カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • 充たされざる者

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    すべてが夢の中の話なのかと思うほど、空中に浮かんだように感じる文庫本900ページを超える作品。それなりに話は展開されていくのであきはしないが、もう一度読み返そうとは思えない。イシグロさんの小説の中では散漫だなと思ってしまう一冊。

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    2022年10月08日
  • 夜想曲集

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    短編集。‥‥の割に情報量が多い。一気に読むと疲れるかもしれない。ユーモアは感じたが、いつものすっとぼけたような趣きは感じられなかった。

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    2022年08月20日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    子どもの頃思ってた事。母親がかけっこで自分を追い越してちょっと不機嫌になるところとか、どうしてこんな風に綺麗に思い出せるんだろう。イシグロの繊細で、今感じたばかりのような感情の描写が好きだ。

    非常にヘビーな内容。命懸けで戦地を彷徨うシーンは、後ろから闇が追いかけてくるのに走っても走っても進まない悪夢のよう。時空がぐにゃりと曲がった表現が上手いなぁと改めて思う。

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    2022年07月27日
  • 夜想曲集

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    音楽と夕暮れをめぐる五つの短編集
    相変わらず靴の中に小石が入ったような
    微妙な違和感は相変わらず
    音楽のオチがついてるのはそのうちの二編

    長年連れ添った妻にヴェネツィアで唄を捧げる
    『老歌手』、不思議な才能をもつ美女との
    レッスンを繰り返す『チェリスト』が好き

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    2022年06月05日
  • 夜想曲集

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    「日の名残り」「わたしを離さないで」のカズオ・イシグロによる、音楽をテーマにした5作の短編集。著者の言う通り、5作は個別の作品でありながらも根底に流れているテーマのようなものは繋がっている。

    それは主人公らしき人物の描写に表れている。皆一様に招かざる人か、あるいは本人が望んでないのにこの場所にいる人である。さらに独り身であり、社会的立場が不安定で自分の才能に懐疑的である。

    対して彼らが出会う人々の大半は夫婦であり、野心家で社会的に成功することに価値を置いている。しかもある程度自分の才能について確信がある。しかし成功に対するアプローチはバラバラで、それが基になって人間関係が不安定になっている

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    2022年01月12日
  • 忘れられた巨人

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    過去の歴史、愛憎、民族、伝説、記憶。一気に編み込まれている。呪いが解かれ、記憶が全て取り戻すことは幸せか。老いていく人は記憶をはっきり持っていることだけ望んでいるわけじゃないかな。イギリスの曇った自然が目に浮かびます。
    『クララとおひさま』を読んだ後なので、まだ霧が晴れない重い感じか残ってしまいました。

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    2021年11月29日
  • 充たされざる者

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    まさに、不条理文学。みんながサイコパス。
    物語って、なにか目的があってそれに向かって進んでいくものだけど、これはその途中でいろいろな別の目的がうまれて、結局当初の目的は果たされずに終わる。
    しかもみんな話が長く、別のエピソードを勝手に語ったりするので、語り手と同じように読みながらイライラしてしまう。
    でも不思議なことに、最後まで読めてしまった。すごいなカズオ•イシグロ。登場人物があまりに、予測不能なので、クスッと笑ってしまうところもあった。
    結局、この世界は何だったのか。夢??
    登場人物は結構、語り手と似ているところもあった。

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    2021年11月03日
  • 充たされざる者

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    ブロツキーとは何者なのか
    Audible体験、悩んだ末に分厚さ的にも内容的にも自力で読破できるか不安な本作を選んでみたけど朗読いい感じ。しょっぱなのホテルのポーターの哲学とかハンガリアンカフェとか家族関係をつらつらと綴る感じとか幼少期過ごした部屋の話とか不思議だけどなんか好き
    9番⚽
    ボリスを私の息子だと言い出すライダー
    『2001年宇宙の旅』
    度々思い出したように出てくるゾフィーへの苛立ち
    ブロツキーに延々とチンポとキモい性生活の話聞かされるの嫌過ぎるんですが…

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    2021年06月05日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    カズオ・イシグロさんの本はこれで3冊目。どれも一回読んだだけでは真意にたどり着けた気がしない、そんな底なし感がある。
    この本は少年の頃、両親と引き裂かれた主人公が探偵となり、再会を果たすべく戦火の故郷を傷だらけになりながら彷徨う話だが、結局僕はどこで入り込んで良いのか分からなかった。面白くない、という意味ではなく、隙がない、そんな感じ。
    入り込みどころを探ってるうちに、急激に話がエンディングに向かって進行していく。そしてまたいつから読み返そう、そう思わせて終わっていく。前に読んだ2冊も同じように感じたことを思い出してしまった。
    自分の読解力のなさ、歴史に対する知識のなさ、それが本当に腹ただしい

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    2021年05月05日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    6年ぶりの新作『クララとお日さま』も話題のカズオ・イシグロ、2000年の作品。長編第5作にあたり、このあとが2005年の『わたしを離さないで』。

    大戦前夜の1930年ロンドンから、おそらく20年以上前の上海、租界の少年時代を回想するところから物語が始まる。
    カズオ・イシグロに慣れた身にはそれが「信頼できない語り手」であることは百も承知。彼の語る思い出が本当にあったことなのか、彼の語る印象は彼自身だけのものなのか、つねに疑いながら読んでいくことになる。
    (今回はわりと親切で同級生たちの印象と自分が抱いていたイメージが違うとか「わたしはまちがえて覚えているかもしれない」など、あちこちに「信頼でき

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    2021年03月14日
  • 充たされざる者

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    正直に、読むのにとても疲れた一冊。
    カフカの小説のような不条理感がずっと続き、時間の観念が崩され、いまどこにどれくらいいるのかわからなくなりながら、停滞しそうで停滞しない感じの物語に翻弄される。そして疲れる。
    最後まで気の抜けない感じで、「よし、読むぞ!」と気合いを入れないと読み進められない感覚は久しぶり。
    読後の達成感を味わいたい方は、是非。

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    2021年02月17日
  • 忘れられた巨人

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    ネタバレ

    忘却も世の営みには必要。
    アーサー王の時代のファンタジー世界を舞台に民族間対立・夫婦関係を描く。持って回った描写が著者流。

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    2020年12月06日
  • 浮世の画家〔新版〕

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    時代の変化に取り残された一人の老人。それでも威厳を保とうとするが、その切ないこと。その哀愁は、我が身にも無関係ではいられない切実さもある。

    『日の名残り』では大英帝国没落後も英国紳士を貫こうとする執事でそれを描き、この『浮世の画家』では敗戦後も家父長的父親を演じようとする画家で描く。

    ただ、『日の名残り』の方がより必死さと切なさが描出できている。

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    2020年06月16日
  • 浮世の画家〔新版〕

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    浮世絵の画家の新版
    老画廊は過去を回想しながら、自からが貫いて来た信念と新しい価値観の狭間に揺れる。
    1986年にウイットレッド賞を受賞

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    2019年08月17日
  • わたしたちが孤児だったころ

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    上海の租界に暮らしていたクリストファー・バンクス
    10歳で両親が相次いで謎の失踪

    ロンドンで大人になった主人公が探偵として名をなし
    ついに両親疾走の謎を解くために中国へと向かう

    やがて明かされる残酷な真実

    淡々とした文章で読むのがつらい。
    探偵ってこんなに権力あるの?という疑問や
    主人公の突っ走りすぎる性格にイライラしたり。

    シーーンとした読後感

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    2019年06月26日
  • 忘れられた巨人

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    ネタバレ

    奇妙。読みにくいことはないのだが、なにやら奇妙な話だったなあっというのが正直なところ。
    アーサー王伝説あたりの知識があればもっと面白かったのかも。
    大事な記憶をいつのまにかなくしてゆく。
    それは悲しいことだけれど同時に救いでもあるのかもしれない。
    記憶をなくす原因が竜、というのはなにかの比喩的なものなのかとおもっていたけど、ほんとにいた。
    確かにファンタジー。
    でもそうしたのはマーリンだったという驚き。
    憎しみを忘れさせることで、平和を保つ。
    そもそも憎しみが生まれるようなことをするなよ、と思うのだけれど…
    メインの老夫婦は強く想いあっているようで、
    決定的に分かり合えてないのでは、とも思った

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    2019年05月19日
  • 忘れられた巨人

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    都合の悪いことに目をつぶって幸せに暮らすことはできるけれど、それでは本当の心の充足は得られない…ということか。都合の悪いことを受け止めて、なおかつ心の平穏を保って生きていくことも困難なことだとは思うけれど。関係ないのだが、読み終わってから、SNS時代の情報収集のあり方に思いを巡らせてしまった。

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    2019年05月06日
  • 忘れられた巨人

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    読みにくいよねぇ・・・
    なんでかな・・・
    全体の構成というか、そんなものはわかった気がするが、なかなかストンとくるものがない、というか、
    でも、「わたしを離さないで」だってそうだったかも。
    後でじわじわ考えさせられるというか・・・
    息子のこととか雌龍のこととか、騎士と戦士、修道院の役割、エドウィンの母親についてとか。
    忘れられた巨人ってなんなのか、一言だけその言葉が出てきて、そっか、とは思ったが、それかな、やっぱ大事なのは。

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    2019年04月17日
  • 忘れられた巨人

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    カズオ・イシグロの本を読んだのはこれが初めて。
    目に留まったから読んだのだけれども、
    異世界のファンタジーだった。
    夢の中にいるようで、夢だと合わなくなるつじつまも、最後まで合わせてくる。とはいっても現実世界、夢の話か実体験の記憶か、案外わからなくなる時がある。個人の記憶、集団の記憶、作られ書き変えられるもの。
    この本を通して得た想像の記憶も、少しずつ薄れるし何かと混ぜ合わされるんだろうな。
    そうやって想像力とか世界とか、広がればいいなって思うし、同時に唯一確実な今、今自分が感じること、今目の前にいる人、をしっかり向き合おうと思った。

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    2019年03月31日
  • 忘れられた巨人

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    カズオ・イシグロがファンタジーを!という点で話題になっているようだが、確かに竜や鬼や妖精などが出てくるものの、さほどファンタジー色は強くなく、やっぱり純文学の印象。
    6世紀頃のイングランドが舞台で、ブリトン人とサクソン人の争い、とかあんまりピンとこないのだが、荒涼とした自然を舞台にした冒険旅行記である。
    といいつつも、旅をする主人公は老夫婦であり、その他老騎士なども登場して、アクションシーンはあるものの全体としての流れはゆったりとしている。
    夫が妻を「お姫様」と呼ぶ、老夫婦の純愛が全編に通底し、『日の名残り』にも通じるような気品が漂っているのだが、その一方、霧が晴れたときにあらゆることが覆され

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    2019年01月06日