井伏鱒二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なぜいま井伏鱒二を読もうと思ったのか、それが全然思い出せない。
2、3ヶ月まえに青木南八との交流をテーマにした「鯉」を読んだけれど、この『山椒魚』はそれより随分前から積読されていたから、「鯉」を読む前から何かが気になっていたのだろうと思う。それが一体何だったのか。
ただ何となく思うのは、何か「手触り」のある小説を読みたかったのではないかということだ。
歳をとって小説が読めなくなってきた。
原因はよく分からないけれど「世界を立ち上げる力」が弱くなってきたんじゃないかという気がする。
物語を読んでも昔のように世界が現れてこない。だから最初から確かな世界が描かれている、そんな小説を読みたかったので -
Posted by ブクログ
ネタバレ子どもの頃、大好きで、全巻読みました。今回、再読しました。
やはり井伏鱒二さんの日本語訳が好きです。難しい文体でもないし、子どもたちにも、井伏鱒二訳を薦めたい。
人種差別的という評価がされていると大人になってから知り、ショックを受けていました。読んでいた当時はそんなこと思いもしていなかったから。編集部が最後に注意書きを書いてくれているので、そこを含めて読んでもらう必要はありますね。
今読むと、黒人の王子様の願いが白い顔になりたい、眠り姫に受け入れられたい、なんていう部分は私も受け入れられないですね…。
ただ、ストーリー、先生や動物たちの活き活きとしたキャラクターや、姿勢、問題解決へのアプロー -
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Posted by ブクログ
井伏鱒二の懐の大きな文章が堪能できる短編集。ストーリーとか小説の意味とか関係ないというのは乱暴すぎるかもしれないけどとある視点で絵画的に世界を優しく切り取るというようなふうに感じる。その結果「これは何を言いたいんだろう」という感想を持ってしまうものもあるけど、それが世界というものかもしれない。
代表作とされる山椒魚はそんな観察が浮き出る印象。朽助のいる谷間はストーリー感が強めに出る印象。屋根の上のサワンは全体的なバランスのよさを感じた。そのほか、へんろう宿、掛け持ち、女人来訪が印象に残った。女人来訪の文章は面白すぎる。大空の鷲はすごく実験的な作りの小説のようにも思えるけど語り口は井伏鱒二的で不 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ最初は人間相手の医者だったが、オウムと話をしている時に他の動物の言葉も学習すれば話すことができることを知り、それから動物の医者になった。
ドリトル先生はたくさんの動物の治療をしたので世界中の動物たちに知れ渡ることになり、アフリカのサルたちがたくさん流行り病に侵されており助けを求められる。
そこからアフリカへ行きイギリスへ戻るまでの物語。
道中色々なことが起こりそれらを解決して前に進んでいく。
動物と話すことができるという時点でファンタジーであり、話の展開が面白い。
他の人が触れられている人種差別の問題はあるが、作者の生きた時代は自然とそういうものだったのだろうと思う。それらについて現代の子ども -
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Posted by ブクログ
これは傑作。センスオブワンダーに溢れてるし、その描写がいちいち美しい。短い1文にもハッとするフレーズがあちこちにあるのだが、水族館に捕まってしまったフィジットの妹クリッパが故郷、憧れの海を思い出す場面が特に素晴らしい。「すてきな、ひろびろとした、なにもかもすがすがしい、わが家のような海!貿易風がおこす波のしぶきなどものともせずに、大西洋の波濤をとびこえて、うずまく青い波の底におりてゆくなんて、なんてすばらしいんでしょう!空が夕焼けで、波のあわがピンク色に映える夏の夕暮れどき、もしも小エビを追いかけてゆくことができるなら!ひっそりとした無風帯の昼さがり、波の上にねころんで、熱帯の太陽に、おなかを
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