カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • 夜想曲集

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    大きなドラマが待ち受けているわけではないが
    あとがきを読むと、カズオイシグロはチェーホフに大きく影響を受けているようなので
    なるほどと思う

    5篇目のチェリストにて
    まだ足を踏み入れたこともない庭園が遠くに見えました。
    という節がとても羨ましく思えた

    わたしもミス・マコーマックのような人からそのようなレッスンを受けてみたい
    まだ足を踏み入れたこともない庭園、そんな世界を私も自分の音で見てみたい


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    2026年02月26日
  • 充たされざる者

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    あ、こういう話か…いや、こういう話か…を繰り返し、主人公がカフェに出向く頃にはもうどんな話でもなくなっていて、熱が出る直前に見るやけに長いリアルな夢程度のロジックでゆるゆると話がつながっていく。目覚めてもう疲れてるみたいな読後感。

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    2026年02月24日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    『私たちが孤児だったころ』は、探偵小説の形式をまといながら、実際には“記憶”と“喪失”をめぐる静かな内面劇として立ち上がる作品だ。
    物語を読み進めるほど、主人公クリストファー・バンクスが追い求めているのは事件の真相ではなく、幼いころに失われた世界そのものなのだと気づく。

    記憶の“ずれ”が生む静かな痛み

    クリストファーは名探偵として語られるが、彼の回想はどこか曖昧で、幼少期の上海は理想化され、現実と記憶の境界はにじんでいる。
    この“にじみ”が物語の核心であり、読者は彼の語りをそのまま信じることができない。

    家族の影が、沈黙の中で形を変える

    クリストファーが両親の失踪を追う動機は、探偵とし

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    2026年02月27日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    何かおかしい、なにかを隠されてる…と疑問だったけど、それが明かされても、特に反発もなく受け入れる。なんの隔たりもないような、向こう側の世界には、どうしても行けない。生まれながらに違う世界だから。自分の運命を、自分に課された役割を、目の前のことをこなすだけ。
    不思議な話だったけど、実際に生まれた環境や時代で、搾取される側の人は確実にいる。低賃金で死ぬまで働かされたり。でも、私達はそこは見て見ぬふり。人格や感情や鮮やかな人生があることを、知らない。その方が私たちの精神衛生上いいから。…そんなアイロニーかな。
    繊細な生き生きとした感情描写を読めば読むほど、なんか憐憫や哀れみが浮かんでくるのは、後ろめ

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    2026年02月24日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    昔観たドラマがすごく印象的で、当時から原作を読んでみたいなと思っていた作品。

    「提供者」として生み出されたクローンのお話。
    ヘールシャムは環境が整った人道的な施設だったかもしれないけど、行き着く先(提供者となる未来)が変わらないのなら「人間らしい感性」なんか育たないほうが幸せなんじゃないかと考えさせられる。
    ただ、作風なのかあえてなのかは分からないけど、登場人物の感情(死への不安や恐怖、愛する悲しみ等々)がほぼ描かれないから、終始淡々としていてちょっとつまらなく感じてしまった。

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    2026年02月20日
  • 日の名残り

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    カズオ・イシグロ氏の著書を一度読んでみたいと選んだ一冊 
    主人に忠実に仕える老執事の回想は頑なで陰鬱‥
    人生の夕暮れに半生を振り返り、これからどう生きるか?ということを考えさせられた

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    2026年02月19日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    ネタバレ

    イシグロカズオの信頼できない語り手モノは面白いな、と思う。主人公が信じ込んでいる、両親失踪事件の真相が、上海で調査を進めるに連れてぜんぜん思っていたのと違うことが分かっていく。

    主人公の語りと、回想によって話があっちこっちに飛ぶ構成がちょっと分かりにくい。これが文学上の手法としての「意識の流れ」ってやつなんだろうな…(イシグロカズオのノーベル賞インタビューで、失われた時を求めてに影響を受けてるって話してたからそういうのを感じる)

    舞台になってるのが、第二次世界大戦前後の上海、というのも好きだった。
    というか、チャプター4くらいの上海回想編にたどり着くまでが面白く感じられなくて、頑張って耐え

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    2026年02月09日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    感想は難しい。
    大人の欲望に振り回された子供の一生、って感じかな。
    戦争が引き起こす悲劇。
    血のつながりと同様の友愛。
    残酷な真実と、その上で得た名声。

    切ない物語なのに、不思議と穏やかな感情で締めくくるところで多少救われる。

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    2026年01月18日
  • 充たされざる者

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    いやー、しんどかったです。オーディブルで聞いてしまったので、最初、あれ?と思ってもすぐに振り返ることができず、何度も聞き直して、それでも訳がわからず、かなり混乱しましたが、途中から、夢の世界みたいな、過去も現在もごちゃ混ぜなのかなと思い、わからなくても前に進みました。訳がわかりませんでしたが、これはこれで、すごい小説だと思います。

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    2026年01月16日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    ネタバレ

    Audible
    かつて、彼の作品を読んだ時に原文で読みたいと思ったほど美しい文章だった。それは、この彼の5作品目となる長編小説でも変わらない。

    日中戦争中の上海が主な舞台なので、日本語を話せないという著者だが、それでも中国を苦しめた阿片と、中国を攻める日本軍のことはどのような思いで描いたのだろうと思わずにはいられなかった。それがこの物語を時々苦しくしたが、イデオロギーに固執していないのは救いだった。

    上海で生まれ育ったイギリス人の少年が、相次いで両親が失踪し、故郷イギリスの叔母の元で育てられ、やがてケンブリッジ大学を卒業した後、探偵として名士になる。遺産を相続した後は、孤児を養女に取るほど

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    2026年01月16日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    生命倫理・科学的な話と言うよりも、私たち誰もが感じる「もう二度と戻れない過去、思い出への回帰」が主題であると感じる。ラストのキャシーによるヘールシャムを探そうとは思わない、あの頃の思い出はあの頃のまま保存されているべきだ。といった語りが印象的であった。

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    2026年01月13日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    物語が断片的で、全体を把握するのが難しかった。戦後の混乱期や思想の転換期という時代に翻弄され、後悔を抱えながらも故郷の長崎での思い出を振り返る女性のお話。

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    2026年01月13日
  • 日の名残り

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    これぞカズオ・イシグロ!という名作。
    英国の美しい情景や伝統を描きながら、人間ってこうだよね…というリアルが詰め込まれている。

    英国の執事の一人称視点で物語が描かれる。
    人生をかけて仕えた主人への尊敬や、世間からの評判への後ろめたさ、後悔、恥辱、仕事への誇り、不器用な恋愛等、主人公の中で色んな感情がごちゃ混ぜになった結果、自分に不都合な事実や出来事に蓋をして、自分に都合の悪い部分を隠した主人公の語りが続く。

    そのため、話の核心にもやが掛かったような進行に気持ち悪いなあと思うのだが、これが人間のリアルだよね、ということなのだろう。

    日本にはない執事の文化が興味深かった。

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    2026年01月13日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    評価は正確にいうと⭐︎3.5。
    学生時代に読んだ『わたしを離さないで』の世界観が好きだったので、あらすじから似たような雰囲気を察知してこちらも読んでみた。

    AIロボット視点で語られる美しくて精細な情景描写に対し不穏な気配が根底に漂っていて、そのアンバランスな雰囲気が本当に良かった。
    ただ、ディズニー的なファンタジー要素があるとは思ってなくて、そこだけちょっと拍子抜けだったかも。

    作中でたびたび登場する用語の意味を調べたときに、検索結果に出てきたAIによる要約で物語の核となる計画のネタバレを喰らってしまったことが本当に悔やまれる。
    それさえ無ければもっと衝撃を味わえたかもしれない。

    ラスト

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    2026年01月04日
  • 夜想曲集

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    カズオ・イシグロに触れたのはほんの数冊(その内一冊は二十年近く前に読んでよく分からなかったというオチまである)なので今作の軽やかで、時に切なく、時に楽しいバラエティに富んだ内容なのは驚かされた。
    人生の出会いと別れ、それら一つ一つに悲しんでどうするのか。いつか必ず終わる一時のどんちゃん騒ぎ──そんな風に言われたようだった。
    文体も優しく包み込むような雰囲気があり、静かにジャズをかけながら浸りたい。

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    2025年12月22日
  • 日の名残り

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    「クララとお日さま」を読んで著者の別作品に興味が湧き、英国最高の文学賞ブッカー賞を受賞作と知り、期待して読み始めましたが、取り立てて特別の感動を感じませんでした。
    英国の品格ある執事としての理想を追求する主人公スティーブンス、女中頭として同じ館で働き始めたミス·ケントン、主人公に思いを募らせるケントンと執事としての役目に没頭してその思いに気づかないスティーブンスとの切ないやり取り。
    ダーリントン卿に絶対の信頼感を抱き、その高潔な人格を持つ主人に仕えることこそ執事の本望であると仕えるも、敗戦国ドイツと祖国イギリスの間を取り持とうと卿が奔走するも人々から中傷を浴び、また、自分の過ちもあったことを吐

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    2025年12月21日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    イシグロの作品って、今にも駆け出しそうなのにずっと腕を掴まれてるような感覚に陥る。細部をしっかり見せて静かなフィナーレを迎える、そんな感じ。この本もそうだった。青空が広がっているはずの描写でさえも少し灰色がかっていて常に唯ならぬ空気を纏ってる。

    ディストピアとは思わず読んだので心の準備ができておらず...。人生を全うするのが最善と言われているけど、彼らもそうなんだろうか?介護し提供するだけ人生が最善?...そんなのあまりに悲しすぎる。

    私にとって死は常に意識しているわけではないから、突如その場面に出くわすと恐怖を覚える。なら彼らは?意識せずとも隣にある死と向き合いながら前向きに生きることは

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    2026年04月05日
  • 夜想曲集

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    繊細な台詞と開かれた結末。読後、何日も心に残り続けるイメージが、まるで作品自体が語りかけてくるかのようだ。ただし、英語版で読んだほうがイタリアの情緒や登場人物の感情が’、より生々しく伝わったかも知れない。

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    2025年12月08日
  • 日の名残り

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    後半一気に面白くなるタイプの本。ナチドイツ周辺の歴史的な知識があればもっと面白く読めたかもしれない。信念を突き詰めるのもひとつの素敵な生き方だと思うが、スティーブンスは色々なものを引き換えに差し出しすぎたのだろうと思う。人間臭くてよかった。ストーリー展開の派手な物語ではないので、時々眠くなるけれど、日の名残り、というタイトルがしっくりくる穏やかでノスタルジックな小説だと感じた

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    2025年11月24日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    他のレビューで見たような、最後の語りから想像できる部分が、私にはよく分からず、残念だった。もう一回読んだら分かるかな。
    マリコはどうなったの?と分からないことばかりで、放り出されたような気持ちになった。
    これもこの小説の良さなのかな…
    ただ、戦後長崎の価値観が変化していく様や、その中で逞しく生きていく女性たちの生活感あふれる情景など目の前で広がっていくようだった。
    そして当時の生や死の近さも、とても辛い描写もあったが、その分生々しさがとてもよく伝わった。

    もう一度読んでみたい。

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    2025年11月16日