村山早紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
埋もれていた名作を見つけ出し、光を当てる才能があると言われている一整には、どうしても売りたいと思っている本がありました。
この物語には、たった一つの過ちを一方的に責めるような悲しい人は、一人として出てきません。
一整を取り巻くすべての人たちが、奇跡の渦を巻き起こすように、どんどん前へと進んでいきます。
感謝と謝罪の応酬のように。
生きていれば誰でも、あの時ああすればよかった、こうすればよかったと後悔することばかりなのですが、「ありがとう」と「ごめんなさい」の気持ちがあれば、それが人と人とを優しさや思いやりで繋ぐ潤滑油のような役割を果たすのだと思いました。
私もこの本を読んで、生きる勇気をもらえ -
Posted by ブクログ
書店の棚や平台に並べられた本の数々。それらはただそこに黙って、静かに置かれているわけでありません。
書店員さんがこの本を売りたい、お客さまにぜひ読んでもらいたいという願いを込め、さまざまな工夫と努力を重ね、本と読み手との運命の出会いを導いているのだということを、この本で初めて知りました。
店内で起こった万引き事件をきっかけに、ネットなどでの誹謗中傷を受け、長年勤めた銀河堂書店を去ることになってしまった月原一整は、ブログを通して知り合った桜風堂書店の店主を訪ねて旅に出ることになります。
広い空と優しい緑の波に抱かれたような静かな町、桜野町はその名の通り一面の桜の海でした。
私の心の中にも今、はら -
購入済み
女の子の憧れ
キラキラでとっても可愛らしさと物語にも世界観が広がり、魔法のアイテムなどの小物や今後のストーリー重要人物となってくる謎のおばさん、お子様向けなので大人が読むとあっさり正体わかっちゃいますが。
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購入済み
キラキラ溢れる
村山早紀さんファンのいい歳の大人が購入したが、ファンタジーな物語世界と女の子の憧れのアイドル変身願望が、詰め込まれていて大人だったらさらっと読めてしまいます。
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Posted by ブクログ
桜風堂の店主から店を頼まれた一整は、そこで居場所を見つける。そして、銀河堂書店に残った書店員たちや、さらには銀河堂書店が入っている百貨店までの広報部までが一整が世に出てほしいと望んでいた小説、"四月の魚"を売り出すため、それぞれに奔走する。
そして、多くの人の気持ちが通じたかのように、"四月の魚"は好調に売れ、著者自ら、一整にお礼を言うために桜風堂を訪れる。
あまりにうまく行きすぎながら、それぞれが痛みを伴う過去を持つ登場人物たちが、誰かのためを思い努力することで自分も相手も癒されていく、暖かいストーリー。
電車内で読んでいると、涙が溢れてきて困りま -
Posted by ブクログ
『元々、レベルの高いクリエイターには、「あちら」側とぎりぎりに生きている感性の持ち主が多い。高い空にひとり羽ばたき、喉から血を吐くような、限界の空で歌をうたう、そんな風にして生み出す作品だからこそ、後の世に残るレベルのものになる』
“天才と狂気は紙一重”と言われるように、歴史に足跡を残した人の伝記などを読むと、ある種の”狂気性”が、彼らの人生につきまとっていたことがよく分かります。私はクラシック音楽が好きですが、歴史に名を残す彼らにも、例えば精神病院で死を迎えたシューマン然り、小石でもレンガでも数を数えないと気が済まなかったブルックナー然り、そしてアマデウスの映画に見られるモーツァルトの危う -
Posted by ブクログ
子猫にまつわる4つの短編で、たくさんの絵とともにほんわかとなる。
初出は1999年、2008年、2016年、表題作は書き下ろし。
一番長い「七日間のスノウ」は、小学生の女の子が生まれたての子猫を見つけたけれど、ぜんそくの姉がいて飼えないので、スノウと名付けて廃屋で飼い、夜中も3時間おきに世話をしに通い続ける。1週間経って風邪を引いて熱を出して行けなくなり、姉がスノウを連れてくるが死んでしまう。夢でスノウがありがとうという場面は泣かされる。
「五千年ぶんの夜」は、父が単身赴任中に母親が入院して一人で心細い少女が、子猫を見つけて世話をすることで寂しくなくなり、猫が五千年前から人間の友達になってき