村山早紀のレビュー一覧
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前作「星をつなぐ手」のあとがきで月原一整のものがたりは終わったとあった。夢ものがたりは、短編連作でスピンオフのようだ。一整の物語ではないが、彼を取り巻く人たちの温かい奇跡、それはまるで夢のようなものがたりだった。
4つの不思議な出来事が、幽霊の仕業のようでもあるが、ホラーとは無縁である。人の残留思念は時には不思議な出来事を生み出すのかもしれない。
桜風堂書店の店長の孫・透たちが町はずれの洋館に肝試しに行く「秋の怪談」、銀河堂の店長・柳田が桜風堂を訪れ、帰り道の峠付近で道に迷い、従姉に出会う「夏の迷子」、銀河堂の三神渚砂が桜野町に向かう道中、父と出会い父を背負って桜風堂に向かう「子狐の手紙」 -
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かなり好きでした!
銀河堂書店が出てくる「百貨の魔法」があまり刺さらなかったので、こちらもあまり期待せず読み始めたところ、良い意味で裏切られました。
桜風堂書店や桜野町の景色の描き方がとても美しくて、いつも柔らかい春の光に包まれているような情景が目に浮かぶようです。
出てくる人たちもみんな優しい。
書店員さんたちの本に対する愛情とか書店員同士または本に関わる人たちとの絆とか、ある意味このお話は美しすぎて現実離れしているのかもしれないけど、すごく良かったです。
あとがきにもあったけど、書かれていることにファンタジー要素はないけど、すごくファンタジックな印象の物語でした。
「四月の魚」 -
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『星をつなぐ手』より先に『夢ものがたり』を間違えて読んでしまった。
でも、番外編のような話だったので違和感なく読めて一安心。
『桜風堂ものがたり』のシリーズは
桜野町のような、あたたかくて優しい雰囲気に包まれているのが好き。
登場人物も優しい人ばかりで、自然はきれいだし桜野町でのんびり暮らせたら幸せだろうなと思ってしまう。
1話 「秋の怪談」 この話が一番好き。
自転車で友達とちょっと遠出したり、夜中に懐中電灯を持って肝試ししたりと透達と同じように冒険しているようでワクワクしたり怖いのに強がってみせたりと小学生の頃を思い出しました。
「幽霊屋敷」にあった1冊の絵本と黒い服のおばあさんに、じ -
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読み始めて知らない人物が続々登場。
これはシリーズが一冊抜けていたか、と、あわてて前シリーズ巻を
読み始めたら、なんか変。既読感が・・・
全巻読んできたのに、自分が忘れていただけでした。お粗末!
桜楓堂スタートの頃は、私自身も本に関わっていたので、
ヒリヒリするような思いで読んでいました。
「その通り、わかる、わかる!よくぞ言ってくれた!」と
涙しながら、心の中で快哉を叫んだものです。
でも版元が変わり、ファンタジーになってからは・・・
村山テイストといえば、その通りで良いんでしょうけれど。
「これで一区切り」と後書きにありました。
寂しいけれど、正直、ほっとしているような・・・ -
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ネタバレ良かった。シリーズで前作を読んだか記憶がないのだが、それでも楽しめた。今度シリーズ全作を読んでみようと思う。
不思議な話、少し怖い話、ファンタジーだけど、描写が温かく、夕焼け色に包まれるような作品。3章あり、どれも読み応えがあるが、1章がよかった。主人公の一整くんの優しい感じや、高岡さんの昔話
(苦労あり)そして優しい怪異。そういうものに見守られてるっていいな。映像化しても綺麗そうな話だった。
2章もあたたかい。中学生の様子も優しい。
3章は少し怖いが、一整くんとのなかなか伝わりあわない気持ちがもどかしく、でも苑絵さんの優しい人柄とエンドにつながり良い。 -
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今まで読んだ書店物の物語は
本に携わる事件や謎解き、書店でのドタバタ騒動が多かったけど、本書はひと味もふた味も違って面白い。
「宝もののような1冊の本」これだけでもファンタジーなのに、一人の書店員から徐々に大きな波になって奇跡が起こる。
奇跡を送り出す書店と書店員達の物語。
書店物が大好物な人には読まずにはいられない一冊!
登場人物も皆イキイキしているというか生きているという感じで、みんなあたたかい。
上巻で一整や苑絵、渚砂、柳田店長の各々のエピソードがあったから感情移入しやすかったのと自分の才能や立場を活かし精一杯頑張っている姿がキャラを際立たせている。
特に「四月の魚」のフェアで苑絵のプ