井伏鱒二のレビュー一覧
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文学ファンじゃないが、唯一定期的に読んでいる太宰治。その師匠であり、晩年の友人で会った井伏鱒二による太宰の解説?的な一冊。
文章の丁寧さと本人のやさしさと太宰へのリスペクトも相まってか、愛すら感じた。太宰の生き様だけ見るととてもまっとうには見えないが、井伏や中畑さん、北さん、ほか女性陣含め、人間性で惹かれるものがあったんだろうなとやっぱり思う。太宰作品も有名どころはだいぶ読んだと思うが、時系列的にどこでどんな時期に書いた作品かまで、この本で知れてもっと太宰について知りたくなった。自分のゆかりのある土地もちらほら出てきてなぜか誇らしい気持ち。太宰ゆかりの地ツアーしようかな。
東京八景、ダスゲマ -
Posted by ブクログ
日常の底にいつも沈められている、人間の狂気は正義ですらある。
僕らが立っているこの大地のすぐ下には、いつ起き出すかわからない猛獣を飼っているようなものだ。
手懐けていた家畜はいつのまにか手に負えぬ代物になっていて、飼っていた人たちだけさっさと逃げる用意をしていて、なにも知らないひとたちが逃げ遅れる。
エネルギーや核兵器の問題は誰も解決できなくなっている。文明は繁栄と平和で作り笑い。
正義の戦争より不正義の平和の方がましじゃ
とはよくゆうたもので。
それもそれでがんじがらめになってます。
以下、ネダバレですが、核兵器をつかえる立場の人には必ず読んでほしい。
そしてこの本を核兵器のボタン -
Posted by ブクログ
好きな詩
『春暁』『聞雁』『田家春望』『紙凧』『泉』。
特に好きな詩の抜粋
『田家春望』p.56
ウチヲデテミリヤアテドモナイガ
正月キブンガドコニモミエタ
トコロガ会ヒタイヒトモナク
アサガヤアタリデ大ザケノンダ
『勧酒』p.59
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
『花に嵐のたとえもあるぞ「サヨナラ」だけが人生だ』は、何度考えても自分なりの解釈が思いつかない。しかし、つい口ずさみたくなるお気に入りの詩。
岩波文庫3/100冊目。次は、『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』を読む。 -
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ネタバレ駅前旅館
著者:井伏鱒二
発行:1960年12月15日
新潮文庫
単行本:1957年11月(新潮社)
初出:1956年9月~1957年9月「新潮」
井伏鱒二の名作ユーモア小説。森繁久弥主演で映画化された。観た人は多いことだろう。駅前旅館「柊元(くきもと)旅館」の番頭、生野次平を中心に、ライバルで親友の高沢(「水無瀬ホテル」番頭)はじめ駅前にあるいくつかの旅館の番頭たち、添乗員の中央大学学生、万年さん、吉原の引手茶屋で豆女中をしていて、後に長野の芸妓、紡績会社の寮長となった於菊(おきく)、小料理屋「辰巳屋」の女将らが、楽しくもリアルさを持った物語を展開する。映画で上記を演じたのは、森繁久弥、 -
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「井伏鱒二」の傑作ユーモア小説『駅前旅館』を読みました。
『黒い雨』に続き「井伏鱒二」作品です。
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日本映画史上に輝く人情喜劇『駅前シリーズ』第1作原作!
抱腹絶倒傑作ユーモア小説。
昭和30年代初頭、東京は上野駅前の団体旅館。
子供のころから女中部屋で寝起きし、長じて番頭に納まった主人公が語る宿屋稼業の舞台裏。
業界の符牒に始まり、お国による客の性質の違い、呼込みの手練手管……。
美人おかみの飲み屋に集まる番頭仲間の奇妙な生態や、修学旅行の学生らが巻き起こす珍騒動を交えつつ、時代の波に飲み込まれていく老舗旅館の番頭たちの哀歓を描いた傑作ユ -
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オシツオサレツをアフリカに帰してやるための航海中に奴隷船に行き遇い人助けをしたドリトル先生たちは、助けた人の住むファンティポ王国では王様の肖像を使った切手を発行しているものの肝心の配達機能がなっていないことを知り(その為に親類に出した助けを求める手紙が届けられず奴隷として売られてしまった)、行きがかり上、一肌脱いで渡り鳥たちのネットワークを使って郵政改革(!)に乗り出します。やっているうちに世界中から困った動物から相談事が届くようになったり、動物向けの月刊誌を発行したり、どんどん発展してゆき、しまいには天候の予測まで出来るようになったのでした。記憶にあった長生きの泥亀も出てきました。
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9歳の息子用に借りた本。息子はここ1年半くらいは漫画や流行りの本しか読まなくなっていたが、「面白いかも」と読み始め、あっという間に読んで続きも読みたいと言っていました。
原書は約100年前の出版、井伏鱒二さんが最初に翻訳したのが80年前。そんな昔の本を現代っ子が「面白い」と言うので、私も読んでみることに。
話は冒険ファンタジーで、子供向けの内容(もともと作者が自分の子供のために作ったお話)。でもキャラクターと文章が良くて最後まで飽きずに読めた。
あとがきを読むと、ドリトル先生は原書では「DR. DoLittle」で、井伏鱒二さんがドリトルと訳したとのこと。他の訳者が違う呼び方で訳したこと