井伏鱒二のレビュー一覧
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戦争を題材にした小説で有名な作品、井伏鱒二さん著「黒い雨」
前々から、それこそ30年前から知っている作品だったが今回初めて読む事ができた。
調べてみれば1966年初刊との事、1945年8月が原爆•終戦の年なので、戦後20年に書かれた作品ということになる。
現在戦後80年、となれば約60年前の作品でありながら、投下された原爆のもたらした凄惨さ、生々しさ、人々の混乱、都市の壊滅状態等々が恐ろしくリアルに伝わってくる。
現実にあった惨劇だけに恐ろしい作品。
それこそ自分が生まれる前の惨劇なのに、人々の声が今まさに真に迫って聞こえるようだった。
現在のように事ある情報が瞬時に得られ、その情報やそれに -
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
8月に入り、終戦記念日に近づくにつれて増えるコンテンツの1つとして読んでみた。年に一度でも戦争について考えるこのような機会は必要だと感じた。
5月にイギリスに行った際、VEデーという終戦記念日があった。イギリスにとっては戦勝記念の晴れやかな日であること、ドイツ降伏の日である5月8日で定めているため、その後日本は3か月間も孤軍奮闘していたことに今更ながら衝撃を受けた。
本作の主人公が言うように、ピカドンが落とされる前に降伏できたのではないか、というのは本当にその通りだと思う。広島や長崎の人は原爆を落とされる必要があったのだろうか。あまりにも大きすぎる代償である。 -
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ジョン万次郎に興味があって、3つの短篇のうち「ジョン万次郎漂流記」を最初に読んだ。勝手に司馬遼太郎の『菜の花の沖』(やはり江戸時代にロシアに拿捕された商人、高田屋嘉平を描いた小説)みたいな壮大な娯楽物語を想像しながら読み始めたが、すいぶん雰囲気が違う。大げさな感情描写や細かい時代背景の説明などはほとんどないまま、淡々とした描写が続く。それでいてじわじわ伝わる何とも言えない滋味深さ。読み始めの拍子抜け感から一転、うなりながら読み終えた。次に読んだ「さざなみ軍記」にはさらに感じ入った。一度では味わい尽くせない、文学作品の魅力がすみずみに。またうなる。再読必至。(「二つの話」はちょっとピンとこなかっ
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息子の中学の課題図書として購入したためついでに読んでみました。
読んでいる間にちょうど広島出張も重なり広島の現地でこの作品を読むことが出来
80年近く前の広島に思いをはせました。
本当に市内は川が多くて橋だらけだなぁとそんなことを思いました。
今まで原爆については「はだしのゲン」や修学旅行での被爆者の講演など
で聞いたくらいの知識しかありませんでした。
黒い雨は当時の日記形式で語られるため(どこまで真実か分かりませんが)
リアルに市井の人々の状況を想像することが出来ました。
特に火事が酷い状況で沢山亡くなった方もいたんですね。
確かに当時は木造住宅も多いですしとんでもない熱で熱せられたら
手 -
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ちょうど瀬戸内に関心が湧いてきたところで、「広島」のキーワードで購入。
広島だけでなく、岡山、瀬戸内の島々と、その歴史、文化を含めて興味深い史実も学ぶことができた。
井伏鱒二の思い出話は、ウイットに富み、時に心が温まる小話がある。
井伏鱒二は、きっと心優しい人なのだろう。
以下抜粋~
・(宮島)島全体が清浄な御神体だとされている。
今でも死人があると対岸に埋葬する。墓というものは一つもない。赤ん坊の臍の緒も対岸に持って行って埋めている。犬猫の死骸も島には埋めない。
・大崎島は大崎上島と大崎下島に分れ、どちらも内海通いの船乗りたちの間にはオチョロ船で馴染みの深かった島である。オチョロ船は港に -
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少し前の100分で名著で、二作目『ドリトル先生航海期』が扱われていたことから手に取った。
子どもの頃は読む機会がなく、大人になった今が初読である。
面白い!特に旅に出てから先は、次から次へとトラブルが目紛しく起きて、次はどうなる?とページを繰る内にあっという間に読み終えていた。
出来事の中には、他の児童書でも似たようなことあったなぁと思えるものもあり、この作品の古典としての影響力の大きさを感じた。色んな児童書作家が、きっと通ってきたんだろうなと…
古めの海外児童文学で表現がまどろっこしいというか、読みづらいことがたまにあるのだけど、この作品はとても読みやすかった。井伏鱒二訳か…井伏鱒二!? -
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井伏鱒二さんの詩集ですね。
「散文を書きたくなくなるとき、厄除けのつもりで書いた」という『厄除け詩集』に初期の作品を加え、生涯の全詩作70篇を紹介されています。(解説ー東郷克美/穂村弘)。
「ひばりのす」
ひばりのす
みつけた
まだ誰も知らない
あそこだ
水車小屋のわき
しんりようしよの赤い屋根がみえる
あの麦ばたけだ
小さいたまごが
五つならんでる
まだ誰にもいわない
僕はこの詩で君のことを思ひ出した
陸稲のことにも気がついた
君のうちの庭は広かった
それが空地利用で麦畠になった
あのとき君の唯一の楽しみは
いまに雲雀が巣をかけて
卵が宿 -
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原爆犠牲者の話。原爆投下からの当時の広島市の凄惨たる状況が克明に描かれており、読んでいていたたまれない気持ちになった。広島に旅行したことがあるが、その当時の状況からよくあそこまで繁栄した都市を作ったなと思う。原爆という兵器だとまだ知らされていない市民たちはピカドンとそれを呼びその威力に恐れをなして、さらに通常の爆弾ではみられないような症状(下痢、激しい火傷、脱毛、歯の脱落)に対してどうすることもできない無力さが伝わってきた。また戦時中の食事や配給についても言及されており、こんな貧しい生活を強いられていたのかと改めて思い知らされた。
矢須子は原爆投下時には市内にはおらず直接の被曝はしなかったもの -