村山早紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2017年本屋大賞5位
この本の表紙の絵がとてもきれいで春のようなあたたかさを感じさせます。
上下刊合わせてひとつの絵になるのも面白味があって良いですよね。
どこかファンタジーチックで
この本一冊がプロローグのような本に思えた。
上巻は書店で起きた万引き事件と登場人物のモノローグのような話がメインで、未回収や謎が多いので下巻にいろいろ繋がっていくのだろう。
万引き事件のエピソードはネット社会ならではで、万引きした側も、された側も誹謗中傷、当事者の特定などで将来を壊され傷付きネット社会の怖さと憤りをを感じた。
顔の見えない誰かの正義ごっこの言葉の暴力で最悪の結果を選ぶ人もいることを考えて欲し -
Posted by ブクログ
冒頭より、
古いちいさい公園に、
いっぴきのねこがすんでいました。
街のひとたちにかわいがられて
のんびりと暮らしていました。
ねこは、おばあさんだったので、
いつもだいたい
お気に入りのベンチのうえで、
ねむっていました。
猫の平均寿命は、室内飼いで16年以上、放し飼いだと13年程度、野良猫の場合は3~5年なのだそうです。
表紙をご覧ください。
公園のおばあさんねこが描かれています。
彼女は何歳くらいなのでしょう?
野良猫として生きるうちに様々なつらいこともあったのでしょう。全身の毛は荒れて疲れているようにも見えます。
でも、よおく見ると、左耳には不妊手 -
Posted by ブクログ
桜風堂書店で第二の書店員としての人生を送ることにした月原一整。彼を取り巻く人たちの温かい手が繋がっていく。
人気シリーズの新刊が入荷できないピンチになる。大手の銀河堂書店で働いていた時には無かったことだ。
月原一整の誠実な謙虚なこれまでの生き方は、ピンチを救うことになるのか?
そして銀河堂のオーナーからの呼び出し。それは何を意味するのか?
桜風堂書店のある桜野町には「星祭り」という古くからのお祭りがある。桜風堂を愛する人たち、そして桜野町を愛する人たちが集まってくる。そんな町に住みたいと切実に思った。
あとがきに月原一整の物語が完結と書いてある。
終章、私は良い終わり方だと思う。祭りの後 -
Posted by ブクログ
文化は時代と共に移り変わる。
娯楽も、職業も、生活も。
そしてそれは、書店の在り方も例外ではない。
本を読む人が少なくなり、電子書籍が普及した現代において、書店は苦しい状況を強いられている。
10年前と比較すると、今の書店の数は半分近く減っていると聞くと、驚くだろうか。それとも、成程、と思うだろうか。
これは、今を懸命に生きようとする書店の物語だと思う。主人公は、百貨店の中の銀河堂書店で働く月原一整。店長から『宝探しの月原』とも呼ばれる程の未知のヒット作を探り当てる能力に長けた彼は、小説家としては無名のシナリオライターが書いた小説『四月の魚』をヒットさせようと渇望する。
しかし、客による万引 -
Posted by ブクログ
クリスマスイブに失恋した青年、実家のレストランを畳むことになった少女、将来に不安を抱えるイヤミス作家、人付き合いが苦手な少年、幼馴染に想いを馳せる兼業ライター。この世界の片隅で、毎日を一生懸命に生きる人たちは、それぞれの強さで輝いている。ひたむきに生きる人々が、幸せでありますように。そんな作者の優しい祈りがこもった心温まる1冊。
イヤミス作家の短編が1番心に響きました。自分も猫飼いフリーランスなので、不安の内容にすごく共感してしまって。ただ、過去を書き換える短編はちょっと考えてしまいました。うまくいかなかったことを抱えて、人は生きていくものだと私は思っていて、辛い中でも努力した事が無かったこ -
購入済み
主人公と神様の登場人物が魅力的な優しい童話です。村山作品でおなじみの風早の町が舞台とパラレルワールドやファンタジーと心温まる、素敵な余韻の残る作品。