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  • 虚空を風が吹く
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    江戸、芝居町の雀はおもしろ尽に囁きあった。「妾のたたりだぜ。きっと」……おたふく半四郎、目千両と人気の女形(おやま)四世岩井半四郎の怪死に始まる、大和屋を次々襲う、おぞましくも奇怪な事件……。舞台の花の陰にうごめく女と男の愛憎をミステリアスに捉えた標題作ほか、「かえる役者」「祇園ぎつね」「団十郎の死」「手前味噌」。歌舞伎界の裏を縦横無尽に描いた役者小説集。
  • ぐうたら人間学 狐狸庵閑話
    値引きあり
    4.1
    ぐうたら人生の味を開陳する狐狸庵山人の珍妙なる人間学。秀吉の夫婦喧嘩を仲裁する信長に英雄偉人の尻尾を覗き、酒癖のあれこれに人情風俗の妙を知る。権威や独善には背を向け、劣等生的人間に豊かさを見、親愛感を覚える。愛すべきはマヌケ人間、語るべきは気弱人間。人生の味をいかんなく示すエッセイ。
  • 秋蘭という女
    -
    学問の家の神童若江薫子(わかえにおこ)は、紅白粉(べにおしろい)には見向きもしない学者に育ち、攘夷派の浪士たちと悲憤慷慨、新政府に建白書攻勢をかける。時代に逆行する情熱家は危険人物として幽閉され、晩年は失意のうちに放浪したが、その醜貌の下には、女ほんらいの、暖い心が隠されていた。幕末の女志士を描く傑作他8編を収録。
  • 玉川兄弟(上)
    -
    江戸は飲み水に不自由な土地であった。町の発展ひいては幕府の威令をいきわたらせるため、多摩川の水を江戸に曳くという壮大な計画が生れた。多摩川上流に生をうけた土木業者、枡屋庄右衛門・清右衛門兄弟は、目先の利益を排して見事入札に成功、数多の困難に立ち向う。若い兄弟の不屈の闘いをえがく歴史巨篇。玉川上水開墾に雄々しく立ち向かう若い兄弟の物語。
  • 埠頭の風
    -
    幕末から明治の激変期を、熱く描く短編集。日本を追われたシーボルトが、許されて再び長崎港の岸壁を踏んだとき、娘お稲の胸中には……。文明開化の日本人と、訪れてきた異邦人との愛憎を描く傑作短編他。
  • 悲劇の風雲児
    4.0
    木曽の山谷が育てた天性の武人、義仲の31年の生涯。源家の御曹司として平家打倒の兵を挙げ京へ乱入、敗れた平氏は都を捨てる。義仲の権勢の日が始まったが、武力は憚(はば)かられても野人ぶりはからかわれ、後白河法皇の政略に斃れる。無垢な武将の鮮烈な人間性を描く表題作等、史上の英雄8人を描く傑作短編集。
  • 滝沢馬琴(上)
    5.0
    滝沢馬琴の苛酷な生を描く吉川英治文学賞受賞作。「南総里見八犬伝」「椿説弓張月」等で名声を得た馬琴は、保守的で狷介な性格のため人と衝突することも多く、苦しい家計と病弱な家族の煩労も、一身に負っていた。
  • ふふふ
    3.6
    苦笑、失笑、嘲笑、哄笑――。世の中、笑い事ではないけれど、ぐるっと見回せばあちこちにつつきどころがあふれんばかり。言葉のもつ面白さ、政治と社会への溜め息、文化が受け継いで来たぬくもり……。シニカルながら温かい、著者ならではの視点が光る! 日々の思いを綴った現代版『徒然草』的エッセイ集。(講談社文庫)
  • 好きになったら読む本
    -
    娘たちへ! いつも女性にこうあって欲しいという希いをこめて書いた。男が女に近づく方法、逃げる方法。これが悪妻への入り口。「金魚」の自覚こそ、精いっぱい生きるスタート。恋愛に方程式はない、とにかく臨気応変の心を忘れるな……。ホントの愛のために、父から娘へ21通の手紙。恋の予感の只中にいるアナタに。
  • お嬢さん、上手な恋をしませんか
    -
    いま彼の胸にとびこもうとしているあなたに。もう彼の心をつかんでいるあなたに。そして、ふり向いてくれない彼に胸をいためているあなたに――。愛の講師・藤本義一さんがやさしく、きびしく語ってくれます。これはこころ美しい魅力的なあなたをつくる、ちょっぴりスパイスのきいた愛のテキストです。
  • ひとりを愛し続ける本
    3.7
    情熱的な愛に生き続けたいと人は願うが、それは、激しくとも短く終わるもの。本当の自分、真実の生き方を求めて心の中を掘り下げ、明暗の異なるもう1人の自分に気がつくとき、人生はより深く、より拡がりを持つ。――退屈と忍耐、悲しみや苦しみの中に、人生を楽しみ愛する方法を、明快に語るエッセイ集。
  • ふふふふ
    4.0
    繰り返される戦争やテロ、政治家の失言、脅かされる平和憲法、ないがしろにされる農業……。いつの間にやら窮屈になった世の中を、時には嘆き、おおいに憤慨しつつ、それでも真剣に愛し、格闘してきた著者が遺した言葉の数々。ユーモアと、定評のある観察眼が随所に光る、今こそ読みたい徒然の身辺雑記第二弾。(講談社文庫)
  • 孤愁の岸(上)
    3.8
    財政難に喘ぐ薩摩藩に突如濃尾三川治水の幕命が下る。露骨な外様潰しの策謀と知りつつ、平田靭負ら薩摩藩士は遥か濃尾の地に赴いた。利に走る商人、自村のエゴに狂奔する百姓、腐敗しきった公儀役人らを相手に、お手伝い方の勝算なき戦いが始まった……。史上名高い宝暦大治水をグローバルに描く傑作長編。
  • 周作塾
    3.9
    金持ちになれる、女にモテる、人生を豊かにする、ツキを呼ぶ――「読んでもタメにならない」とシャレながら、楽しい人生をおくるための機智溢れるヒントを満載して綴る長編エッセイ。諧謔とユーモアをたっぷり詰めこみ、時代の風俗、生きるとは何かについてユニークなメッセージを熱く語る。
  • 花散里
    -
    舞踏家・鹿野艶子、近代的未亡人・朝吹頼子、俳人・立川喜和……おんなの夕映えともいうべき年齢の3女性が、日常生活を律する倫理を超えた、性の神秘を経験していく過程を通じて、艶やかに人生の無常をうたう名作。
  • にっぽん亭主五十人史
    -
    平清盛は、娘のお産におろおろする子ぼんのうな父親。織田信長は、妻の実家の財力をフルに活用した夫。日本史上の英雄や才人を、父親や夫としてとらえ直してみると、意外な素顔が現われる。現代の弱夫強妻社会と照応させながら、古代から現代にいたる日本の亭主像を、小気味よくスケッチしてみせた、愉快な歴史エッセイ。
  • 伝記 吉川英治
    -
    「宮本武蔵」「新・平家物語」「私本太平記」をはじめ、数々の国民文学を生み、文化勲章に輝く、文壇の巨星・吉川英治の波瀾に富んだ生涯。苦難の時代に生きてなお尽きせぬ、日本人の豊穣な夢とロマンを描き続けた、人間・吉川英治の詩と真実を、追悼の思いを込めて綴った評伝。
  • あくたれ童子ポコ
    -
    戦争に父をうばわれ、母にも失踪された、ポコペンことポコ少年は、従兄の復員兵士や祖母とともに、新しい土地に移住する……。悲しいこと、辛いことにあうと、思いきりあくたれてはね返す、あくたれ上手のポコを中心に、東北の漁村の少年少女の生活を、暖かい目で躍動的に描いた、ユーモア溢れる児童文学の傑作。野間児童文芸賞に産経児童出版文化賞大賞も受賞の北林八穂、発表当時のまま「やほ」としたが現在は「やお」とされる。
  • 式子内親王
    -
    後白河皇女として生を享け、斎院として華やかな時を過したはずの式子内親王。しかしその歌は、〈忍ぶる恋〉に特色づけられるように、耀きに満ちたものではない。法皇没後に、陰謀事件との関係を疑われ出家し、孤独な生涯を閉じた式子。なぜ激しく熱い心を、深い鬱情のうちに閉じ込めざるを得なかったのか……。歌と生涯を辿り、一つの時代の終焉を詠めざるを得なかった、女の姿を浮彫りにする。
  • 夫の始末
    -
    女にとって、夫という男は、何ものなのか。「物事の始末が悪い」と言われ続けた著者が、この世の名残りに、散らかし放題に「始末」をつける。劇作家同士、雑巾を縫う夫と山を歩く妻……。見事に違う、個性鮮やかな夫婦の60余年を戯画化した、何ともおかしい自伝的連作集。女流文学賞・紫式部文学賞、W受賞作。
  • 喜劇役者たち
    4.0
    トリオ同士の笑いの喰い合いに血を流す男たち。天才コンビに隠された哀しくも皮肉な秘密。芸以外に芸人の大切なものを盗んで掟を破った男の末路。浅草ストリップ界を舞台に、笑わすことに命を賭けたが故に自らの人生に泣く喜劇役者たちを、抱腹絶倒のうちにペーソス溢れるタッチで描いた名品六編――。
  • モッキンポット師の後始末
    4.0
    1~2巻550~660円 (税込)
    食うために突飛なアイディアをひねり出しては珍バイトを始めるが、必ず一騒動起すカトリック学生寮の"不良"学生3人組。いつもその尻ぬぐいをさせられ、苦りきる指導神父モッキンポット師──ドジで間抜けな人間に愛着する著者が、お人好し神父と悪ヂエ学生の行状を軽快に描く笑いとユーモア溢れる快作。
  • 新装版 海と毒薬
    3.8
    生きたままの人間を解剖する――戦争末期、九州大学附属病院で実際に起こった米軍捕虜に対する残虐行為に参加したのは、医学部助手の小心な青年だった。彼に人間としての良心はなかったのか? 神を持たない日本人にとっての<罪の意識><倫理>とはなにかを根源的に問いかける不朽の長編。
  • 空白の起点
    -
    大阪出張の帰途にあった小梶鮎子は、真鶴の海岸付近で男が崖から突き落されるのを車中から目撃した。墜落死した男は目撃者の父親、小梶美智雄であったという驚くべき事実が後日判明する。鮎子はまったく偶然に父親の死を目撃したのか。被害者は多額の生命保険に加入していた。異常な死の背後を追及する本格推理。
  • 闇に咲く花
    -
    昭和庶民伝第二部。笑いと涙の、傑作戯曲。敗戦後、復員してきたプロ野球選手を巡って神田の愛敬稲荷神社で起こる珍騒動。戦争と神道という重いテ-マを野球で明るく解き明かす名作。(講談社文庫)
  • 『深い河』創作日記
    4.0
    「この小説のために文字通り骨身をけずり、今日の痛みをしのがねばならなかったのか」。作者最後の長編小説であり、純文学の奇跡と今もなお絶賛される『深い河(ディープ・リバー)』は、壮絶で苛酷な闘病生活のなかから生み出された。1990年8月26日から1993年5月25日まで、小説と死を見つめ続けた感動の軌跡。(講談社文庫)
  • さらば、夏の光よ
    3.8
    背が低くて鈍いと女を愛する資格もないのか。心は優しいが女性にモテない野呂は悩む。明るく行動的な親友の南条は、野呂が密かに恋する同級生の戸田京子の心を掴んだ。微妙に翳る友情。そして8年が過ぎる。歳月は彼らの人生をどう変えたか。愛と哀しみの十字架を背負った3人の運命を描いた青春ロマン。(講談社文庫)
  • 婆沙羅
    3.0
    鎌倉幕府打倒に失敗し、隠岐へ流される後醍醐天皇、お人よしで涙もろい足利尊氏、冷徹な合理主義者足利直義、好色悪逆に生きる高ノ師直、師泰兄弟……百獣横行の乱世を、綺羅をかざり、放埒狼藉をきわめ、したたかに、自在に生きぬいた、稀代の婆沙羅大名・佐々木道誉の生涯を描く、絢爛妖美の時代絵巻。
  • 胸に棲む鬼
    4.0
    志賀島の竜女に恋着された、凜々しい若者の悲劇、奴隷の牧畜を考える冷酷な美女の本性、防人の留守家族に起った戦慄の事件、女奴隷と恋に落ちた高僧の宿業、女の奸計に引っかかり、生霊をとりちがえてしまった傀儡師の嘆き等、奈良、平安朝の下層民の、命のしたたかな強さとあっけない死を語る、傑作短編集。
  • 協奏曲
    -
    かつての恋人で、今は外交官夫人になっている女性を忘れられず、再会を期してフランスへ渡る中年作家。また、海外取材という名目で、この中年独身作家のあとを追う、天衣無縫に生きる若い女性アナウンサー。二つの世代の恋愛とその心理的葛藤を、同時並列の映画的手法で描く傑作長編。

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  • 今昔物語ふぁんたじあ
    5.0
    1~3巻550円 (税込)
    わが国最古の説話集「今昔物語」。その千二百余編に著者独自の観点から立ちむかい、揺れ動く人間の真の姿を今の世に問いなおす。
  • 市塵(上)
    4.0
    貧しい浪人生活から儒者、歴史家としてようやく甲府藩に召し抱えられた新井白石は、綱吉の死後、六代将軍家宣となった藩主とともに天下の経営にのり出していく。和漢の学に精通し、幕政改革の理想に燃えたが、守旧派の抵抗は執拗だった。政治家としても抜群の力量を発揮した白石の生涯を描く長編感動作。
  • 口笛をふく時
    4.0
    汗くさい中学生小津と平目、そして彼等のアイドルの女学生・愛子。稚ない青春の日々。しかし戦争はすべてを変え、海軍士官の愛子の夫も、召集された平目も死んだ……。時はたち、小津の息子、野心家の医師・鋭一は、癌の新薬の人体実験にある女性患者を選ぶ。それは偶然にも、愛子であった。小津父子の断絶、美しくも懐かしいものの消失。感動の長編小説。
  • 絵島疑獄(上)
    -
    七代将軍家継の生母月光院に仕える、大奥大年寄絵島と、当代の人気役者生島新五郎のスキャンダルは事実無根、全くのデッチ上げ! 連坐者千五百名に及んだ一大疑獄事件を、正室派対側室派、保守対革新、尾州家対紀州家等々、幕閣内に渦まく派閥抗争と捉え、犠牲者絵島の人間像に迫る、杉本史眼が冴える長編。
  • 妖女のごとく
    3.9
    友人の結婚相手にと、大河内女医の身辺を探りはじめた辰野は、いつしか妖しい魅力の虜になり、底知れぬ蠱惑(こわく)の罠に陥っていく。やがて明かされる意外な真相が、さらに恐怖を呼び起こす……。都会感覚あふれる傑作サスペンスロマン。
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)
    4.3
    家康の秘命をうけ、徳川三代将軍の座をかけて争う、甲賀・伊賀の精鋭忍者各十名。官能の極致で男を殺す忍者あり、美肉で男をからめとる吸血くの一あり。四百年の禁制を解き放たれた甲賀・伊賀の忍者が死を賭し、秘術の限りを尽くし、戦慄の死闘をくり展げる艶なる地獄相。恐るべし風太郎忍法、空前絶後の面白さ!
  • 闇の歯車
    3.4
    川端にひっそりとある赤提灯で、互いに話すこともなく黙々と盃を重ねる4人の常連。30過ぎの浪人と危険なにおいの遊び人。白髪の隠居と商家の若旦那。ここに4人を〈押し込み強盗〉に誘う謎の男があらわれた。そして、それぞれに関わる女達。誰が操るのか、皮肉なさだめに人を引き込む、闇の歯車が回る。
  • 結婚
    3.9
    限りない期待と、多くの不安に心がゆれる結婚――それはたまたまめぐりあった1組の男女の単なる共同生活なのか、あるいは美しい愛情物語なのか。持続する愛とは?思わぬもろさを含む夫婦生活をつなぐものは?夫と妻の間に横たわる問題を、オムニバス風の手法で追求した表題作ほか8編を収録。
  • ナイン
    3.5
    愛しき町の息吹を描き出す「私」の東京物語少年の日の熱い感動とレギュラ-9人のその後の人生を語る「ナイン」、よりを戻す男女の話を盗みぎきする話「太郎と花子」など街に生きる歓びをうたう短篇連作集。(講談社文庫)
  • 聖書のなかの女性たち
    3.9
    血ぬられたキリストの顔を布で拭ったヴェロニカ、マグダラのマリア、大司祭長カヤパの女中、ヨハネの首を得たサロメ、良妻賢母型のマルタ、ローマ総督ピラトの妻等、聖書のなかから11人の女性を選び、“苦しみの連帯感”ともいうべき人間論を展開。遠藤文学の基調音を奏でた、感動を呼ぶエッセイ。(講談社文庫)
  • 川波抄・春の歌
    -
    隅田川を心のふるさととした明治・大正の東京の情趣が、若い日の「私」の歳月と交錯し、失われた時間に寄せる、想いの光と影を清婉に織りなす「川波抄」、さまざまな歴史を包みこんだ女の、不気味な明るさを湛えた晩年の性を描く「春の歌」など、円地文学の多様な才華と幽玄な到達点を鮮かに示す、傑作全9編を精選。
  • 神話
    -
    子供たちにとって、母親はかつて美しい娘であり、父親は雄々しい若者であった、という神話が断じて必要だ――核家族を象徴する団地を舞台に、現代の親子の関係を描いた「神話」。妻の影響を受けて変わる夫という面から結婚生活を追求した「偕老同穴」。大学の教師と学生の奇妙な共感を描いた「師弟」。ほか3篇を収録。
  • 井上ひさし笑劇全集(上)
    -
    意表をつく発想、日本語の面白さと可笑しさをフルに生かした会話、チクリと刺す風刺、登場人物たちの緊迫した「対立」が生みだす拍真のドラマ、微笑させ、苦笑させ、哄笑させる小気味よいオチ。小説に戯曲に「笑い」を探究する井上ひさしが、テレビ界で活躍していた頃、てんぷくトリオの座付作者となって書きあげた笑劇150余編の中から精選した決定版全集。上巻は37編を収録。読む者を笑いの渦に引き込む笑劇の真髄がここにある!※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • 利休 破調の悲劇
    -
    南海貿易によって富み栄えた、剛毅・狡智な堺商人の中の実力者で、覇者・豊臣秀吉に寵愛を受けた茶頭として華やいでいた利休は、なぜ、死を賜らねばならなかったのか? 晩年10年間に凝縮された栄光と挫折の生涯の、自身の性格に根ざした破調と、政情の推移が関わって生じた悲劇を描いて、「利休の死の謎」を解く、迫真の歴史読物。激しく生きた男の、栄光と挫折のドラマ。歴史的、経済的新視点から千利休の死の謎に迫る!
  • ヒトはなぜ子育てが下手か
    4.0
    人間や動物にとって重要な問題である「生殖」から「子育て」まで、動物たちの生きる姿をさまざまな側面から見て、さらにその本質に迫りながら、われわれ人間社会と比較してみる。動物とヒトの子育てを対比しながら、人間社会における本当の子育てとは、また真の親子関係はどうあるべきかを追究・考察する、親子動物記。
  • 孤独の吠え声
    -
    日本狼の烈しい闘争心と、犬の賢さをあわせもつ、ハイブリッド狼・虎毛。陸奥の大自然を舞台に、虎毛は生きるため恋のために戦いつづけ、山の覇者となる。だが、狼たちの王国は人間の手で無残に侵され、虎毛もついに罠におちる。異国の空に響く虎毛の老残の吠え声、その悽愴な旋律に滅びゆく種への哀惜をこめた、動物小説の名篇。動物文学の第一人者が絶滅した種にささげる野生のロマン!
  • 春泥歌
    4.0
    祖母に懐き、祖母なくしては一日も過ごせないほどのわたし。祖母から聞いた――椿の花の咲き乱れる断崖上に6歳の男児がいたが、連れ立っていた盲目の母の姿はなく、その子の手の先では金剛鈴が鳴っていた――という話を聞いて以来、わたしに取りついた恐ろしい夢……凄艶な情念、ほとばしる詩情! 表題作のほか、美と幻想の9短編を収録。
  • 鬼会
    -
    高校のクラスメイトだった、女流作曲家・晃子の奇妙な死。その死にざまを聞かされたとき、僕は高校卒業を間近にした節分の夜を回想していた。男女合わせて6人の演劇部仲間で、鬼会の放埓な儀式を遊びに選んだのだ。あの夜、晃子を裸にして……。土俗的題材を、独特の美学で幻想世界に昇華させた、著者ならではの秀作集。鬼が出現した青春の一夜の妖しい美ーー鬼面をつけて戯れたあの夜の思い出が、女流作曲家の死に重なる!
  • 舞え舞え断崖
    4.5
    その昔、金精神の祠があったという断崖。一愛読者からの手紙が縁で、断崖の上下に住むことになった閨秀詩人・日折真船と画家・流子の姉妹。二人はともに妖精をモチーフに名を成した。妖精にまつわる遠い過去の記憶を秘めて……という表題作のほかに、「女形の橋」など艶にして妖、情念の襞にせまる珠玉の6編も収録した、伝奇ロマンの傑作小説集。
  • 獣林寺妖変
    4.2
    関ケ原合戦のおり、千数百名の軍兵の血を吸って落城した伏見桃山城。その床板を使った洛北の禅寺・獣林寺の血天井を学術調査中、ルミノール鑑定にひときわ青く燃えたって発見された、新しい血の斑痕……歌舞伎の魔に挑み、燃え朽ちていった魂の咆哮を描く表題作のほか、「ニジンスキーの手」「禽獣の門」「殺し蜜狂い蜜」の阿片的魅力の代表作3篇も収めた、伝奇ロマン傑作小説集。
  • アンダルシア幻花祭
    -
    白い家、パティオ、咲き乱れる花に注ぐ熱い陽光――スペイン南部アンダルシアに魅せられ、踊り手をめざした日本青年は、恋人すら捨てて旅立つ。そして数年後、恋人になり代った女性が、青年のあとを追ってスペインへ。彼女が見た美しい風景と酷薄な現実とは? 異国の魔力に翻弄された若い魂を描く表題作のほか、独得の妖美譚を4作収録。妖美と幻想があやなす独特の青春小説集。
  • 戦艦武蔵レイテに死す(上)
    3.0
    昭和19年10月11日、第一遊撃部隊は勇躍ボルネオ西岸ブルネイ泊地を出撃した。目的地はレイテ。そこで米軍主力を叩こうというのである。隊列には巨大戦艦の大和と武蔵の勇姿が見られた。だがそのころ、すでに日本軍は大方の戦闘機を失い、艦隊の護衛機は皆無というさびしさだった……。超弩級戦艦の死闘と最期を活写する海戦ドキュメント。戦記物の第一人者が描く傑作。
  • 提督・米内光政の生涯(上)
    -
    根っからの海軍軍人でありながら、動乱の昭和史のなかで、父の放蕩で苦労をなめながら、耐える強さで、心ならずも政治家となった米内光政。海軍大臣、内閣総理大臣の要職を歴任するあいだ、彼は盛岡に生まれた東北人らしい寡黙とねばりとで、あまたの難題に立ち向かう。まさに激流でひとつ踏みとどまる舟であった。昭和史の偏した流れをくいとめるために一身を投げ出す良識派軍人の生涯を、豊富な資料と取材で描いた評伝小説。
  • 怪奇小説集
    4.3
    1~2巻607~660円 (税込)
    深夜、胸をしめつけられるような息苦しさに襲われたルーアンのホテル、真夜中の階段を上がっていく何者かの足音を耳にしたリヨンの学生寮、うなだれている人影を夜具の足許に目撃した熱海の旅館――「三つの幽霊」ほか、身の毛もよだつ恐怖譚15編を収録。
  • 春秋の檻 獄医立花登手控え(一)
    4.0
    江戸小伝馬町の牢獄に勤める青年医師・立花登。居候先の叔父の家で口うるさい叔母と驕慢な娘にこき使われている登は、島送りの船を待つ囚人からの頼みに耳を貸したことから、思わぬ危機に陥った――。起倒流柔術の妙技とあざやかな推理で、獄舎に持ちこまれるさまざまな事件を解く。著者の代表的時代連作集。
  • 日本交響楽(1) 満州篇(上)
    -
    昭和3年6月4日、満州の実力者・張作霖を乗せた特別列車が何者かによって爆破された。満鉄の駅長の息子・倉田竜作とその家族をはじめ大陸に暮らす日本人の平和な日々に、広大な満州の平原を揺るがす戦争の嵐が近づく……。満州事変・太平洋戦争――激動の昭和史と日本人の運命を描く大河ロマン。
  • おれは伊平次
    3.5
    村岡伊平次。故郷の島原を逃げ出し、南方で女衒として名を馳せ、女郎屋に賭博場、からゆき貿易で財を築き、三千有余の妓(おんな)たちを連れ新天地を拓き、あげくは南洋の美姫を妻とし、珊瑚礁の島の国王となった男。幾多の伝説に彩られたその生涯を雄渾に描く。明治の時代に、こんな痛快に生きぬいた日本人がいた!
  • 知床岬殺人事件
    -
    涼たる北の秘境で、映画づくりに情熱をかたむけるグループを襲う不気味な殺人者。一行に加った怪しい出資者の正体は? 愛憎入り乱れる人間模様の長編推理小説。(講談社文庫)
  • 被虐の系譜
    -
    打たれ蹴られ、踏みにじられても、なお、その主に奉仕することを悦びとする、不思議な被虐の血脈を、飯倉家累代の日記に辿る「被虐の系譜―武士道残酷物語」ほか4編。史上から落ちた平凡な小藩の史料に、封建の世の残酷な群像が、抑えた筆致の中で甦る。驚天動地の事件ではない、それだけにいっそう、過ぎ去った時代がいかなるものであったかを、明白に浮彫りしてみせる。
  • 海の伽耶琴(上) 雑賀鉄砲衆がゆく
    3.0
    信長に向け雑賀の火弾が迸る! 火縄銃と奇襲戦で連勝する戦争請負集団の壮絶な闘いを描く歴史的長編。雑賀孫市の子、疾駆す! ――火縄銃を自在にあやつり、一向宗の誇りで結束した戦争請負集団、それが鈴木孫市ひきいる紀州雑賀鉄砲衆だった。孫市の子・小源太は、信長との熾烈な石山合戦に参じ、海戦では爆裂弾をたくみに使った奇襲戦術で、織田艦隊に勝利する。勇猛果敢、苦闘の中にも笑いを忘れない男たちの、自由闊達な活躍を描く歴史長編。<上下巻>
  • 有明の別れ
    5.0
    源氏物語のあとを承ける、男装の姫君の数奇な一生を描く王朝物語――右大将・尚教は、秀れた資質の美貌の貴公子であったが、女たちの憧れを振り切って、一人身で通していた。それは、父・左大臣の奇怪な謀のせいで……。王朝貴族たちの自由奔放な恋愛と、そこに清清しく生きた、数奇な運命の人の物語。源氏物語以後の物語は殆ど散逸したが、有明の別れは劇的に800年ぶりに写本が発見され、一大旋風をまき起した。その800年ぶりに発見された奇蹟の愛の古典を、見事に蘇生させた、傑作長編小説。奇想天外な愛の物語の見事な再現!
  • 天保九年の少年群
    -
    未熟な悪党達の哀歓、当世若者気質・天保版――賄賂と談合の横行する、腐敗した千代田城の城下で、泰平の世の中からはみ出して、浅草の貧しく仲間宿にとぐろをまく少年たち。御家人くずれの悪童、妖しい美少年、博打と女遊びに夢中の未熟なほっつき歩く放蕩者などの、単純で素朴な生と死。あくどく派手な徳川時代の世紀末に、刺激的で妙な魅力をもつ集団の消長、時代と人間の関わりを、練達の筆で暖かく描く、心に残る名作。
  • 牢獄
    3.0
    魔性の皇帝太祖の治下、無実の高官が投獄されて受けた鬼気迫る実験とは? 大官の誇りを砕く凄絶な究極の刑! ――異例の大昇進を遂げたその日に、厳徳ビン(ビン=王に民)は、やにわに逮捕され入牢の身となった。明の初め、魔性の初代皇帝治下の中国では、怖るべき政治と粛清が繰り返されていた。才学抜群の能吏・厳は、大官の誇りにかけて無実を弁明しようとするが、待ちうけていたのは洗脳という、傷ましい人間性の破壊であった……。無実の知識人が投獄されて受ける究極の刑。激しい拷問、破壊される人間性。凄絶な傑作、戦慄の悲劇、中国歴史長編。
  • 細香日記
    3.0
    江戸後期の詩人・歴史家である頼山陽の恋人・江馬細香の、75年の生涯を描く、吉川英治文学賞受賞作。大垣藩医・江馬蘭斎の娘・細香は、幼少から詩文に書画に非凡な才を示し、やがてその美貌とともに、名声は四隣に聞えた。が、頼山陽と出会うことから運命は大きく変わる。「愛人」細香の山陽への哀しい献身を綴る傑作。
  • 室町抄
    -
    酒色に溺れ政治に無力な足利将軍と、奔放に御台政治を貫く日野富子を活写。義政夫人の威力に破れた男たちの声――何もしない文人将軍・足利義政に嫁いだ日野富子が、天性の資質で幕府を牛耳り、応仁の乱を切り抜けて、強大な御台政治を貫く面白さ。酒色に溺れ、滅んでいった、足利家の男たちの文化の素晴しさ。権勢の近くにうごめく武将たちの、凄絶な闘い。富子を中心に、刺激と活気にみちた室町時代を縦横に描く、傑作小説。一族の野望をになって足利家に送りこまれ、室町幕府に権勢をふるった日野富子の生涯。美しく、わがままで、強い女の魅力とその時代。
  • 中国発掘物語
    -
    1~2巻660円 (税込)
    北京原人化石、殷墟発見など地中の夢を探る――北京原人、50万年前のヒト。第二次大戦時、その「遺骨」はどこへ消えたのか? ついに実在が証明された殷王朝、ではその前の夏王朝は? 20世紀に入り、中国では次々と新しい遺跡が発見され、発掘された。奴隷王朝の実態、青銅時代の流転、さまざまな墓陵の謎……。地中からの歴史の響きを詳細にさぐる。
  • 景徳鎮の旅 中国やきもの紀行
    -
    「やきもの」のもつふしぎな魅力。その魅力の謎をとく、陶磁の街そぞろ歩き。陶磁のふるさとに歴史の水脈を探る――中国の「やきもの」の歴史は古い。なかでも景徳鎮は、1000年も前から現在に至るまで、連綿と陶磁の製作生産をつづけている。芸術品から生活品まで、盛衰を経ながらも脈打ちつづけるその伝統と技術の跡を追って、歴史の水脈をさぐり、人々の美意識を、生活の変様を探索する。「やきもの」の街=景徳鎮そぞろ歩き。
  • 夢ざめの坂(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    ある男の失踪。その軌跡の果てに浮かぶ謎は!? ――「文化教室」を営む浦上隆志を訪れた初対面の女性・杉坂房子は、こともあろうに、失踪した夫を探してくれと、隆志に頼む。その夫・伊庭潤は、1年前、水墨画教室に在籍したのだという。隆志の奇妙な失踪人探しが始った……。いつかおちいる房子との恋。その語らいの中に浮びあがる隆志の生いたち。滋味溢れる推理長編。<上下巻>
  • 柊の館
    -
    神戸異人館で青春を過した女性が語る恋の思い出、奇妙な殺人劇……。情趣あふれる連作推理――柊の樹に包まれ、神戸でも異彩を放つ「とんがり屋敷」は、イギリス系船会社の宿舎だった。そこに17歳で勤め、多くの外人たちと共に青春の充実したときを過した日本女性。彼女が語る古き良き昔の恋や奇妙な殺人劇、それは時代、人種をこえた愛憎ドラマとして清新に今よみがえる。異色の構成による、連作推理小説
  • 東眺西望 歴史エッセイ
    -
    寄せては返す歴史の波。営々とはてしのない悠久の流れ。古今東西人類万歳! 生ある地球を語り救う思想と人物! ――古今東西、人類は果てしない歴史の営みを継続してきた。秦の始皇帝陵のおびただしい兵馬俑、草原に展開する遊牧と定住のドラマ……。文明の波は全世界に寄せては返し、人間存在の重みを証明している。過去・現代・未来への流動と息づきを、地球規模で展望し、人の英知と歴史の知恵を模索する名エッセイ。
  • 長安の夢
    -
    長安の春秋、唐代の人間模様。夢結ぶ花の都、ローマと並ぶ最大の都の全容。華やぐ長安。さんざめく最大の都! ――長安には、春がふさわしい。漢の時代から、長安は、はなやいだみやこであった。そして唐代には、ローマと並ぶ最大の都だった……。日本にも馴染の深い白居易、李白、杜甫、王維らの詩眼を通して、いにしえの夢のみやこの全容を浮きぼりにする。「西域巡礼」「三蔵法師の道」を併録し、シルクロード、天竺への道をも紹介。
  • 太平天国(一)
    5.0
    1~4巻660円 (税込)
    太平天国の興亡を描く傑作大河小説。15年にわたり清朝を震撼させた争乱の発端――アヘン戦争から7年後、小乱が続き匪賊が横行する、物情騒然たる中国で、洪秀全が頭角を現わしてきた。エホバを天父と仰ぎ、清朝を排して世直しをめざす、拝上帝会の創始者である。信仰と理想に燃えて広西省金田村に決起した一党は、多彩な勢力も併合して、遂に、太平天国という「国」を樹立するに到った。<全4巻>
  • 三色の家
    -
    海岸通りでひときわ目立つ三色の建物は、海産物問屋の同順泰公司である。ここの3階にある干し場で、コックの杜自忠が殺された。出入口2ヵ所には家人がいたのに、全然気付かぬという。杜の人生は苦難に満ちていた。公司の主人の親友である陶展文の鋭い推理と調査が始まる。神戸を舞台にしてのびやかに描く長篇推理。
  • 英雄ありて
    -
    中国史の英雄に出会う旅。史記、三国志、唐詩、西遊記、水滸伝に登場する魅力的な人物とその舞台を語る好著。中国史上の雄大な人間ドラマを活写――史家や軍略家が主命を奉じた苦難の旅、皇帝の大旅行、飢えと非礼の中の亡命者の旅、刺客の悲壮な旅、詩人たちの異郷の旅……。中国史上の英雄たちの旅の現場を辿り、雄大な歴史と風土を目のあたりにする好著。天下を争う人々の興亡を俯瞰し、人間の悲劇に対する深い洞察を読む、興趣尽きない歴史エッセイ集。史実の重みと自由な空想の醍醐味を味わう!
  • 妖のある話
    -
    中国史を彩った美女の魔力。美女に迷って暴走する男たちの本性と、女の妖態を軽快につづる女性論エッセイ。女の「妖しさ」はどこからくるのか? ――美女には、時代によって、はやりすたりがあり、好みにも個人差がある。男心をかき立てる「妖女」の魅力とは何? 少女が見せる妖、男装の女武人の倒錯美、愛らしい醜女の心根、病身美人の抗しがたい良さなどなど、男を刺激し翻弄する、妖しくも愛すべき女。博識のフェミニストが軽快に、女性の魅力を語るエッセイ集。
  • 北京の旅
    4.0
    首都の輝き、首都の威厳。北京千年の歴史、文化、風俗を伝える魅力の旅行記。千年の歴史を秘める中国首都を探訪――中国の首都として、千年の歴史を秘める北京。そこは時の流れの風化、人の世の変転のなかで、いまなお首都の輝き、首都の威厳を失わない。まちには人々の精気が、活気がみなぎっている。歴史の遺跡をたずね、文明の源流を求めて雄大な王城の地をくまなく逍遙し、肌で感じた北京のすべてを伝える好紀行。
  • 風よ雲よ(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    明朝末期のマカオ、美丈夫の野心家・鄭芝竜と、豊臣の遺臣・安福虎之助との運命の出会い。風雲児の生涯を描く壮大なロマン――東に虎視眈々と機を窺う満洲族、西に流賊・李自成軍が迫る明朝末期、中国南部の港町・マカオで、二人の男が運命の出会いをした。美丈夫の野心家、生れながらの統領の器、鄭芝竜と、大坂落城時、脱出して蘇州の大商人の用心棒となった長身の浪人、安福虎之助である。壮絶な乱世に、南海制覇の野望に燃える男と、夢と生き甲斐を大陸に求めた男の人生の軌跡を描く、歴史長編。<上下巻>
  • 敦煌の旅
    -
    大らかなロマンを秘める敦煌千仏洞。その偉容を訪ね中国史の奥行きを探る。中国西域の歴史。大佛次郎賞受賞作――シルクロードの途上にあるまち、敦煌。かつて、天竺にむかって三蔵法師玄奘や法顕がたどり、ラクダの隊商が往来した西域のまち、敦煌。大らかなロマンと悠久の歴史を秘めて息づく莫高窟。念願かない、その地を訪れることのできた著者が、胸を燃やしその胸の炎の輝きを情熱こめて綴る旅行記。第3回大佛次郎賞受賞作。
  • 相思青花(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    青花とは染付の中国名。美しい焼き物に秘められた人間の愛と宿命、日中の歴史の謎。時空を超えて展開する雄大なロマン、アジアの大戦史を舞台に展開する恋愛長編――不思議な物語は、イスタンブールのトプカピ・サライ博物館から始まった。10年間の結婚生活の後、商社員の夫がロンドンで急死した奈美。ハネムーンの地で中国陶磁器の前にたたずむ奈美に、端正な中年の紳士が話しかけてきたのである。夫の急死から立ち直ろうと、実家に伝わる青花(染付)の謎を追う奈美に、その男・林輝南は、清朝末期の青花にまつわる愛の秘話を教え、二人は調査を進めてゆく。<上下巻>
  • 旋風に告げよ(上)
    -
    海賊王と日本女性との間に生まれた鄭成功は、崩れゆく明王朝のために、若い情熱を燃やす――福建の海の実力者・鄭芝竜を父に、日本女性を母にして、長崎で生まれた鄭成功は、父ともども明朝復興のためにたたかう。折しも中国大陸は、弱体化した漢民族の王朝(明朝)が叛乱軍にかき乱され、その混乱の機に、北から満洲族の侵攻を許し清朝が誕生しようとしていた。鄭芝竜は投降するが、大目標へ若い情熱を燃やす鄭成功の気力は衰えない。強力な水軍を率いて、ついには清朝とオランダから台湾を解放する。水軍の若き将である鄭成功の前途は? 国姓爺こと英雄・鄭成功の劇的な生涯を描く歴史ロマン巨篇。<上下巻>
  • 戦国海商伝(上)
    3.0
    1~2巻660~691円 (税込)
    時代を動かす海の男の物語。海洋歴史小説――戦国乱世の日本。天下を狙う群雄が、軍資金づくりの密貿易にはしっていたころ、中国には明朝打倒に燃える豪商の集団があった。彼らは水上生活者に身をやつし、倭寇と組んで着々勢力を扶植する。奇しき人生を生きる毛利の落し子の運命を軸に、中国と日本をむすぶ戦国の水脈を描く、海洋歴史ロマン。<上下巻>
  • 弓の部屋
    -
    夏の夜の神戸を彩る生田神社の花火。それを、異人館のボウ・ルーム(弓の部屋)から眺める男女の間で、突如、殺人が……。被害者は、メイド・光子の夫の山中。彼は、電灯を消した一瞬にすり替えられたコップを口にして、毒殺された。捜査の進展につれ、居合わせた人々の過去が、次々にあばかれて……。神戸情緒あふれる、本格ミステリ。
  • 闇の金魚
    -
    日本への留学を終えて帰国した童承庭は、政商・永源昌の店で働きながら、反体制運動のレポ役も果していた。が突如、妻が何者かに拉致された……。陰謀錯綜の歴史の裏を暴く長編ミステリ――妻が拉致された。その報をもたらした男が示す紙片には、「とらわれたが拷問には屈しない」とある。確かに妻の筆蹟だ。反体制運動のレポ役・童承庭は、ふるえた。誰が何のために仕組んだ罠なのか? 清朝が倒れ、孫文らの革命勢力が勃興する中国、多様な主義思想の錯綜する歴史のヒダに、推理のメスを鋭く入れる長編。
  • インド三国志
    3.5
    インド帝国はなぜ滅亡したのか? インドは「我が青春の一部」と語る著者が、東インド会社に屈した謎を描く――生き残る王子はたった一人。流血が王位継承の伝統であったムガル帝国に、東インド会社を尖兵としたイギリスの魔手が迫る。アヘン戦争、明治維新へと続く歴史の前哨戦として、300年を越えるムガル王朝滅亡のひき金をひいたのは誰か……。インドは「我が青春の一部」と語る著者が、熱き思いをこめて描く長編歴史小説。
  • 北京悠々館
    -
    時は清末、日露の風雲急を告げる明治36年、初秋の北京に、ある任務を帯びて下り立つ美術商・土井策太郎。露清撤兵協約の再締結! 批准? 対露開戦の大義名分を失うのを恐れる日本は、巨額の金で清朝要人の買収を工作、舞台は「悠々館」。だがパイプ役は、完全密室で殺害、同時に金も消失し……。腐敗と無策を孕む国家の末期症状で、事件は謎を深める。本格推理と歴史小説が見事に結合結晶した会心の作。
  • 孔雀の道
    -
    英国人を父、日本人を母として生まれたローズ・ギルモアは、13年ぶりで日本を訪れた。彼女が幼い頃、神戸の自宅で謎の焼死を遂げた母のことを知りたかった。戦前の日本でスパイ事件に関与したことのある父は、なぜか母について沈黙を続け通して他界した……。国際色豊かな現代史ミステリ。日本推理作家協会賞受賞作。
  • よそ者の目
    -
    外国からどう見られているかに過敏な日本人を、同じアジア人の視点であえて語る快著。中国的立場から作家の目で見た日本人論――よそ者(外国人)が日本について発言するとき、たいてい強い反撥を喰う。放っておいてくれ、というわけだ。そのくせ、外国からどういう目で眺められているか、日本人はひどく気にする。島国からくる過敏性であろうか。中国的なものの考え方から、同じアジアの日本人の動向を綿密にとらえる、深甚なるエッセイ集。
  • シルクロードの旅
    -
    ロマンの香り溢れる西域の秘境の旅路。西欧と中国、さらには日本にまでつながるシルクロ-ド。厳しい自然と闘いながら、先人たちが営々と築いたこの東西交流の道をたずね、いにしえ人の夢と憧憬のあと、歴史の息吹きをたどる――中国西域。広大な自然と厳しい環境の織りなす天然の神秘。シルクロードは、そのまっただなかを延びている。西欧と中国、さらには日本にまでつながり、文化と風俗と人情と……あらゆる人間の営みを交流させたシルクロード。先人たちが営々と築いた秘境の旅路をたずね、いにしえ人の夢と憧憬のあとをたどる。
  • 恋をする女たちへ
    -
    捨てられた、裏切られた、騙された、といった言葉が、いまだに女性の間に、当然のことのように通用している。何とも不思議なことだ。いったい、現代の若い男女に、恋愛や結婚というものがわかっているのだろうか? ――愛の実践経験豊かな著者が、初めて愛の諸問題(男女の心理や生理)を、徹底的に告白・検討して教える、長編ラブ・ガイド・エッセイ。
  • 時計の針がナイフに変わるとき
    3.0
    「お前が48時間以内に自殺すれば娘は解放する」……刻一刻と迫る時間が、ナイフのように光る! 一人娘を誘拐犯から救う手段は……。――一人娘の香織(3歳)が誘拐され、父親の夏八木鉄人に「お前が自殺すれば娘を解放する」という脅迫状が届いた。誘拐犯は、自分の妻が夏八木に殺されたと誤解し、彼の生命と引替えに娘を返すという。香織を救うには、48時間以内に真犯人を突きとめるしかない。刻一刻迫る娘の危機。息づまる長編推理小説。
  • 死の追走 次は誰か
    3.0
    連鎖する「死」と心の闇を描く傑作。レイプ殺人を皮切りに次々と……――一人娘をレイプ殺人で失った老夫婦宅に、事件が時効を迎えたあと、毎月送られる10万円。贈り主は、いったい誰なのか……。次々と連鎖するように起こる人の死と、それにまつわる謎を解き明かしながら、人間の心に宿る悲しみを描いたミステリー連作。鋭い文章が冴えわたる、笹沢文学の新傑作!
  • もしもお前が振り向いたら
    -
    哀しい宿命に泣く男女の悲劇を描く、愛の長編ロマンティック・ミステリー――バーのマダム殺しの犯人は、8年前の作曲家殺しの犯人と同一人物なのか? 幾重にも仕組まれた鉄壁のアリバイを、刑事が崩したとき、容疑者は鉄道自殺! 事件はこれで解決したかに見えたが、それは新たな、より大きな謎の始まりだった……。真犯人は、まったく別の所で成功者となっていたのだ。都会派ミステリー長編傑作。
  • 夕暮れ 夜明日出夫の事件簿
    -
    ドジなヤクザ3人組が奪った車の荷物は、男の右腕。夜明が解いた真犯人の謎。3人組に泣きつかれた夜明の秘策は? ――男2人と女1人のドジなヤクザ3人組が、借金取立てのために車を強奪した。ところが、車のバッグの中から、切断された男の右腕が出てくる。3人組は警察に追われ、組織からも見放されて、自力解決あるのみ。リーダーの男は打開策を求めて、刑事時代のライバル・夜明日出夫を頼った。真犯人を暴く方法は何か?
  • 夜明け
    -
    名探偵・夜明日出夫のアリバイ崩し! 美人OLを熱海へ車で送った夜明探偵。熱海にいた女が、同時刻に那須で殺人? ――元警視庁随一の敏腕刑事で現タクシードライバーの夜明日出夫は、ある晩、熱海まで美人OLを乗せた。だが彼女は、同時刻に起きた那須別荘殺人事件の容疑者であった。OLのアリバイを証言する最有力の証人である夜明自身が、皮肉にもアリバイ崩しに挑むハメに陥る。ニヒルでシャイな名探偵夜明の推理の答は!?
  • 泡の女
    -
    義父殺しの容疑で逮捕された夫の無実を信じ、空白の時間を追求する妻。彼女を待ち受ける非情の罠! ――木塚夏子の父・重四郎が、茨城県大洗海岸で死体となって発見され、夏子の夫・達也が容疑者として勾留された。夫を信じる夏子は、懸命の努力でアリバイ証明に奔走し、達也の無実も明らかになったかと思えたが、ある重大事実も判明し、彼女の不安も極点に達する。夫婦の愛の虚妄を非情に描いて深い余韻を残す、長編推理の傑作。
  • 突然の明日
    -
    白昼の交叉点で女が消えた、と口走った直後に、凉子の兄は殺された。消えた女とは、兄の元愛人・緋紗江。凉子は、兄の親友・瀬田の協力を得て、犯人追及を試みる。鍵をにぎる緋紗江の行動は、九州へも拡がっていた。そのアリバイを調べる凉子たちの身に、衝撃的な「突然の明日」が襲う! アリバイ崩しを主題にした、著者会心の作。
  • 昼下がり 夜明日出夫の事件簿
    -
    アリバイ崩しに挑戦する夜明の推理。社長邸で軟禁状態の女が夜明に助けを求め…。距離と時間の謎と格闘する夜明探偵が、不可能殺人のアリバイを崩す! ――助けてください……と、夜明日出夫のタクシーに乗り込んできた美女の背後には、限りなく巧妙な罠が潜んでいた。元警視庁の敏腕刑事からタクシードライバーに転身した夜明は、殺人事件の容疑者のアリバイ、9時間の空白を埋めるべく、愛車を駆る。距離と時間の壁と格闘する夜明の、冴えわたる推理が犯人を追いつめる!
  • 衝動ゲーム
    -
    不条理な現代に、ひそかに急速にはぐくまれる犯罪の、意外な結末を描く傑作推理6編。若者たちの殺意の深層をえぐる! ――現代の若者たちが引き起こす、殺人や心中や復讐の数々……。はたしてそれらの理由は、何なのか? 不条理なこの社会の中で、ひそかに、しかし急速に育まれる犯罪や、意外な結末の事件や、美談の背後、深層にある真相・真実を、ミステリー・タッチで描き解く、著者会心の推理連作6編を収録。
  • 傷だらけの放浪
    4.0
    大富豪の殺害を巡り、逃げる美貌の養女と追う若き刑事。笹沢ロマン・ミステリーの会心作! ――殺人容疑の汚名を晴らす、人間の執念と愛の葛藤。……大学の理事長で億万長者の江口正次郎が殺され、捜査の手は一族にのびる。だが、それぞれに不審な点のある、近親者たちのアリバイ捜査の結果は、二転三転する。一方、担当刑事の一人である若き矢代は、被害者の養女で美貌の千秋を、ぴったりとマークしていた……。
  • 結婚って何さ
    -
    必死の逃亡者となった元OLが、恐るべき謎の殺人事件を解く、サスペンス&ロマン・ミステリーの傑作長編――行きずりの男と一夜をともにした女が、いつの間にか殺人事件の容疑者に仕立てられていく、その戦慄すべき罠。彼女は身内も友人もすてて、たった一人、狂わされた自分の人生をみずから修復すべく、逃亡と真犯人探索の旅へと出立する……。

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