【感想・ネタバレ】珍品堂主人 増補新版のレビュー

あらすじ

風が吹かないのに風に吹かれているような後姿には、料亭〈途上園〉に夢を託した骨董屋・珍品堂主人の思い屈した風情が漂う――。善意と奸計が織りなす人間模様を鮮やかに描く。表題作に自作解説エッセイ、珍品堂との買出し紀行を綴った一文を併せた決定版。〈巻末エッセイ〉白洲正子

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Posted by ブクログ

さすが井伏鱒二、巧い、読ませる。骨董の魅力と魔力、それが余すところなく描かれている。料理も含め、ほれぼれするようなディテール。しかもユーモラス。「です・ます」と「だ・である」の混在もおもしろい。
モデルは骨董鑑定士の秦秀雄。北大路魯山人のもとで高級料亭(星岡茶寮)の支配人となったが、従業員をめぐって魯山人とトラブル。小説はこの騒動を描いている。これがあったのは戦前だが、小説の設定は昭和22年。戦後まもない時期に変えてある。
増補新版では、井伏が秦にどんな取材をしたかというエッセイが加えられている。そのほか、秦秀雄のことを書いた白洲正子による追悼エッセイも。

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2025年05月03日

Posted by ブクログ

知人の推薦で手に取ってみた。骨董に魅了された人々のドタバタ感が生き生きとユーモアたっぷりに描かれている。主人公が料亭経営にのりだした後に、狡猾な女性が登場してからますます面白くなる。実在の人物をモデルにしているが、主人公の性格がどこか自分と似ているような気がしてならない。

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2023年12月26日

Posted by ブクログ

井伏鱒二の名作の一つ、珍品堂主人の増補版と云うので早速手にしてみました。
「風が吹かないのに風に吹かれている様な後姿」と云う珍品堂主人は、井伏鱒二のこの文章そのもの。飄々として掴みどころが無いような、それでいて優しさや可笑しみをじわじわと沁みらす名文を、たっぷり楽しめます!
逸品に出逢った時、攫まされたと知った時、巧くいったとニンマリする時、失敗してトボトボと弱い背中を晒す時、珍品堂の姿をあれこれと想像しながら読むととても楽しめたのですが、増補版の増補部分に注意しなかった自分が恨めしい。巻末の追加分白洲正子さんのネタバレ部分に少し削がれました…おおう(笑)

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2018年05月17日

Posted by ブクログ

実在の人物をモデルに、戦後の東京で骨董狂いの男が料亭経営に乗り出す顛末を虚々実々に描く、ユーモラスでほろ苦な大人のおはなし。
綿密な箱書きとかとは無縁で、ゆるゆると流れるように語られ、あっちいったりりこっちいったりおおらかな語り口が、昼休憩に読んだりするのにピッタリ。
巻末には白洲正子さまがモデルとなった人物のことを語っており、この人は小林秀雄、この人はもしかして;魯山人などと種明かしも楽しい〜

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2021年03月29日

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