井伏鱒二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昭和三十年ごろの、上野駅前の旅館の番頭の一人語り。
ユーモア小説か、と言われると、もはやそうは読めない。
むしろ、当時の雰囲気を味わうところに価値がある気がする。
柊元(くきもと)旅館の番頭、生野次平。
なさぬ仲の母に連れられ、上野の旅館の女中部屋で育ったという人物。
十代で母に死に別れ、その後ずっと旅館で働く。
当時の日本有数の旅館激戦地だった江の島での修行、修学旅行生や引率教師のあしらい方など、その業界の裏話が興味深い。
履物、持ち物でどこから来たか分かる、泊まるお客を一目で見抜き、遠くからお辞儀一つで、糸をかけたようにして客を吊り上げる。
こういう番頭の技は、今はもう絶えてしまったのだ -
Posted by ブクログ
子どもの時に読んでなかったので、まとめて読んでみようかなと。でも何でスルーしてたのかな、当時はもっとファンタジーっぽいのが好きで、ナルニアとか指輪物語に忙しかったからかな。
この、シリーズ第1作は1920年にアメリカで刊行された。日本では石井桃子が井伏鱒二に翻訳を依頼し、昭和16年(1941年)に石井桃子が始めた出版社から出版されたが、戦後に岩波書店から全集として改めて出版された。という時代背景を知っておいた方が良いというのは、アフリカの王子バンポのエピソードにやっぱりちょっとギョッとしてしまうから。この岩波少年文庫版には1978年に石井桃子によるそうした時代背景についてのコメントが末尾に付記 -
Posted by ブクログ
団長としてサーカス興業を成功させたドリトル先生は、とびきり上等の歌声を持つカナリアのピピネラに出会い、カナリア・オペラの公演を企画して大成功。
鳥たちのうたを譜面に起こし、ピピネラの人生(鳥生?)を鳥たちのコーラスで表現する。
言葉は通じなくても、芸術は人間を感動させることができるというのがドリトル先生の持論。
成功者として有名になったドリトル先生は、動物たちのためになる商品のCMをしたり、動物銀行を作ったり。
アヒルのダブダブが最初から「先生はいくらお金を稼いでも、みんな使ってしまう」と心配していたが、本当に懲りないひとなのである。
もう少し動物たちが自立できるようなお金の使い方をすれ -
Posted by ブクログ
ネタバレたった2週間ほどアフリカで休暇を過ごそうとしただけなのに(といっても、船でアフリカまで片道何週間かかるんだ?)、奴隷船をつかまえ、捉われた奴隷たちを元の国に送り返し、奴隷を売るより儲かる商売『郵政事業』を王様に紹介したために、またまた身動きが取れないくらい仕事に追われるドリトル先生。
元々王様は、マニア相手に切手の販売で儲けていたのだけど、切手を貼れば郵便は魔法で相手に届くと考えていた王様に、郵便制度をシステム化してみせるドリトル先生。
しかし現地の人々は、監督の目が届かないとわかると全然働かない。
なので先生は、鳥を使ったシステムを展開するのである。
って、これじゃあ、ドリトル先生以外の