あらすじ
世界は「優しい奇跡」に満ちている――。
癒やしと幻想の名手・村山早紀が描く5つの物語。
本屋大賞ノミネート作家の最高傑作!
失恋したての青年、亡き祖父を想う少女、行き詰まったイヤミス作家、不器用な本好きの少年、未来が不安な女性ライター……
昭和から令和まで時代を越え、街の片隅で暮らす人々のそれぞれの心の傷が、優しい魔法で癒やされていく。
ささやかな出会いと別れの中、心に寄り添い、そっと明かりを灯す奇跡たち。
荒涼とした時代に、あなたの心へ、今、いちばん届けたい希望の物語。
これは、村山早紀史上、最愛の祈り――
誰かのための真摯な祈りが「優しい奇跡」を連れてくる。
愛に包まれた全5話、珠玉の短編集!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
猫×星×奇跡
どの話も温かくて、尊くて好き。
登場人物たちに降り注ぐ優しい奇跡に胸打たれると同時に、他の人の幸せを願わずにはいられない、そんな心を洗ってくれるようなお話ばかりだった。
クリスマスに失恋をした淳。転んで怪我をしたり、踏んだり蹴ったりの彼の前に現れたのは、寒さに震えている迷子の猫だった…『星降る町で』
シャッター街にあり、祖父が創業した飲食店が倒産することに。あるとき千世子は熱を出し、目を覚ますとそこには若かりし頃の祖父が…千世子が起こした驚くべき行動とは。『時を駆けるチイコ』
イヤミス作家清花のもとに依頼された仕事は「優しいお話」を書くことだった。彼女の仕事に、自分の人生に向き合っていく姿に胸打たれる。『閏年の橋』
親戚の家に里帰りした健太郎が、家の庭から繋がる森に足を踏み入れるとそこには洞窟があった。そこにあったものから始まる、少年の約束を果たすまでの人生の物語。『その夏の風と光』
昔ずっと一緒にいた親友美月のことをふと思い出し、彼女の幸せをひとりでに願う美雪。そしてひょんなことから2人は不思議な再会を果たす。『一番星の双子』
人生を振り返りたくなったとき、
人の温かさに触れたくなったとき、
自分はひとりじゃないと勇気をもらいたいとき、
おすすめの1冊。
p.56 優しい心の持ち主(星降る町で)
「わたし、ひとが幸せそうにしてるのを見るのが好きなんです。どんなに落ち込んでいるときも、寂しいときも、誰かが笑っているのを見れば、元気になれちゃうの。だから誰かを笑顔にしたかったのかも」
p.58 優しい奇跡(星降る町で)
「友達から、同じような素敵な言葉をいわれたことがあるんです。あなたは優しいいい子だから、きっと幸せになる、わたしが保障するって。世界には神様や妖精や、そういう不思議な者たちがいて、優しい子は幸せになるようにってそっと見守っていてくれるからって。優しい奇跡を起こしてくれるからって。」
p.147 本の力(閏年の橋)
「わたしたち本を作る者には、武器を手に取ることはできません。空から降るミサイルを防ぐことも、地震を鎮めたり、流行病を止める力もありません。ーけれどわたしたちには、物語を、本を作ることができます。その本を手にし、頁をめくるひとたちに、ひととき心を休ませ、ゆっくりと呼吸をさせることが。恐怖と孤独に泣くひとびとに寄り添い、ひとりではないよ、あなたを忘れていないよ、と本の形をした祈りと心を届けることができますよね?」
p.281 どんな星でも…(一番星の双子)
「ねぇ、美月ちゃん、きっと空にはいろんな明るさのお星様がきらめいててさ。それと同じように、地上にはいろんなひとがいるんだよ。派手にぎらぎら光るひとも、ちょっと光が足りてなくて、闇に沈みそうにちかちか光ってるひとも。でもさ、どんな星だって空にあってもいいんじゃないのかな。だってわたし、美月ちゃんのことずっと大好きで、幸せに生きていてほしいって思うもの。わたし自身もさ、この地上の片隅で、地味に光ながら、明るい星空を見上げて生きて行けたらなって思うもの」
Posted by ブクログ
一気読みするのは勿体無い
心が疲れてしまった日に一話ずつ読みたい、
ご褒美のようなお話しでした。
一話目の「星降る町で」に出てきた優しい心の持ち主を見守る魔法、とても素敵な言葉だと思いました。
なんで自分ばっかり、と思ってしまう日もあるけれど、誰か1人は自分がした行動を優しいと思ってくれた人がかもしれない。誰かが私のことにも気づいて見守ってくれているかもしれない。そう思うと勇気が出ます。
一話目に限らず、全話に共通して
優しさにはいつか優しさがかえってくる。
そしてその時の流れを待つ間、傍には猫がいる。まるで見守るようにそばにいてくれる。
優しい心の持ち主を見守っていてくれるのは猫なのかもしれない。
Posted by ブクログ
すっごく優しい物語であった!
奇跡が繋がる5つの短編の物語
1つ目の物語は猫と繋がる偶然の聖夜の物語
弱った猫と、聖夜の一夜
過ごした後の出会いは必然か偶然が
いくつもの偶然の末に辿り着いた2人と1匹の出会いはとてもピュアで可愛らしい
2つ目以降は偶然とは言い難い、奇跡の物語!
2つ目の物語は現在を生きる少女と、亡きおじいさんと、そしてもう1人の過去に生きた少女の物語
過去を夢見て、それが未来へ繋がっていく様がとても素敵で、5つの短編の中で私は1番好きかも!
3つ目は、あまり売れない作家を生業としている女性の物語
あったかもしれない過去
あったかもしれない現在について語りかけてくれる
少しばかり、心細さや寂しさを抱くような物語だなとも感じられた
4つ目は、今は亡き少年の霊と、昭和を生きる少年の物語
幽霊の少年と生きた少年の邂逅には少し怖い物語か!?と思ったが、幽霊の少年が良い子だった…
2人の邂逅が未来へと続き、大人になった少年へ繋がっている様が本当に素敵だったなぁ
最後の物語は、三十路女性の物語
彼女とは年齢が近いからか、何となく等身大目線で感じることが出来た
彼女の考えている気持ちなど、共感する場面も
子供の頃の友人は歳と共に離れて行くことが多いけれど、奇跡と必然の不思議な繋がりを垣間見ることが出来て私も笑顔になってしまう
誰かも私のことを覚えていてくれているだろうか
どの物語も優しさに溢れていて、寄り添ってくれるように私の気持ちを幸せにしてくれた
少し心が疲れていた私にピッタリで、とても幸せな読書時間であった
Posted by ブクログ
どの章も猫が必ず寄り添っていて、そして読む人の心に温かさが必ず寄り添ってくれます。じわっと来た章もありました。そして改めて世界平和を祈ります。
Posted by ブクログ
先ず「あとがき」から読み始めて、最後にまた「あとがき」を読みました。
それまで読み進めた5つのストーリーが鮮やかによみがえり、作者のやさしさ、心根の良さが心に沁みて泣きます。
(内容紹介)
世界は「優しい奇跡」に満ちている――。
癒やしと幻想の名手・村山早紀が描く5つの物語。
本屋大賞ノミネート作家の最高傑作!
失恋したての青年、亡き祖父を想う少女、行き詰まったイヤミス作家、不器用な本好きの少年、未来が不安な女性ライター……
昭和から令和まで時代を越え、街の片隅で暮らす人々のそれぞれの心の傷が、優しい魔法で癒やされていく。
ささやかな出会いと別れの中、心に寄り添い、そっと明かりを灯す奇跡たち。
荒涼とした時代に、あなたの心へ、今、いちばん届けたい希望の物語。
これは、村山早紀史上、最愛の祈り――
誰かのための真摯な祈りが「優しい奇跡」を連れてくる。
愛に包まれた全5話、珠玉の短編集!
Posted by ブクログ
魔法のような、温かい奇跡を綴った物語。
短編集で、一つ一つのお話のタイトルが素敵。装丁も可愛い。
読んでいて、涙が滲んでくるし、沁みる。
「色んな事がある時代だけど、優しさを置き去りにせず、どうか大切に」と言ってもらえるような、愛に溢れた1冊。
本当に、読んでて、泣けてくる。
大人向けのファンタジーは、思った以上に胸に刺さる。
心の奥があったかくなる、素敵な物語に出逢えて、感謝。
去年購入して積読状態でしたが、年始休暇で時間作って久しぶりに読書。やはり平和で暖かいファンタジー、そして児童書のエッセンスがかけられた静謐な物語にほっとします。
Posted by ブクログ
短編集5話。
一つ一つが猫と本好きが出てくる温かな話。
イヤミス作家が本当は優しさを望んでる話、漫画家を諦めたおじいちゃんだったが、魔法にでもかけられたかのように、漫画もレストランも成功した未来に置き換わる話が好きだった。
誰かを思いやれる人って素晴らしい。
登場人物全員が誰かを思いやれる人で、娘にも読んで欲しいと思った。
Posted by ブクログ
これだけ真正面からファンタジーです。と言っている小説を読むことは、珍しいですが、なぜか読んでしまいました。
特に「閏年の橋」にでてくるように、パラレルワールドを思って現実に納得する経験があったので、感無量。そして著者のあとがきで、あっ!とその偶然にびっくりしてしまいました。私にとって読んでおくべき本であったようです。
Posted by ブクログ
311 街角ファンタジア/ #聴了
心に残ったお話
「閏年の橋」
さやかが著者の代わりに想いを伝えているのかと思えてしまい閏年生まれなのかを検索してしまう。
「さやか本を必要としている人はいるから書くのをやめないで」
励まし応援したくなった。
Posted by ブクログ
心がほっこりするような物語でした。
『閏年の橋』が良かった。
どの短編にも猫が登場するから著者は猫派なのかなと思ったり。あとがきにもあるように、本や物語の中に明るさや希望を見出だせると。読みやすくて楽しい一冊でした。
Posted by ブクログ
クリスマスイブに失恋した青年、実家のレストランを畳むことになった少女、将来に不安を抱えるイヤミス作家、人付き合いが苦手な少年、幼馴染に想いを馳せる兼業ライター。この世界の片隅で、毎日を一生懸命に生きる人たちは、それぞれの強さで輝いている。ひたむきに生きる人々が、幸せでありますように。そんな作者の優しい祈りがこもった心温まる1冊。
イヤミス作家の短編が1番心に響きました。自分も猫飼いフリーランスなので、不安の内容にすごく共感してしまって。ただ、過去を書き換える短編はちょっと考えてしまいました。うまくいかなかったことを抱えて、人は生きていくものだと私は思っていて、辛い中でも努力した事が無かったことになってしまうのはなんだか悲しいなぁと思うのです。
Posted by ブクログ
ファンタジーを読んで「自分にもいつかこういうことが…」と夢見る時期は過ぎたと思っていましたが、少しくらい期待したっていいんじゃないかと。今からでも遅くない。「世界は優しい奇跡に満ちている」と、信じてみたいと思いました。
Posted by ブクログ
ファンタジーといっても夢の軸で描かれているので、どこか現実味もある、ひょっとしたら叶うのではないかと思う物語だった。
短編集5話の構成でその中でも「その夏の風と光」
こちらは戦争時代の本好きの少年、戦後平和な時代の本好きの少年をつなぐ物語。
悲しくも、温かいものでした。
もちもん同じ時代を生きているはずもなく、どう繋がるかはファンタジーの世界だとして…
「人と本と人の繋がり」がとても尊いものと感じる物語でした。
家族でも友人でも本が好きだという人が周りにいれば「この本、あの人が好きそうだな」と思ったり、おすすめされた本は「あの人と一緒に読んでる気分」とか、「この本を読んで何を思ったのかな?」と、本好きのあの人的なのを考えたりしませんか?
本は読み聞かせじゃない限り一人で読んでいるようで、そうじゃないと感じるとき。
ファンタジーではない、本と人との繋がりを大事にしたいなと思える物語でした。
星1つ減らしたのは、全体的に物語の視点が動く部分があり「今のこのセリフ誰の?」と少し混乱して読みにくい部分がありました(私の読解力の低さのせいですが)
Posted by ブクログ
年末に読むのにぴったりの、やさしい読後感を得られる短篇集。
クリスマスイブに猫を助けた青年に起きた奇跡「星降る街で」、漫画を描くのが好きだったおじいちゃんが始めたレストランの行く末は…「時を駆けるチイコ」、閏年の深夜0時にそこに行くと心から会いたい人に会えるという「閏年の橋」、戦争中に一人寂しく亡くなった本好きの少年の幽霊「その夏の風と光」、疎遠になってしまった幼馴染との関係を描いた「一番星の双子」の5篇が収録されている。
どれも村山さんならではの猫・魔法・癒しが描かれている。「星降る街で」、「閏年の橋」が特に好みだった。
Posted by ブクログ
ここ温まるお話ばかりで、出てくる猫たちも可愛くて、やっぱり好きだなぁと思います。
私の心がグラグラ揺らいで、うまくいかないことにイライラして、こんな自分を嫌いになるけど、でも、大丈夫!って言ってもらえてるみたいで、ホッとする。
みんな、幸せになっていいし、みんなが幸せでありますようにと祈れる世の中になればいいなと思います。
Posted by ブクログ
心温かくなる短編集。
5つの話があり、どの話にも猫が出てきており、猫好きな方にもおすすめしたい1冊。
どの話も読んでいてうるっときて、私は特に「星降る街で」と「閏年の橋」が好きでした。
Posted by ブクログ
現実のような夢のような。悲惨な時代もあった。今はどうだろう。せめて優しい世界を感じていたい。そんな読み心地。
著者のあとがきにほっこりしました。
Posted by ブクログ
どれも真面目にコツコツ生きてきた人に奇跡が起きる五つの短編集。猫が必ず登場すると思ったらそうリクエストされてたんですね。一番好きなのは最後のイヤミス作家の話。
Posted by ブクログ
ひたすら優しさを摂取させてくれる感じ。 思いきりファンタジーに展開していくので気持ちよく非現実感に浸れて奇跡を浴びられる。 全話に猫が出てきて嬉しかったけど編集さんの要望だったとは! ありがとうございますと思った。 個人的になんだか気になったのはイヤミス作家がほっこりファンタジーを書くことになる話かな。 本当は幸せになりたいのにという言葉が胸を打った。
このタイミングで過去の大戦に触れた本作を手にしたのもなんだか巡り合わせかなぁと思った。
猫や犬が供出させられた過去、二度と繰り返されないようにと祈らずにいられない。
今どき供出はないにしても戦火の中逃げ惑っているのは人だけではないはずだと現状に対しても悲観せずにいられない。
Posted by ブクログ
夢の中の出来事なのか、現実なのかわからないけれど暖かくホッとするお話たちが心を癒してくれました。
辛い出来事の物語の中にも希望はあって、幸せになりたいと思って皆んな生きている。
村山早紀先生と同世代の私は、同じ時代に生まれ作品に出会えた事は、素敵なことだなぁと、あとがきを読みながら噛み締めました。
Posted by ブクログ
心が温まる素敵な本
特にねこが好きな人は必見です。
色々な境遇の登場が出てきて、ねこを中心に物語が展開され、ねこの素敵さも感じられる一冊
激動の毎日に疲れている人やほっとしたい人におすすめです。
Posted by ブクログ
街の片隅で暮らす人々と優しい奇跡の話。あああ染み渡る〜となりながらしんみりほっこり読み進める。こんな時代だからこそ、こういう物語に浸りたい優しさでできてる。あとね、ほんと村山先生の本読む度猫と暮らしたくなる。この本みたく猫もきっと寄り添ってくれそうで
Posted by ブクログ
単行本としてまとめて読むのは正直つらかった。
5つの話が載っているのだけど、どれも似た感じで、単調さを感じて飽きてしまった。
もとはweb配信で一話の半分ずつが掲載されていたもので、その感じで読むのであれば、ほっこり幸せな気分になるだろうなと思った。
Posted by ブクログ
ファンタジーが5話。
村山早紀さんの世界観がとても優しくてほんわかする。
人の幸せを願う優しい魔法に癒された5話でした。
“星降る街で”の本当に何気ない日常の中にある優しさが一番良かったかな。
Posted by ブクログ
この季節になると、読書にさえ温かくなる作品を求めてしまう私です。
そんな要求に応えるように11月初めに出版された村山早紀さんの作品を読み終えました。
5つの作品とも登場する人物全てが優しくて、さすがにここまでと思う反面ここまで書かなくては、今の世の中に「優しさ」なんて存在しないと思っている人が多いのかもしれない、読み終えて直後に考えました。
印象的なのは、やはり作品最初の「星降る街で」に登場する、失恋したての青年です。都会育ちの彼が働く田舎町で、ひとりぼっちで迎えると思われたクリスマスの日、著者お得意の猫が登場、猫を介していつも通う文房具店の店員と改めて知り合うストーリーとともに、青年の性格の良さと恋の予感にドキドキワクワクしてしまいました。
次に印象に残ったのは、「閏年の橋」の行き詰まったイヤミス作家。
著者自身は児童文学作家として有名ですが、好きでも息詰まることはあるのかなと感じ、さらにこのストーリーと同様な思い出がおありになるのではと想像したくなる作品でした。
そのほかも読み手によって、自分自身と重ね合わせられるストーリーです。寝る前の1冊にされてもいい作品だと思いました。