ストーリー展開の派手な物語ではないので、時々眠くなるけれど、日の名残り、というタイトルがしっくりくる穏やかでノスタルジックな小説だと感じた

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    2025年11月24日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    この作品の肝である残酷な事実を除いて読むことが出来たとして、幼馴染の3人とその思い出の場所に馳せる思いは、まんまと語り部のキャシーを肯定するかもしれないけど、その設定を受け入れればルースやトミーと肩を組みたくなる。

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    2025年11月20日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    他のレビューで見たような、最後の語りから想像できる部分が、私にはよく分からず、残念だった。もう一回読んだら分かるかな。
    マリコはどうなったの?と分からないことばかりで、放り出されたような気持ちになった。
    これもこの小説の良さなのかな…
    ただ、戦後長崎の価値観が変化していく様や、その中で逞しく生きていく女性たちの生活感あふれる情景など目の前で広がっていくようだった。
    そして当時の生や死の近さも、とても辛い描写もあったが、その分生々しさがとてもよく伝わった。

    もう一度読んでみたい。

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    2025年11月16日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    映画化されていた為、読んでみた。わかりやすい会話ですーっと読めてしまうが、何をいいたいのかがわからずに最後もあっけなく終わってしまった。解説を読んでぼんやりと感じていた事が明確になった。強烈なインパクトがある話ではないが、なんとなく記憶に残っていく気がする。

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    2025年11月08日
  • クララとお日さま

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    子どもの友達として開発された人工知能を持ったロボットであるクララの一生を描いたSF小説。

    身体が弱いジョジ―の家族に迎えられ、ジョジ―の幸せを願って行動するクララ。
    相手の気持ちをおもんばかり、感情すらもつクララが純粋な心を持った人間のように思える。

    対して、処置した人としない人、人間とロボット、第2世代と第3世代…と何かにつけて比較し態度を変える人間たち。

    人間を人間たらしめるものは何か。
    知能が高いロボットは、人間に使われるべき存在なのか。
    考えさせられた1冊だった。

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    2025年11月02日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    映画を見て、すごくよかったので原作も手に取った。
    むずかし〜〜〜もうちょっと考えないと咀嚼しきれない!
    もう一回読もうかな!

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    2025年10月28日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    10年程前になるだろうか。当時のドラマは衝撃的だった。私が介護人だったらどう思うだろうか。私が提供者だったらどう生きたか。知っているようで知らない生まれた意味、生きる目的。
    それにしても、読み終わるのに時間がかかってしまった。

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    2025年10月28日
  • 日の名残り

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    かなり前に読んだものの再読。

    前半部分はわりと覚えていたのに、ミスケントンと再会する場面を全く覚えてなかった…。
    でもそのお陰で新鮮に楽しく読めました。

    当時も思ったけれど、私みたいに歴史的背景や知識がなくても、主人公の執事としての日常や矜持、過去の日常についての独白が続くのに、退屈せずにどんどん読める。

    スティーブンスは執事としては忠誠心があって優秀かもしれないけど、遊びがなくて、人に対して不器用で鈍感で空気が読めないところがイラッとしつつ段々と可愛らしく思えてくる。

    個人的には言葉遣い一つで登場人物の印象も変わると思っているので、作家さんが書いた言語で読みたいのだけれど、こちらの訳

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    2025年10月21日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    霧の中でなーんも見えなくて手探りで進んでいくうちに何かをつかむ。後で明るいとこでそれを見たら、とんでもなくおぞましいものだった。って感覚。

    「介護人」「提供者」「保護官」などの耳慣れない単語が、主人公キャシーの追憶を通してだんだん形を成していく。キャシーの淡々とした語り口も相まって、その過程がとてもグロテスクだった。彼女にとっては「それ」が「使命」として当たり前のこととされているのが、不気味で…
    でも、私の感じた不気味さと裏腹に、キャシーは友達と過ごし、好きな人と愛し合い…彼女の人生を送っていく。

    全て読み終わった後に、「私と彼らの違いってなんだろう」とぼんやりした。

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    2025年10月17日
  • 忘れられた巨人

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    ネタバレ

    かなり読み終わるまで辛かった。難解。
    老夫婦が息子のの住む村に行く間のファンタジー?
    記憶が消されたり、夫婦が離れ離れになったり、とてもついていけなかった。
    老夫婦はその後どうなるのか?
    私の読解力のなさで、なんかモヤモヤ霧に包まれたように終わった。

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    2025年10月12日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    広瀬すずさん主演の映画を観た後、わからない感があったので原作を読みました。とてもスッキリです。カズオ・イシグロさんの作品の深さを知りました。

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    2025年10月11日