オズの魔法使いのオリジナルがとても良かったので、ボームに興味を持った。
私にとっては、「サンタクロースの冒険」に次ぐ3作目のボーム。
(最近見た、「映像の世紀 バタフライエフェクト、ハリウッド 夢と狂気の王国」でも、あのアメリカ映画「オズの魔法使」とジュディ・ガーランドのドキュメンタリーに触れられたので、タイムリーだった。ハリウッドの五大社の功罪、映画という世界の表裏、戦争への加担など、めーっちゃ面白かったです。隣の女の子、のキャッチフレーズで売れに売れたけど、心身を壊されて人生はめちゃめちゃだったジュディ。娘ライザミネリの言葉を借りるまでも無く、ジュディはハリウッドに支配されていてかわいそうだった。あとはロナルド・レーガンの逸話も凄かった。俳優組合長だった時代に積極的に赤狩りで仲間を告発し、レーガンの言で一時は逮捕もされた脚本家はその後も本名を名乗れず、ローマの休日の脚本も書いたのにクレジットに出ていないとか、レーガンの若かりし頃に主演した「シークレットサービスの掟」という安い映画にハマった男性が、長じて本当にシークレットサービスになり、大統領となったレーガンの暗殺未遂事件で活躍して命を賭して彼を守ったとか、映画より映画でしょ!)
話は戻って。
この作品は短編集で、アメリカ産のお伽話であることが、作者にも読者にも大きいテーマとして出てきている。
ボームの面白さはやはりここ。
近代アメリカらしく、広告の力、セールスの力、歴史と伝統を持たないことがそこここに登場してくる。
読んで面白かったのは、「妖精ポポポと鳥たちの帽子」。
リル、ヌークはボームの作った架空の妖精だったんかー。
サンタクロースの冒険でもそこらへんの注釈が欲しかったです。
全体にあっさりした味のストーリー。
奇想天外かなと思うも、イタリアのロダーリの後に見れば、ごく大人しい気もする。
最後の教訓めいたところ、シニカルで面白いけど、大人として読むとあの部分は不要だよなぁと思う。
淡い色の可愛い挿絵が素敵。