井伏鱒二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
井伏鱒二氏による短編集
はっきり言うとそこまで読みやすくはないし、わかりやすい文章ではない。しかし、文章の表現、言い回しの面白さと丁寧さは抜群であり、ある程度教養のある読み手であれば場面を想像することもできる。
また、登場するものも人間でないながらも、人間よりも生々しく人間らしいものやどこか偏屈でネジが足りていない人々など個性豊かな(もはや狂気と言ってもいいかもしれないものもいるが)ものが多い。
ちなみにわたしは通学中の電車内で読んでいたので、話がよく飛び読み直すことが多々あった。なので、読む際は短編集ごとに一気に読むことを薦める。
なお、軽いネタバレになるが、短編同士に直接の繋がりはないので -
Posted by ブクログ
井伏鱒二の短編は大好きなのである。
『黒い雨』は原爆後の黒い雨を浴びた姪の縁談が決まらない叔父が語る小説と聞いていたので、井伏鱒二が黒い雨を浴びてしまった若い娘の不安や恐怖や焦燥をどのように描くのだろうか、まさかエモーショナルに書くのではないだろうな、いやしかし広島出身なんだから故郷の人々の苦しみを伝えるべく、鱒二らしからぬ頑張りを見せたのではないか、などいろいろ考えだのだが、読んでみたらまことに鱒二らしい作品だった。
つまりとても淡々としていて、エモーショナルなところはほとんどない。
結婚が女の人生のゴールだった時代、ほとんどの人が結婚していた時代に、結婚したいのにできない辛さというのは、人 -
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎編の短編集の中に井伏鱒二の「休憩時間」があり、そういえば、「山椒魚」と「黒い雨」以外読んだことなかったなあ、と、名前は有名な「ジョン万次郎漂流記」を読んでみた。
司馬遼太郎の作品にジョン万次郎はしょっ中登場するけれど、彼を主人公にするとまた違った物語りに感じた。
漂流者は5人いた訳だが、ジョン万次郎だけが、抜きん出て語学を習得出来て、観察眼に優れていたのは何故か。シンプルに、若く知的好奇心が強くかつ地頭がよかったんだろう。
語学の面では、後に続く者は大量にいただろうから、やがて相対的な価値は落ちていったのだろうが、あの時日本にジョン万が出現した、ということは奇跡のような出来事だ -
Posted by ブクログ
文学ファンじゃないが、唯一定期的に読んでいる太宰治。その師匠であり、晩年の友人で会った井伏鱒二による太宰の解説?的な一冊。
文章の丁寧さと本人のやさしさと太宰へのリスペクトも相まってか、愛すら感じた。太宰の生き様だけ見るととてもまっとうには見えないが、井伏や中畑さん、北さん、ほか女性陣含め、人間性で惹かれるものがあったんだろうなとやっぱり思う。太宰作品も有名どころはだいぶ読んだと思うが、時系列的にどこでどんな時期に書いた作品かまで、この本で知れてもっと太宰について知りたくなった。自分のゆかりのある土地もちらほら出てきてなぜか誇らしい気持ち。太宰ゆかりの地ツアーしようかな。
東京八景、ダスゲマ -
Posted by ブクログ
日常の底にいつも沈められている、人間の狂気は正義ですらある。
僕らが立っているこの大地のすぐ下には、いつ起き出すかわからない猛獣を飼っているようなものだ。
手懐けていた家畜はいつのまにか手に負えぬ代物になっていて、飼っていた人たちだけさっさと逃げる用意をしていて、なにも知らないひとたちが逃げ遅れる。
エネルギーや核兵器の問題は誰も解決できなくなっている。文明は繁栄と平和で作り笑い。
正義の戦争より不正義の平和の方がましじゃ
とはよくゆうたもので。
それもそれでがんじがらめになってます。
以下、ネダバレですが、核兵器をつかえる立場の人には必ず読んでほしい。
そしてこの本を核兵器のボタン -
Posted by ブクログ
好きな詩
『春暁』『聞雁』『田家春望』『紙凧』『泉』。
特に好きな詩の抜粋
『田家春望』p.56
ウチヲデテミリヤアテドモナイガ
正月キブンガドコニモミエタ
トコロガ会ヒタイヒトモナク
アサガヤアタリデ大ザケノンダ
『勧酒』p.59
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
『花に嵐のたとえもあるぞ「サヨナラ」だけが人生だ』は、何度考えても自分なりの解釈が思いつかない。しかし、つい口ずさみたくなるお気に入りの詩。
岩波文庫3/100冊目。次は、『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』を読む。