【感想・ネタバレ】太宰治のレビュー

あらすじ

太宰治から「会ってくれなければ自殺する」という手紙を受けとってから、師として友として、親しくつきあってきた井伏鱒二。井伏による、二十年ちかくにわたる交遊の思い出や、太宰の作品解説を精選集成。「あとがき」を小沼丹が寄せる。中公文庫版では井伏の没後に節代夫人が語った「太宰さんのこと」を増補。

目 次

I
太宰治の死
亡 友――鎌滝のころ
十年前頃――太宰治に関する雑用事
点 滴
おんなごころ
太宰治のこと
太宰と料亭「おもだか屋」
琴の記
太宰治と文治さん
II
あの頃の太宰君
「ダス・ゲマイネ」の頃
御坂峠にいた頃のこと
「懶惰の歌留多」について
余 談
戦争初期の頃
甲府にいた頃
報告的雑記
太宰君の仕事部屋
御坂峠の碑
蟹田の碑
III
あとがき〔『富嶽百景・走れメロス』〕
解 説〔『太宰治集上』

あとがき(小沼丹)
太宰さんのこと(井伏節代)

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Posted by ブクログ

神奈川近代文学館で井伏鱒二展をしていたので、予習を兼ねて購入。井伏が太宰の人格と才能を愛していたことが伝わる。二人の出会いは自死を仄めかす脅迫めいた太宰からの手紙だったこと、井伏が太宰の精神科病院入院や二度目の結婚を世話してあげたこと、太宰の死後は佐藤春夫に協力を仰ぎ『正義と微笑』の一節から碑を作ったことなど、同じエピソードが何度も出てくるので、概ね空で言えるようになってしまった。井伏鱒二展では二人の手紙や、二度目の結婚に際した太宰の宣誓書を見られて大興奮。二人の関係がわかる良い本だと思った。

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

太宰治について書いたエッセイ20篇と作品解説2篇。独特のユーモアが漂う。
ふたりの関係は、交遊とか友愛とか師弟愛といった生易しいものではなかった。才能と魅力はあるが、放蕩する息子と、その後始末をせざるをえない弱気の父親のような関係。しかしその関係がなにかしら不思議な感動を呼び起こす。
とくに印象に残るのは、太宰の最初の妻・小山初代のことを書いた「琴の記」、太宰の長兄のことを書いた「太宰治と文治さん」、石井桃子が最後に登場する「おんなごころ」。
放屁問答は2つのエッセイに出てくる。太宰は、「富岳百景」のなかで井伏が富士を見ながら放屁したと書いた。それを読んだ井伏は、していないと抗議したが、太宰は敬語で応じた。「いや、一つだけでなく、二つなさいました。微かになさいました。あのとき、山小屋の髯のじいさんも、くすッと笑いました」。耳が遠いそのじいさんには微かな音など聴こえないはずなのだが。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

師として友として親しくつきあってきた井伏鱒二が見た太宰治の肖像。筆者の目を通した太宰治、筆者との思い出の中の太宰治。これらは、太宰治の作品を読んでいただけでは見えない印象だった。
この印象が変わったところで、太宰治の作品を改めて読みたいと思った。

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2022年10月06日

Posted by ブクログ

井伏鱒二と太宰治
お互いの
人間性や関係性、
距離感、空気感が
垣間見える
太宰治が自殺してしまった
という事実が悲しい
三省堂名古屋本店の
中公文庫在庫僅少フェアにて購入

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2022年05月22日

Posted by ブクログ

2019.07.15~08.22

自分のことを一時でも慕ってくれた者が突然いなくなった心情が、淡々とつづられており、それ故に、辛さが後からじわじわと伝わってきた。どれだけ大切にしていたのか。悲しいね。

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2019年10月13日

Posted by ブクログ

これまでの『太宰治』と『私(読者)』という対話関係から、『井伏鱒二(解説者)』が間に入ってきてくれたことにより、太宰治という作家を多角的に見ることができる。
太宰の兄や世話人との仲介を少し面倒に思う時もありながら、太宰治という作家を天才だと心から思い、太宰が命を絶つときまで見守り続ける井伏鱒二。
の人間性の暖かさを感じれる一冊でした。

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2019年01月02日

Posted by ブクログ

昔断片的に読んだことのあった井伏さんからみた太宰の姿が生き生きと立ち現れる。一息で読んだが、懐かしい旧友と久しぶりにあったよな感慨を覚えた。中学時代読破して以降読んでいなかった太宰を、改めて再読する契機としたい。

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2025年09月18日

Posted by ブクログ

井伏鱒二文学忌 1898.2.15ー1993.7.10
井伏忌 鱒二忌 平成5年までご存命だったですね。今年は没後30年で、神奈川近代文学館や杉並文学館で記念展が開催されています。(広島のふくやま文学館でも)涼しくなったらお出かけします。

井伏鱒二は、太宰治をとても可愛がって(お世話をして)いました。出会いは、太宰治からのアプローチ。14歳で井伏の作品に心酔して、東大入学で上京して、会ってくれなければ自殺するからという、手紙をだす。まだ良い時代だったから、井伏も会う機会を作ってあげる。そこから続いた太宰治の事を書いた物を一冊にまとめた逸品です。
太宰治は青森の資産家の息子で、出会った時から浪費家、一時は薬物中毒と、何かと手を差し伸べ破綻した生活を助けていました。そして、将棋を指して、旅行に出かけ、親しかった様子が伺えます。
特に最初の「太宰治の死」初出は昭和23年8月原題「太宰治のこと」ですから、情死と言われた自殺から間も無くの作品です。他の作家さんの作品でも書かれていましたが、太宰治の情死について周囲の人たちは納得していないようです。「おんなごころ」に、太宰治と入水した女性との生活が書かれていますが、この女性との関係性を良く思っていない事が読めます。もしかして、太宰治も困っていたかもしれないような。
太宰治について想像していた通り、友人は少なかったけれど、何故か彼の世話をしてくれる人や長く仕送りをしてくれた地元の名士の兄が居た。少し生活を立て直せていればねえと思うけど、小説に特化した人間性だったんでしょうか。
太宰治は、その時々の心情から小説を書いていたようなので、再度、年代順に読み直してみようかなと思いました。

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2023年07月10日

Posted by ブクログ

師であり友人である井伏鱒二による太宰治との想い出がつづられる。時に批判のような口調にも、行間に太宰への愛情が見える。
だれしも、矛盾を抱えて生きている。注目されたいと思うが注目されるのが苦手、人に好かれたいが人が苦手、強い自己主張をするが実は気が弱い。そういう矛盾を人一倍背負った太宰は、井伏にとって太宰は、ほっとけない人だったのだろう。

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2020年07月23日

Posted by ブクログ

文学ファンじゃないが、唯一定期的に読んでいる太宰治。その師匠であり、晩年の友人で会った井伏鱒二による太宰の解説?的な一冊。

文章の丁寧さと本人のやさしさと太宰へのリスペクトも相まってか、愛すら感じた。太宰の生き様だけ見るととてもまっとうには見えないが、井伏や中畑さん、北さん、ほか女性陣含め、人間性で惹かれるものがあったんだろうなとやっぱり思う。太宰作品も有名どころはだいぶ読んだと思うが、時系列的にどこでどんな時期に書いた作品かまで、この本で知れてもっと太宰について知りたくなった。自分のゆかりのある土地もちらほら出てきてなぜか誇らしい気持ち。太宰ゆかりの地ツアーしようかな。
東京八景、ダスゲマイネ、ロマネスク、晩年、富岳百景どれ読んだだろうか。一回まとめたい。

ツシマだと津軽弁でチシマになるから、訛っても発音が変わらないように「ダザイ」。初めて知った感動。

太宰が亡くなったのが1948年、井伏が亡くなったのが1993年。教科書で出てくる文豪のイメージだけど、ついこの間なことに驚いた。フィクションじゃなくて生きていた人なんだと改めて感じた。


...あと、関係ないが井伏鱒二といえばで「さよならだけが人生だ」の訳は震えた。575のリズムもいい(日本人だから?)。ユーモアというか、粋な感性を持っている方だったんだろうなと思う。

(勧酒)
勧君金屈巵  君に勧む金屈巵きんくつし
満酌不須辞  満酌辞するを須もちひず
花発多風雨  花発はなひらきて風雨多し
人生足別離  人生別離足る

コノサカズキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

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2023年09月12日

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