井伏鱒二のレビュー一覧

  • 黒い雨

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    戦後81年。井伏鱒二『黒い雨』を読もうと思い立つ。
    本棚登録、記念すべき800冊目。

    原爆投下後の広島。即死は免れながらも、放射性物質を含む『黒い雨』を浴びたがために差別に苦しみ、縁談がまとまらない姪・矢須子。重松は、矢須子が健康であることの証しとして、原爆投下直後の日記の清書を始める。そんな中…

    原爆投下直後の広島の様子が伝わってくる。
    平和記念資料館の展示物を観た時の衝撃と、知らず知らずに涙していたことを思い出す。

    何もわからない中、投下された原爆。
    何もわからないまま亡くなった方がどれだけいたのか、即死は逃れながらも、苦しみながらなくなった方、原爆症に苦しまれた方…
    どれだけたくさんの人たちがたった1個の原爆に苦しまされたか…
    二度とこんなことがあってはならない。

    大国による現状を変えようとする戦争がいたるところで起こっている。
    平和記念資料館の展示を見ろといいたい、それでもあなたたちは武力を使って、現状を変えようというのか。

    今だから思う。
    当時の日本が当時のアメリカに勝てるはずがないと。
    もっと早く降伏していれば、原爆は投下されなかったのに。
    アメリカも瀕死の状態の日本に原爆を投下する必要があったのか、たくさんの一般市民を巻き込んでまで。

    考えさせられる作品だった…

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    2026年07月20日
  • 駅前旅館

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    何かが起こるわけではないが、その時代の雰囲気が伝わってきて登場人物が魅力的な実在の人物のようにおもえてくるのは筆力だろうな。主人公の素人童貞感もいい。

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    2026年06月24日
  • 駅前旅館

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     仕事帰りにふらり途中下車した駅で散歩中、古風な書店を見付けて入り、新潮文庫の棚の渋い品揃えに感服し、それではと渋い本を読もうと思い購入。
     井伏鱒二は大昔『黒い雨』を読み始めるも退屈な感じがして読むのをやめてしまっており、それ以来ご無沙汰だった。
     太宰治について読んでいるとこの人はちょいちょいでてきており、私の好きな『富嶽百景』では、太宰と一緒に三ツ峠山に登っている。太宰と比べ、ユルいユーモアというか、悲しいことでもせいぜい「哀しい」感じに留めて、ふわっと受け流している感があった。

     戦前の風俗を懐かしむ戦後の番頭による語り。
     世の中の裏側を描いたようでいて、それでいて例外的というよりもかなり自然体の人間を描いているようにも思える不思議な小説。
     ただ、表から見たこの時代の解像度がそんなに高くないので、十分には楽しめなかったな。

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    2026年06月20日
  • さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記

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    日記形式で進む軍記はなかなかおもしろかった

    ジョン万次郎、漂流してから後の人生もとんでもない
    事前に「漂流」を読んでしまったため、島での生活があっさりすぎる気がしたけど、まあそれも仕方がないなと思わせるその後の人生の濃さ!

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    2026年06月19日
  • 黒い雨

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    高校生の時に買ってから、5年ほど積読していたがようやく読んでみた。
    黒い雨のもたらす悲惨な健康被害。原爆が投下された後の広島の情景がありありと伝わってくる。
    事実が淡々と描写されるが、かなり読んでて身が重くなるようなものばかりだった。

    戦争真っ只中で言論統制されていた日本で生きていた無罪の市民が苦しみながら死ぬ。
    こんなことを風化させてはいけないし、核抑制だとしてもこんなの二度と使われるべきではない。

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    2026年06月12日
  • 黒い雨

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    こんな最悪の非常事態にとりあえず職場には顔出さなきゃとなるのがリアルだった

    原爆は爆発そのものはもちろんだけれど生きながらえた人間はじわじわ嬲り殺していくのが惨い

    平和と言える現代でも不満が耐えない人間は傲慢だと感じた

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    2026年04月30日
  • さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記

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    昭和12年に書かれた作品。
    万次郎が漂流し、アメリカ船に救助され、アメリカに渡った事、その後のアメリカでの生活、日本帰国後の話などが記録文学として書かれている。
    ジョン万次郎の夢は捕鯨船に乗り鯨を追い回す事だったと。

    2027年大河が楽しみ!

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    2026年04月26日
  • さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記

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    【第6回直木賞】1937年下期
    ◯さざなみ軍記
    ・ある程度の日本史の知識として、鎌倉時代の登場人物や出来事を抑えていないと読みづらいので、その辺りに明るくない方は源平合戦のWikiなどで少し勉強してから読むのがおすすめです。私は日本史はからっきしなので読むのが大変でした。

    ◯ジョン万次郎漂流記
    ・1800年台のお話し。ジョン万の一生が、鮮やかに描かれていました。登場人物の人柄がよくわかる描写がされており、ジョン万に感情移入しながら楽しく読むことができました。

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    2026年05月16日
  • 山椒魚

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    昔々の日常のような短編や、ちょっと夢の中みたいな短編。

    道に例えると、平坦な砂利道。(例えて余計に意味不明)

    この本が現存するからには、きっと深いところに何かあるのかも、、見つかりませんでしたけれども。

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    2026年03月13日
  • ドリトル先生航海記

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    ネタバレ

    カラスに懐かれるなんてことあるのかなあ。子供の時ドリトル先生は夢中になって読んでいたけど。面白かったなあ、あれほんとに。映画はイマイチイメージじゃなかったけど。なんてことを会社で話をしたら、「カラスってそういうことあるよ」とあっさり解決。子供たちが通学するのについてきたり、じゃれついたりすることがあるとのこと。カラスは本当に頭がいいからそういうことがあるんだな~。

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    2026年03月04日
  • 荻窪風土記

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    回想記、に近いなと思った。自分も住み慣れた町の回想記。
    普段歩く道のかつての記憶、まだ再開発の波に呑まれていない商店街、現実と過去を重ねて読むことができる楽しさは住んでいるからこそだなあ。

    太宰治、イタいというか青い初登場だった

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    2026年02月26日
  • 山椒魚

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    読み終えたあと感じたのが、とても読みやすかったことで、80年前近くに描かれた作品なのだが、そこまで古く感じさせず、現代文学にも通ずるような作風でした。
    表題作「山椒魚」は、著者の処女作でもあるし、著者の代表作なのだが、時代を感じさせない傑作でした。
    岩屋に閉じ込められた山椒魚の目線で描かれていく、不条理な環境からどう脱却するのか、蛙との
    対話の部分もとても良かったです。

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    2026年02月06日
  • 山椒魚

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    紹介されている動画を見て気になったので。最後の蛙の言葉に込められた意味が分からず何回か読み返したけど、結局自分にはわからなかった。だってめっちゃ怒ってたじゃん。

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    2026年01月28日
  • ドリトル先生アフリカゆき

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    動物たちの魅力が溢れる作品。

    ドリトル先生は面白いと聞いていたので、初めて読みました。
    アフリカへ行き、戻るまでたくさんのトラブルに遭いどのように解決していくのか楽しみで読んでしましました。

    もっと早くこのドリトルシリーズを読む機会があればもっと本や動物との触れ合いを楽しめた作品な気がします。

    全13巻あるそうなので少しずつ読んでいこうと思います。

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    2026年01月01日
  • 太宰治

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    わたしが知る太宰さんは、画像検索で見る白黒の"静止画"の太宰さんのみでしたが、この本を読むと太宰さんが"映像化"されました。知人にしか知らない太宰さんの人柄や貴重なエピソードを知ることができたのは、(まだまだ俄ではあるが)太宰さんのファンとしては出会えてよかった一冊。とはいえ、同じような文章が何度も出てくるのはちょっとねw

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    2026年01月03日
  • ドリトル先生アフリカゆき

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    子供の頃家にあって何回か読んだのを思い出して再読。懐かしい気持ちになりながらあっという間に読み終わった。
    もっと書けそうなところをあまりに凝縮してあるのに驚いたけど、戦地から子供に向けた手紙で書いてた、と記載があったからなのかも?
    王子が白い肌に憧れる様子はセンシティブだし、大人になるとツッコミたくなる設定もあるし、訳者のセンスなのか、ひどいセリフもチラホラ。 「トンカツの生きたの!」なんてひどすぎて笑ったし、イギリスにトンカツはないだろうから元が気になる笑
    それでも別のドリトル先生の冒険も読みたい。

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    2025年12月14日
  • 山椒魚

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    有名な「山椒魚」。
    読んでみると、実際にこういう人いるよなあと思わされる。
    自分の過失なのに腹を立てたり、誰かを道連れにしようと意地悪したり、卑屈になってしまうような人。
    そんな山椒魚に対して、蛙はなぜ閉じ込められたことを恨んでいないんだろう。
    むしろ山椒魚のことを憐れんでいるのかもしれない。
    短い話なのに、考えさせられることが多かった。

    他の作品も時代を感じさせるものが多く、有名なのは「屋根の上のサワン」。
    雁を助けてペットにして、サワンという名をつけた物語。
    自由を奪いながらも愛を注ぎ共生しようとする飼い主と、仲間と外の世界を望むサワン。
    動物を飼育することとは何か、動物にとっての幸せは何か。
    誰かを愛することとは。
    愛することが利己的になっていないか?

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    2025年12月10日
  • 山椒魚

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    表題作を含むいくつか作品を除けば、その場の空気感を描いたスケッチ的作品が多い。いずれも短すぎて散漫な印象は拭えず。

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    2025年11月11日
  • ドリトル先生の楽しい家

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    ネタバレ

    おなじみのドリトル先生シリーズ。
    シリーズ的には最終巻だけど短編集なので、時系列的には最終巻というかんじでもない。
    よくある完結後のおまけの番外編ってかんじ。

    いちばんの驚きは、動物と話せるドリトル先生が実は虫とも話せるということ。
    いちばん好きな短編はツバメのやつですね。

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    2025年11月02日
  • 黒い雨

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    ネタバレ

    8月に入り、通勤の主に帰宅途上の車中でオーディブルで聴きました。毎日少しずつ聞いたのですが、ほぼ1か月ほど聴いていたので、紙の小説でも一定のボリュームがあるのでしょう。

    主人公のシゲマツ(閑間重松)は、自らも被爆していたが、そのような自分よりも、自分たち夫婦を慕う姪であるヤスコ(矢須子)の縁談のことが最も心配ごとである。

    直接の被爆は免れたものの、原爆雲(黒い雲)から降り注ぐ黒い雨を浴びたということから、原爆病に侵されているのだというウワサで、次々と縁談が破談となり、なんとか縁談を成立させたいシゲマツは、原爆日記を記して、ヤスコの身の潔白を証明しようとする。

    小説は、広島原爆投下から玉音放送の日(終戦の日)までの重松夫妻の日常を中心に、その日記への記述を通しながらその凄惨さをリアルに描写していた。

    この小説のすべてが、戦争、とりわけ得体のしれない新型爆弾の投下後の凄惨極まりない情景の描写で貫かれていた。一瞬の閃光で、訳が分からないまま、目の前のすべての光景が地獄図と化し、すべての建物が崩壊し、至る所に死人が転がっており、全身ケガや焼けどの人たちがうごめいており、助けを求めている。家族の行方が知れず、また家族や知人を失って泣き崩れている。筆舌に尽くしがたい光景とはこのことだろうと思える。

    このリアルを伝え残しているだけでもこの小説の価値は大きいが、おそらく現実の何万分の一も伝えきれていないだろうと思う。しかし、読んで(聴いて)、その凄惨さを少しでも知ることに価値があり、意味があると感じる。

    1945年の広島、長崎の原爆投下で、その年末の死者数14万人+7.4万人=21.4万人と推計されており、2024年3月末時点での被爆者手帳の保有者数が10万6千人だそうである。

    すなわち、何十万人の人を人と思わず、一瞬で葬り去ってしまうような人の魔性とは対象的に、すべてが地獄のど真ん中に引き落とされても、可愛い姪っ子の幸福を願う気持ちはなくなることはないのだという人の善性というものが、強く感じ取れた。

    結局、矢須子は黒い雨の影響で、原爆症を発症し、原爆症に侵されているいることがわかる。

    それでも重松は、「今、もし、向うの山に虹が出たら奇蹟が起きる。白い虹でなくて、五彩の虹が出たら矢須子の病気が治るんだ」と姪っ子の治癒、幸福への望みを捨てない。

    小説でのこの虹の表現が印象的だった。史記に記された不吉の兆候である「白い虹が太陽にかかる」現象が、この原爆投下の前夜に見えたという。

    そういう悲惨の前兆である「白い虹」ではなくして、希望を表す「五色の虹」を願う重松の心が、この小説での著者の結論ではないだろうか。

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    2025年09月07日