井伏鱒二のレビュー一覧

  • 荻窪風土記

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    戦前・戦中・戦後(1921-58年頃)、井伏鱒二自身とその周辺の出来事についての随想。年季も入り(出版時83歳)、滋味にあふれる。回想記、交遊録、鎮魂歌として読めるが、でも荻窪や阿佐ヶ谷が舞台、風土記という呼び名が一番しっくりくる。
    17の章からなる。読みどころは作家たちの人間模様を描いた「文学青年窶れ」、「阿佐ヶ谷将棋会」、「続・阿佐ヶ谷将棋会」。頻繁に飲みに出かけ、将棋をし、釣りをしている。仕事のほうはいつしているのか、少し心配になる。
    個人的には、「二・二六事件の頃」、「病気入院」、「荻窪(三毛猫のこと)」がおもしろかった。「病気入院」では、発熱時に体験した幻覚の描写が印象的。
    ある劇作

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    2025年05月04日
  • 太宰治

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    太宰治について書いたエッセイ20篇と作品解説2篇。独特のユーモアが漂う。
    ふたりの関係は、交遊とか友愛とか師弟愛といった生易しいものではなかった。才能と魅力はあるが、放蕩する息子と、その後始末をせざるをえない弱気の父親のような関係。しかしその関係がなにかしら不思議な感動を呼び起こす。
    とくに印象に残るのは、太宰の最初の妻・小山初代のことを書いた「琴の記」、太宰の長兄のことを書いた「太宰治と文治さん」、石井桃子が最後に登場する「おんなごころ」。
    放屁問答は2つのエッセイに出てくる。太宰は、「富岳百景」のなかで井伏が富士を見ながら放屁したと書いた。それを読んだ井伏は、していないと抗議したが、太宰は

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    2025年05月04日
  • 珍品堂主人 増補新版

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    さすが井伏鱒二、巧い、読ませる。骨董の魅力と魔力、それが余すところなく描かれている。料理も含め、ほれぼれするようなディテール。しかもユーモラス。「です・ます」と「だ・である」の混在もおもしろい。
    モデルは骨董鑑定士の秦秀雄。北大路魯山人のもとで高級料亭(星岡茶寮)の支配人となったが、従業員をめぐって魯山人とトラブル。小説はこの騒動を描いている。これがあったのは戦前だが、小説の設定は昭和22年。戦後まもない時期に変えてある。
    増補新版では、井伏が秦にどんな取材をしたかというエッセイが加えられている。そのほか、秦秀雄のことを書いた白洲正子による追悼エッセイも。

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    2025年05月03日
  • ドリトル先生と秘密の湖 上

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    研究に行き詰っているドリトル先生を、航海へ連れ出そうとするスタビンズ君たち。優しいなあ。しかし大切な帳面を食べてしまうとは白ネズミよ…なんてことを。今度の船はアホウドリ号。ワニの将軍ジムはなかなか礼儀正しい。ハードカバーだと1冊なんだけど、岩波少年文庫だと上下巻なのよね。ハードカバーの全巻セットほしかったなあ。なくてね…でも読めたことがありがたい。さて下巻を読もう。

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    2025年01月23日
  • 厄除け詩集

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    ネタバレ

    5つ星でも足りない。最高すぎた。もっともっと訳詩もよみたいなぁ。こんなに軽やかにわくわく読めるなんて思わなかった。

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    2024年12月03日
  • 山椒魚

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    内容云々よりもただただ作者の文章が好きすぎる。
    いい意味で庶民感覚のある素朴な風景の描写が好きです。
    物語系に疲れた人にぜひ読んでほしいです。
    内容でいえば「へんろう宿」「女人来訪」「寒山拾得」が特に好きです。
    1/28追記 「屋根の上のサワン」「岬の風景」も大好きです。作者の文章にはかわいらしい、くすっと微笑んでしまう所があり、素朴な描写に加えてそうした点が好きなのかなと思います。

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    2024年11月29日
  • 黒い雨

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    広島に落とされた原爆のさなかに居た、庶民の悲惨な姿を丁寧に描写された文章が、とても素晴らしい。
    かと言って決して希望を見失わない情景もあり、余計に悲しさを誘うものであると、感じられました。
    戦争文学の頂点とも言える作品に仕上がっているのではないでしょうか。

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    2024年11月28日
  • ドリトル先生月から帰る

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    先生が帰ってくるまで頑張っているスタビンズ君が頼もしい。そして月蝕の晩に合図が。先生なぜか巨人になって帰還…植物もだけどネコも持って帰ってきた…しかし帰ってきて、ゆっくり本を書きたいからって、刑務所に入ろうとするなんて…ほんとに入っちゃったし…この巻にもガブガブまた出てきて嬉しい。先生不在の間、訪ねてきた動物たちをちゃんと診てあげるスタビンズ君、成長著しい。

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    2024年11月16日
  • ドリトル先生月へゆく

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    なんとなんとほんとに月に着いたドリトル先生。月面着陸…なかなか出会えないのですね。他の生きものに。植物はあるのだけど。合図を送った生きものがいるはず。視線を感じる。どきどきします。月の巨人って…と、そうこうしているうちに、スタビンズ君だけ先に地球に帰らされるというね…先生も心配だけどトミーも心配だ…

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    2024年11月16日
  • ドリトル先生と月からの使い

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    ケッチの話がかわいい。波瀾万丈。ガブガブも出てくるので私が喜ぶ。なんていいキャラ。後半はほとんど虫の話なのがつらい…虫苦手だから…しかも、ガ。ガ、って…でもそれに乗って月へ行こうというのだからすごい。ドリトル先生さすが。トミーも頑張ってる。働いているな…

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    2024年09月28日
  • ドリトル先生のキャラバン

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    ピピネラのお話だったなあ。ピピネラって名前もかわいい。サーカスの続きで、今度はカナリア・オペラが大ヒット。ガブガブもかわいいよ〜動物銀行の話もおもしろかった。動物たちもしっかりしてるなあ。ドリトル先生、欲がないのはいいんだけど、みんなが生活に困らないようにはお願いしますよ…

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    2024年09月21日
  • ドリトル先生の動物園

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    動物園、なのだけど、だいたいはネズミの話だったような…牢屋ネズミの話なんかよかったなあ。ガブガブの出番は少なめだけどかわいい。最後の方はミステリーみたいで、そんな読み方も楽しめる。

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    2024年09月09日
  • 黒い雨

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     8月6日の原爆投下の瞬間から、主人公だけでなく様々な被爆者たちから語られた想像を絶する惨状に言葉が出ない。8月6日以降広島の街がどんな状況だったのか、そこに住んでいた人々は死者から生き残った人々までがどのような苦しみを味わったのか、戦争を知らない私が初めて知る市井の人々の生の声が記されていた。平和記念資料館では隅から隅まで資料を熟読した訳ではないが、そこだけでは知り得ない当時の人々の暮らしも詳細に書かれている。悲惨という言葉では言い表せないほどの死体の山の描写に、感覚が麻痺してうまく想像も働かなかった。
     原爆症の症状が出ていなかった矢須子の縁談が反故にされるなど、目に見える症状だけでなく日

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    2024年08月30日
  • ドリトル先生のサーカス

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    相変わらずドリトル先生ぶれない。ガブガブもたくさん登場するからこの巻すきなんです。かわいすぎる。仲間に厳しいこと言われることもあるけど、素直なガブガブすきだなあ。先生はお金に関してはおおらかすぎるから、ダブダブがいてよかった。ジップも頑張った。ブロッサム酷いやつだ…マシュー・マグすごいんだな。しかしソフィーを逃すまでは冷や冷やするわよ…先生のように動物への深い愛情をみんなが持てるとよいのだけど。いやもう、そもそも、動物と話せるのうらやましすぎる。

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    2024年08月26日
  • ドリトル先生の郵便局

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    なんとなんとドリトル先生が郵政大臣に…?韋駄天のスキマー大活躍。すずめのチープサイドもいいキャラだ〜ガブガブがお話してくれた、ブタおとぎ話『魔法のキュウリ』いいよ〜かわいい。真珠どろぼう何だったんだ…盗みはいかんぞ。ドロンコもすごいしもう全体的にすごいお話。いつものことだけど…好きだなあ。

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    2024年08月24日
  • 黒い雨

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    庶民から見た原爆とは何かを率直に表現したもので、戦争を知らない世代が丁寧に読むことに意義があると思う。

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    2024年08月17日
  • ドリトル先生航海記

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    長男が「トミーいいなあ〜」ってうらやましがるスタビンズ君が登場する第2弾。私の推しガブガブは活躍しないけれども…ドリトル先生たちの冒険はやっぱりおもしろい。バンポも再登場。お久しぶり。カタツムリの殻に入れてもらって帰国ってすごい。ついに貝の言葉もわかるようになった先生…偉大…

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    2024年08月16日
  • 山椒魚

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    山椒魚。山椒魚は悲しんだ。から始まるわけだけれども最後のかえるの台詞を受けての山椒魚の気持ちがわからなくて、これ国語のテストに出たら0点だっただろうな。現在46歳。

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    2024年08月09日
  • ドリトル先生アフリカゆき

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    井伏鱒二の訳…いい!読みやすい文章で心地よい。先生これで生活してゆけるのか心配になるけど…ブタのガブガブかわいいな〜すぐ泣いちゃうけどいい子だよ。ポリネシアやるなあ。ジップもかわいい。先生に妹さんいたんだっけ…忘れていたな…

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    2024年08月02日
  • ドリトル先生アフリカゆき

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    新訳が出版されるというので旧訳を読んでみた。挿絵があって福岡が推薦する(朝日新聞紙上で)のも理解できる。子どもがこの本をいかに面白く読んだかということを理解するためにも教員養成系大学の学生も読んでみるがよい。

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    2024年04月18日