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魔女はすべてを覚えている。
ひとの子がすべてを忘れても。どこか遠い空の彼方へ、魂が去って行こうとも。
そして地上で魔女たちは、懐かしい夢を見る。記憶を抱いて、生きてゆく。
その街は古い港町。
桜の花びらが舞う季節に、若い魔女の娘が帰ってきた。
赤毛の長い髪をなびかせ、かたわらに金色の瞳をした使い魔の黒猫を連れて。
名前は、七竈・マリー・七瀬。
目指すは、ひとの子たちが「魔女の家」と呼ぶ、銀髪の美しい魔女二コラのカフェバー。
懸命に生きて、死んでゆくひとの子と、長い時を生きる魔女たちの出会いと別れの物語。
―――
魔女たちの物語は、物語の形を借りた、わたし自身の想いであり、言葉でもあったのだろう、といまになって、気づいています。
何の力も持たず、歴史を変えられもしない、一本の糸に過ぎないわたしが、誰かのささやかな愛すべき日常に寄り添い祝福し、
不幸にして斃れたひとびとにさしのべたかった「腕」が、この物語だったのだろうと。
そう、わたしには魔法の力はなく、この物語もいつかは忘れ去られてゆくでしょう。
けれど、この物語にふれたどなたかが、ふと、これまで地上に生きてきた一本一本の糸に思いを馳せてくださるなら、
わたしの言葉はそのとき、魔法になるのだと思います。
村山早紀(「あとがき」より抜粋)
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Posted by ブクログ
出会えて良かったと思える1冊に巡り会うことが出来て嬉しいです。
それくらい心に寄り添ってくれて、寂しさも不安も抱き締めてくれるようなお話でした。
魔女という人間ではない存在を主軸とした6つの物語とエピローグは、幼い頃大切に読んだ児童書のように優しいのに大人になった私だからこそ面白いと思える喪失や別離も生々しく描かれていて、幼い私と今の私がどちらも喜んでいるような感覚になります。
おそらく中学生〜大人まで楽しく読める1冊なのではないでしょうか。
あとがきも優しくて村山早紀先生の人柄が伝わってくるようでした。
明日を迎えることが不安な夜に、ぜひ読んで欲しいと思います。
Posted by ブクログ
桜の花びらが舞い落ちる季節。
古い港町の駅のホームに一人の娘が降り立った。
大きなトランクを提げ、金色の目の黒猫をつれた、赤毛の若い魔女七瀬。
港町の寂れた裏通りにあるひときわ古い建物『バーバヤーガ』は魔女たちの住処で、七瀬はそこに帰り着く。
その一階でカフェバー『魔女の家』を開いているのは、銀髪で長身の美しい魔女二コラ。
ひとの子を見守り、救いの手を差し伸べて消えてゆく魔女たち。
魔女はひとよりもはるかに長生きで、十年にひとつほどしか年を取らず、この地上には永遠に存在するものはないと知っている。日々の暮らしも、流行も、文化も…。
お盆の時期に、海から亡くなった人たちが帰ってくる。
『魔女の家』を訪ねてきた子どもたちの願いを叶える二コラ。
ハロウィーンの夜に十三階のベランダから繫華街の灯りを見下ろす七瀬は、ほうきにまたがり、つばの広い帽子を頭にのせ、ふわりと夜空を降りてゆく。
亡くなった人たちは目には見えないけれど、街に溶け込んでみんな永遠に一緒にいられるなんて、この世にお別れは存在しないだなんて…。
優しさで包み込むような、魔女と人との関わりを描いた、とても素敵なお話です。
Posted by ブクログ
とても優しく、穏やかな物語。
温かい飲み物を飲んでいるときみたいな、ほっとするような読後感だった。
この本に出てくる魔女も人も、みんな誰か想って行動する人ばかり。その自己犠牲的にも感じるほどの優しさや危うさを見る度に、胸がぎゅっとなって、どの話も涙が止まらなかった。
実は購入して、1話だけ読んだ以降はずっと寝かせていた本。読まなきゃなぁ、読みたいなぁ、と思いながらもなぜか中々手をつけられず。
今回やっと読もうと決めて、1日1話ずつ読み進めた。
そうやって読み始めたら、ファーストフードを食べた日にファーストフード店の店員さんが主役のお話で、クリスマスイブに最終話を読んだらクリスマスイブのお話だったり。
この本に出てくる魔女は優しくて、穏やかで、ちょっとおちゃめ。
だからこういうちょっとした偶然も、今の私にぴったりのタイミングで読めるように、本が待っていてくれたのかもしれないと思ってしまう。
そんな風に思えるような、少しだけ「もしかしたら魔女って本当にどこかにいるのかも」と思ってしまうような、そんなお話だった。
Posted by ブクログ
魔法とか魔女とか、そういうファンタジー的なお話が好きで手に取った一冊。
長い年月を生きる魔女たちが儚い命人の子に関わって出会いと別れを繰り返す話だった。
もっとフランクに楽しくゆるく見れるかなと思っていたが、人間との別れの話(死についての話)が多めで、読み終わったときは面白かった!よりも悲しい、切ないなど死について考えるの感情の方が大きかった。
話自体は魔女の存在を信じ愛したくなるようなそんな作品で素晴らしかったが、個人的にもうすこしあたたかいゆるいお話の方が好きなので星ひとつ減らした。
この世界のどこかにも魔女やおとぎ話ででてくるようなものたちがいて、人間にバレないようひっそり旅をしながら暮らしてたらいいな。
私も三日月通りの魔女の家を見つけられたら迷わず入るのだろう。そして美味しいホットココアをくださいとお願いし、世界のひとたちの話を聞きながら目を輝かせるんだろうね。
その日を楽しみに今日も頑張ろう。
どうか今もどこかで人間のふりをしてをして街を出歩いてる魔女が、人間に愛され沢山の幸せに包まれますように。
そしてこの世界に平和が満ちますように。
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小説・文芸
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