北欧を舞台にしたヴァイキングの物語。主人公・トルフィンの少年時代は、殺された父親の仇を取ることだけが生きがいでした。少年ながらに、侵略・略奪・戦争を繰り返し、その過程で人を傷つけることを平気に感じてしまう。そんな彼が、戦って、成長して、失望して、希望を見つける過程が、ゆっくりと描かれていくマンガです。
「世の中から……戦争と奴隷を失くすことは、できないもんかな…」
いつしかトルフィンは、そんな夢を口にします。
ヴァイキングとしての過去の過ちを悔いながら、殺してしまった多くの人の魂を背負って夢に進むトルフィン。彼を通じて「本当の強さとは何だろう」という問いに対する答えが、あるいは願いが、丁寧に丁寧に描かれている傑作です。
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Posted by ブクログ 2015年03月29日
アシェラッドの反乱後、トルフィンは生きる目的を失って奴隷となっていた。
イングランドから奴隷として売られてきたエイナルとの間に友情のようなものが育ち始めるのだが。
一方、クヌート王子は亡命先から戻ってきたイングランド王エセルレッド2世とイングランドの覇権を争う。
ヴァイキングの粗暴な戦場から離れ、豊...続きを読むかな農村で農耕するトルフィンは、そこから何を学ぶのか。
耳を斬り飛ばされても、抵抗しない。奴隷の身分を受け入れて、戦わないことを選んだトルフィン。物足りなさを感じるのは、緻密な絵柄で暴力を淡々と描かれ、残酷に対して感性が麻痺していった故か。