井伏鱒二のレビュー一覧
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ネタバレ荻窪に住んでいた井伏鱒二による大正末期から昭和前期の東京の様子や世相、近隣に住む文士(阿佐ヶ谷将棋会)との交遊の記録。
当時はまだ青梅街道を馬が野菜を乗せて通っており、阿佐ヶ谷や荻窪、高円寺に鉄道の駅を誘致の話が出ている。関東大震災の際には東京が3日間燃え、菊池寛が横光利一を探して幟を立てて東京中を歩き回ったなど、文士の絆の強さを思わせる。井伏鱒二は立川まで歩いて広島に列車で帰ったという。
2・26事件に小林多喜二の獄死など当時ではどのように受け止められていたのかリアルタイムな目線での記録となっている。
不世出の作家小山清など知ることができてよかった。 -
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動物と話ができる獣医。子どもにとってはなんと夢に溢れた世界だろう、と思う。
差別表現等の問題は、石井桃子さんが述べておられるように、作家自身、生きた時代や文化と無関係ではいられない、という、それだけの問題かと思う。
これが人種差別による白人至上主義を述べたい本であるのならともかく、作家が作りたかった世界はそんなものとは基本的に無関係な、子どものためのファンタジーでしかない。
現代の日本の価値観に照らせば、悪としか言いようがない記述や展開に、大人が嫌悪感を抱くのは仕方がないと思うが(読む自分自身が文化や時代と無関係でいられないのだから)、一方で、頭の柔らかい子どもたちの方が、その辺りを柔軟に処 -
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ホームズの次は怪盗ルパン!と決めていたら1~3巻が貸出中のままになっているので方向転換。実家の子供本棚に1冊ずつだけあったムーミンとドリトル先生、10代の頃に全シリーズ読もうと思ったけれどムーミンはパパが海へいった辺りで、ドリトル先生は月から帰った辺りで?頓挫して、ムーミンはその後30代と40代で全編通しで読んでいますが先生はお月さまで止まったままになっていたのでこの機会に。覚えていたこと、読み出して思い出したこと、ぼんやりは知っていたけど改めて確認できたことなどをしみじみと味わいながらの読書体験はちょっと特別で、思った以上に楽しかったです。奥付を見たら原著が公表されたのが1920年で百年前と
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『ジョン万次郎漂流記』のみの感想。
幕末から明治初期にかけての実在の人物についての小説。資料にない部分は井伏氏の空想で補われている。
冒険譚として非常に面白かった。
土佐で貧しい漁師だった万次郎は15歳の時の正月に他の四人とともに漁船に乗っていて、嵐に会い、一週間ほど漂流した。
ようやく周囲が一里ばかりの無人島に到着し、そこを当座の棲家とした。彼らは島でただ一箇所岩の窪みに水が溜まっている所だけを“井戸”として大切に使い、あほう鳥を取って食べるなどして命を繋いでいたが、それも限界に達した頃、そばを通りかかったアメリカの漁船に助けられた。
身振り手振りでかなり言葉が通じ、そのアメリカ人 -
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いつまでも感想を空白にしておくのもしゃくなので、他の方の感想も見ながら少しだけ記録。
読み終えたら、その本をぱらぱらとめくって内容を思い出しながら感想を書く性質なのですが、どういうわけか、引っ越しのあわただしさに巻き込まれ、本書が見つからないのです。
引っ越し前に読んだのが悪かったか…
語り口は、とても軽妙だったことを覚えています。
井伏鱒二というと、『黒い雨』が有名ですし、みんな大好き太宰治が「師匠、描写力が半端ない」とはしゃぐくらい写実的な方だと思うのですが、だからと言って決して重くはなく、廃墟同然の姿しか見たことのない駅前旅館の風景に、知らないはずなのにノスタルジーを感じてしまうくらいで -
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ご近所文豪の穏やかで優しい目線の随想録
地元民として、荻窪から見た近代史、郷土史としても大変興味深かった。
著者の押しつけがましくない自然体の語り口も心地よい。
関東大震災の避難生活(早稲田球場、中央線線路避難)、
戦時下の徴用船の騒動などの若かりし頃の活動的なエピソードから、
先輩格としての文士らとの交流・支援と続き、
戦後、地元に回帰するも何やら死を想起させるエピソードが増えて、
やがて、特段意識していないと言いながらも老境の身を穏やかな荻窪の地で想うところで終わっている。
その他
・時系列の記述がやや奔放で不親切。回想の入れ子構造が多用。
・地理的描写も地元関係者でないと付いていく -
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井伏鱒二の名作の一つ、珍品堂主人の増補版と云うので早速手にしてみました。
「風が吹かないのに風に吹かれている様な後姿」と云う珍品堂主人は、井伏鱒二のこの文章そのもの。飄々として掴みどころが無いような、それでいて優しさや可笑しみをじわじわと沁みらす名文を、たっぷり楽しめます!
逸品に出逢った時、攫まされたと知った時、巧くいったとニンマリする時、失敗してトボトボと弱い背中を晒す時、珍品堂の姿をあれこれと想像しながら読むととても楽しめたのですが、増補版の増補部分に注意しなかった自分が恨めしい。巻末の追加分白洲正子さんのネタバレ部分に少し削がれました…おおう(笑) -
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目次
・ドリトル先生とその家族
・船乗り犬
・ぶち
・犬の救急車
・気絶した男
・カンムリサケビドリ
・あおむねツバメ
・虫ものがたり
・迷子の男の子
ドリトル先生シリーズ最後の一作。
作者の死後に編まれた短編集なので、シリーズへの関係が希薄なものもあるけれど、動物たちが考え、行動を起こす様子が目に浮かぶように描かれている。
ドリトル先生の家の犬たちが、犬のための救急車を作ったことによるドタバタ「犬の救急車」
ドリトル先生の家の前に倒れていた男と、近所で起きた強盗と馬の失踪事件の謎を犬の探偵が解き明かす「気絶した男」
動物の飼育員になりたいという男の子にドリトル先生たちが振り回される「迷子 -
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大ガメのドロンコのリューマチの治療を終え、ようやくドリトル先生は、大洪水が起こった前後の世界の話を聞くことができるようになりました。
世界のほとんどを支配していたのは、冷酷無比なマシュツ王。
彼は次々に近隣諸国を攻め立て、領土を拡大し、すべてを奪い、支配する。
彼が独裁政権を維持できたのは、優れた教育システムのおかげ。
言われたことに疑問を持たない、余計なことを考えない人間の創出。
国は国民である一部の人と、大勢の奴隷からなっている。
幸せなのは、もちろん国民のみ。
ノアの家族は渡された設計図通りに箱舟をつくり、渡されたリストの動物を箱舟に乗せる。
考えることはしない。
どうして彼らが神