井伏鱒二のレビュー一覧

  • ドリトル先生アフリカゆき
    9歳の息子用に借りた本。息子はここ1年半くらいは漫画や流行りの本しか読まなくなっていたが、「面白いかも」と読み始め、あっという間に読んで続きも読みたいと言っていました。

    原書は約100年前の出版、井伏鱒二さんが最初に翻訳したのが80年前。そんな昔の本を現代っ子が「面白い」と言うので、私も読んでみる...続きを読む
  • 駅前旅館
     能登生まれの女中の息子次平が旅館の下働きから番頭になり上野駅前の旅館番頭として送る日々を綴った小説だが番頭の淡い恋愛が心地よい。芸者お菊と小料理屋辰巳屋の女将への何となく優しい好意に満ちた付き合いの為に結局何も起きない。
  • 山椒魚
    夜ふけと梅の花に出てくるセリフで、
    「僕は、酔えば酔うほどしっかりする。」
    というセリフがあるんだけど、このセリフが個人的には1番好き。酔っ払った時に言ってみようと思う。
    あとは山椒魚グッズが欲しくなった。
  • ドリトル先生の郵便局
    子供への読み聞かせ、ドリトル先生シリーズ 3冊目。そろそろこっちは飽きてきたのだが(自分が子供の頃に読んだ記憶でも、途中で飽きて「月からの使い」くらいで中断した記憶がある)、子供は一向に飽きる気配がなくニコニコと聞いている。今読むと、差別的と取られる表現(というか、差別的な表現そのもの)が目立ち、最...続きを読む
  • 珍品堂主人 増補新版
    実在の人物をモデルに、戦後の東京で骨董狂いの男が料亭経営に乗り出す顛末を虚々実々に描く、ユーモラスでほろ苦な大人のおはなし。
    綿密な箱書きとかとは無縁で、ゆるゆると流れるように語られ、あっちいったりりこっちいったりおおらかな語り口が、昼休憩に読んだりするのにピッタリ。
    巻末には白洲正子さまがモデルと...続きを読む
  • さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記
    「2つの話」はよく分からなかったけれど、残りの2つはとても良かった。
    漂流記の方は、調書や文書等ジョン万次郎記念館を思い出しながら読んだため面白かった。こちらはほぼ作者の味付けはなく、ノンフィクションのように感じた。帰国後の国の情勢やジョン万の行動については記念館よりもわかりやすかったように思う。
    ...続きを読む
  • 駅前旅館
    井伏鱒二なんて学校の教科書でしか
    読んだことなかったけど
    これは表紙のジャケットに惹かれて。
    字も大きく読みやすくなってたし。

    番頭さんの自叙伝みたいなおはなし。
    仕事のあれこれを追うだけで
    戦後の東京の旅館業の盛衰が楽しめる。
    品の悪い修学旅行生が
    関西方面からなのが、ひっかかるけど(笑)
  • 駅前旅館
    まぁ、よくしゃべる番頭さんだこと。
    読み手に一息つく暇も与えず、旅館の裏話や色恋話を愉快に語る。

    昭和初頭のにぎやかな風情を感じられます。
  • 駅前旅館
    昭和三十年ごろの、上野駅前の旅館の番頭の一人語り。
    ユーモア小説か、と言われると、もはやそうは読めない。
    むしろ、当時の雰囲気を味わうところに価値がある気がする。

    柊元(くきもと)旅館の番頭、生野次平。
    なさぬ仲の母に連れられ、上野の旅館の女中部屋で育ったという人物。
    十代で母に死に別れ、その後ず...続きを読む
  • さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記

    記録として読む

    さざなみ軍記もジョン万次郎漂流記も筆者が集めた記録をもとに足跡をおっているので、物語というよりも記録として読むといい。
  • ドリトル先生アフリカゆき
    子どもの時に読んでなかったので、まとめて読んでみようかなと。でも何でスルーしてたのかな、当時はもっとファンタジーっぽいのが好きで、ナルニアとか指輪物語に忙しかったからかな。
    この、シリーズ第1作は1920年にアメリカで刊行された。日本では石井桃子が井伏鱒二に翻訳を依頼し、昭和16年(1941年)に石...続きを読む
  • 山椒魚
    詩を読んでいるかのような文章。
    ユーモアのセンスの良さ。
    心地よい文体。
    また、読み返そうと思う作品。
  • 山椒魚
    奇妙な短編集。

    表題の山椒魚をひさかたぶりに読みたく、手に取る。

    山椒魚とはまさにひきこもりである。
    やがて無為自閉へ至るが。

    主人公は誰もが、「常識人」風である。(『山椒魚』は除く)

    自然描写の精緻さは言わずもがな、だけれども、自然描写の影に、心性の描写は限定的だ。

    従って、「察する」と...続きを読む
  • 山椒魚
    井伏鱒二の代表作だが、自然描写が何とも美しい。
    川端康成も自然描写が非常に美しい作家だが、井伏鱒二もまた美しいと感じた。
  • 山椒魚
    人物や風景の細かい描写に長けてる。その場面場面における感情を上手く表現しきっているのが良いです。

    個人的には朽助のいる谷間がおすすめ。老人の悲哀や少女の生半熟を上手く書いている。なんとなく美術絵の描写を文章化したような印象です。
  • 集金旅行
    本作は今でも芝居もあるらしいです。井伏氏らしいユーモア溢れる筆致で、一人一人が起こす迷惑ごとがうねりになって、わーっと体を持っていかれるような感覚、ラストでホッと息の抜ける気分、これを味わいたくて何度も井伏作品を読みます。
  • さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記
    表題作に加え、「二つの話」と合わせ短編三つ。「さざなみ軍記」。平家の都落ちの過程で主人公の成長の様子を描いたもの。戦を忌避したい気持ちも窺える。「ジョン万」。実在した人の話だが、資料が少ないので虚構の部分が多いが、それがゆえおもしろい。「二つの話」。過去にタイムスリップするフイクション。2019.1...続きを読む
  • 山椒魚
    おこがましいから書評なんかできないし。

    ところで表紙のせいでずっとオオサンショウウオをイメージしてたけど、よく考えたらモデルは普通のサンショウウオだよね?
  • 山椒魚
    最初の3篇くらいを読むのにめちゃくちゃ時間がかかったのでそこでやめて、ずーっと読まずに置いていたのを最近続き読んだらすんなり読めたので、以前手に取った時は読む時期じゃなかったんだなあとか思った。
    表題作がやっぱりいちばん面白かった。
    ちょびっとせつない読後感になる短編が多い。
    へんろう宿と掛持ちが印...続きを読む
  • 山椒魚
    著者の初期の頃の短編集。
    人間って愚かさという意味で面白いなぁ、と思わずには得られないユーモアあふれる話。人間って、と述べたが表題作の主人公は山椒魚。それでも、人間のおかしさが存分に表現されているのだから。
    細かく言えば、話の随所随所ではっとする。「へんろう宿」で主人公が二人の子供の名札を確認するの...続きを読む