井伏鱒二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
表紙のイラストを見て、ほのぼの系なのかと思ったら、思い切り寅さんの時代でした。
昭和30年頃の、上野駅前の番頭さんの語りを元に、旅館の仕事や観光業界の裏の世界を興味深く描いたもの。
映画にもなったことがあるらしいです。
慣れた番頭さんたちの、客引きや、お客の値踏み(ふところ具合や出身地)、困ったお客のあしらい方や、夜の遊び場所の紹介の仕方やら…
面白かったのは修学旅行の引率の先生たちで…
番頭さん同士のお付き合いも、ライバルであり、友人でもある関係が面白い人間模様。
まあ、根無し草でやくざな稼業な感じもしますが、語り手の生野次平さんは、一本筋の通ったお方でもありました。
生野さんは能登の出 -
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Posted by ブクログ
小早川隆景配下にいた引退した武士たちが主人公?という設定で、鞆の安国寺を拠点に茶会に集い、飲食をともにしながら、厳しかった戦国の世を思い返し語りあった記録という体裁をとる。
集った各人の記録?をたんたんと記しているだけなので、会話らしい会話はなくそれぞれの事件の顛末と若干の皮肉が披露されるというパターン。血なまぐさい出来事を老いの境地にて静かに振り返る。あまりにも事実記録に徹しているため、もしかして創作ノート?という疑いをずっと払しょくできなかった。(笑)
設定は誠に面白いのだが、(老人という設定故、もしかするとわざとかもしれないが)同じ話を何度も繰り返されるのが辛いのと、連載だったためかわざ -
Posted by ブクログ
ネタバレ平家ものだというので、読んでみました。
教科書の山椒魚以来の井伏鱒二です。
さざなみ軍記・・・ネタばれになります。
某平家の公達の日記形式です。
だいたい都落ちから一の谷後まで。
主人公の公達の名前は明かされませんが、
父が新中納言で十六歳、武蔵守ということで、平知章です。
小隊を預かり、若年ながら、軍を率いて成長する様子が、描かれています。
六波羅を懐かしんだり、逃げたいと思う気持ちも見え隠れしつつ。
精一杯背伸びしていたんだと思います。
が、言葉選びが難解で、読みにくい。
時代がかってるんですが、それが、
平安を現代語訳した雰囲気を出しているのか、昭和風なのかよく