カズオ・イシグロのレビュー一覧
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表紙と、そして『音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』という副題から簡単に想像できる通り、この作品集には、人生の黄昏時の雰囲気漂う男女の別れを描いた短編が、五編収められている。
思えば夕暮れは、最もロマンチックな瞬間ではないだろうか。
一日で限られた特別な時間帯にだけ、目に映る独特の斜光。それは人によってはただの黄色い光線にしか映らないかもしれない。
だがよくよく考えてみると、その光線とそっくりそのままの夕陽が、将来再び僕らの下を訪れることは決してないのである。
そのような夕暮れ時に、同様にかけがえのない相手であったに違いない男女が、お互いに最後の別れを交わすのだ。
この作品集は、このような悲 -
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アンソニー・ホプキンス主演の実写映画を鑑賞後、早速読んでみました。
英国貴族ダーリントン卿が住んでいた荘厳な邸宅は、今はアメリカ人の手に渡っていた。ダーリントン卿に何十年と仕えていた執事スティーブンスはお屋敷に残ったものの、当時のスタッフ達は離れていき人手不足に困り果てている。
そんな折、当時女中頭を務めていて結婚を機に屋敷を離れた元同僚ミス・ケントンからダーリントンホールでの日々が懐かしいと郷愁を滲ませる内容の手紙が届く。
ミス・ケントンがお屋敷に戻ってきてくれるのではという期待を込めて、スティーブンスは彼女に会いに行くことを決めたその道中、素晴らしい故郷の風景に -
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遠い山なみの光の主人公の父親と同じカテゴリーに属する、戦前にステータスがあって尊敬されていた男性が、戦後にそれまでの若者たちからの尊敬を一気に失って怒りと戸惑いの後に自分の中の落とし所を見つけていく物語
どちらの男性も途中で子や孫に対して上っ面だけの論理でmanipulateしようとする場面が本当にムカついて、その父親をさらに上っ面だけの傾聴でmanipulateしようとする嫁や長女の姿が、つい最近の日本でもまだ女と役割として求められていた、あるいはまだ求められていることと合わせてさらに怒りを感じるとともに、これをもう亡き父にはしなくてよい/してあげられないことを虚しく思った -
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気になっていたクララとお日さま
正直、読み進めるのに苦労した。
それもそのはず。
この物語は、人工知能搭載ロボット(AF)のクララが
主役なのだから。
子供の成長を手助けするロボット、クララ。
病弱な少女ジョジー。
ふたりの友情が育まれつつ、ジョジーを取り巻く
大人たちの問題にクララが巻き込まれていくが、
クララは、見聞きしている情報を正確に捉え分析し、クララなりの答えを出していく。
その結果は。。。
この物語は、クララを通じて多くのことを考えさせ
られた。
子供に対する大人の倫理観と感情論。
環境に対する問題。
クララは静かに分析し。
ジョジーは冷静になりつつも大人達の考えに
導かれる