カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ドラマが好きで、映画も観て、内容が記憶に残っている為、新鮮さを感じられず。記憶を消して読んでみたい。2-3ヶ月かけちゃった。

    0
    2026年08月24日
  • 充たされざる者

    Posted by ブクログ

    カズオ・イシグロの作品は前に読んだことがあるが、ピンとこなかったし内容も覚えていない。
    この作家はブッカー賞やノーベル文学賞受賞者なので、いつも気になっていた。
    今回、辞書のような分厚い文庫本の見た目に誘われて読んでみようという気になった。

    読んでる途中で感想を書こうと思ったのは後にも先にもこの本が初めてだ。半分くらい読んだところで、この感覚を忘れないうちに記録しておかねばという衝動に駆られる。異様な空気感、そしてとにかく長い。

    描写も文章もスムーズでそれぞれ納得だが、
    物語情景のある部分が突然あらぬ方向に突き進む。
    その情景毎の詰めというか結論がまったくない。
    決着のない尻切れトンボが続き脈絡がない。

    迷って決断できない、思ったけど行動しないなど
    優柔不断の心理描写が多く、苛立つこと頻り。
    スケジュール刻限までにいろいろ他の用事が入り、
    時間に押される切迫感と焦りが続く。

    繊細な描写に都度都度状況に引き込まれるが、延々と続く文章の連なりには辟易する。
    大枠が想像できるだけで、現実性のないもやもやは最後まで残る。

    ライダーという著名なピアニストが主人公だ。
    存続危機にある閉鎖的な小さな町の話で、彼は救世主として文化芸術的なアイデンティティ構築のコンサートにピアノ演奏と講演のために訪れる。
    そこで起こる2日間の”夢現(ゆめうつつ)”の顛末である。演奏会までの時間制約のなか次々と頼まれ事や突発事が重なり忙殺される。

    別れた前妻と撚りを戻して人生の再起を図ろうとする元指揮者ブロツキーの悪戦苦闘。彼はコンサートの指揮を務める目玉の存在であり、過去の破滅的な酒癖や性癖の悪さの記憶がいろいろ甦る。
    前座のピアノ演奏をするステファンの両親特に芸術を異常に愛する母親との確執。ライダーの妻と息子(ホテルポーター、グスタフの娘と孫)との微妙な遣り取り。
    ・・・・。
    950ページのなかの最後の50ページだけが辛うじて現実的な話になると思いきや、それも結論なしでコンサートは成功か失敗かも曖昧だ。

    言葉は人間の精神・脳活動に必須の道具で、成果物の
    小説は現実を超えてあらゆる世界を表現する。
    事実や現実だけでなく、想像や夢や幻想こそ大胆に描いて、読者の心を揺さぶることが可能だ。
    この作品は「現実と夢のまだら空間」のシュールな物語で、読むことの意味に迫り、小説の可能性を問う。
    しかし今の自分には鈍い衝撃と反応がやっとだ。
    彼の他の作品も読んでみようと思う。

    0
    2026年08月24日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    一度挫折しかけましたが、改めて最初から読み直し3日で読み切りました。
    淡々とした物語の中に、英国貴族に仕えた執事のプロとしての品格と信念を描きながら、プロフェッショナルとはなにか、人生において大切にすべきことはなにか、色々と考えさせる小説でした。

    スティーブンスは絶対にミス・ケントンの好意に気づいていたはずです。そうでなければ、要所要所の彼女の行動や発言を覚えていないでしょう。気づいていて、おそらく自分も好意を持っていて、けれど毎晩彼女の部屋でココアを飲む関係以上にはなりたくない、なぜならそれは執事としての仕事の邪魔になるから、彼女の好意には最後まで気づかないふりをする。でも結婚して去った彼女の不幸せそうな手紙を読んで、もしかしたら以前の関係に戻れるんじゃないかと会いにいってみる。ちょっと勝手すぎやしませんかと思うけど、彼女の方は現実的な幸せを見つけている。
    誰だって、心の中にあのときこうしていれば、今頃どうなっていただろうと考えて現実と比べてしまうことはあるけれど、時間を戻すことはできないし、前を向くしかないのだと実感させられます。

    0
    2026年08月21日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    落日と哀愁が特徴的な作品。イギリスの名門貴族に仕えていた執事は主の没落により屋敷を買い取ったアメリカ人の執事として働いていた。ある日イギリスに対する知見を広げるべく、車で数日旅に出てはどうかとアメリカ人主人から提案を受ける。旅に出ながらかつてイギリス人貴族の屋敷で共に働き、結婚を機に屋敷を去った女性に会うべく車を走らせる。古き良き昔を振り返りながらも新しい主人に仕える希望に前を向く執事の物語。

    0
    2026年08月15日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

    Posted by ブクログ

    英国で暮らす主人公がかつて暮らしていた戦後ほどない被爆地長崎での回想。友人と自分、娘同士の比較と思い、運命に翻弄されながらも翻弄されたくない意思を感じる。映画化されたようだが、難しい心の機微をどう表現しているのか見てみたい。2026.8.12

    0
    2026年08月12日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    その人であると何をもって証明するのか、そもそも人間とは何か。AI視点っていうのが興味深い。とにかく読みきったということが自信になった。

    0
    2026年07月29日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    物語は所謂アンドロイドであるクララの視点で描かれる。よく理解できないところが何箇所かあったが、アンドロイド視点だからか、翻訳によるものなのか、物語の世界観によるものなのか、わからなかった。
    クララ視点であるためクララに共感してしまい、人間のアンドロイドに対する接し方はどことなく冷たく感じるが、クララ自身は全くそう思っておらず、何か儚差を感じた。

    0
    2026年07月26日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    本当に本当に私のような大ガキには読みずらい文章だった。言葉も、句読点の使い方も本当に難しかった。最後30ページくらいから引き込まれたけど、読むのに3ヶ月ほどかかった、、。
    伏線は後半で回収される。
    衝撃的で切ない気持ちになる瞬間も多かったけど、もっともっと理解を深めたい。
    タイトルの考察も、もっとしたいな
    この世界線ありうるなあ、すごく思った。
    人間って本当に自分たちの都合のために、正当化して文化を作ってばかりな気がするので。
    いつかこんな未来もあるのかなあ、、

    0
    2026年07月24日
  • 夜想曲集

    Posted by ブクログ

    日の名残りの作者の短編集、ということで読んでみました。
    プロットやストーリーなど面白いのですが、短編のせいか、日の名残りで感じたような登場人物への親しみや近しい手触りが薄く、もうひとつ入り込めない感じでした。

    0
    2026年07月18日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    英国式の愛国ポルノ。
    老執事があの頃は良かったなぁをする。
    回想されるエピソードが特に面白いわけでもない。
    懐古大好きな老人が読むなら良いが若者が読んでもつまらんよ。

    0
    2026年07月03日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

    Posted by ブクログ

    やっと読めた。
    遠くからその情景を見ているような、ゾクっとする感じも、えっと驚かされるような言動やその心も、ただそこに存在したかもしれないけど、読み終わったら佐和子や悦子に思いを馳せるよりも、物語りまるっとざらりとした感触が残る。登場人物の心に入り込みすぎない描写によるものだろうか。

    0
    2026年06月24日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった。主人公の仕事一筋という精神に感銘を受けた。やはり、そのような人間は、ある意味女性的な繊細な感情というのを排除することが得意なのかもしれない。主人公の父親が、黙々と階段の上り下りの練習をするシーンが感動した。心と体が一致しない老いの残酷さを悲壮感たっぷりに演出されていて、それでも死ぬまで仕事を全うするという、果てしない一流の召使いとしての意地のようなものも感じた。主人公の父親の生き様そのものを表していて涙が出た。「かつての主人は、自分の意思で選択をして間違われた、それに対して自分は選択すらしていない」というのは印象に残るフレーズだった。主人に対する深い尊敬と謙遜をここまで客観的に捉えられる姿に感銘を受けた。主人公は、主人が最大の過ちを犯し、ミスケントンとの別れが決定的となったあの夜を人生最高の一時と一寸の翳りもなく言い切っていた。ここまで美しく、残酷な生き方というのはあるのだろうか。
    ファラディ様へのユーモアのあるコミュニケーションを身につけようとするラストは感動した。あんまり深刻になりすぎず、笑い飛ばせばいいのかもしれない。真面目で実直に生きてきた人間が、ユーモアにたどり着くというのは、すごく今の自分に刺さった。

    0
    2026年06月16日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    翻訳が硬めでなかなか読み読みづらくはあったものの、それでも最後まで読みきれたのは、内容が勝っていたからだと思います。
    人工知能を持ったロボットが織り出す物語ですが、人間とロボットの間にある感覚の違いを見事に表しています。
    ロボットだからお役御免でいいのかと思ってしまいました。
    ふと自分も壊れた機械を何も考えず燃えないゴミで出してるなと思い、その感覚に近いのかなとも思いました。

    0
    2026年06月08日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    父親の臨終に立ち会わず、道を過つ元主人ダーリントン卿を止めず、ハウスキーパー(家政婦長)だったミス・ケントンの想いに一切気付かず……。

    常に「品格」を意識して「偉大な執事」たらんと長年努めてきたスティーヴンス。そうして得たのは冷淡、無関心、傲慢、空虚——傍から見ればおよそ人間的な温もりを感じられない立ち居振る舞いと半生だった。終盤にようやく少し認識できた彼のこれから先や如何に。

    己の領分に留まり、そこで全うする。——程よければまっとうだが、過ぎれば世界に対して無自覚・無関心・無批判で空っぽになる恐ろしさ。世界情勢はおろか目の前のミス・ケントンの気持ちにすら暗すぎるスティーヴンスが、彼の上品な言葉遣いと相俟ってロボットのようであった。

    スティーヴンスは、はっきりと言って嫌な奴だ。作者はなぜこの嫌な奴を、それも執事という役割を与えて描いたのだろう? 何かしらを諷刺しているのか?

    作中のミス・ケントンの言動に些か当惑させられた。いきなりスティーヴンスに突慳貪な態度をとり、それが何週間も続くのは彼女の恋心ゆえ? やられた方はたまったものではないが。

    土屋政雄の訳文のうち、ミス・ケントンの役職「housekeeper」を「女中頭」としている事だけが気に入らない。イギリス貴族に仕えた使用人の話なのに、この単語が出た途端に和装のおばちゃんのイメージが浮かんで集中しにくい。イギリスが舞台の小説に日本的要素の訳語は要らない。

    0
    2026年06月02日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    真面目な執事の生涯を綴った物語。執事としてのプライドと、仕事第一が故に見過ごした男女の機微。
    豊かな情景描写と細やかな心の動きの表現が淡々とした日常を鮮やかに思い浮かばせる。

    0
    2026年05月14日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    静謐
    映画化良さそうじゃねと思った、、
    明言せずに設定を雰囲気とか背景で匂わせてくる本だった

    『でも、カパルディさんは探す場所を間違ったのだと思います。特別な何かはあります。ただ、それはジョジーの中ではなく、ジョジーを愛する人々の中にありました。』

    0
    2026年04月29日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

    Posted by ブクログ

    ノーベル文学賞受賞記念講演を文庫化したもの。
    イシグロ作品、2020年くらいまでに日本語で出版されたものについては全て読んでいるので、作品に関するちょっとした解説のようなものもご本人の口から聴くことができてとてもありがたかった。私なりの作品に対する解釈が大きく外れていないことも嬉しかった。
    イシグロ作品はどれも、語り手である主人公が根本的な部分で嘘をついていて、それ分かるとき深淵が顔を出す…という内容なのだけれども、どうしてこのスタイルで小説を描こうと考えたか、ヒントを得た別の作品(音楽や映画など)についても紹介しながら解説されていてとても面白かった。
    彼の中での『日本』という国についても言及されていて、5歳からイギリスで暮らしその後何十年も日本に帰らなかったイシグロの中で、彼だけの『日本』という国が作られていった、という話もとても興味深かった。
    『遠い山なみの光』『浮世の画家』に描かれる日本はどこか現実離れしている世界のように感じられたのだけど、この世界はイシグロだけのものだったからなんだなと腑に落ちた。
    『遠い山なみの光』は、映画でも長崎の風景がどことなく現実離れした絵のように見えた。監督の手腕に驚いた。

    翻訳はイシグロ作品『日の名残り』『わたしを離さないで』『忘れられた巨人』を訳された土屋政雄氏。
    カズオ・イシグロの世界観を味わえる素晴らしい翻訳だと感じた。

    0
    2026年04月05日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

    Posted by ブクログ

    長崎を旅した時のさまざまな情景が心に浮かび、もしかしたら本当にこういうことがあったのかもしれないな、なんて思ってしまった。

    0
    2026年03月28日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    最初の方は読みやすくすらすら読めましたが、途中気が滅入ってしまいました。
    特に、リックとヘレン、その昔の恋人とのやり取りは、この物語の中でも特に醜悪なやり取りだったと思います。
    クララが純真で愛情深く謙虚なAFであるからこそ、そのやり取りがより醜く見えてしまい、そこから読み進めるのが億劫になってしまいました。
    また、その反面、クララのお日さまに対するあまりにも真っすぐな感情には、「そんなことで病気が治るわけがないのに……」という苛立ちのようなものを覚えてしまいました。
    なので、最後にジョジーの病気が治ったことにはとても驚きました。ご都合主義的というか、ファンタジーなシーンだと思いましたが、その先の展開は苦みの残るものだったなと思います。
    全体を通して、あまり楽しめなかったというのが正直なところですが、特別な何かはそれを愛する人の中にある、というフレーズはとても印象に残りました。

    0
    2026年03月24日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    主人公の悦子は記憶の中の佐知子に自分の罪を投影していたのだろうか。それとも佐知子は本当にあんな女だったのだろうか。とにかく佐知子は愚かで嫌な母親のように描かれている。娘の万里子は完全に被害者だ。女の子の唯一の心の支えの子猫を殺してしまうシーンは本当に心が痛んだ。子供のことをよくわかっていて、誰よりも考えているようなことを言うが、結局なにも見えていない。少なくともそのように読者の目には映る。しかしそれは佐知子が本当にそういう人間だったのか、それとも悦子が佐知子を通して自分を責めていたのか、わからないままだ。
    なぜ悦子は二郎と離婚し、イギリスへ渡ったのか。なぜ景子は自殺してしまったのか。そのあたりのことは想像するしかないのだが...景子にとっての子猫のような存在を、悦子は殺してしまったのだろうか。

    0
    2026年03月12日