井伏鱒二のレビュー一覧
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ジョン万次郎に興味があって、3つの短篇のうち「ジョン万次郎漂流記」を最初に読んだ。勝手に司馬遼太郎の『菜の花の沖』(やはり江戸時代にロシアに拿捕された商人、高田屋嘉平を描いた小説)みたいな壮大な娯楽物語を想像しながら読み始めたが、すいぶん雰囲気が違う。大げさな感情描写や細かい時代背景の説明などはほとんどないまま、淡々とした描写が続く。それでいてじわじわ伝わる何とも言えない滋味深さ。読み始めの拍子抜け感から一転、うなりながら読み終えた。次に読んだ「さざなみ軍記」にはさらに感じ入った。一度では味わい尽くせない、文学作品の魅力がすみずみに。またうなる。再読必至。(「二つの話」はちょっとピンとこなかっ
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ちょうど瀬戸内に関心が湧いてきたところで、「広島」のキーワードで購入。
広島だけでなく、岡山、瀬戸内の島々と、その歴史、文化を含めて興味深い史実も学ぶことができた。
井伏鱒二の思い出話は、ウイットに富み、時に心が温まる小話がある。
井伏鱒二は、きっと心優しい人なのだろう。
以下抜粋~
・(宮島)島全体が清浄な御神体だとされている。
今でも死人があると対岸に埋葬する。墓というものは一つもない。赤ん坊の臍の緒も対岸に持って行って埋めている。犬猫の死骸も島には埋めない。
・大崎島は大崎上島と大崎下島に分れ、どちらも内海通いの船乗りたちの間にはオチョロ船で馴染みの深かった島である。オチョロ船は港に -
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少し前の100分で名著で、二作目『ドリトル先生航海期』が扱われていたことから手に取った。
子どもの頃は読む機会がなく、大人になった今が初読である。
面白い!特に旅に出てから先は、次から次へとトラブルが目紛しく起きて、次はどうなる?とページを繰る内にあっという間に読み終えていた。
出来事の中には、他の児童書でも似たようなことあったなぁと思えるものもあり、この作品の古典としての影響力の大きさを感じた。色んな児童書作家が、きっと通ってきたんだろうなと…
古めの海外児童文学で表現がまどろっこしいというか、読みづらいことがたまにあるのだけど、この作品はとても読みやすかった。井伏鱒二訳か…井伏鱒二!? -
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井伏鱒二さんの詩集ですね。
「散文を書きたくなくなるとき、厄除けのつもりで書いた」という『厄除け詩集』に初期の作品を加え、生涯の全詩作70篇を紹介されています。(解説ー東郷克美/穂村弘)。
「ひばりのす」
ひばりのす
みつけた
まだ誰も知らない
あそこだ
水車小屋のわき
しんりようしよの赤い屋根がみえる
あの麦ばたけだ
小さいたまごが
五つならんでる
まだ誰にもいわない
僕はこの詩で君のことを思ひ出した
陸稲のことにも気がついた
君のうちの庭は広かった
それが空地利用で麦畠になった
あのとき君の唯一の楽しみは
いまに雲雀が巣をかけて
卵が宿 -
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井伏鱒二の紀行記。
司馬遼太郎の「街道をゆく」も好きだが、井伏鱒二の本著はさすがに小説家によるものであり、文章が巧い。
7つの街道とも、訪れたい場所だ。
以下引用~
・鮒ずしは、「鮨」だと思うから誤解が生ずるのだそうだ。
もともと鮨ではなくて漬物であり。漬物のおしんこが外国人にくさくてたまらないのと同じように、鮒ずしは別種のくさみで一般人にはくさくてたまらない。漬物とわかればいくらくさくっても箸がつけられる。
近江八幡の名物は、メンソレータムと、近江商人と、付近に産する近江牛だそうだ。「鹿の子」と云われるロース肉を将軍家へ献上した歴史が残っているそうだ。 -
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「さざなみ軍記」は読んでいる時はなんだかやけに淡々とした話が続くなあ、と言う感覚だったのだけど、解説を読んで足かけ9年かけて少しづつ発表して主人公の成長を描こうとした作品だったと知ってなるほどと納得がいった。それにしてもそれだけ長い期間かけて割と短い期間7月から3月までの必ずしもクライマックスがあるわけでもない作品を淡々と書くのもなかなか。
「ジョン万次郎漂流記」はとても面白く読めた。数奇な運命というしかないけど、どこまでが史実でどこまでが井伏鱒二の創作なのかはわからない。もちろん基本的な出来事は実際の記録に基づいているのだろうけど小説的なセリフや行動は登場するアメリカ人たちの振る舞いが井伏鱒 -
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井伏鱒二文学忌 1898.2.15ー1993.7.10
井伏忌 鱒二忌 平成5年までご存命だったですね。今年は没後30年で、神奈川近代文学館や杉並文学館で記念展が開催されています。(広島のふくやま文学館でも)涼しくなったらお出かけします。
井伏鱒二は、太宰治をとても可愛がって(お世話をして)いました。出会いは、太宰治からのアプローチ。14歳で井伏の作品に心酔して、東大入学で上京して、会ってくれなければ自殺するからという、手紙をだす。まだ良い時代だったから、井伏も会う機会を作ってあげる。そこから続いた太宰治の事を書いた物を一冊にまとめた逸品です。
太宰治は青森の資産家の息子で、出会った時から浪 -
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自分が小学生の頃、
ドリトル先生シリーズが好きで、
面白く読んだ記憶があり(ハードカバーのやつ)、
再読しました。
訳が井伏鱒二とは知らずビックリ。
面白かった記憶がある割に、
ストーリーを全く覚えていなくて、
新鮮な気持ちで読んだ。
ただ、ダブダブ、チーチー、ポリネシアといった動物の名前は記憶がありました。
子供にとって面白いものは、
大人にとっても面白いものもあるけど、
今の自分なら積極的には読まないかなぁ、と思いました。
想像力が逞しい子供の頃に読んだ方が面白かったと思う。
小学生の時には、
独特の挿絵、知らない動物(オカピとか当時は知名度無かったので) -
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昔荻窪に住んでいた時に買ったけど結局読まなかった本を30年近く経ってから読んだ。井伏鱒二の文章はなんとなくおおらかさと洒落た味わいがあって「黒い雨」を読んで以来好きだ。昭和初期の荻窪あたりの今からは想像がつかないような田舎びた感じや、戦争に向かう時期の緊張、その中でしたたかに生きる街の人々や今よりは生きる余裕もあったように見える文人たちの姿が飾らない雰囲気で馴染みのある地名の中で描かれる。荻窪タウンセブンの建設前のワクワク感のようなものも書かれていて身近なところもあって嬉しい。1993年に亡くなったということは実は私が荻窪に住んでいた時と重なっていた部分があったのかもしれない。