【感想・ネタバレ】ヴィンランド・サガ(9)のレビュー

北欧を舞台にしたヴァイキングの物語。主人公・トルフィンの少年時代は、殺された父親の仇を取ることだけが生きがいでした。少年ながらに、侵略・略奪・戦争を繰り返し、その過程で人を傷つけることを平気に感じてしまう。そんな彼が、戦って、成長して、失望して、希望を見つける過程が、ゆっくりと描かれていくマンガです。
「世の中から……戦争と奴隷を失くすことは、できないもんかな…」
いつしかトルフィンは、そんな夢を口にします。
ヴァイキングとしての過去の過ちを悔いながら、殺してしまった多くの人の魂を背負って夢に進むトルフィン。彼を通じて「本当の強さとは何だろう」という問いに対する答えが、あるいは願いが、丁寧に丁寧に描かれている傑作です。

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Posted by ブクログ 2022年05月19日

アニメ以降の所謂「奴隷編」9巻から23巻まで8時間ぶっ通しで読んだ。とにかく面白かった。1日の3分の1もの時間を費やす価値があったとも言えるし、短い時間で濃密な物語を消化してしまったことがもったいなかったとも言える。複雑な心境。

『ヴィンランド・サガ』は中世北欧のヴァイキング全盛期という特殊な時代...続きを読む設定と、生きる意味を葛藤しながら探求する魅力的なキャラクターと普遍的な主題をマッチさせた、独特な世界観が魅力的な作品だ。
最も感銘を受けたのは、激動する時代のなかで生じる、価値観の変容の描きかただった。それは、伝説、神話、宗教といった聖なる物語世界に基づく「あの世に行けばいいことがある」という夢想的な人生観から、この世での楽土建設を目標とする現世主義への転換である。
戦士の死後の楽園ヴァルハラ、徳を積んだ善人が行ける天国という既成の共同幻想を否定し、主人公トルフィンと王子クヌートはより良い世界ーー人々が争う必要がなく、強者が弱者を虐げることもない優しい世界ーーをつくることに腐心するようになる。
トルフィンが転向を遂げるにいたるには、ある種の貴種流離譚を経て約15年の歳月を要している。ここのロングタームが良い意味で他の現代の物語作品とかけ離れた要素で、中世の男性の平均寿命が40歳であることを踏まえると、人生の約40%が正しい道に至る前フリってことになる。
成果主義的な見方ではトルフィンの生き方は非効率以外の何物でもない。だが、こういう生き方もあるんだな、あっていいんだな、これだけ長いあいだ間違った生き方をしても人は変われるんだ、変わっていいんだと素直に感銘を受けた。
これまで「当たり前」だった価値観が、時代の急速な変化によって「当たり前」でなくなる瞬間を、どう生きるか。中世北欧世界に生きるトルフィンたちの主題は、コロナ禍で変容を迫られる我々の現実世界にリンクし、答えの糸口を垂らしてくれるような気がする。

以下、気に入った台詞。
13巻のトルフィン「いつも「最初の手段」を選び取れるようになりたい。そしてどこまで「最後の手段」を選ばずにいられるか」

14巻のクヌート「この地上に楽土を築くということは神の定めた条理に逆らうということ 神への反逆だ」

そんでもって、アシェラッドの「豚にも劣る暗愚なデーン人どもよ」。なんてイイ語感、なんて優れた汎用性と煽り性能。多少の社会的信用を失うこと覚悟で、積極的に使っていきたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年03月29日

アシェラッドの反乱後、トルフィンは生きる目的を失って奴隷となっていた。
イングランドから奴隷として売られてきたエイナルとの間に友情のようなものが育ち始めるのだが。
一方、クヌート王子は亡命先から戻ってきたイングランド王エセルレッド2世とイングランドの覇権を争う。
ヴァイキングの粗暴な戦場から離れ、豊...続きを読むかな農村で農耕するトルフィンは、そこから何を学ぶのか。

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Posted by ブクログ 2011年05月24日

トルフィンがあんなんなっちゃったかと思えばクヌートがこんなんなってたり。トルケルの変わらなさが愛しい。変わって、これからも変わっていく二人がこの先どうなるのか気になります。

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Posted by ブクログ 2010年10月22日

奴隷編。あまりにトルフィンが無気力なので、もしかして記憶喪失…?と思っていたが別にそんなことはなかった。

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Posted by ブクログ 2010年07月21日

大きな流れの中の小休止みたいな感じの一冊だった。
これからどうなるんだろうなあ、と期待はあるものの、若干物足りなさもなきにしも。

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Posted by ブクログ 2010年07月13日

ますます絵の書き込みがすごいことに…。今と倫理観がまったく違うので、作中でのキャラへの扱いが結構無情だけど、それがまたおもしろい。

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Posted by ブクログ 2010年07月09日

9巻がでたということでここいらで買っとこうと言う事でまとめて購入。プラネテスとはまた違った視点の生命や愛の語りがストレートに伝わってきて良かったです。内容的にはアシェラッドをここで殺すかぁと叫んでしまいましたw1~8まで一気読みしていてここまで屈強で知略に優れ、主人公の父親の仇でもあるこの男が生命を...続きを読む散らしてしまうシーンはさすがに驚嘆しました。この先トルフィンがどう人生を生き抜くのか?とても興味が湧きました。

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Posted by ブクログ 2010年07月03日

生きる目的を失ったトルフィン。生きてていいことひとつもなかったよという彼の言葉が刺さる。エイナルの純朴な明るさが救いか。クヌートはすっかり一人前になった感。彼が描く地上の楽園を知らなかったら、がつがつしてるだけに見えるんだろうな。トルフィンはいつ立ち直るのか。クヌートは王冠に呑み込まれないのか。先が...続きを読むとにかく気になる。あとトルケルが戦車で突撃してきて怒りのあまり言葉になってないのが可愛かった。

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ネタバレ購入済み

戦わないトルフィン

2022年08月31日

耳を斬り飛ばされても、抵抗しない。奴隷の身分を受け入れて、戦わないことを選んだトルフィン。物足りなさを感じるのは、緻密な絵柄で暴力を淡々と描かれ、残酷に対して感性が麻痺していった故か。

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Posted by ブクログ 2015年11月11日

 ヴィンランド・サガもとい、ファームランド・サガの始まりである。
 ストーリーとしては、間にクヌートによるイングランド制圧の話を挟みながら、ゆっくりと農場での話が進んでいる。そこに劇的な展開はないが、その関係図がハッキリとしてきた巻であった。
 その意味で、間の巻として機能しているところもあり、星四...続きを読むつと評価している。

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Posted by ブクログ 2010年08月02日

奴隷編開始。
クヌートが更に変わってたことにビックリ。
王様らしいっちゃ、らしくなってきたんだろうが。
トルフィンがホンマ生きる気力を失ってるように見えます。
毎晩、うなされてるトルフィンを観てると悲しくなりますね。
でも、これからどんどん話が動いていきそうで楽しみです。

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Posted by ブクログ 2010年07月30日

奴隷編。
話の進みはゆっくりなので、コミックス派には少々じれったいかな。
トルフィンが復活するのはいつになるのか…

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Posted by ブクログ 2010年07月12日

待ってた待ってましたよ新刊!
奴隷篇開幕!ってそんな帯見せられても困りますよ!(何
アシェラッドのおっさんが死んでから、すっかり毒気がなくなって、もう投げやりに生きてるあたりがなんとも居た堪れないけれど、少しずつ前に向いてきている…のだろうか?

クヌート王子の方がどんどん成長している分、ちょっとじ...続きを読むれったい。

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Posted by ブクログ 2010年07月01日

誰が言ったか、ファームラントサガ…戦争と平和、特異と非特異、高貴なるものとならざるもの。対立という断絶。傑作。

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Posted by ブクログ 2010年06月28日

ちゃんと続いてくれればそれだけでもう充分というレベルに来ている。ただ、主人公のトルフィン、あまりにも暗い。

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Posted by ブクログ 2010年06月27日

生きる糧だった仇のアシェラッドを亡くし、無気力に奴隷となったトルフィン
生きていて良いことなど何もなかったと自らの命を投げ出すが
死を目の前に、自分は生きたいのかもしれないと気付く
一方もはや別人となったクヌート王子は手段を選ばず王座を奪う
この2人が再び出会うのはいつになるのか
トルフィンが笑える...続きを読む日は来るのか
次巻が待ち遠しいです

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Posted by ブクログ 2010年06月27日

トルフィンが無気力になった・・・・のか・・・以前も多々こんな面があったような気がしないでもないけれど・・・・ああ、まあいいや。
兎に角友達が出来てよかったね、トルフィン。かなり久しぶりの友達じゃないだろうか。というか、今いくつなんだろう、トルフィン。苦労の多い人生だよなぁ。

クヌートは・・・隨分と...続きを読む雰囲気が変わってしまって・・・・最初に見たときはどこぞの姫君かと本気で思ったのに・・・・表紙だったけど・・・・。隨分外見は雄々しくなったし、思考も隨分と冷徹になったようで。

変わらんのはトルケルだけかぁ。
トルケル、歳は取ったけど元気そうで何より!
何だか、親戚のおっちゃんの元気そうな姿を久しぶりにみたような気分だわ。

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Posted by ブクログ 2011年08月22日

奴隷編。今回あまり展開はなかったけどクヌートの変貌ぶりにビックリ!個人的には前のルックスのほうがよかった。

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Posted by ブクログ 2011年05月05日

やっとトルフィンがお父さん殺されて以来初めての友達が出来たようだけど、物語の本筋に戻る時は悲劇の予感がするなぁ。そして、非情のクヌート王の隣にいるのがフローキというのが気に入らないなぁ。そしてトルケルの戦場ライフが充実しすぎないよう祈る。

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Posted by ブクログ 2010年11月20日

『 長いものには巻かれろ 』ですね・・・・
信念を貫き、正義を通すのはとても難しい。
やたらと敵を作るだけなんだよねぇ・・・悲しいかな。
でも・・・やっぱり!!自分を信じたい。

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Posted by ブクログ 2010年08月04日

農場の奴隷話が延々と続くが…トルフィンは戦ってる時がやはりカッコイイ。
クヌートはかなり黒い人物に成長している。

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Posted by ブクログ 2010年07月16日

あんなに可愛かったクヌート様が髭のあんちゃんに……

奴隷編は今のところ「谷間」って感じだけど、これからどうなるか

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Posted by ブクログ 2010年07月14日

帯に書いてあったけど
奴隷編らしい

もしかして奴隷にさせたのは
トルフィンに筋肉つけさせて
ナイフじゃなく親父同様
剣を振るう様にする為なのか?とか
考えながら読んでみたけど

あまり進展は無かったが
エイナルとの親交の深まり・・・?や
重要そうな2人が出てきたので
今後に期待

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Posted by ブクログ 2010年07月05日

話としては中休み的な感じ。
戦場から逃げ出したトルフィンの農場での奴隷生活が語られる。終始トルフィンの目が死んでる!

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Posted by ブクログ 2010年06月30日

戦争の中で復讐のためだけに生きた少年時代が終わり、青年となった主人公は抜け殻のように「今」に漂う。彼のあらたな生きる目的は見つかるんだろうか? 展開がとても気になる。と、ともにこの時代の背景をもっと知りたくなった。 

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Posted by ブクログ 2010年06月27日

戦乱の地で生き方を探すヴァイキング物語9冊目。

トルフィンが奴隷として農場で働き続ける巻。
正直トールズもアシェラッドも死んでしまうと、読者としてよりどころを無くしてしまう。
もとよりアシェラッドへの復讐というのも、読者としてはノリ難く、アシェラッドが物語を導いていてくれていたようだった。復讐が唯...続きを読む一の人生の目標であったトルフィンにとっても唯一の立脚点で、なくなるとこんなにもおぼつかない。
タメがあってこそ跳躍できるものでもあるので、以降に期待ということになる。
さて。

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Posted by ブクログ 2010年06月24日

奴隷の身分となり、時間の流れがおだやかになる。
その分戦いとか無くなってこの巻は面白み半減であった。

次の巻でどうなっていくのかが楽しみであるが
如何せん時間がかかるからなぁ。

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