井伏鱒二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
息子の中学の課題図書として購入したためついでに読んでみました。
読んでいる間にちょうど広島出張も重なり広島の現地でこの作品を読むことが出来
80年近く前の広島に思いをはせました。
本当に市内は川が多くて橋だらけだなぁとそんなことを思いました。
今まで原爆については「はだしのゲン」や修学旅行での被爆者の講演など
で聞いたくらいの知識しかありませんでした。
黒い雨は当時の日記形式で語られるため(どこまで真実か分かりませんが)
リアルに市井の人々の状況を想像することが出来ました。
特に火事が酷い状況で沢山亡くなった方もいたんですね。
確かに当時は木造住宅も多いですしとんでもない熱で熱せられたら
手 -
Posted by ブクログ
ちょうど瀬戸内に関心が湧いてきたところで、「広島」のキーワードで購入。
広島だけでなく、岡山、瀬戸内の島々と、その歴史、文化を含めて興味深い史実も学ぶことができた。
井伏鱒二の思い出話は、ウイットに富み、時に心が温まる小話がある。
井伏鱒二は、きっと心優しい人なのだろう。
以下抜粋~
・(宮島)島全体が清浄な御神体だとされている。
今でも死人があると対岸に埋葬する。墓というものは一つもない。赤ん坊の臍の緒も対岸に持って行って埋めている。犬猫の死骸も島には埋めない。
・大崎島は大崎上島と大崎下島に分れ、どちらも内海通いの船乗りたちの間にはオチョロ船で馴染みの深かった島である。オチョロ船は港に -
Posted by ブクログ
少し前の100分で名著で、二作目『ドリトル先生航海期』が扱われていたことから手に取った。
子どもの頃は読む機会がなく、大人になった今が初読である。
面白い!特に旅に出てから先は、次から次へとトラブルが目紛しく起きて、次はどうなる?とページを繰る内にあっという間に読み終えていた。
出来事の中には、他の児童書でも似たようなことあったなぁと思えるものもあり、この作品の古典としての影響力の大きさを感じた。色んな児童書作家が、きっと通ってきたんだろうなと…
古めの海外児童文学で表現がまどろっこしいというか、読みづらいことがたまにあるのだけど、この作品はとても読みやすかった。井伏鱒二訳か…井伏鱒二!? -
Posted by ブクログ
井伏鱒二さんの詩集ですね。
「散文を書きたくなくなるとき、厄除けのつもりで書いた」という『厄除け詩集』に初期の作品を加え、生涯の全詩作70篇を紹介されています。(解説ー東郷克美/穂村弘)。
「ひばりのす」
ひばりのす
みつけた
まだ誰も知らない
あそこだ
水車小屋のわき
しんりようしよの赤い屋根がみえる
あの麦ばたけだ
小さいたまごが
五つならんでる
まだ誰にもいわない
僕はこの詩で君のことを思ひ出した
陸稲のことにも気がついた
君のうちの庭は広かった
それが空地利用で麦畠になった
あのとき君の唯一の楽しみは
いまに雲雀が巣をかけて
卵が宿 -
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原爆犠牲者の話。原爆投下からの当時の広島市の凄惨たる状況が克明に描かれており、読んでいていたたまれない気持ちになった。広島に旅行したことがあるが、その当時の状況からよくあそこまで繁栄した都市を作ったなと思う。原爆という兵器だとまだ知らされていない市民たちはピカドンとそれを呼びその威力に恐れをなして、さらに通常の爆弾ではみられないような症状(下痢、激しい火傷、脱毛、歯の脱落)に対してどうすることもできない無力さが伝わってきた。また戦時中の食事や配給についても言及されており、こんな貧しい生活を強いられていたのかと改めて思い知らされた。
矢須子は原爆投下時には市内にはおらず直接の被曝はしなかったもの -
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Posted by ブクログ
井伏鱒二の紀行記。
司馬遼太郎の「街道をゆく」も好きだが、井伏鱒二の本著はさすがに小説家によるものであり、文章が巧い。
7つの街道とも、訪れたい場所だ。
以下引用~
・鮒ずしは、「鮨」だと思うから誤解が生ずるのだそうだ。
もともと鮨ではなくて漬物であり。漬物のおしんこが外国人にくさくてたまらないのと同じように、鮒ずしは別種のくさみで一般人にはくさくてたまらない。漬物とわかればいくらくさくっても箸がつけられる。
近江八幡の名物は、メンソレータムと、近江商人と、付近に産する近江牛だそうだ。「鹿の子」と云われるロース肉を将軍家へ献上した歴史が残っているそうだ。