北欧を舞台にしたヴァイキングの物語。主人公・トルフィンの少年時代は、殺された父親の仇を取ることだけが生きがいでした。少年ながらに、侵略・略奪・戦争を繰り返し、その過程で人を傷つけることを平気に感じてしまう。そんな彼が、戦って、成長して、失望して、希望を見つける過程が、ゆっくりと描かれていくマンガです。
「世の中から……戦争と奴隷を失くすことは、できないもんかな…」
いつしかトルフィンは、そんな夢を口にします。
ヴァイキングとしての過去の過ちを悔いながら、殺してしまった多くの人の魂を背負って夢に進むトルフィン。彼を通じて「本当の強さとは何だろう」という問いに対する答えが、あるいは願いが、丁寧に丁寧に描かれている傑作です。
感情タグBEST3
長い長い旅の末にたどり着いた、たった一言、その一言だけで、溢れ出した感情の描写。美しく尊い世界に感動し、気づけばトルフィンらと一緒に自分も泣いていました。
今から読み返して、より味わおうと思います。
必読の一巻です!
トルフィンにとってついにその時が来た。
「その時」について、少しずつ伏線が置かれているのが良く、
丁寧に描かれていることによってここまで読んできた読者の
感慨も深くなっているのだと思う。
連載開始から20年近く追い続けた先にこんなに涙することになるとは。青の洞門を思い出すが、この作品の方が遥かに深みがある。初期トルフィンと現在のトルフィンへの成長過程を見続けたからこその感慨というのだろうか。この巻だけは何度読み返しても涙なしには読めない。
Posted by ブクログ 2022年11月23日
苛酷な運命を背負ったトルフィンの人生が、一つの区切りを迎えようとしている。
麦一粒地に落ちなば‥。
誰も傷つけないという戦い、それは個人の戦いではあるが、やがて多くの人間を救うことになるのだ。
自らをも含めて。
過ちを自分で赦すことなど決してできない。それはただの開き直りだ。人に赦されてこそ、過ちを...続きを読む犯した人間は救われるのだ。
んもぉ〜…こんなラスト絶対泣けるじゃん…
詳しくは書きたくないので、伏せますが、ヴィンランドサガを20数巻まで読んでたなら、ここまでは絶対に読んだほうがいい
Posted by ブクログ 2023年02月06日
全話を某アプリで読みました。
最初は、復讐だったり、戦闘が中心の話ですが、
最後は、人の赦しの話。
様々な登場人物の人間模様や成長も描写され
素晴らしい作品。最後は泣いてしまった。
ビルドがトルフィンを許してくれた。
遂にこの日がきた!
26巻の最後に。
ただただ、トルフィンが泣いた。オイラも泣いた。
トルフィンもヒルドさんも長い旅路の末にようやく救いを得られて本当によかった。
戦士編が終わってから読むのやめてしまった、という方をよく見かけましたがもったいない!トルフィンの人生は奴隷編の終わりからようやく始まった感じがします。
鬼神のようだったトルフィンの旅の一つが実を結んだ。一番結んで欲しかった実が。
まだまだ不安要素が沢山あって大団円とはいかないけれど、良かったなあ、トルフィン!
いい事の後に怖い事が起こらない事を祈りつつ、次巻を楽しみにしていまーす。
Posted by ブクログ 2022年05月28日
入植地での初の刈り入れとヒルダの赦し、それに初子はトルフィンの個人史をここで締めくくってくれと言いたくなる美しさと穏やかさですが、ここからはどうやら史実が待っているようです。
Posted by ブクログ 2022年05月27日
いやぁ、最後、思わず涙が出そうになった。こういう展開になるとは、予想してなかっただけにね。前の巻を読んだとき、これはトルフィンの償いの話なのだろうと思っていたものだけどさ。その償いの多くの部分が、報われた瞬間だと思う。物語はまだ続いていくのだろうし、不穏な伏線もあるけどさ。なんというか読後、大きな物...続きを読む語が終わったような、ため息が出たね。
Posted by ブクログ 2022年05月26日
「私はお前を赦すよ」で泣きそうになってしまった。昔は戦うトルフィンがかっこよかったけど今は「この先もどうか最終戦争が来ないで終わって欲しい」と思ってしまう。
とても深くて複雑な問題を、トルフィンたちはごく当たり前のように包み込み溶かしていきます。
今巻は、最後にトルフィンにとってとても大きな出来事が待っていました。
ここに持ってくるか!
・・・涙が出てしまいました。
長年この物語を、トルフィンの人生を見てきた。
トルフィンを通して僕らは生と死に振り回される人たちを何度も俯瞰しては"人が生きる意味"ということを考えさせられる。
着々と開拓が続く中、ちいさな実りに幸福を感じ、懸命に生きて貧しくも清々しい生の歩み。如何に他人より派手に着飾り自己承認...続きを読むと自己賛美のための見当違いな自己研鑽をし他人を罵り、争う。飽食しては腐らし捨てる世界とは程遠い、現代生活では感じ得ない清貧を数ページに渡って実感させてくれる。
血生臭く泥が跳ね人々の断末魔響く戦場からはじまったこの物語にとっては、サーガ史上初めて一番に長閑でそこにある何でも無い風景がとても平和的で幸せな日々が淡々と描かれる。
その中でも、人間が人間であるがゆえにまたちいさなちいさな赤黒い火種が燻りはじめるのだが。
台風のように荒々しい気の触れた子供と言われたトルフィン。父親の敵を取るために他人の父親を殺すことを何も考えてこなかったこの子が、奴隷に落ち、人間として再起した彼を、ここまで頑張ってきて小さな信頼を重ね、わずかながらも幸せを掴む彼を、ほんとうに ほんとうに心の底から祝福してあげたい。とそう思ったとき。そう思ってくれた人が生まれた時、トルフィンを永く見てきた自分は、心が震え、涙が溢れてしまった。
人間は手にしたものが多いほど、守りたいものが増えて身が重くなる、身が重いが為にまた遠心力も強くなり人生のふるいに掛けられる度に否が応にも大きく強く振り回される。
トルフィンは、またふるい落とされてしまうのか?サーガは続く。
Posted by ブクログ 2022年07月03日
ヴィンランド到着。開拓は順調。異文化交流も良好。
ヒルドともついに仲直り。
ここで終わりたい…。
原住民と争ったり、土地の所有権で内輪揉めとか嫌だな。
不作で飢えるのもありそう。
幸せな瞬間で終わりにしませんか??
最終話ということを知らずに読んだら、まだ続きがあるとしか思えない終わり方。
正直、えっ?これで終わり?という感想しかない。
まあトルフィンのモデルとなった実在の人物はヴィンランドへ移住はしたが、結果としては長続きせず失敗したので、(コロンブスのアメリカ発見以降、ヴァイキングがいた痕跡は見つかった...続きを読むが、その子孫はいなかったから当たり前だけど)トルフィンが一生を懸けて行ったことが失敗で終わりましたでは後味が悪いと思ったからか、作者がまとめきれないと思ったのかはわからないが、不完全燃焼な終わり方。
Posted by ブクログ 2022年06月02日
37冊目『ヴィンランド・サガ 26』(幸村誠 著、2022年5月、講談社)
トルフィン達のヴィンランド開拓は順調に進む。…が、今の状況はなにやら嵐の前の静けさのようにも感じる。初期とは随分と絵柄が変わったなと、今巻を読んで改めて思った。絵柄は可愛らしくなり、表現も柔らかくなった。物語のトーンに合わせ...続きを読むているのかも知れないが、少々緊張感に欠ける。
「トルフィン 私はお前を赦すよ」