井伏鱒二のレビュー一覧

  • 山椒魚

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    表題作を含むいくつか作品を除けば、その場の空気感を描いたスケッチ的作品が多い。いずれも短すぎて散漫な印象は拭えず。

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    2025年11月11日
  • ドリトル先生の楽しい家

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    ネタバレ

    おなじみのドリトル先生シリーズ。
    シリーズ的には最終巻だけど短編集なので、時系列的には最終巻というかんじでもない。
    よくある完結後のおまけの番外編ってかんじ。

    いちばんの驚きは、動物と話せるドリトル先生が実は虫とも話せるということ。
    いちばん好きな短編はツバメのやつですね。

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    2025年11月02日
  • 黒い雨

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    ネタバレ

    8月に入り、通勤の主に帰宅途上の車中でオーディブルで聴きました。毎日少しずつ聞いたのですが、ほぼ1か月ほど聴いていたので、紙の小説でも一定のボリュームがあるのでしょう。

    主人公のシゲマツ(閑間重松)は、自らも被爆していたが、そのような自分よりも、自分たち夫婦を慕う姪であるヤスコ(矢須子)の縁談のことが最も心配ごとである。

    直接の被爆は免れたものの、原爆雲(黒い雲)から降り注ぐ黒い雨を浴びたということから、原爆病に侵されているのだというウワサで、次々と縁談が破談となり、なんとか縁談を成立させたいシゲマツは、原爆日記を記して、ヤスコの身の潔白を証明しようとする。

    小説は、広島原爆投下から玉音放送の日(終戦の日)までの重松夫妻の日常を中心に、その日記への記述を通しながらその凄惨さをリアルに描写していた。

    この小説のすべてが、戦争、とりわけ得体のしれない新型爆弾の投下後の凄惨極まりない情景の描写で貫かれていた。一瞬の閃光で、訳が分からないまま、目の前のすべての光景が地獄図と化し、すべての建物が崩壊し、至る所に死人が転がっており、全身ケガや焼けどの人たちがうごめいており、助けを求めている。家族の行方が知れず、また家族や知人を失って泣き崩れている。筆舌に尽くしがたい光景とはこのことだろうと思える。

    このリアルを伝え残しているだけでもこの小説の価値は大きいが、おそらく現実の何万分の一も伝えきれていないだろうと思う。しかし、読んで(聴いて)、その凄惨さを少しでも知ることに価値があり、意味があると感じる。

    1945年の広島、長崎の原爆投下で、その年末の死者数14万人+7.4万人=21.4万人と推計されており、2024年3月末時点での被爆者手帳の保有者数が10万6千人だそうである。

    すなわち、何十万人の人を人と思わず、一瞬で葬り去ってしまうような人の魔性とは対象的に、すべてが地獄のど真ん中に引き落とされても、可愛い姪っ子の幸福を願う気持ちはなくなることはないのだという人の善性というものが、強く感じ取れた。

    結局、矢須子は黒い雨の影響で、原爆症を発症し、原爆症に侵されているいることがわかる。

    それでも重松は、「今、もし、向うの山に虹が出たら奇蹟が起きる。白い虹でなくて、五彩の虹が出たら矢須子の病気が治るんだ」と姪っ子の治癒、幸福への望みを捨てない。

    小説でのこの虹の表現が印象的だった。史記に記された不吉の兆候である「白い虹が太陽にかかる」現象が、この原爆投下の前夜に見えたという。

    そういう悲惨の前兆である「白い虹」ではなくして、希望を表す「五色の虹」を願う重松の心が、この小説での著者の結論ではないだろうか。

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    2025年09月07日
  • 夜ふけと梅の花 山椒魚

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    山椒魚に幽閉にて、他多数の井伏鱒二さん。昭和初期とはこう言う事ですか?現代とはまるで当てはまらない大学で黒板に落語するのとそれを監視する学生監 うーん逆に新鮮な斬新な、でも真顔で行っている 真顔といえば兎島の2人の掛け合いとそれを見守る男も うーんなんだかな、井伏鱒二=受験の模試としか思えないのですが、受験がなければ読まないから それを読み込んで悦に浸る自分。

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    2025年08月28日
  • 山椒魚

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    読んでると、なかなか映像として浮かびにくい文章だった。作家との相性が悪いのかな?と一瞬思ったけど、屋根の上のサワンとか夜ふけと梅の花とかはめっちゃ入り込めるしちょっと泣いちゃいそうになったりもしたりして、なんだろこの魅力。それにしたって古典の中でも文体がすごく独特な気はする。井伏節ってやつなのかな。どちらにせよおばちゃん、おばあちゃんになったときまで大事に手元において何回も読み返したいなと思える作品だった。

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    2026年01月07日
  • ドリトル先生アフリカゆき

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    少し前に読んだ『ドゥリトル先生のブックカフェ』(賀十つばさ/著)でドリトル先生は本当は井伏鱒二が日本風に読みやすくした名前で本当はドゥリトル先生だと知って興味を持ち、長らく積読してた本を読む。

    名作でなんとなく読まなくても知ってることはあったけど、ドリトル先生は最初は獣医でなく人間のための医者だったとか、動物からの信頼度が物凄く厚いとか、挿絵も著者が描いてるのも読んで初めて知った。

    アフリカへの珍道中はトラブル続きでユーモアたっぷり。
    シリーズの中で次作の航海記が一番名作と言われてるそうなので読んでみたい。

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    2025年07月09日
  • 厄除け詩集

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    「なだれ」が一番いい
     池澤夏樹全集にも載ってた「なだれ」が一等牧歌的でよく、熊がたばこをすふやうな恰好、といふ端的な表現が想像させる。

     しかし後のものは平凡で、「顎」なんか顎の外れたひとを見て笑ひをこらへる、といふ不愉快な詩なので、ひどい。
     概して短い詩がよく、長いほど印象が低い。

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    2025年06月19日
  • 山椒魚

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    井伏鱒二の短編集

    山椒魚は示唆していることがわかりやすかったですが、そのほかの作品はストーリーだったり情景などを楽しむ感じかな

    余韻のある終わり方が特徴よね

    朽助のいる谷間
    掛持ち
    大空の鷲
    上記の作品が面白かったです。

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    2025年06月02日
  • 山椒魚

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    井伏鱒二氏による短編集
    はっきり言うとそこまで読みやすくはないし、わかりやすい文章ではない。しかし、文章の表現、言い回しの面白さと丁寧さは抜群であり、ある程度教養のある読み手であれば場面を想像することもできる。
    また、登場するものも人間でないながらも、人間よりも生々しく人間らしいものやどこか偏屈でネジが足りていない人々など個性豊かな(もはや狂気と言ってもいいかもしれないものもいるが)ものが多い。
    ちなみにわたしは通学中の電車内で読んでいたので、話がよく飛び読み直すことが多々あった。なので、読む際は短編集ごとに一気に読むことを薦める。
    なお、軽いネタバレになるが、短編同士に直接の繋がりはないのでどれから読んでもいいと思う。ただ、やはり彼の作風を知るためにはまずは山椒魚を読むべきだろう

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    2025年05月18日
  • 山椒魚・本日休診

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    『集金旅行』や『本日休診』は読んでいると情景が浮かんでくるような映画を見ているような感覚になるが、どうやらほんとに映画化されていたらしい。山椒魚はなんとなく覚えていた内容そのままだった。

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    2025年05月12日
  • 山椒魚

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    読みやすくはないし、単調な雰囲気もあるが、絵が浮かぶ文章で、ところどころ引っかかるところもある。正直そこまで好きな作風ではないが、どこか心に残り、ふと思い出すことになりそうな気もする。解説にもあったがたしかに老人の登場が多い。

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    2025年04月20日
  • 駅前旅館

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    脳死で読めました。気楽な感じです。
    井伏鱒二は土着の民俗学に通ずるところがあり、好きなのかなと思います。

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    2025年01月08日
  • さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記

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    伊坂幸太郎編の短編集の中に井伏鱒二の「休憩時間」があり、そういえば、「山椒魚」と「黒い雨」以外読んだことなかったなあ、と、名前は有名な「ジョン万次郎漂流記」を読んでみた。

    司馬遼太郎の作品にジョン万次郎はしょっ中登場するけれど、彼を主人公にするとまた違った物語りに感じた。

    漂流者は5人いた訳だが、ジョン万次郎だけが、抜きん出て語学を習得出来て、観察眼に優れていたのは何故か。シンプルに、若く知的好奇心が強くかつ地頭がよかったんだろう。

    語学の面では、後に続く者は大量にいただろうから、やがて相対的な価値は落ちていったのだろうが、あの時日本にジョン万が出現した、ということは奇跡のような出来事だと思う。

    正しいときに正しい場所にいることの難しさと、そうなった時のダイナミズムを感じる作品だった。

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    2024年10月14日
  • 山椒魚

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    言葉を発することはつねに、意味を裏切ることと同じだな、と思った。
    心にある本当を表すことはできないから、すれ違いや、諍いが生じるのかもしれない。

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    2024年08月27日
  • 山椒魚

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    短編集で、タイトルになっている『山椒魚』は、短い(10ページと少し)ですし、読後に山椒魚とカエルのやりとりや関係性に考えを巡らせることができてとてもよかったです。
    自然の描写がきれいだなと思いました。

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    2024年08月20日
  • 山椒魚

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    目が滑って読めたもんじゃない。
    初井伏鱒二だったのだけれど、特色も魅力も掴むことができず。小説の中に突然2コマ漫画が乱入してくるような。意味のあることを言ってるんだけど意味がまるでないような。もう少し私の経験値が必要なのは明らかなので、それまで積読。

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    2024年03月23日
  • 黒い雨

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    原爆投下後の個人の日記という設定だが、被害の描写が克明で頻繁で、なかなかストーリーがすすんでいかない。肉体への被害は多種多様に描かれているが、決して十分な生活とは言えないだろうが、食事したり出勤したりする人がいたことは意外だった。

    こんな兵器があと何発、日本に落とされるのだろう。
    確かに歴史として受けていない人たちは、そんな恐怖を感じていただろうと思わせる言葉

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    2023年11月12日
  • 太宰治

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    文学ファンじゃないが、唯一定期的に読んでいる太宰治。その師匠であり、晩年の友人で会った井伏鱒二による太宰の解説?的な一冊。

    文章の丁寧さと本人のやさしさと太宰へのリスペクトも相まってか、愛すら感じた。太宰の生き様だけ見るととてもまっとうには見えないが、井伏や中畑さん、北さん、ほか女性陣含め、人間性で惹かれるものがあったんだろうなとやっぱり思う。太宰作品も有名どころはだいぶ読んだと思うが、時系列的にどこでどんな時期に書いた作品かまで、この本で知れてもっと太宰について知りたくなった。自分のゆかりのある土地もちらほら出てきてなぜか誇らしい気持ち。太宰ゆかりの地ツアーしようかな。
    東京八景、ダスゲマイネ、ロマネスク、晩年、富岳百景どれ読んだだろうか。一回まとめたい。

    ツシマだと津軽弁でチシマになるから、訛っても発音が変わらないように「ダザイ」。初めて知った感動。

    太宰が亡くなったのが1948年、井伏が亡くなったのが1993年。教科書で出てくる文豪のイメージだけど、ついこの間なことに驚いた。フィクションじゃなくて生きていた人なんだと改めて感じた。


    ...あと、関係ないが井伏鱒二といえばで「さよならだけが人生だ」の訳は震えた。575のリズムもいい(日本人だから?)。ユーモアというか、粋な感性を持っている方だったんだろうなと思う。

    (勧酒)
    勧君金屈巵  君に勧む金屈巵きんくつし
    満酌不須辞  満酌辞するを須もちひず
    花発多風雨  花発はなひらきて風雨多し
    人生足別離  人生別離足る

    コノサカズキヲ受ケテクレ
    ドウゾナミナミツガシテオクレ
    ハナニアラシノタトエモアルゾ
    「サヨナラ」ダケガ人生ダ

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    2023年09月12日
  • 駅前旅館

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    上野の本屋さんで見つけた本。井伏鱒二はこんな本も書いていたんだなぁ。昭和30年代の旅館業の様子を垣間見られ、楽しく読めた。

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    2023年07月20日
  • 駅前旅館

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    昭和30年代、江戸っ子の生き方とはこんなものだったのかな。粋と言われる生き方、言葉のやりとり、今の時代には理解不能。
    女性には生きづらい時代、男性優位の男性には楽しい時代か。
    高沢の嘘話、江ノ島の番頭の呼び込み、人間くさく、そんな時代もあったのだな、こんな時代に生まれなくてよかったと思ってしまった。

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    2023年07月17日