あらすじ
自由と開放の地を求め、相棒の黒人ジムとミシシッピ川を下る筏の旅に出るハックルベリ。様々な人種や身分の人々との触れ合いを通して、人間として本当に大切なもの、かけがえのない真実を見出してゆく。
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黒人差別というものは実際見たわけでもなく、全くわからないものだったが、当時の南部の雰囲気と共にその扱いがわかる。いかにハックが必死であるかも…
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さらっと読んだだけでもとっても面白いけど、じっくり読み直すともっと面白いんだろうな。個人的には第31章、ハックが自分の中の「道徳」心と闘いながら、売り払われたジムを助け出そうと決意するくだり、「よし、それなら、オレは地獄に行こう。」… 震えた。本当に読むべき小説。
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自由で物怖じしないハックと心優しいジムだからこそ、冒険が恐ろしいものではなくワクワクしてサッパリとしたものになるのではないかと感じた。
トムはどんな子なのだろうともっと知りたくなったので、トムソーヤの冒険も読んでみようと思う。
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私は純粋に、冒険小説としてこの物語を楽しみました。各章ごとに続きが早く読みたくなるように物語が展開されており、ハックと同じようにハラハラドキドキしていました。しかし、冒頭で著者のマーク・トゥウェインが述べているように、この本の主題は単なるハックの大冒険ではありません。一連の物語を通して、著者はものすごく深いメッセージを読者に送っていたのです。最近の小説でも、物語を通して何かメッセージを発信することはよくありますが、大抵の場合はメッセージの方が物語よりも意識されすぎているか、メッセージが高度すぎて物語の面白みが欠けるかのどちらかになってしまっているように思います。この本のすごいところは、メッセージと物語のバランスがとてもよく、メッセージを読み取れなくても冒険小説として楽しめるし、メッセージを読み取れればその物語へのメッセージの見事な浸透具合に感動させられるはずです。最近ではあまりみることのできない、著者のメッセージと物語の秀逸な融合を「ハックルベリ・フィンの冒険」で味わえます。
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ハック・フィンとの冒険が終わってしまった。
これが、この本を読み終わったときの最初の感情だった。
この本は、たくさんのものが詰まっている。
黒人奴隷、キリスト教的道徳観、詐欺、集団リンチ等々。
そういう点は非常に興味深く映る。
ただ、なにより主人公ハック・フィンが魅力的なのだ。
自由を求めて、故郷も財産も捨て冒険に出るハック。ハックは人を助けるときや物を盗むとき、それは善いことなのか、正しいことなのか、いつだって一生懸命悩み、考える。賢いわけでも格好いいわけでもない。だが、たまらなく愛しいのだ。
著者は冒頭にこう記している。
「この物語に主題を見つけようとする者は、告訴されるであろう。教訓を見つけようとする者は、追放されるであろう。…」
この本は、時代背景や倫理観等の描写から多くの評価を受けている。
しかし、この作品で第一に楽しむべきは、ハック・フィンとの冒険そのものなのだと思う。
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ハックの精神的成長を描いた作品。
黒人奴隷ジムの逃亡幇助をめぐる、
人間的かつ道徳的な「健全な判断を下せる心」と
奴隷制度を容認する南部社会が生んだ「歪んだ良心」との葛藤が素晴らしい。
原子力発電の推進を援護する方々に、ハックが持っているような「人間として何が正しいか」という意識を持ってもらいたい。
まあ表向きにはハックの成長がこの小説のテーマみたいになってるけど、(おそらくそれはトウェインが講演旅行の下準備のノートブックでの言葉がそうさせている。すなわちトウェインは、道徳的危機に際して、へたな修練を積んだ良心などというものよりも健全な判断を下せる心が、より安全に人を導いてくれるという考えを持っていて、『ハックルベリーフィンの冒険』でそれを描いたと言っている。)おそらくは「歪んだ良心」だらけの社会で、いかにして「自由」をつかむか、という自由への模索と、文明への懐疑がテーマである。
トウェインは主人公ハックの成長から、孤独という状態から孤高というフェーズがその答えであると見出したように私は考える。
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1885年発行。口語体で書かれたはじめての小説。ヘミングウェイがあらゆるアメリカ文学は本作に由来すると言ったことでも有名。
前作『トム・ソーヤーの冒険』(以後『トム・ソーヤー』)で大金を得て、養子となったハックルベリ・フィン(以後ハック)が窮屈な暮らしから脱出し、逃亡奴隷のジムとともに自由を求めてミシシッピ川を下る冒険に出る。
前作『トム・ソーヤー』が、少年と退屈との戦いを描いた無邪気な物語であるのに対し、本作では子どもの目線で描きつつも、アメリカ南部の社会を皮肉を交えて痛烈に批判している。
明るい『トム・ソーヤー』の続きを期待してしまったために、背後に流れる暗い影に一度は本を閉じてしまっていたが、本作を黒人奴隷目線でリライトした小説『ジェイムズ』が刊行されたのを機に、最後まで読んだ。(この『ジェイムズ』が問題で、この小説を読んでしまうと本作の見方が大きく変わってしまう。もはや切り離せないので、本作の考察は『ジェイムズ』の感想にまとめた)
後半の皮肉や社会風刺はこれぞマーク・トウェイン!実に痛快で楽しく読んだ。それでも読後に振り返ると寂しさが残る。ハックはとても残酷な世界で暮らしている。この地獄巡りのような旅で唯一救われるのは、ハックがさっぱりとした性格だったことだ。重いテーマを軽口で描き切ったところに、この物語の物凄さを感じる。
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高校生のときにブルーハーツの1000のバイオリンを聴いてから気になってた作品。15年以上経ってからやっと読んだ。トウェインが描くアメリカの自由の精神とはどういうものか、改めて感じられた、かな。ハックの前向きさと勢いと成長が眩しい。あと表紙がカワイイ。
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アメリカで奴隷制度があったこと、今でも黒人の差別で何かとニュースになることは何となく聞いたことがある。しかし、「奴隷」の黒人がいた時代のアメリカでどのように扱われていたか、白人黒人がお互いどのように日々を過ごしていたかを多少なりとも理解を深めさせてくれる話だった。それとアメリカにおけるキリスト教徒としての在り方とか。
さて本書はハックの冒険日記みたいなものである。トムソーヤーとは異なるハックならではの苦しみを背負いつつ、巧み過ぎる世渡りでなんとか生きていくサバイバル。冒険というよりもっとふさわしい表現がある気がするが思い浮かばない。ゆく手に現れる、ギリギリ普通そうでかねり危険な大人たちがその都度怖い。渡る世間は鬼ばかり、ってのが頭に浮かんだ。
冒頭の黒人の話題に戻るが、ハックとジム、さらにその他の黒人とのやりとりが一番印象に残った。ハックはジムはお互いを大事な理解者とはしているが、親友とか相棒、というのとは違い現代から見たら差別的なものでもある。しかしそこに悪気とか見下すとかではない自然な意識に見えた。例えるなら農家が家畜を大事にするようなものだろうか。勿論、黒人をひどく扱う白人もたくさん出てくる。また、黒人の側もそれを差別とは意識せず白人との違い自然なものとして生きているように見えた。それが自然だったのだろう。キリスト教の話もよく出るが、教えの中でも白人と黒人の差別は不自然ではないのかな?事情に詳しく無い人間の感想だが、、、
最後に、なんで終盤にあの人が急に出てきたんだろうか。そこはもやもやするし、あとかなり長い話なのも気になるが読んで良かった話でした。
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前から読みたいと思っていた名作を読む。
長かったけど面白かった。
やんちゃ坊主の冒険譚。
次々とテンポよく巻き起こる騒動とハックの機転のよさと古き良きアメリカとでもいうようなのどかさが読んでいて気持ちがいい。
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トムソーヤからの続きで読書開始。
まったくの続編なので期待しつつ読んだのだが
最初の方がどうもとっつきにくかった。
終盤もトムの行動が良く分からないというか、
自分の考えに固執した行動しかとらず、
読み手はいらいらさせられる。
解説を読み、そういう解釈の仕方があるのかと、
ある程度納得はしたが。
面白いのは、この本がただの冒険小説ではなく、
所々に奴隷問題、人種差別、宗教問題、当時の風俗というものが
ちりばめられていることだろうと思う。
また、解説にもあるが、ウォルター・スコットなど、
各所にトゥエインが暗喩しているものを探し、
その意図を考えてみるのも面白い。
そしてまた、こういう時代から
まだ200年も経ってないんだなぁと改めて考えてしまう。
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マーク・トウェイン「ハックルベリー・フィンの冒険」
児童小説の体裁をとった大傑作。
良心の呵責、神の認識、恐怖、謝罪、祈り、葛藤。
そしてこの一文に震えなかったものを私は信用しない
「All right, then, I'll go to hell
よし、それなら、俺は地獄に行こう」