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世界の合言葉は森
森がどんどん消滅していく──植民惑星ニュー・タヒチでは、地球に木材を輸出するため、大規模な伐採作業が進められていた。利益優先の乱開発で、惑星の生態系は崩壊寸前。森を追われた原住種族アスシー人は、ついに地球人に牙をむいた! だが、圧倒的な軍事力を誇る地球人に、アスシー人の大集団も歯がたたない……二つの知的種族とその文明の衝突が生む悲劇を、神話的なモチーフをたくみに用いて描きあげるヒューゴー賞受賞の表題作ほか、辺境の植民惑星に生まれた一人の多感な少女の成長を静謐なタッチで綴る佳品「アオサギの眼」を併録。 -
辺境の惑星
五千日も続く冬の到来を前に、竜座の第三惑星では大混乱が生じていた。原住種族ヒルフのなかでも蛮族として知られるガールが、他部族の食糧を略奪しに北から移動してこようとしていたのだ。この惑星に移住して、何世代もたつ異星人ファーボーンは、ガールの大軍に立ち向かうべく、ヒルフの温和な部族トバールと同盟を結ぶ。だが、ファーボーンの頭アガトとトバールの族長の娘ロルリーが出会ったとき、事態は大きく展開するのだった…異種族間の相克を、ル・グィンがみずみずして筆致で鮮やかに描いた、『ロカノンの世界』につづく長篇第2作。 -
ロカノンの世界
全世界連盟から派遣されたフォーマルハウト第2惑星調査隊は、隊長のロカノンを残して全滅した。この惑星にひそむ連盟への反逆者が、調査隊を襲ったのだ。なんとかこの事実を母星に知らせようとするロカノンだったが、通信装置を破壊されてしまっていた。使用可能な装置は調査隊を攻撃した反逆者の手もとにしかない。ロカノンは、この星のヒューマノイド──風虎に乗り、空を翔けるアンギャール族の協力を得て、未踏の大陸の果てまでも反逆者を捜し求めるが…その後のル・グィンの物語世界の基調をなすSF界の女王の記念すべき長篇第1作! -
オルシニア国物語
この世界のどこかにオルシニアという名の国がある。12世紀のなかば、“オドネ”という邪神を信仰する野蛮な異教徒からこの国を守り、神の教会の忠実な守護者として敬愛されるフレイガ伯爵の城館で起こったある真冬の夜の出来事をはじめ、17世紀、オルシニアの王位継承をめぐる内乱に巻きこまれたモーゲの姫君の数奇な一生、そして1962年、田舎で一週間の休暇を過ごそうとした青年の恋の物語など、SF界の女王ル・グィンが、自らの想像の王国オルシニアを舞台に、そこに生きる様々な時代の、様々な人々の姿を通して、愛とは、自由とは何かを見事に謳い上げた傑作短篇集! -
書店主フィクリーのものがたり
かつては愛する妻と二人で売っていた。いつまでもそうすると思っていた。しかし、彼女は事故で逝き、いまはただ一人。ある日、所蔵していたエドガー・アラン・ポーの稀覯本が盗まれる。売れば大金になるはずだった財産の本が。もう、なにもない、自分にはなにも。それでもフィクリーは本を売る。そしてその日、書店の中にぽつんと置かれていたのは――いたいけな幼児の女の子だった。彼女の名前はマヤ。自分も一人、この子も一人。フィクリーは彼女を育てる決意をする。マヤを育てる手助けをしようと、島の人たちが書店にやってくる。婦人たちは頻繁にマヤの様子を見に訪れるし、あまり本を読まなかった警察署長も本を紹介してくれと気にかけて来てくれる。みなが本を読み、買い、語り合う。本好きになったマヤはすくすくと成長し…… -
五番目のサリー
茶色の目と髪、いつも地味な服を着ているサリー・ポーターは、ニューヨークで働くごく平凡なウエイトレス。だが、彼女には人に言えない悩みがあった。子供のときから、ときどき記憶喪失におちいるのだ。それが原因で仕事も長続きしないし、結婚も破局をむかえてしまった。いまでは、愛する子供たちとも別れて暮らさざるをえない。サリーには知るよしもなかったが、彼女の心のなかにはあと四つの人格がすんでいたのだ…… -
ママは何でも知っている
毎週金曜の夜、刑事のデイビッドは妻を連れ、ブロンクスの実家へママを訪れる。ディナーの席でいつもママが聞きたがるのは捜査中の殺人事件の話。ママは“簡単な質問”をいくつかするだけで、何週間も警察を悩ませている事件をいともたやすく解決してしまう。用いるのは世間一般の常識、人間心理を見抜く目、豊富な人生経験のみ。安楽椅子探偵ものの最高峰と称される〈ブロンクスのママ〉シリーズ、傑作短篇8篇を収録。 -
秋の星々の都
時は18世紀末、堕落した革命に絶望したマンフレッド・フォン・ベックは、殺戮の嵐が吹き荒れるパリを脱出。追手を逃れヨーロッパ各地を転々とするうち、飛行船乗りのセント・オドランや絶世の美女であるクレタの女公爵リブッサと出会う。一行はやがて不可思議な別世界のミレンブルク、秋の星々の都へと迷いこむが、女公爵リブッサには、錬金術の秘術をもちいて聖杯を支配し、新世界を創りだそうという驚くべき野望が!? -
始まりの場所
ヒューは最初、ただの森だと思った。アメリカの地方都市の郊外なら、どこにでもありそうなありふれた森……。だが、ここに来てさわやかな小川の流れに身を任せると、まるで心が洗われるような気がする。なんどか訪れるうちに、奇妙なことに気がついた。朝だろうが昼だろうがいつ来てもこの森は“たそがれ”の時間なのだ。しかもここへ来ると、いつも時計が止まってしまう……そんなある日、ヒューはそれまでだれ一人見かけず、自分だけの場所だと思っていたこの“始まりの場所”で一人の少女に出会った。その時は、やがて二人して、恐るべき冒険の旅に出ることになろうとは、思いもしなかったのだが……。SF界の女王アーシュラ・K・ル・グィンが“アナザー・カントリー”へとあなたを誘う、傑作ファンタジイ! -
クローディアの告白
1982年夏、作家ダニエル・キイスのもとに若く美しい女性が訪ねてきた。4年前に連続殺人事件の容疑者として逮捕され、後に無実と判明し釈放されたクローディア・ヤスコーだった。今こそ事件の真相を語るから、その話と彼女自身のことを本にしてほしいという。やがてキイスが話を聞くうちに、クローディアは精神分裂病に長年悩んできたことが明らかになっていく。ひとりの女性の苦悩から人間心理の複雑さを映し出す問題作。 -
フロス河の水車小屋
運命の激流、許されぬ恋、新訳決定版 19世紀半ば、セント・オグズの町はずれを流れるフロス河と、代々受け継がれてきた水車の周辺を庭にして、トムとマギーは育った。お転婆な妹を兄がからかい仲よく遊ぶ牧歌的な生活は、父がある裁判に負けたことから一変。マギーは質素な禁欲生活を送るようになるが、やがて兄の元学友で父の宿敵の息子フィリップや大好きな従妹の婚約者スティーヴンに出会ったことから、運命がさらに大きく動き出す……。 本書は、夏目漱石が読むべき英国女性作家に挙げ、プルーストやヴァージニア・ウルフなど後の欧米文学に大きな影響を与えた作家の、最も自伝的とされる作品である。マギーに投影される著者の膨大な教養は、既訳書では長い訳註つきで物語が分断される形で紹介されることが多かったが、本書では生き生きした描写、脚注なしでスムーズに読め、心に深く響く。激しく切ない愛の物語、新訳決定版。