香山リカのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
どんなに頑張ってもうまくいかないことはある。あるいはうまくいかない人がいる。そういう人たちに対して心を軽くしてくれる、現実的なアドバイスが書かれている。例が具体的でそういう考えもあるなと納得感はある。
しかし著者の言うことの表面的な部分を鵜呑みしてはいけない。
こんな考えの人ばかりになったら世の中どうなってしまうのかと思う。
他人が作った人生ではなく、自分の人生を歩むことが重要ということだと読み取った。
自殺者が増加し続けている現代社会に対して警鐘を鳴らしている点では著者の狙い通り。
気に入ったところ
・成否が相手にかかっているものより、自分の努力で手に入れる成功の方が貴重(p43)
・百年に一度の経済危機こそ、大きく飛躍するチャンス、という言い方をする人もいるが、もしチャンスだとしたら、それは経済的な飛躍をしたり資産を増やしたりするチャンスではなくて、「お金がいちばん大切」という人の心や社会の芯までしみついた考え方を見直すチャンスなのではないだろうか(p165)
・本当にマスコミに登場している成功者のような人生を、すべての人が歩む必要があるのだろうか。(p200) -
Posted by ブクログ
ネタバレ精神科医の香山リカの本
ひとの「じぶんをわかってもらいたい」という欲求のもとに起こる、
様々な現代社会の心の問題を解いている。
・SNSに振り回され、見て傷つくのに止められない。
それが本当かウソかも分からないのに一喜一憂して、自分を追い込んでいく
・女友達・親子での「わかって欲しい」「わかってくれるはず」の幻想
恋人やパートナーなら丸ごとの自分を受け止めてくれるハズ・・・なのに
理解してくれてない。(夫の方は以心伝心夫婦と思っている人が多い そうだが)
・わかってもらいたい願望から陥る 洗脳・霊感商法・占い・・・etc
自分自身が「自分をわからない」からこそ 誰かにそれを決めてもらいたい。
受けてもらえたの如く騙される。
自分ですらわからない自分を「わかってもらいたい」気持ち
でも それは心の中全てや一部始終を伝えて、理解してもらう事ではなく、
誰かが自分に「無条件」に「積極的」に関心を抱いて、話を聞いてくれる ということ。
結局のところ そういう事なんだよね。 -
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私もママになったばかりだから、ノンママ・ワーママどちらの気持ちもわかる。
ハラスメントについては結局「触れない」のが一番なのかな。。
自由でいいね、もダメだと思う。
「産んでみなけりゃわからない」という経験主義も非難しているけど、確かに経験してみないとわからないというのは一理ある。私も子供がこんなに可愛いとは、まさしく産まなきゃわからなかった。子供を産むまで、いつまでも「子供」の立場であるということも産んだからこそ実感している。自分が親になってから、親との関係も変わってきた。ようやく一人前と認められたような感じ。当たり前だけど、親は全員ノンママではないので、ノンママの気持ちは理解しづらいのだろうなぁ。
とにかく立場・所属で線引きせず、おかしいことはおかしいという人間でいるという言葉には共感。線引きをしても何もいいことはない。 -
Posted by ブクログ
雅子様自身のご容態よりも最近増えている新型うつというのが気になりました。
「つらくて仕事にはいけないのに、従来の鬱と違ってエネルギーがまたくなくなるわけではなく、趣味の活動など好きなことならできる」というような周りの人から見ると怠けてるだけじゃないかと思えるような状態。従来の鬱のように「自分が悪い。自分はダメな人間だ」というような思いにとらわれることもないらしく、むしろ、「自分は能力が高い」と思っている人が多いらしい。
従来の鬱でさえ怠け病だと誤解されることがあったのに、新型うつを理解してもらうのはむずかしいだろうなあと思ってしまいました。 -
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本書の「キレる」とは、何年間も人を恨み続けたり、怒りにまかせて人を殺してしまうような精神病的な「キレる」とは違い、「ちょっと待たされたり肩が触れた程度で大声で怒鳴る」、「不当な要求が通らないことで異常に怒る」ような現象を指す。したがって今話題のモンスターペアレントもこの類である。本書前半では、このような分類を、症例を挙げながら説明する。後半では、なぜこのような事態になったのかをいくつかの仮説をあげて解説する。これによると、この現象は時代のスピードが生み出すストレスが起因しているそうだ。確かに納得できるが、これですべてが説明できるわけではないだろう。私は、豊かさとそれに伴う生命の根源的目的の喪失感が真因であると思う。であれば、この状況を打破するのは貧しさえの回帰しかなくなるのだが。
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Posted by ブクログ
香山リカが、日本人からモラルが失われつつあることを嘆き、「正当な権利」と「個人の身勝手」が混同されてしまっていることを批判するという、保守論客のような口ぶりで語っていることに、まずは驚かされました。
それでも後半になると、小泉内閣の頃に見られた新自由主義の隆盛を、スパンの長い問題を考える知力や想像力の「劣化」という心理的な要因によって説明するという、著者らしい議論が見られます。もっとも新自由主義の問題を心理的な要因に還元することはできないのでしょうが、精神科医である著者の立場からこの問題に切り込むとこうした議論になるというのはそれなりに理解できます。
ただ、たとえば「劣化」の例として、『奥の細道』を鉛筆でなぞる本がベスト・セラーになったことや、小学校の給食費の未払いが増えていることなどがとりあげられているのですが、どのようなセグメントにどの程度こうしたメンタリティがひろがっているのかということがデータに基づいて示されているわけではありません。印象に基づくエッセイのような時評がこの著者のスタイルなので、あまりとやかくいっても仕方がない気もしますが、さすがにRPGゲームのヒット作が出ていないことから、キャラクターの感情に共感する能力が「劣化」しているというのは少々強引ではないでしょうか。
また著者は、高い「理念」を掲げることで問題を克服しようとする道は、「理性」がいきわたってなければスピリチュアルなどに回収されてしまうのではないかと懸念を表明しています。そのうえで、「他者を手段としない互酬的な世界の実現」という理念や「誇りの持てる国」「美しい国」といった自己賛美など、左右のイデオロギーをともに廃して、「劣化」の「病識」をもつことから現実的な解決を探っていくべきだと主張しています。しかし、そうしたメタ認知の能力がそもそも「劣化」によってうしなわれているのだとすれば、堂々巡りにならざるをえないと指摘しています。
排除型社会での「寛容の劣化」に対する批判には、イデオロギー的なかさ上げにつながるようなある種の「きな臭さ」を感じてしまいました。もっともこれは、著者に対する先入見のせいなのかもしれませんが。 -
Posted by ブクログ
著者はこれまでの著作でも、勝ち組/負け組を選別する風潮への批判をくり返し表明しています。本書にもそうした基調を見てとることができますが、あつかわれている内容が雑然としているように感じました。
恋愛にすべてを捧げるような生き方や、仕事に夢を求める生き方を理想化してしまうことで、かえって苦しんでいるひとたちいます。著者はそうした人びとに向けて、平凡で穏やかに暮らせる「ふつうの幸せ」を見なおすことを説きます。また、自分が生まれた意味についてゆるぎない確信を抱いているのは、新興宗教などにハマッたひとや、精神の病で「私は世界を救う救世主だ」といった妄想を抱いているひとくらいだと述べて、自分の生きる意味を求める風潮にも水を差しています。
就職活動で見られる自己PR合戦に対する著者の違和感には共感しました。「あなたを採用する当社のメリットはなんだと考えますか」といった質問に、20歳やそこらの学生が堂々と答えるというのも、考えてみればずいぶん厚顔無恥になることを要求しているものだと感じます。あと、肩肘を張って生きてゆくことに疲れた人びとに手を差し伸べる精神科医という立場の人びとが、本書のようなメッセージを発しつづけることも、社会にとって必要なことではないかという気がします。
ただ、本書の提唱する生き方にしても、けっして容易なことではないようにも思います。本書には、「一喜一憂を積み重ねながら、……人生の道を歩いていくその足取りの中で、しみじみとした味わいや満足が得られるのではないか、と私は考える」ということばが、さらりと語られていますが、こうした円熟した境地を「ふつうの幸せ」として提示することも、別の形のエリート主義なのではないでしょうか。多くのひとは、やはり今のままの生き方ではもの足りないと考えて、仕事での成功を夢見たり、自分らしさを求めたりせずにはいられないのではないかと思うのですが。