カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • 日の名残り

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    序盤から中盤にかけて退屈だなあと思いながら読んだ。執事たるものこうあるべきとか御主人のこととかそういうことばかりで。ところが中盤以降、徐々に小さくゆらゆらと燃え上がる何かが起こってくる。ちょっと先が気になってきたという状況がやってくる。最後にその燃え上がる何かが弾けるのかと思いきや、そのままゆらゆらして消えていった。そんなお話でした。あと読んでいて感じたのは、スティーブンスに対して「ええ、それはなあ…」という場面が多かった。もちろんこれは自分が現代の日本で生きているという状況で、かつ執事文化にもイギリス文化にも馴染みがないものにとってはなかなか書かれているもの全体を深く味わうことが難しかった。

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    2025年10月10日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    人間であるということはどういうことか。
    誰かの犠牲のうえに成り立っている何かを見ないふりをする社会をあなたはどう感じるのか。
    を問う作品であると同時に、残酷な未来を受け入れていても、それでもなお誰かを愛し、傷つけ合い、想う人間の姿を描くことで、人間の美しさ、儚さ、愚かさについて考えることをさせる作品だった。

    問いに対する答えが用意されている作品ではなく、また登場人物が抱えているだろう諦観以外の感情を激しく書くようなこともされていないため、読後の余韻やざわつきが凄まじく残った。

    (なお、原作で読んだほうがいい作品かと)

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    2025年10月13日
  • 充たされざる者

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    (⁠⌐⁠■⁠-⁠■⁠)疾走してる感じ、フロストパクリぽい。でも読ませる。

    ⊂|⊃
    [ಠ⁠_⁠ಠ]事件が頼み事になってるフロストだな。

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    2025年10月08日
  • 日の名残り

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    お堅いお仕事小説
    脱線に次ぐ脱線がとても長い…ただ物語をつくりこむ執筆の凄さ、そして前作同様 静かな物語だったのを感じた

    今作もイシグロ氏による回想、文学用語の信頼できない語り手 と呼ばれてる物語だった
    わたしを離さないで から入った方が多いと思われる、今作物語はこちらも少し悲劇的に描かれてて、雇主だった者の過ち、女中の思いを気づけなかったなどが最後に想いにふけながら終わってく。しかし見知らぬ男との夕刻の話、つまりダーリントン卿との時間は素晴らしいものではあったのだと、イギリスの執事とはこれほどの仕事で素晴らしくあったのだとと思わせるような内容だった

    誰にでも一生懸命のとき、じっくり考慮し

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    2025年10月07日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ネタバレ

    映画→原作を経ても理解が難しい作品だった。カズオイシグロ作品は深く話の真理を追い求めると更に分からなくなるので、抽象的に読むのが1番読みやすいのかなと思う笑 でも読んだ人の分だけ解釈があるのは面白いなとも思う。私は悦子は景子のことを後悔するあまり、「自害させない為にどうすれば良かったか」を佐知子と万里子との思い出に重ねて、話していたのだと思った。その中には自戒も込めて、ありもしないような話も入れていたのだと思う笑 これを踏まえてまた映画が観たくなった。

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    2025年10月06日
  • 日の名残り

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    自分の領分において他人との境界含め自分の関与すべき物事を徹底的に分別して、努力次第で自分の掌中に収まる目の前の物事をコツコツと行い、穏やかな生活を維持していくスティーブンス。
    自分の範囲を限定するのではなく手を伸ばす意欲を持てば政治においても人間関係においても多くに触れられて自分で舵を切れるという見方もあるかもしれないが、自身の環境はコントロール不能な側面が多いため、知識の補填や強い意志でどうにかなるものではない(3日目夜ハリーの語る品格への疑念)。スティーブンスはあまりに頑固で枠内に収めることに気を取られすぎているので、関与すべき、関与できる範囲を自ら狭めているような気もするが。
    ああすれば

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    2025年10月05日
  • クララとお日さま

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    初作家さん。読むタイミングが良くなかったのか、ちょっと単調で、特に中段は読むのに苦労しました。徐々にジョジー家族の事情が分かっきて、AIのクララの健気さや一生懸命さが、後半になるにつれ哀しくなる。

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    2025年10月04日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    伏線回収!すっきり爽快!本ではありません。
    自分的に気になってた箇所が明確にはならないのでモヤモヤ感が残りました。
    あとがきを読んで、なるほどなぁと思う事が多々。ニキの言葉にはハッとさせられて思わずブックマークしてしまう文章も。そして会話がとても独特。会話の中で何度も繰り返される言葉が印象的だが、会話でその人の表情、心情まで読者に想像させてしまうところがすごいところ。

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    2025年09月27日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    終始女性の一人称で進む物語。土の中でじっ、とし続けているように読み進め、最後の一章で急に飛び立つような展開でした。
    境遇がわからないまま、大きくなっても子どものままのような主人公達。一方で、大きなものに流されている様子は今の私たちと特段変わらないのではとも思えてくる。悲しさや怖さ、爽やかさ、いろんな感情を重ねたら丸になったような、独特な感覚を覚える面白い本でした。

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    2025年09月24日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    小説を読む限りは、佐知子は実在した人物で、過去の悦子にとってはその価値観に腹の底からは承服しかねる異質の存在だったように解釈していたが、映画ではそれは実は悦子そのものであり、そういう人物がいたかのように二キに嘘をついていたと最後にネタバレをして終わるように脚色されていた。原作に対してあまりにも分かりやすく説明し過ぎであり、火曜サスペンス劇場のような単なるエンタメサスペンス映像になってしまっており、舞台のセットや俳優陣は豪華であるものの、映画としてみると☆1。

    記憶を無意識に変えずしては思い起こすこともはばかられるような過去を抱えながら、強く生き抜いてきた当時の人々の人生が思い起こさせられる。

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    2025年09月24日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    不思議な読書感でした。
    ひとりの女性の回想で展開されます、日常の違和感のなか、心理や感情はありがちで、その先は?
    その先は?と何故か引き込まれいきます。
    結末もなんとも言えない感じ、読後もモヤっとします。

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    2025年09月24日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    ネタバレ

    映画化を機に購入。有名作「わたしを離さないで」の世界観が好みだったことを思い出して迷わず読み始めたものの、私にはやや難解だった...。

    起承転結が掴みにくくて、どうにも読み進まない。

    ただ、日本にルーツを持つ著者が日本を舞台にして英語で書いた作品を、日本語で読む。
    このねじれは面白かった気もする。

    映像の方もやや掴みづらそうなので
    ただ世界観に浸るつもりで観に行こう。

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    2025年09月14日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    過去と現在、真実と虚構が錯綜し、半ば混濁した視点から語られる物語に終始翻弄されながら何とか読み終えた。理解できた気はとてもしないけど、題名とも深く関わるケーブルカーの場面は忘れ難い。あと、三宅香帆さんの解説が「渾身」を感じさせるやつだった。

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    2025年09月14日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    カズオイシグロの本は数冊、長編を読んだ事がありますが、この本が一番複雑で理解が難しいです。早く映画を見ようと思います。

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    2025年09月07日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    オーディブルで。終戦直後の長崎。妊娠中に触れ合った母娘。夫のお父さんの話。民主主義の悪。一方、現代は1980年で、現代的価値観を持って、ロンドンで暮らす次女、ニコが、一人暮らしになった母のもとにやってくる。二人の話から、ニコはイギリス人夫との間にできた子で、日本人夫との子である長女は自殺したことがわかる。

    主人公はなんでイギリスに渡ったのか、どういうふうにイギリス人夫と知り合ったのか、妊娠中の話から現在までの間が全く描かれていない。妊娠中の話は不穏だ。親しくしている母娘の母は、アメリカ人と付き合っていて、日本を出ることに心を傾けている。戦争で、富も地位も失い、何もかもが変わってしまったのだ。

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    2025年09月07日
  • 日の名残り

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    人生の”夕方”になって過去を一度振り返る時期になったら、また読み直したいと思う作品でした。
    そして、その時に誇りを持っていられるように今を生きなければならないと感じました。

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    2025年09月01日
  • 日の名残り

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    ノーベル賞を受賞した、日本とダブルなイギリス人が書いた小説。

    年老いた執事が、自分の半生を振り返りながら、旅をし、かつての同僚に出会いに行く話。

    本人にとっての執事という仕事に対しての向き合い方はどういったものなのか。それを振り返り、その仕事に真摯に向き合ってきたがゆえに、その他のこと、具体的には、プライベート、恋愛、そうしたものを犠牲にしてきたを少しずつ自覚し、世間的な状況をも自覚する。

    ビターなエンド。自分はこういう終わり方は好きだ。
    日本語の文章でも非常に美しかったが、これは原文の英語だとさぞ美しい英語なんだろうなと思う。正直、日本語で執事調の喋り方をされると、どうしてもフィクショ

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    2025年08月23日
  • 忘れられた巨人

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    難しかったけどなぜか読みきれた。

    「霧」は認知症のことなのかな、最後のボートの行き先は死後の世界なのかな、息子を探す旅は長い夫婦生活で起きることかな、と解釈した。

    あと「霧」は不幸なこととして捉えられてるけど、本当に不幸なだけなのかな。と思わされた。

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    2025年08月17日
  • 日の名残り

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    ある御屋敷に長く務めている執事が、ふとしたきっかけで数日の外出を許され、その数日の間に自身の過去を回顧していく物語。
    まるでブログを読んでいるかのような感じだった。

    主人公は、その回顧の中で、執事に求められる「品格」や、職業観についてエピソードとともに誇りを持った感じで述べられているんだけど、その一方で、ジョークを言うのが下手だったり、自分に恋心を寄せる女中頭を無碍に扱ってしまったりしていて、結末として自分の生き様に後悔して涙を流す場面があるんだけど、きっと「主人に忠臣を誓う執事」としてあり続けることが自分にとってラクな生き方だったし、間違っていない生き方だという自負があったんだと思う。

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    2025年08月09日
  • 忘れられた巨人

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    3.5 なかなか読むのに苦戦しました。読んでも読んでも進まない感じ。大きな出来事も淡々と語られていく。世界観はファンタジーだが、モチーフは不変の愛はあるのか?がテーマかな。我が身を振り返ってしまう。最近、連れ合いには優しくしてないな。まあお互いにやけど。それでも読んで良かった。別の作品にも挑戦したい。

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    2025年08月09日