香山リカのレビュー一覧
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けっこう真面目な本だった。鬱の急増は80年代の鬱と表明すると昇進に影響したり周囲の目が憚れれるという状況から、「うつは心の風邪」キャンペーンもあり、だれもが生涯に1度はかかるかもしれない「風邪」みたいなものという認識の変化によって以前は自律神経失調症や肝臓病と本当ではないが嘘でもない診断をしていたのが鬱と診断されるようになったこと、SSRIのように新しい薬が開発されとりあえず投薬のために鬱という診断されたり、SSRIは広範囲な病態に効くので本来なら躁鬱病や不安障害などほかの気分障害が鬱と診断されたりすることなどがあるという。
また、とりあえず自己の核がなくて不安なひとが「殻」をもとめるために「うつ病」に飛びつくというのは、感覚的になるほどというものがあった。 -
Posted by ブクログ
精神科医の香山リカが、出版当時世間をにぎわせていたスピリチュアル・ブームにちくりと苦言を呈した本です。
佳川奈未らのあからさまな現世利益志向や、稲盛和夫らのビジネス界にはびこるスピリチュアル的言説をとりあげ、さらに村上和雄や飯田史彦らのアカデミズムにおけるスピリチュアルへの接近などにも触れています。
その上で、スピリチュアル・ブームの最大の立役者である江原啓之がとりあげられます。そこでは、ブームを作り出した江原本人が、彼の声に耳を傾ける人びとの現世利益志向に行きづまりを感じているのではないか、という見立てが示されています。
「トンデモ」批判というアプローチではなく、ブームに加わった人びとの社会心理学的な問題に迫るというアプローチが取られているのですが、どこか第三者的な感想を記しているにすぎないのではないか、と思えてしまいます。 -
Posted by ブクログ
精神科医である著者が、2009年の段階で皇太子妃雅子さまの病状を報道から推測し、それとは別に適応障害やうつ病、新型うつの病状とその治療実務について述べた新書。
めちゃくちゃ為になったとは思わないけれど、それなりに「ふーん。そうなんだ…」と思う部分はありました。
精神科ではそれほど病名にこだわらないとか…。
適応障害が特定の原因があって、それを排除することで6か月以内に病状が回復するものであるとか…。
まぁ、皇太子妃に対して民間人が本人宛の手紙を載せた本を書く…というのも時代だね。
ただ、この著者の方は上昇志向が強いんだなぁ…とも思いました。
自分は2年連続東大受験に失敗したから東大卒の雅子さまをスゴイと思うってことが書かれていたけれど、この方は東京医科大卒でしょ?
ある程度の受験経験を持っている人なら、東大受験に失敗してそこ?って思うだろうし、目指すのは自由だから、センターで足切りされようがそもそも願書を出していなかろうが「東大を目指していた」とは言えることを知っている。
あえて、東大受験に失敗したとか言う必要はないんじゃないかな~って思いました。
細かいことだけど、精神科医って人の心理に詳しくなきゃダメだし、謙虚に見せないと患者さんに形式的とは言え沿えないから、そういうのってけっこう大事だと思うんだよね…。 -
Posted by ブクログ
カウンセリングを通して感じた「堕ちる」ことの大切さを語った精神科医の香山リカ氏による一冊。「今の時代は見せかけの繁栄に満ちているが、私たちは、精神の荒野という新たな廃墟に立っている。今こそ真の「堕ちる力」を持ち、「堕ちる」ことによって人間が救われるときだ」(P9)という筆者の言葉にひかれて読み始めた。「人並みには!」「目標を持って!」「理想の何々に!」という、上昇志向を求められる、なんだか世知辛い今の時代にとって、大切な考え方の一端が示されているように思う。「等身大の感覚」(P50)というのは確かにキーワードな気がする。ただただ堕ちればよい、誰もが堕ちればよいとは思わないが、この「堕ちる力」の感覚は持っていないと、心と体は必要以上のストレスを感じてしまう時代なんだろうなとは思う。
「堕ちたからこそ見える風景、味わえる快感、出会える人々が必ずいる。そしていったん堕ちたからこそ、私が本当にしたいのはこれなんだと気づくこともたくさんあるだろう。そこからまたゆっくり歩みだし、疲れたらまた堕ちる。それでよいのだ。堕ちることを怖れない。堕ちる力を疑わない。それは自分を信じ、人間を信じ、世界を信じることにほかならない」(P222)