井伏鱒二のレビュー一覧
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伊坂幸太郎編の短編集の中に井伏鱒二の「休憩時間」があり、そういえば、「山椒魚」と「黒い雨」以外読んだことなかったなあ、と、名前は有名な「ジョン万次郎漂流記」を読んでみた。
司馬遼太郎の作品にジョン万次郎はしょっ中登場するけれど、彼を主人公にするとまた違った物語りに感じた。
漂流者は5人いた訳だが、ジョン万次郎だけが、抜きん出て語学を習得出来て、観察眼に優れていたのは何故か。シンプルに、若く知的好奇心が強くかつ地頭がよかったんだろう。
語学の面では、後に続く者は大量にいただろうから、やがて相対的な価値は落ちていったのだろうが、あの時日本にジョン万が出現した、ということは奇跡のような出来事だ -
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原爆が投下された広島で、そのとき暮らしていた市井の人々がいかように阿鼻叫喚の地獄を過ごしたかが克明に描かれている。
本作の主人公は、閑間重松・シゲ子夫妻と、その姪である矢須子の一家三人。
矢須子はだいじなお見合いを控えているが、被爆していないということを相手方に証明するため、重松が当時の日記を書き写すことになっている。
日記でふりかえる過去と現在を行き来する形で話は進んでいくが、やがて矢須子に異変があらわれてきて……。
「今、もし、向うの山に虹が出たら奇蹟が起る。白い虹でなくて、五彩の虹が出たら矢須子の病気が治るんだ」
原子爆弾が投下されたあと、長く長くつづく苦しみはどれほどのものなのか。 -
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文学ファンじゃないが、唯一定期的に読んでいる太宰治。その師匠であり、晩年の友人で会った井伏鱒二による太宰の解説?的な一冊。
文章の丁寧さと本人のやさしさと太宰へのリスペクトも相まってか、愛すら感じた。太宰の生き様だけ見るととてもまっとうには見えないが、井伏や中畑さん、北さん、ほか女性陣含め、人間性で惹かれるものがあったんだろうなとやっぱり思う。太宰作品も有名どころはだいぶ読んだと思うが、時系列的にどこでどんな時期に書いた作品かまで、この本で知れてもっと太宰について知りたくなった。自分のゆかりのある土地もちらほら出てきてなぜか誇らしい気持ち。太宰ゆかりの地ツアーしようかな。
東京八景、ダスゲマ -
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日常の底にいつも沈められている、人間の狂気は正義ですらある。
僕らが立っているこの大地のすぐ下には、いつ起き出すかわからない猛獣を飼っているようなものだ。
手懐けていた家畜はいつのまにか手に負えぬ代物になっていて、飼っていた人たちだけさっさと逃げる用意をしていて、なにも知らないひとたちが逃げ遅れる。
エネルギーや核兵器の問題は誰も解決できなくなっている。文明は繁栄と平和で作り笑い。
正義の戦争より不正義の平和の方がましじゃ
とはよくゆうたもので。
それもそれでがんじがらめになってます。
以下、ネダバレですが、核兵器をつかえる立場の人には必ず読んでほしい。
そしてこの本を核兵器のボタン -
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好きな詩
『春暁』『聞雁』『田家春望』『紙凧』『泉』。
特に好きな詩の抜粋
『田家春望』p.56
ウチヲデテミリヤアテドモナイガ
正月キブンガドコニモミエタ
トコロガ会ヒタイヒトモナク
アサガヤアタリデ大ザケノンダ
『勧酒』p.59
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
『花に嵐のたとえもあるぞ「サヨナラ」だけが人生だ』は、何度考えても自分なりの解釈が思いつかない。しかし、つい口ずさみたくなるお気に入りの詩。
岩波文庫3/100冊目。次は、『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』を読む。 -
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ネタバレ駅前旅館
著者:井伏鱒二
発行:1960年12月15日
新潮文庫
単行本:1957年11月(新潮社)
初出:1956年9月~1957年9月「新潮」
井伏鱒二の名作ユーモア小説。森繁久弥主演で映画化された。観た人は多いことだろう。駅前旅館「柊元(くきもと)旅館」の番頭、生野次平を中心に、ライバルで親友の高沢(「水無瀬ホテル」番頭)はじめ駅前にあるいくつかの旅館の番頭たち、添乗員の中央大学学生、万年さん、吉原の引手茶屋で豆女中をしていて、後に長野の芸妓、紡績会社の寮長となった於菊(おきく)、小料理屋「辰巳屋」の女将らが、楽しくもリアルさを持った物語を展開する。映画で上記を演じたのは、森繁久弥、 -
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「井伏鱒二」の傑作ユーモア小説『駅前旅館』を読みました。
『黒い雨』に続き「井伏鱒二」作品です。
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日本映画史上に輝く人情喜劇『駅前シリーズ』第1作原作!
抱腹絶倒傑作ユーモア小説。
昭和30年代初頭、東京は上野駅前の団体旅館。
子供のころから女中部屋で寝起きし、長じて番頭に納まった主人公が語る宿屋稼業の舞台裏。
業界の符牒に始まり、お国による客の性質の違い、呼込みの手練手管……。
美人おかみの飲み屋に集まる番頭仲間の奇妙な生態や、修学旅行の学生らが巻き起こす珍騒動を交えつつ、時代の波に飲み込まれていく老舗旅館の番頭たちの哀歓を描いた傑作ユ