カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • 充たされざる者

    Posted by ブクログ

    この本はすごい。ほとんどもしくはすべての登場人物が自分のことしか考えられない。もどかしい思いで何度も本を閉じたのだが、読みきったあともう一度それぞれのエピソードを読んでみると、噛めば噛むほど味が出てくる。吸い尽くせないほどに。頑張って読み切る価値がある。

    自分は果たして本当に誰かのことを知りたいと思ったことがあったのか? そう思っていたと感じていたときでも、ただ自分のことを誰かがどう思っているかを知りたかっただけではなかったのか? 時に誰かに優しくすることはできるが、結局いつも自分のことばかりだったんじゃないか? そんなことを思う。

    最初は荒唐無稽で夢のような世界の話だと思うのだが、読み終

    0
    2020年04月19日
  • 浮世の画家〔新版〕

    Posted by ブクログ

    2回目。いつも素晴らしい小説をありがとう。

    初めて日の名残りを読んだ時はたまげたけど、テーマほんとうにそっくり。
    日の名残りの方が華やかさと鮮やかな色彩感があって好きだけど、地味で淡々としていて暗いこちらも良い小説。
    主人公のやるせなさや辛さも、周囲の気まずさや不満も、どちらも手に取るようにわかるから、読んでて少ししんどくなる部分すらあった。


    今主人公を責める周りの人たち、すなわち二人の娘や素一や三宅家の人たちは、戦争中は何を考えてどう行動してたの?
    主人公が先陣切ってやったことが戦後的価値観に照らし合わせれば良くない行いだとしても、当時彼ら周囲の人たちはそれを支持して尊敬したんじゃない

    0
    2019年07月28日
  • 忘れられた巨人

    Posted by ブクログ

    やはりカズオ イシグロの作品はとても面白いですね♪
    記憶が霧に消されている時代の老いた夫婦が息子を訪ねる旅に出るところから始まった物語は不思議な臨場感を伴いながら読者をブリテンの神話世界に誘うけど門外漢の私達にも違和感無くいにしえの世界を旅させて呉れる。「忘れられた巨人」との邦題になっているけど原題(埋められた とか葬られた)のほうがピッタリな気がする。それにしても面白かった!

    0
    2018年12月14日
  • 充たされざる者

    Posted by ブクログ

    巻末の解説によると、発表当初から賛否が大きく分かれたという本書。デビューからそれまでに寡作ながらいずれも高い評価と栄誉ある賞を得た作家が、本当に書きたかったものを書いたそうです。

    出だしから登場する人たちの長いセリフ、それに続く非現実な場面転換。序盤から、読み進める側は、この奇妙な小説をどう受け止めていいのか、戸惑います。否定的な感想を持つ人は、おそらくこの戸惑いを消化できなかったのではないでしょうか。そうした気持ちも当然と言えるほど、風変わりな小説です。

    自分は、その風変わりさが、ルイス・キャロルのファンタジー小説に通じるものとして呑み込み、非現実な進行も含めて楽しむようになり、中盤から

    0
    2018年11月01日
  • 忘れられた巨人

    購入済み

    忘れられた巨人

    ともかく、読んで下さい
    全ての描写に感動する筈です

    0
    2017年10月12日
  • 充たされざる者

    Posted by ブクログ

    カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』が面白いと話題なので読んでみようかと思ったのだが、そう言えば『充たされざる者』が未読だったのを思い出して、読んでみた。

    時間も空間も歪んだ世界で、登場人物は何重にも重なり、悪夢のような(というか悪夢そのものの)不条理が延々と続くが、個々のエピソードが魅力的でグイグイと読ませる。大きな話の筋は世界的ピアニストのライダーが「町の命運は音楽藝術の解釈次第にかかっている」と信じられている町に招かれて演奏と講演を行うというストーリー。その枝葉として、やがて彼の義父であることが明らかになるポーターのグスタフとその娘ゾフィーとの不条理な関係、その関係と相似する名指揮者グロ

    0
    2018年05月17日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    とても辛い内容でした。
    ふんわりとわかるようでわからず色々想像しながら読み、最後の最後で全てが繋がる構成が、主人公達と同じ体験をしているような演出でしょうか。
    読むたびに感想が変わり、新たな発見もありそうです。もう一度読みたくなりますが、心が持たないのでいつか機会があれば。
    日の名残りがとても面白かったので、著者の他の作品も読もうと思います。

    0
    2026年08月29日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    英国の屋敷を支えてきた誇り高き執事の視点で描かれる物語。理想の執事像と主人への盲目的な献身に固執するあまり、同僚女性からの好意や衰えゆく父親への情、主人の過ちを直視する理性など、人生においてより大事なものを取りこぼしていく。
    社会全体の忠誠から個人の幸福へと価値観が移り変わる時代に取り残され、職務にすべてを捧げた男が黄昏時に振り返る人生が切ない。

    0
    2026年08月29日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    以前読んだ『文学効能事典』に本作が載っており、気になったので今回読みました。

    正直、読み切れるか不安がありました。
    というのも、以前イシグロさんの別の作品を読んだ時に読みきれず途中で断念してしまったからです。

    しかし、本作は楽しく、そして心地よく読むことができました。うれしいです。

    その理由を考えてみると、
    小説では珍しく文章が丁寧語で読んでいて心地よさがあること、また執事という仕事を通して「品格」「偉大さ」「紳士」とは何かについて一緒に考えるのが楽しかったからだと思います。翻訳が良かったというのもあるのかもしれません。
    品格について、スティーブンスの父(父も執事)の
    怨みを抱いている指

    0
    2026年08月24日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    臓器提供のためのクローンたちの物語という、色々な展開をさせられそうな突飛な設定でありながら、終始抑制のきいた文章で「人生の中で選ばなかった(選べなかった)選択肢」を見つめる主人公の胸の内を描いているのが唯一無二だと感じた。

    0
    2026年08月23日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    日記帳を覗き見している感覚になる小説でした。友人との出会いと別れ、保護官の葛藤が終始辛かったです。立場が変わると今まで仲が良かった友達と距離ができてしまうのは現代でも当てはまってしまうのかな?と切ない気持ちになりました。

    0
    2026年08月22日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    純文学っぽい、文章に浸る感覚のある本だったと思う。
    最初はなんのお話かわからなかったけど、読み進めていくと徐々に明らかになっていく流れが面白かった。

    0
    2026年08月19日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    良かった!!!さすがカズオイシグロ、全然裏切らない。
    病気の子どもをAIロボットに学習させて、もしも死んでしまったらそのロボットに成り切ってもらおう、という計画。その計画を巡って、その人たらしめる唯一無二の何かはあるのか?という疑問の答えが、その人自身にはないかもしれないけど、周りの人からのその人への想いは、絶対何にも代えられないものだ(だからロボットには代替できない)、という結論だったのが、何となくわかる気がするし、ジーンとしみじみ良いなあと思う。
    あとカズオイシグロの書く子どもは、ただ可愛いだけの存在ではないところが好きだ。子ども同士の微妙な関係とか、他の人の前では別人になってしまうところ

    0
    2026年08月15日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    映画が好きで、この度原作も読んでみようと。
    最初はなかなか進まなかったけど、後半にかけてグンと惹き込まれた。

    映画では掴み切れなかったダーリントン卿の立場、それに対するスティーブンスの思いなんかも分かって、切なくなった。
    スティーブンスに対するイメージもかわったな。また映画もみなおしたい。

    0
    2026年08月07日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    解説に「細部まで抑制が効いた」とあるけど、本当にそんな感じ

    序盤のまだ何もわからない状態での一歩進んだと思ったらまた振り返ってみたいな文章が中々きつかったのですが、施設はなんなのか、そもそも彼等はなんなのかがわかってからはスラスラ読み進められた。

    読み終わってみたは彼等はしっかり「人間的」であったと思うし、ヘールシャムは「特別」だったと思う。

    0
    2026年08月05日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    昔に映画を見た作品。

    ようやくいまになってというのが悲しいと言うトミーの気持ちが、とてもつらい。嬉しいのに、悲しい。

    自分たちが提供者として育つことに何の疑問も持たない、当たり前となっている。受け入れている。誰も取り乱さない。
    クローンの性格はポシブルを反映しているのか。
    キャシーがこのまま提供者になることなく、寿命を全うするとしたらどうなるのだろう。そういった人はこれまでにいたのだろうか。

    0
    2026年08月01日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    英国の執事であるスティーブンスが、思い出を振り返りながら旅をする話。記憶の儚さとか、主人公の鈍感さなどが、人間らしくて興味深かった。

    0
    2026年07月22日
  • 日の名残り

    Posted by ブクログ

    30年ぶりの再読。素晴らしい本でした。若い頃は、女中頭の好意にまともに応えられない執事の臆病さを歯がゆく思いながらも、品格を追求する姿勢に共感して自分もそんな風でありたいと思ったものでした。それから30年が経って品格とは程遠い自分を見ながらこの本を読むと、この執事の臆病さと愚かさは自分と変わらないと感じてしまいます。
    旅に出て昔を回想しながら徐々に自分の過ちに気づき、最後に再会した女中頭との話のなかで自分の臆病さのせいで失ったものに気づいて涙する。しかし日の名残りの時こそが人生の最良の時だと思い至って、これからのことを前向きに考える。
    自分の気持ちに正直に自分の人生を一生懸命に生きる女中頭のミ

    0
    2026年07月07日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    約ネバ


    どんな本か忘れないためだけに書いた感想です。読まなくて大丈夫です。


    提供されることが普通であると、内臓が悪くなったら“提供者”の内臓をもらえると当たり前に思えてしまう世界怖すぎる。

    マダムや先生たちは、提供者たちが家畜ではなく価値のある人であることを世界に伝えるために、絵を描かせていたのね。

    技術が進歩し始めた時くらい、内臓移植ができるようになったくらいの時代に、人間という、提供者という家畜のようなものが生まれなくて(日本だから知らないだけかもしれないけど)よかったと思う。
    もし戦争中だったら、相手国の捕虜とかとっ捕まえて提供者にしてそうだな。

    0
    2026年07月05日
  • クララとお日さま

    Posted by ブクログ

    AFのクララの語り口に時々違和感を感じ
    これがAIだからか、と思う。
    AIとの向き合い方をいろいろ考えた

    0
    2026年07月02日