カズオ・イシグロのレビュー一覧

  • 充たされざる者

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    巻末の解説によると、発表当初から賛否が大きく分かれたという本書。デビューからそれまでに寡作ながらいずれも高い評価と栄誉ある賞を得た作家が、本当に書きたかったものを書いたそうです。

    出だしから登場する人たちの長いセリフ、それに続く非現実な場面転換。序盤から、読み進める側は、この奇妙な小説をどう受け止めていいのか、戸惑います。否定的な感想を持つ人は、おそらくこの戸惑いを消化できなかったのではないでしょうか。そうした気持ちも当然と言えるほど、風変わりな小説です。

    自分は、その風変わりさが、ルイス・キャロルのファンタジー小説に通じるものとして呑み込み、非現実な進行も含めて楽しむようになり、中盤から

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    2018年11月01日
  • 充たされざる者

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    深い動揺と混乱を得た。
    夜見る夢をこんなにも緻密に具現化したものは見たことがない。恐ろしい。悪夢である。

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    2018年01月19日
  • 忘れられた巨人

    購入済み

    忘れられた巨人

    ともかく、読んで下さい
    全ての描写に感動する筈です

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    2017年10月12日
  • 充たされざる者

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    カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』が面白いと話題なので読んでみようかと思ったのだが、そう言えば『充たされざる者』が未読だったのを思い出して、読んでみた。

    時間も空間も歪んだ世界で、登場人物は何重にも重なり、悪夢のような(というか悪夢そのものの)不条理が延々と続くが、個々のエピソードが魅力的でグイグイと読ませる。大きな話の筋は世界的ピアニストのライダーが「町の命運は音楽藝術の解釈次第にかかっている」と信じられている町に招かれて演奏と講演を行うというストーリー。その枝葉として、やがて彼の義父であることが明らかになるポーターのグスタフとその娘ゾフィーとの不条理な関係、その関係と相似する名指揮者グロ

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    2018年05月17日
  • 日の名残り

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    ネタバレ

    内省的で抑制された文章、よく考えられたプロット。
    イギリスを舞台とした日本の私小説のようでいて、
    それでいて英国精神がに根底に流れる本。
    日本の作家でいえば村上春樹氏と近いのかもしれないが
    イシグロの方が剛直か。

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    2026年04月20日
  • 遠い山なみの光〔新版〕

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    映画化されたものは役者さんの演技が非常に素晴らしく、それはそれで見ごたえあったのだけど、最後の種明かしがあまりに納得いかず、モヤモヤしすぎて原作買ってしまいました。
    今はイギリスで暮らす悦子が回想する戦後間もない長崎での暮らしーー時代の変化に苛立ちを隠せない義父と冷淡な夫、恋人についてアメリカに移住さえすれば自分にも娘にも新しい道が開けると信じている、悦子とは対照的なように見える女性・佐知子。その回想の中には、子殺しの不穏なイメージが繰り返し立ち現れて、主人公がすすんで語ろうとはしないその後の離婚とイギリスへの移動、そして娘の自殺という犠牲がほのめかされる。すべてを語ろうとしない秘密をかかえた

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    2026年05月02日
  • クララとお日さま

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    ネタバレ

    献身的なクララが運命を変える、的なハートフルな話と思いきや、かなりブラックな話だと感じた
    確かに、クララ目線ではジョジーが回復して、様々な体験ができてハッピーなのかもしれないが、実際は用済みとして廃棄されている
    途中にもところどころ、向上手術を受けたか受けていないかで格差が決定づけられている描写や、ジョジーの母親の言動に違和感しかないなどの要素が散りばめられており、現代の能力主義の行き着く先として、人の心の温かみが軽視され、誰もが取り替えのきく代用品になる暗い未来が描かれていると感じる

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    2026年05月01日
  • クララとお日さま

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    カズオ・イシグロの文章は主人公(語り手)が必ずしも正しいことを言っている訳では無いので、少し混乱する部分もあった。
    AIは優秀であり能力的には人間以上の働きができるが、特定の人間の代わりになることは出来ないという、人間の尊さが描かれている。
    その一方で、格差社会や心を失いつつある人間達への警鐘を鳴らすような面もあり、自分を見つめ直すきっかけになる作品だった。

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    2026年04月30日
  • 日の名残り

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    優しい文章。読みやすい。
    イメージする執事の典型な感じ。執事としての矜持が素晴らしい、古き良き時代を感じた。

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    2026年04月16日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    描かれている物語は残酷なのに
    登場人物は自分たちの人生に対して残酷だと思っていない
    クローンであることを当たり前のこととして認識している

    『運命を仕組まれた子供達』的な設定が大好きだけど
    この作品はまた違った良さがあった。

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    2026年04月15日
  • クララとお日さま

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    AFという存在が子どもにとってなくてはならない親友なのに、成長したら型落ちの廃品扱いなのが悲しい。
    どこかディストピア感があって、カズオイシグロらしい寂寥さがあちらこちらにあるのが良い。

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    2026年04月15日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    読み終えると様々な思いが生まれ、不思議と心がかき乱される。古くからある題材だし、結末も予想できるものなのに。劇的な展開を排し、我々と変わりない日常生活を丹念に描き、理性的な主人公にその心情を語らせる。その手法が共感を生むのだろう。この悲劇の裏側では、我々の現実世界では救えない命が救われている。どちらがディストピアか。エミリー先生とルーシー先生のどちらが正しいのか。登場人物たちが行わなかった手段(反乱や逃亡や抗議の自死など)を自分はとるか。我々の人生もこの物語の悲劇性を内包しているのではないか。どれも答えはでない。

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    2026年04月08日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ゆっくりと謎が明かされていく構成で、静かに進むが読後強く心に残る作品。
    ヘールシャムとは何だったのかを考えながら読む中で、登場人物たちの何気ない会話や感情に、言いようのないもやもやが残った。
    当たり前のように与えられている「選べる将来」について考えさせられ、時間の大切さを改めて感じた。
    これまでにない、少し変わった読書体験だった。

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    2026年04月07日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    ネタバレ

    約ネバすぎるのがノイズだった
    でもすごく物語の構成も、文体も、登場人物も、綺麗な小説だった
    抽象化すると全体的に"合理"VS"非合理"で対立してたなあ
    最初の方にでてきた先生も、展示会の真の意味も、エミリー先生団体の動機も

    でもやっぱりメインは郷愁だとおもう
    最初の方に現れた提供者がヘールシャムの話を自分の子供時代と混同させて楽しみ聞きたがったように、僕も暖かいベールシャムでの思い出を読むのが楽しかった
    小学生時代のいじめ、芸術作品という評価基準、全寮制の中での秘密の話、時々見える大人の仮面が剥がれた大人の不思議な部分、中学生時代の音楽の流行り、先生に

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    2026年04月07日
  • 夜想曲集

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    「イシグロってこんな作品も書けるのか!」とにっこりしてしまう、小粋な短編集でした。

    私のお気に入りは「降っても晴れても」。
    妻の不機嫌を直してくれと旧友に頼まれ、とんでもない窮地に陥ってしまうさすらいの語学教師レイのどたばたぶりが笑えます。しかも、密かに好意を抱いていた友人の妻には「頭がおかしくなったとのでは」と思われてしまうという、哀しいおまけつき。
    レイのために、サラ・ボーンの唄う「パリの四月」がいつまでも終わりませんように。

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    2026年04月05日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    抑制のきいた端正で静かな語り口で、かえって事実やそれに関わる人たちの不気味さ異常さに慄いた。将来の選択肢はないのに、計画の詳細を曖昧にしたままに感受性豊かに理知的に育てる教育は、教師や利用者の罪悪感を薄めるだろうけれど、子供達にとってとても残酷に思えた。

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    2026年04月02日
  • 日の名残り

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    ネタバレ

    めちゃくちゃ真面目な執事が暇を貰い、思い出を回想。そしてあとでその回想に出てきた仕事で共にした女中頭と再会。
    恋とかそういうのには、結局生真面目なので発展しない。だが、そこがいい。
    そしておじさんとの会話で新たな気付きを得る。ジョークを覚えようか…と次なる道へと進む。

    3日目の夜から一気に物語が変わる印象。
    大変良い教訓を得たと思います。

    また歳をとってから読み返したい。

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    2026年03月29日
  • わたしを離さないで Never Let Me Go

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    複雑で色んな立場の人の思いだったり希望がすれ違ってるのが読んでて切なかった、
    提供者に感情を持たせるのは人道的にも取れるけど、それ以上に酷な気がしちゃった
    キャシーは提供者の番になったのかな
    あと信じたがり屋か知りたがり屋は人それぞれ違そうで面白いと思ったー

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    2026年03月26日
  • クララとお日さま

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    クララに感情移入してラストは寂しく悲しい。
    ジョジーの存在は本人そのものよりジョジーを愛する周りの人々によって作られていく、ということがラストに実感。クララが言うように、どんなにクララが学習してジョジーを継続してもジョジーにはなり得ないのだ。私もまたクララとの関係においてそうなったのだから。

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    2026年03月25日
  • 特急二十世紀の夜と、いくつかの小さなブレークスルー

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    ノーベル賞を取った作家の自叙伝

    カズロ・イシグロさんのことを全然知らなかったので読んでみた。(そもそもノーベル文学賞もちゃんと認識できてなかったです。m_ _m)

    日本生まれながら、海外育ちという特殊なアイデンティティと歴史の波がグッと噛み合い生まれた作品たちなんだなと感じた。
    「記憶の中の「日本」を保存する」というのはオシャレな考えだった。

    また、常に自問自答と、作品を皆に見せフィードバックをもらいなら制作している様子は素敵だった。

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    2026年03月24日