カズオ・イシグロのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本語タイトルは「忘れられた巨人」ですが、原語の意味は少し違うようです
それは、今の日本そのものなのかもしれません
訳本なので原作はどうか分かりませんが、とても読みやすい物語です
舞台はあの有名ファンタジーを彷彿とさせますが、内容は作者の今までの作品との共通性を感じさせます
物語の結末が明解にされないところもそうですね
様々な人物が登場し、そちらの方が大きく変化していくのですが、主人公たちはどこか坦々と自分たちの人生を歩んでいきます
しかし、その人生にも紆余曲折があったことが明かされていきます
何かを得たようで、何を得たのか分からないそんな話でした -
購入済み
話題作
ドラマ化され、世界的な有名な賞をとり、
初めてですが読んで見ることにしました
最初は、なんだか話がよくわからないなあ、、なんて
思ってましたが、途中からページをめくる手が止まりませんでした
自分には程遠い世界と思いがちですが、実際に起こっている世界とだといいことを
認識していたいと思いました。一度は読んでおきたい作品だと思います
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Posted by ブクログ
Nocturnes(2009年、英)。
音楽をメインテーマとした短編集。チェーホフを彷彿とさせる哀切感漂う3編(奇数章)と、アメリカンコメディーのような2編(偶数章)で構成されている。
「降っても晴れても」が一番好きだ。著者の作品としては例外的に軽妙に笑える。とはいえ、根源にあるのはやはり哀愁なのだが…。全編を通して私が最も好きな登場人物が、この物語の主人公、レイモンドなのである。他の人々が自分の才能を人に認めさせようと躍起になる中、彼だけは自分のアドバンテージを自ら放棄して、親友夫妻のために道化役を演じるのだ。それが本人の意図を超えて、何もそこまでやらんでも、というほど必要以上に道化になっ -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初は翻訳感が強い文章で、背景もイマイチ読めないまま外れかな、なんて感じで始まるものの、途中でだんだん引っかかるものが出てきて、その違和感がだんだん形になっていく中で一気に読んでしまった。
ある種ディストピア的でミステリ的で、最後も別に明確に終わりがあるわけではない、という点で個人的には消化不良感がある。
最終的には提供者として死んでいく。その中で幻かもしれないが人生の素晴らしさ、それは主に創作とこの小説の中ではされてると思うけど、それを味わえたことをよしとしているのか、いや残酷だというところなのか、そこの判断はある種委ねてるのかなとは思う。 -
Posted by ブクログ
かなり前に読んだものの再読。
前半部分はわりと覚えていたのに、ミスケントンと再会する場面を全く覚えてなかった…。
でもそのお陰で新鮮に楽しく読めました。
当時も思ったけれど、私みたいに歴史的背景や知識がなくても、主人公の執事としての日常や矜持、過去の日常についての独白が続くのに、退屈せずにどんどん読める。
スティーブンスは執事としては忠誠心があって優秀かもしれないけど、遊びがなくて、人に対して不器用で鈍感で空気が読めないところがイラッとしつつ段々と可愛らしく思えてくる。
個人的には言葉遣い一つで登場人物の印象も変わると思っているので、作家さんが書いた言語で読みたいのだけれど、こちらの訳 -
Posted by ブクログ
霧の中でなーんも見えなくて手探りで進んでいくうちに何かをつかむ。後で明るいとこでそれを見たら、とんでもなくおぞましいものだった。って感覚。
「介護人」「提供者」「保護官」などの耳慣れない単語が、主人公キャシーの追憶を通してだんだん形を成していく。キャシーの淡々とした語り口も相まって、その過程がとてもグロテスクだった。彼女にとっては「それ」が「使命」として当たり前のこととされているのが、不気味で…
でも、私の感じた不気味さと裏腹に、キャシーは友達と過ごし、好きな人と愛し合い…彼女の人生を送っていく。
全て読み終わった後に、「私と彼らの違いってなんだろう」とぼんやりした。