井伏鱒二のレビュー一覧

  • 山椒魚

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    井伏鱒二氏による短編集
    はっきり言うとそこまで読みやすくはないし、わかりやすい文章ではない。しかし、文章の表現、言い回しの面白さと丁寧さは抜群であり、ある程度教養のある読み手であれば場面を想像することもできる。
    また、登場するものも人間でないながらも、人間よりも生々しく人間らしいものやどこか偏屈でネジが足りていない人々など個性豊かな(もはや狂気と言ってもいいかもしれないものもいるが)ものが多い。
    ちなみにわたしは通学中の電車内で読んでいたので、話がよく飛び読み直すことが多々あった。なので、読む際は短編集ごとに一気に読むことを薦める。
    なお、軽いネタバレになるが、短編同士に直接の繋がりはないので

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    2025年05月18日
  • 山椒魚・本日休診

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    『集金旅行』や『本日休診』は読んでいると情景が浮かんでくるような映画を見ているような感覚になるが、どうやらほんとに映画化されていたらしい。山椒魚はなんとなく覚えていた内容そのままだった。

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    2025年05月12日
  • 黒い雨

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    描写が壮絶すぎる。
    原爆が落とされた時からの状況を日記として淡々と事実だけを述べている。
    そうしたことにより、内容は本当にリアルで日常の中にあり、生き延びた人の苦悩も伝わってきた。

    火葬場の問題は想像さえしていなかった。非日常的な死が日常になってしまう怖さが強く感じられた。

    山崎豊子の二つの祖国でも広島の描写は出ていたが、あちらは政府、こちらは一般市民と補完することでより当時の状況を知ることができる。

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    2025年05月03日
  • 山椒魚

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    読みやすくはないし、単調な雰囲気もあるが、絵が浮かぶ文章で、ところどころ引っかかるところもある。正直そこまで好きな作風ではないが、どこか心に残り、ふと思い出すことになりそうな気もする。解説にもあったがたしかに老人の登場が多い。

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    2025年04月20日
  • 黒い雨

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    井伏鱒二の短編は大好きなのである。
    『黒い雨』は原爆後の黒い雨を浴びた姪の縁談が決まらない叔父が語る小説と聞いていたので、井伏鱒二が黒い雨を浴びてしまった若い娘の不安や恐怖や焦燥をどのように描くのだろうか、まさかエモーショナルに書くのではないだろうな、いやしかし広島出身なんだから故郷の人々の苦しみを伝えるべく、鱒二らしからぬ頑張りを見せたのではないか、などいろいろ考えだのだが、読んでみたらまことに鱒二らしい作品だった。
    つまりとても淡々としていて、エモーショナルなところはほとんどない。
    結婚が女の人生のゴールだった時代、ほとんどの人が結婚していた時代に、結婚したいのにできない辛さというのは、人

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    2025年03月17日
  • 黒い雨

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    原爆を落とされた広島で自分が、周囲の人々が被爆した、戦争小説。これは辛い。

    淡々とした調子なので、被爆直後の表現はちょっと抑えめに感じるけど、それでも残酷で想像に堪えない悲惨さ。

    中韓は戦争きっかけで、今だに反日とか言ってるけど、原爆なんて非道な兵器を落とされて反米にならない日本ってちょっと不思議。まあ自分も反米主義ではないけど。

    ちなみに原爆を開発した人達に、この兵器は使用すべきかと問うたところ、9割が反対したとか。

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    2025年03月11日
  • 駅前旅館

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    脳死で読めました。気楽な感じです。
    井伏鱒二は土着の民俗学に通ずるところがあり、好きなのかなと思います。

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    2025年01月08日
  • さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記

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    伊坂幸太郎編の短編集の中に井伏鱒二の「休憩時間」があり、そういえば、「山椒魚」と「黒い雨」以外読んだことなかったなあ、と、名前は有名な「ジョン万次郎漂流記」を読んでみた。

    司馬遼太郎の作品にジョン万次郎はしょっ中登場するけれど、彼を主人公にするとまた違った物語りに感じた。

    漂流者は5人いた訳だが、ジョン万次郎だけが、抜きん出て語学を習得出来て、観察眼に優れていたのは何故か。シンプルに、若く知的好奇心が強くかつ地頭がよかったんだろう。

    語学の面では、後に続く者は大量にいただろうから、やがて相対的な価値は落ちていったのだろうが、あの時日本にジョン万が出現した、ということは奇跡のような出来事だ

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    2024年10月14日
  • 山椒魚

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    言葉を発することはつねに、意味を裏切ることと同じだな、と思った。
    心にある本当を表すことはできないから、すれ違いや、諍いが生じるのかもしれない。

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    2024年08月27日
  • 山椒魚

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    短編集で、タイトルになっている『山椒魚』は、短い(10ページと少し)ですし、読後に山椒魚とカエルのやりとりや関係性に考えを巡らせることができてとてもよかったです。
    自然の描写がきれいだなと思いました。

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    2024年08月20日
  • 山椒魚

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    目が滑って読めたもんじゃない。
    初井伏鱒二だったのだけれど、特色も魅力も掴むことができず。小説の中に突然2コマ漫画が乱入してくるような。意味のあることを言ってるんだけど意味がまるでないような。もう少し私の経験値が必要なのは明らかなので、それまで積読。

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    2024年03月23日
  • 山椒魚

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    時代物の文学作品を読むのは厳しいな

    表題作を含めて12の短編集だが、山椒魚を読んだあとは1番少ないページ数の「へんろう宿」を読んで終わりにした

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    2024年01月29日
  • 黒い雨

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    原爆投下後の個人の日記という設定だが、被害の描写が克明で頻繁で、なかなかストーリーがすすんでいかない。肉体への被害は多種多様に描かれているが、決して十分な生活とは言えないだろうが、食事したり出勤したりする人がいたことは意外だった。

    こんな兵器があと何発、日本に落とされるのだろう。
    確かに歴史として受けていない人たちは、そんな恐怖を感じていただろうと思わせる言葉

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    2023年11月12日
  • 山椒魚

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    18年ぶりくらいに読んだ。

    最後の蛙の台詞の「てにをは」が気になって仕方がない。

    「今でもべつにおまえのことを怒ってはいないんだ。」

    「今で『は』」じゃなくて?
    現在の蛙の心境として『は』よりも『も』の方が適当なのだろうか、としばらく考えていた。

    完全なるフィクションなのに、心に期する感情は誰もが共感できるほどの圧倒的なリアリティー。

    この作品が名作として伝わっていくなら、僕はこの国が好きだ。

    2016.5.11

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    2023年09月28日
  • 太宰治

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    文学ファンじゃないが、唯一定期的に読んでいる太宰治。その師匠であり、晩年の友人で会った井伏鱒二による太宰の解説?的な一冊。

    文章の丁寧さと本人のやさしさと太宰へのリスペクトも相まってか、愛すら感じた。太宰の生き様だけ見るととてもまっとうには見えないが、井伏や中畑さん、北さん、ほか女性陣含め、人間性で惹かれるものがあったんだろうなとやっぱり思う。太宰作品も有名どころはだいぶ読んだと思うが、時系列的にどこでどんな時期に書いた作品かまで、この本で知れてもっと太宰について知りたくなった。自分のゆかりのある土地もちらほら出てきてなぜか誇らしい気持ち。太宰ゆかりの地ツアーしようかな。
    東京八景、ダスゲマ

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    2023年09月12日
  • 駅前旅館

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    上野の本屋さんで見つけた本。井伏鱒二はこんな本も書いていたんだなぁ。昭和30年代の旅館業の様子を垣間見られ、楽しく読めた。

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    2023年07月20日
  • 駅前旅館

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    昭和30年代、江戸っ子の生き方とはこんなものだったのかな。粋と言われる生き方、言葉のやりとり、今の時代には理解不能。
    女性には生きづらい時代、男性優位の男性には楽しい時代か。
    高沢の嘘話、江ノ島の番頭の呼び込み、人間くさく、そんな時代もあったのだな、こんな時代に生まれなくてよかったと思ってしまった。

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    2023年07月17日
  • さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記

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    3作品収録。平家の逃亡を描いたさざなみ軍記、ジョン万次郎の生涯の2篇は(さざなみ軍記は読みにくかったものの)面白かった。2つの話はそそられず。

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    2023年07月06日
  • 黒い雨

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    日常の底にいつも沈められている、人間の狂気は正義ですらある。
    僕らが立っているこの大地のすぐ下には、いつ起き出すかわからない猛獣を飼っているようなものだ。

    手懐けていた家畜はいつのまにか手に負えぬ代物になっていて、飼っていた人たちだけさっさと逃げる用意をしていて、なにも知らないひとたちが逃げ遅れる。

    エネルギーや核兵器の問題は誰も解決できなくなっている。文明は繁栄と平和で作り笑い。

    正義の戦争より不正義の平和の方がましじゃ

    とはよくゆうたもので。
    それもそれでがんじがらめになってます。

    以下、ネダバレですが、核兵器をつかえる立場の人には必ず読んでほしい。
    そしてこの本を核兵器のボタン

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    2023年06月30日
  • 井伏鱒二全詩集

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    好きな詩
    『春暁』『聞雁』『田家春望』『紙凧』『泉』。
    特に好きな詩の抜粋
    『田家春望』p.56
    ウチヲデテミリヤアテドモナイガ
    正月キブンガドコニモミエタ
    トコロガ会ヒタイヒトモナク
    アサガヤアタリデ大ザケノンダ

    『勧酒』p.59
    コノサカヅキヲ受ケテクレ
    ドウゾナミナミツガシテオクレ
    ハナニアラシノタトヘモアルゾ
    「サヨナラ」ダケガ人生ダ

    『花に嵐のたとえもあるぞ「サヨナラ」だけが人生だ』は、何度考えても自分なりの解釈が思いつかない。しかし、つい口ずさみたくなるお気に入りの詩。

    岩波文庫3/100冊目。次は、『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』を読む。

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    2023年06月12日