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Posted by ブクログ
ハック・フィンとの冒険が終わってしまった。
これが、この本を読み終わったときの最初の感情だった。
この本は、たくさんのものが詰まっている。
黒人奴隷、キリスト教的道徳観、詐欺、集団リンチ等々。
そういう点は非常に興味深く映る。
ただ、なにより主人公ハック・フィンが魅力的なのだ。
自由を求めて、故郷も財産も捨て冒険に出るハック。ハックは人を助けるときや物を盗むとき、それは善いことなのか、正しいことなのか、いつだって一生懸命悩み、考える。賢いわけでも格好いいわけでもない。だが、たまらなく愛しいのだ。
著者は冒頭にこう記している。
「この物語に主題を見つけようとする者は、告訴されるであろう。教訓を見つけようとする者は、追放されるであろう。…」
この本は、時代背景や倫理観等の描写から多くの評価を受けている。
しかし、この作品で第一に楽しむべきは、ハック・フィンとの冒険そのものなのだと思う。
Posted by ブクログ
ハックの精神的成長を描いた作品。
黒人奴隷ジムの逃亡幇助をめぐる、
人間的かつ道徳的な「健全な判断を下せる心」と
奴隷制度を容認する南部社会が生んだ「歪んだ良心」との葛藤が素晴らしい。
原子力発電の推進を援護する方々に、ハックが持っているような「人間として何が正しいか」という意識を持ってもらいたい。
まあ表向きにはハックの成長がこの小説のテーマみたいになってるけど、(おそらくそれはトウェインが講演旅行の下準備のノートブックでの言葉がそうさせている。すなわちトウェインは、道徳的危機に際して、へたな修練を積んだ良心などというものよりも健全な判断を下せる心が、より安全に人を導いてくれるという考えを持っていて、『ハックルベリーフィンの冒険』でそれを描いたと言っている。)おそらくは「歪んだ良心」だらけの社会で、いかにして「自由」をつかむか、という自由への模索と、文明への懐疑がテーマである。
トウェインは主人公ハックの成長から、孤独という状態から孤高というフェーズがその答えであると見出したように私は考える。
Posted by ブクログ
1885年発行。口語体で書かれたはじめての小説。ヘミングウェイがあらゆるアメリカ文学は本作に由来すると言ったことでも有名。
前作『トム・ソーヤーの冒険』(以後『トム・ソーヤー』)で大金を得て、養子となったハックルベリ・フィン(以後ハック)が窮屈な暮らしから脱出し、逃亡奴隷のジムとともに自由を求めてミシシッピ川を下る冒険に出る。
前作『トム・ソーヤー』が、少年と退屈との戦いを描いた無邪気な物語であるのに対し、本作では子どもの目線で描きつつも、アメリカ南部の社会を皮肉を交えて痛烈に批判している。
明るい『トム・ソーヤー』の続きを期待してしまったために、背後に流れる暗い影に一度は本を閉じてしまっていたが、本作を黒人奴隷目線でリライトした小説『ジェイムズ』が刊行されたのを機に、最後まで読んだ。(この『ジェイムズ』が問題で、この小説を読んでしまうと本作の見方が大きく変わってしまう。もはや切り離せないので、本作の考察は『ジェイムズ』の感想にまとめた)
後半の皮肉や社会風刺はこれぞマーク・トウェイン!実に痛快で楽しく読んだ。それでも読後に振り返ると寂しさが残る。ハックはとても残酷な世界で暮らしている。この地獄巡りのような旅で唯一救われるのは、ハックがさっぱりとした性格だったことだ。重いテーマを軽口で描き切ったところに、この物語の物凄さを感じる。
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