【感想・ネタバレ】その本の物語 下のレビュー

あらすじ

どこにも行けない。まるでガラスの水槽の中にいるみたいで、すぐに息が苦しくなって――。南波は、学校を休み、書店でアルバイトをしながら、病院に足を運んでいた。きょうも病室で朗読をする南波、うっすら笑みを浮かべ眠り続ける沙綾。だが、魔女の子ルルーの長い冒険物語が、いよいよ終わりに近づいたとき、誰も知らない新たな物語が呼び出された――。傷ついた魂の恢復と人間への信頼を謳いあげた、傑作長編ファンタジー!

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Posted by ブクログ

私は今日も、優しい日差しが差し込む病室で眠るあなたに『風の丘のルルー』を朗読する。

今日は千鶴先生も隣で聴きたいって言うから、いつも以上に頑張らなきゃね。

でもさ。私の朗読を聴いていると癒やされるって、千鶴先生の言うことは大袈裟だよね。私にそんな魔法みたいな力は、あるはずないのにね。

感想です
始めからファンタジー1色の小説なのかな?と思っていましたが、なるほど。現実世界の女の子が読み聞かせてくれる絵本の世界との行き来といった構成なのですね。
村山早紀さんらしい優しい世界観、ちょっと心にチクッとくる悲しみに、しっかりと没頭させてもらいました。早く下巻も読み終えたい!!



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2025年05月17日

Posted by ブクログ

あなたは、『魔女とか魔法とか』を信じているでしょうか?

『魔女』と聞いて何を思い浮かべるかは人それぞれだと思います。そもそもそんなもの物語の中の存在と一笑に付される方もいらっしゃるでしょう。しかし、中世ヨーロッパにあっては、『魔女』の存在を大人たちが信じた先に『魔女狩り』という蛮行を繰り返したことは歴史に深く刻まれてもいます。未知なるものを恐れ、噂が恐怖の感情を呼ぶ中に追い詰められていった数多の人たち。なんとも悲しい人間の歴史の一コマです。

そして時は流れ、『魔女』は国境を越え、この国のテレビ画面を席巻する時代が訪れました。「魔法使いサリー」、「魔法の天使クリィミーマミ」、そして「魔法少女まどか☆マギカ」と数多のアニメ作品が子どもたちの心を虜にしてきました。あなたもそんな作品を見て心ときめかした過去があるのではないでしょうか?

さてここに、1999年から刊行された「風の丘のルルー」という『魔女』が活躍する作品を新たに書き下ろされた物語に鮮やかに融合させた物語があります。十二歳の『魔女のルルー』が活躍する様を見るこの作品。そんな物語を包みこむ外側の物語の主人公・南波の祈りを見るこの作品。そしてそれは、『世界はいつだって、魔法と奇跡に満ちている』という言葉を読者のあなたも噛み締める物語です。

『お先に失礼します』と、アルバイト先の書店を後にしたのは主人公の南波(みなみ)。そんな南波は『頭上にある神棚に目がとまって、軽く黙礼を』します。『祈ることや、願うことってたぶん、人間には必要なんだ。神様とかそういう存在が、本当にいるかいないか、わたしにはわからないけれど、でも』と思う南波は『手首に巻いた手作りのミサンガ』を見つめます。『我ながらセンス良くできてるんだけど、ちょっと丈夫に作りすぎた。これじゃあいつになったら切れるかわかりやしない』と『右に二本、左に三本。そして、願い事はたったひとつ。みんな同じ』と思う南波。『駅の裏手』にある『小さな暗い空き地』へと立ち寄った南波は『ジーンズのポケット』から『白と水色、ピンクと緑のチョークを取り出』します。『草むらの中に身を屈めて、月の光の中で、壁に花を描』くと、『ゲリラは誰にも姿を見られてはいけない』とその場を後にする南波。『チョークで描いた花の絵だもの、そんなに長持ちはしない。でもきっと何人かはあの花を見て、笑ってくれるだろう』と思う南波は、『街に花の種をまく人のことを、「花ゲリラ」というんだと教えてくれたのは、沙綾(さあや)だった』、『最初に描いたのは、いつだったろう?』と記憶を辿ります。『十二月の終わりに沙綾が入院したときいて、年が明けてもずっと退院しないときいた頃?…いやその後の、どうにも目が覚めないらしいと、病院であの子のお父さんにきいた日の夜?』と思う南波は、それが『寒い夕方だった。古い小さな公園の、沙綾がずっとそこでわたしを待っていたという公園のベンチで、わたしはひとり座っていた』と過去を振り返ります。そんな公園で『沙綾は妖精を見たことがあるといっていた』と思い出す南波。それは『ふたりだけの秘密』でもありました。そんな『あの日』、『自分にクリスマスプレゼントに買った』というクレヨンで『街灯の明かりの下で、花の絵を描いた』南波は、『何で自分なんかが、元気で生きていて、呼吸をして、目を開けているんだろう、と』思います。『あの子は眠ってしまったのに』と思い『小さい子みたいに泣きながら帰った』南波。そして、今の南波は『それからだった。わたしは街に、花の絵を描くようになった』と思います。『初夏の夜風の中を、急ぎ足で歩』く南波は、『もう少ししたら、向日葵を描こう』、『あの子が一番好きだった花を』と思う南波。『街にたくさん向日葵が咲けば、眠っているあの子も喜んでくれるだろうか』と思う南波は、『六月の昼下がり。夏が近い、白い光が差し込む病室の中で』『また古い本の頁をめく』ります。そして、『ヨーロッパの北の方の、辺境の風野村のそばの風の丘にある小さな家』に暮らす『小さな魔女』の物語を南波が朗読する先の物語が描かれていきます。

“きょうも病室で朗読をする南波、うっすら笑みを浮かべ眠り続ける沙綾。だが、魔女の子ルルーの長い冒険物語が、いよいよ終わりに近づいたとき、誰も知らない新たな物語が呼び出された”と内容紹介にうたわれるこの作品。「その本の物語」という書名に含まれた指示代名詞が何を指すのかがとても気になるこの作品。そんな指示代名詞が指す『その本』とは村山早紀さんが1999年から2004年にかけて7巻に渡って発表された「風の丘のルルー」という作品を指しています。この書名を聞いて、あっ!と思い出された方もいらっしゃるかもしれません。そう、「風の丘のルルー」は、児童文学としてポプラ社から出版された作品であり、子供の頃、夢中になったという方も多々いらっしゃるのではないでしょうか?この作品はそんな「風の丘のルルー」の物語から四つの物語を「その本の物語」という作品の中に”サンドイッチ”のように挟み込んで一つの新たな作品として構成されています。そして、表紙に『下巻』と記されている通りこの作品は上下巻から構成された「その本の物語」の後半に当たります。そんな作品の『上巻』を私が読んだのは二年前のことになります。当時と今ではレビューの書き方が変わってしまった私ですが、極力『上巻』のレビューと違和感ない形にまとめていきたいと思います。まずは、上記で触れた”サンドイッチ”構造の説明のためにこの『下巻』の構成に触れてみましょう。

 ・〈★頁の間の物語3〉
  → 『わたしは街に、花の絵を描くようになった』という日々を送る南波は、『あの子が一番好きだった花』である『向日葵を描こう』と思います。『街にたくさん向日葵が咲けば、眠っているあの子も喜んでくれるだろうか』と思う南波。

 ・〈第3話 風の少女〉
→ 「風の丘のルルー」の第四巻〈魔女のルルーと風の少女〉が収録されています。

 ・〈★頁の間の物語4〉
  → 『わたしはどうして、あの日、公園にいかなかったんだろう』、『わたしはどうして、あの子を守ってあげられなかったんだろう』と『沙綾が目覚めなくなってから、何度も思』ってきた日々を振り返る南波。

 ・〈第4話 赤い星の杖〉
  → 「風の丘のルルー」の第五巻〈魔女のルルーと赤い星の杖〉が収録されています。

 ・〈★頁の間の物語5〉
  → 『七月五日。病院の七夕のイベントがある』と『浴衣を着て、病院にいった』南波は、『今日は本を開かない。七冊もう全部、読み切ってしまったから』と思いつつ『沙綾のそばに腰を下ろ』します。そして、『子どもの頃に、沙綾にきいた物語を語』り始めた南波。

 ・〈エピローグ〜つばめ〉
  → 『そして七月が終わり、八月になり…』というエピローグが描かれていきます。

上記でお分かりいただけるかと思いますが、この作品オリジナルの物語が、「風の丘のルルー」の二つの物語をまさしく”サンドイッチ”のように挟み込む構成となっています。小説「その本の物語」の中に小説「風の丘のルルー」が挿入されていくという構成は、まさしく”小説内小説”を作品に取り入れたものです。この世には数多の”小説内小説”を含む作品があり、私はそれらを愛好しています。もちろん、”小説内小説”と言ってもその構成は多々あります。例えば、恩田陸さん「三月は深き紅の淵を」のように同名の小説が名前だけ小説内に登場するというものから、辻村深月さん「V.T.R.」のように「スロウハイツの神様」という作品内に”小説内小説”として登場した作品がリアル世界に実際に刊行されたというものまでその扱われ方はさまざまです。そんな中でこの村山さんの試みはリアル世界に刊行されている作品を全てではないとはいえ、別の小説の中にそのまま収録してしまうという大胆なものです。しかもそれだけでは終わりません。村山さんは、既刊の「風の丘のルルー」の世界観を、外側に新たに用意した物語で包み込んだ上で、今回新たに創造したストーリーとの融合によって新たな一つの物語として構築し直すというとても大胆な試みをされているのです。もちろん、「風の丘のルルー」は現在でも入手することが可能です。しかし、文庫本でも4冊に分かれた児童文庫を入手する必要があります。名前を聞いて懐かしいけどそこまではしたいとは思わない、でも読んでみたい!そのような需要を取り込むのがこの作品です。しかも、”サンドイッチ”構造を取るこの作品は大人が読んでも十二分な読み応えを感じさせる物語が外の物語として存在します。そして、外側の物語に挟み込まれた、本来児童文学である「風の丘のルルー」から持って来た”小説内小説”も読み応えを強く感じさせてくれるのです。児童文学であることをすっかり忘れて夢中になる読書、これはこの構成がなせる技であり、村山さんのこの試みは高く評価されるべきだと思います。

では、『上巻』の時と同様にこの作品に挿入された「風の丘のルルー」の二つの物語をご紹介しましょう。『わたしは人間が好きなの。たとえ人間から嫌われても、人間の友達がひとりもいなくても、きっとわたしは生きている間、人間を好きでい続けるわ』と語る『魔女のルルー』の物語です。

 ・〈第3話〉: 『魔女といえば、空飛ぶほうきがつきもの』と言われたことを思い出すルルーは、『魔法書で勉強しながら、一本のほうきを作りあげ』ると『空へと舞い上がり』ます。そして、『湖畔』の街へと辿り着いたルルーは、ジャンという男の子と出会います。ルルーが『魔女』だと知ったジャンは『ギルバート様の目も、みえるようにしてくれるよね?』と懇願します。そして、ギルバートを訪ねたルルーは『荒れ果て』た家に暮らすギルバートを見て『言葉を失い』ます…。

 ・〈第4話〉: 大昔に『氷の吐息で街を滅ぼそうとした』竜の伝説が残る『水晶の街』にどうしても行きたいと思うルルーは『遠くの人とお話ができる』道具を家に残し『魔法のほうき』で旅立ちます。辿り着いた街で『片目の犬の幽霊』が出ると聞いたルルーは、竜と戦い死んだ飼い主を探して犬が彷徨っていることを知ります。翌日『竜の塔』へと出かけたルルーは天井に『赤い宝石を飾った杖』を持つ乙女の姿を目にします。一方『ガラスの棺』の中から『竜の顔』が浮かび上がり…。

二つの物語はいずれもルルーの『魔女』としての生き様を見るものです。そんな『魔女』としての役割を果たそうとするルルーは『風の丘』に『くまのぬいぐるみ』のペルタと共に暮らしています。

 『ルルーはまだ子どもの魔女です。百二十年を超えるほど生きていても、心はみた目の通りの子ども、人間の十二歳と一緒なのです』

年を取る歳月に人間とは10倍もの開きがある中に、心は人間の十二歳と同じというルルー。そんなルルーの前にはさまざまな難局が訪れます。この作品は元は児童文学です。幼き少年少女たちがハラハラ、ドキドキしながらルルーの活躍を信じて精一杯に応援しながら読み進める姿が目に浮かびます。その一方で、まるでそんな少年少女たちと同じように手に汗握りながらルルーの活躍に心の中で声援を送っている自分自身に気づきました。これは大人向けの小説を800冊以上読んできた私にもそうそう経験することのないことです。村山さんの作り上げる素晴らしいファンタジー世界の前では対象年齢などという愚かな概念は意味をなさないのです!

 『わたしには、好きになった人達の ー 優しい人間の思い出がいっぱいあるもの』

そんな思いの先に人間を愛し、人間のために力の限りを尽くしていく『魔女のルルー』。物語は”サンドイッチ”にされた物語の先、いよいよ外側の物語の決着へと進んでいきます。それは、『上巻』『下巻』併せて文庫本650ページという圧倒な物量の物語をここまで読んできた読者を待つ感動的な結末です。この作品は「風の丘のルルー」という作品が、「その本の物語」という別の作品の中に記される”小説内小説”の構造を取る物語です。そして、そんな物語は〈★頁の間の物語5〉にてまさかの完全融合を見せるのです。内側の物語と外側の物語が奇跡の融合を見せるその瞬間。

 『世界はいつだって、魔法と奇跡に満ちている』

そんな言葉が納得感を持って読者の心に深く深く刻まれていくその感動的な結末に、素晴らしい作品を読んだ感いっぱいの喜びの中に静かに本を置きました。

 『魔女といえば、空飛ぶほうきがつきものですものね』

『十日かかって』、『魔法書で勉強しながら、一本のほうきを作りあげ』たという『魔女のルルー』。この作品では「風の丘のルルー」という既刊の物語を”小説内小説”として外側の物語に鮮やかに融合させていく素晴らしい物語世界が描かれていました。村山さんの作り上げる極上のファンタジーに酔うこの作品。『わたしは人間が好きなの』と人間のために奮闘するルルーの健気な姿にあたたかいものが込み上げるこの作品。

汚れた心がどんどん洗い流されていく清らかな読書。やさしい思いに心が満たされていくあたたかな読後感。

 そう、まさしく絶品!

村山早紀さん、このような素晴らしい作品をありがとうございました!

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2024年05月15日

Posted by ブクログ

「今日もしだめな自分だったとしても、明日は少しでも強くて立派な自分になろう。明日まだむりだったとしても、あさってはしあさってはがんばろうって、その繰り返しが大事なんじゃないかな、と思うんだ。
最初っから強い人なんて、きっとどこにもいないんだよ。みんなきっと、優しくなりたい、強くなりたいって歯を食いしばってる。だめな自分、弱い自分が好きになれなくて、許せなくて、たまに泣いちゃったりしながらね」

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2020年08月01日

Posted by ブクログ

本編としては本当にきれいに、美しく着陸しています。
そして「風の丘のルルー」完結編でもあります。
本当に「ルルー」シリーズを読んでいなかったのが痛恨の一撃というか、読み終わった瞬間、この話ないのかなーと思ったら過去作にあって、でも絶版という衝撃。古本で集めようにも結構高騰している上巻数があるので、ものすごく残念というか無念というか………でも「ルルー」を全巻読破してからこっちももう一度読みます。

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2016年08月13日

Posted by ブクログ

上下巻読んで、とてもほんわかしてて、癒されました(*^^*)ルルーの物語の間で少しずつ語られていく沙綾と南波の物語がとても感動的!こんなことがあったら素敵だな。わたしも風の丘にいってみたい。

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2016年02月11日

Posted by ブクログ

主人公南波が同じ作者の『風の丘のルルー』を親友に読み聞かせるという形式をとっている。

このルルーの物語がすごくいい。

過去に魔女は人間に迫害され、ルルー以外の魔女は死に絶えたと思われる世界である。

ルルーも自分が魔女であることを隠し、生きている縫いぐるみ(!)ペルタと孤独な旅を続けている。

しかし、どんなに人間を怖れ、疑ったとしても、やはり心のどこかでは信じたいと願い、人間の為に困難に立ち向かうルルーの気持ちが、主人公南波と重なって、心打たれずにはいられなかった。

少しでも異質なものを感じ取るとコミュニティからつまはじきするのがめずらしくない世の中で、生きにくさをひしひしと感じている南波がルルーの強さに勇気づけられていく様子に、読んでいるこちらも元気づけられた。

『風の丘のルルー』自体もぜひ読みたくなること間違いなしの作品である。

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2014年11月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【あらすじ】
どこにも行けない。まるでガラスの水槽の中にいるみたいで、すぐに息が苦しくなって―。南波は、学校を休み、書店でアルバイトをしながら、病院に足を運んでいた。きょうも病室で朗読をする南波、うっすら笑みを浮かべ眠り続ける沙綾。だが、魔女の子ルルーの長い冒険物語が、いよいよ終わりに近づいたとき、誰も知らない新たな物語が呼び出された―。傷ついた魂の恢復と人間への信頼を謳いあげた、傑作長編ファンタジー!

【感想】
読み始めてすぐさま、魔法の存在する、そしてルルーのいる世界へと、引きずり込まれた。胸が締め付けられるような時もあれば、人のあたたかさに触れられてホッとする時もあった。本当に素敵な物語。一生大事にしたい時も思った。

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2017年08月06日

Posted by ブクログ

タイトル買い。初村山作品。
どこか気になる作品は、やはり読まれるべくして手に取るのだろうと、偶然ではなく必然を強く感じる。
作品そして南波ちゃんの朗読する劇中作が様々なことを自分に問いかける。そして長時間歩いて疲れた後に温かいスープをいただいたような、心と身体が解き放たれる読後感。
多分もう会えないだろう人に会いに行った自分にそっと寄り添ってくれた。きっと一生忘れない作品。

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2014年09月27日

Posted by ブクログ

あー小さい頃の自分に読ませたい。
とはいえ、大人になっても魔法に憧れたまま。
素敵な物語も魔法と呼べるか。作家さんは魔法使い!

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2014年08月30日

Posted by ブクログ

児童文学「風の丘のルルー」のシリーズを再構成した作品。劇中作として、「風の丘のルルー」という小説が登場します。その小説が大好きだった、高校生になっている2人の女の子、そのうちの一人が主人公。眠ったままになっているもう一人の女の子は、小さいころから少し人と変わったところのある女の子だった。小さな魔法が使えたのだ。それは小さい頃のごっこがそう思わせたのかもしれないけれども、「風の丘のルルー」の本を読んでいると、その世界が立ち上がってくるような感覚に襲われる。その少女がいじめられているのを、主人公の女の子は助けてやれなくて、その女の子は、今、病院のベッドでずっと眠り続けていた。
本の物語が、あの頃に生き方を教えてくれていたはずなのに、主人公の女の子は、そんなことも忘れてしまって生きていたのだと、悔やむ。
7冊のシリーズを全部、眠っている彼女に読み聞かせたときに、それは、まるで呪文のように働き始めるのだ。
下巻の物語もわくわくの連続でした。大人になってから読んでも面白い。見た目が複雑じゃあないのに、その複雑じゃないからこそ考えないといけない、考えさせられる向こう側が広いように思います。
結末も最後まで読んでよかったと思えるものでした。でも、本当の出来事なのかな? それとも・・・。

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2014年07月27日

Posted by ブクログ

ルルーとペルタと一緒に旅をしているような気持ちで読んでいたので、読み終えてしまうのがとても寂しく感じました…。
ルルーやペルタにまた会いたくなった時には、風の丘まで行ってみたいと思います❁⃘*.゚

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2022年04月18日

Posted by ブクログ

引き続き読み聞かせるルルーの話がはじまります。別れの辛さ、圧倒的に強い敵への恐怖、それを乗り越え立ち向かう姿に勇気をもらいました。

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2016年12月21日

Posted by ブクログ

現代の世界と、魔女ルルーが主人公の作中作を行ったり来たり
現実と物語の中を気持ちが行ったり来たり・・

子どもの頃に「ルルー」のようなお話に出会っていても
おそらく読まなかったと思う。

私は、喜びや楽しさの中に見える、
ちょっと寂しい、
一人ぼっちの感覚が苦手な子どもだった。

だから、大人になってから出会えてよかったと思う。

勇気とやさしさは孤独と哀しみの上にある。
児童書が教えてくれることは多い。

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2015年09月06日

Posted by ブクログ

思い出の児童書。魔女のルルー。その世界に浸かりながらも、その世界に浸かる主人公がいることでより世界に浸ることができる、そんな素敵な、夢にあふれた物語だった。

現実にはまさかね、とわかってても。
もしかして、と思ってしまう。
この小説を読んでまさしく、そんな気持ちになった。

ルルーの話、全部読んでみたいなぁ。

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2015年06月25日

Posted by ブクログ

ルルーとルーリアの伝説がここに完結。
そして、南波と沙綾の側も動き出す。

差別するものと差別されるもの。
昔の魔女狩りも、現代のイジメも本質はきっと同じ。
だけど、その状況の中でも、「自分がどうありたいか」を見失わずに生きるルルーと沙綾の姿はとても煌めいている。

ほんわかした物語の中にも、芯の通った登場人物たちがイキイキと動き回り、友達のように身近な存在として本を閉じた今も息づいている。

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2015年06月10日

Posted by ブクログ

面白かった
よくできてると思ったら元々出版してた自分の本があるらしい

一部しか使ってないみたいだからすきな人は全部よみたいかも

チートっぽいとは思ったけど
その一見なんでもアリな魔法もアリな気になった

面白かった!(*´∀`)

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2015年02月02日

Posted by ブクログ

思ったとおりのハッピーエンドで良かったよ(ToT)しかも、ルルーに出会えるなんて最高!つらい経験を積み重ねてきた分、みんな素敵な大人に成長するんだなぁ(*´-`)でも現実はなかなか厳しいぞ(--;)いやしかし、小さな魔女ルルーが頑張っている姿に自分も頑張らなきゃ!と元気と勇気をもらったp(^-^)q まさに言葉は呪文だ(^^)だから読書は止められない♪

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2014年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

村山 早紀さんのお話は魔法とかちょっと不思議な子供のお話が多くてそんなファンタジーが大好きです
児童書作家さんなので読みやすく大人も子供も楽しめる物語です
元々、本当に昔村山さんが書いた児童書の魔女のルルーの本のお話を南波が沙綾のお見舞いの時に朗読するって感じで
ルルーの話と現実のお話が交互に進んで行く
上巻の最後らへんはもう感動!!!
下巻も冒険な要素も多くてドキドキ・ワクワク
そして感動出来る素敵なお話でした

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2014年09月16日

Posted by ブクログ

2014.08.27(水)


よい◎


上・下とも、つい、つい、サイン本購入。


前はミステリーばっか読んでたけど、最近はこういうほんわか考えさせられる本の方が、すき!すきだ!
物語のぐいぐい感は上巻のほうが強くて、のめり込みやすさでいったら、すこし下巻はマイナスかも。。

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2014年08月27日

Posted by ブクログ

コンビニたそがれ堂で、村山さんにハマったので風の丘のルルーとは、この本で出会いました。小さい頃にルルーと出会って、この本で再会した方は、懐かしさと新鮮さが入り交じった不思議な読後感なんだろうなと、少し羨ましく感じる。個人的には、上巻の傷つきながらも身近な人の幸せを願い、風の丘にたどり着くまでのストーリーが好きだった。下巻になると、急にスケールが壮大になりドタバタ感に若干ついていけず少し飽きてしまった。これも、既にルルーの物語を知ってた人は、抵抗なく読めたんだろうなと思う。それでも、最後までルルーとペルタと旅ができて楽しかったのは間違いなし!主人公の魅力は下巻も衰えない。エピローグも爽快な終わり方で、すごくよかった。久しぶりにいつかまた読み返したいと思える本に出会いました。

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2014年08月25日

Posted by ブクログ

自分が本当にしたい生き方とは何か。ここで逃げてもいいのか。それとも手を差し伸べたいのか。後悔することにはならないか。
人との関わりって、折々に分岐点があるけど、南波ちゃんの選択は、どうだったのかなぁ。あんな選択をしたら、きっと後悔するよね。
私はどちらかというと沙綾ちゃんみたいな体験をしたことがあって、そういう時、周りの人は南波ちゃんとは違う道を選んでくれたので助けられた方ですが、もし、南波ちゃんみたいな態度を取られたら、やっぱりつらかったろうと思います。とても、沙綾ちゃんのように、優しく微笑んではいられなかったと思う。
でも、南波ちゃんが抱えてた弱さは、みんなが持っているもの。彼女を責めることなんて誰も出来ないのかも。
茨の道だもの…自我の定まらない子供に、とてもつらい選択をさせる、子供社会はとても残酷ですね。
人という物は、本来残酷な生き物だと思います。自分と違う、周りと違うというだけで、誰かを傷つけたり、こうでなくてはならない、という常識に囚われ過ぎれば、それから少しでも外れれば意見もなにも抹殺される。大人の世界でも往々にしてよくあることです。
綺麗すぎるから、立派すぎるから、手に入らない物を持ちすぎているから。だから、勝手に相手を貶めるなんて、人にもとる行いですし、最低です。でも、それを大きな声で言える人のなんと少ないことか。
人はなんて狭量で、卑屈で、僻みっぽい生き物なのでしょうか。そういう私も、持たない物はたくさんあって、持てる人を思えば羨ましくなりますが、それでも、自分の品位は保ちたいと思います。
沙綾と南波の話も、ルルーとサラの話も、とても胸を打ちました。つらい思いをした子供だった人たちに読んで欲しいですね。

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2014年08月14日

Posted by ブクログ

ルルーが帰ってきた!と本当に喜んでしまった。
フフ ( *´艸`) いつか私も風の丘にルルーに会いに行くのだ。

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2014年08月02日

Posted by ブクログ

上下巻並んで置いてあっても、別のお話の本のようにも
見えます。
上巻とともに、タイトル・表紙のイラストが
好きで購入。
上巻で既にお気に入りのお話になっているので
じっくり物語の中の世界に浸って漂いたいです。
読後、期待以上に気に入った物語だったと思い、
嬉しくなりました。

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2014年09月08日

Posted by ブクログ

もしかして読む順番間違ってる?ルルーシリーズを読まずこれから読んでしまってた。ルルーの物語気になり過ぎると思って調べたらシリーズが出てくる出てくる!シリーズ読んでこっと

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2023年08月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どこにも行けない。まるでガラスの水槽の中にいるみたいで、すぐに息が苦しくなって―。南波は、学校を休み、書店でアルバイトをしながら、病院に足を運んでいた。きょうも病室で朗読をする南波、うっすら笑みを浮かべ眠り続ける沙綾。だが、魔女の子ルルーの長い冒険物語が、いよいよ終わりに近づいたとき、誰も知らない新たな物語が呼び出された―。傷ついた魂の恢復と人間への信頼を謳いあげた、傑作長編ファンタジー!

成長したルルーが登場した時は、「元気で良かった!」と親しい友人に久しぶりに会った時のような気持ちになった。
ルルーやカイオン(魔法使いの末裔)は、自分の生き方を、運命のせいにせず、「自分が選んだ道だから」と誇りを持って語る。
自分の今いる人生で幸せになれるのか、考えてしまうことがあるけれど、彼らのように自信と誇りを持っていられれば、強く幸せに生きられるだろうなと思う。

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2018年01月30日

Posted by ブクログ

優しい優しい物語。
過去にシリーズで刊行されたルルーの物語に、現代の物語を足して編み直したものだと最後の最後に知った。
加害者も被害者もいるけれど、読んでる私たち誰もがどちらにもなり得る。でも、後悔しても恨んでも、そこから立ち直る方法や方向も、そっと指し示してくれている気がする。
ルルーの他の話も読みたくなった。

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2018年01月18日

Posted by ブクログ

どこにも行けない。まるでガラスの水槽の中にいるみたいで、すぐに息が苦しくなって――。南波は、学校を休み、書店でアルバイトをしながら、病院に足を運んでいた。きょうも病室で朗読をする南波、うっすら笑みを浮かべ眠り続ける沙綾。だが、魔女の子ルルーの長い冒険物語が、いよいよ終わりに近づいたとき、誰も知らない新たな物語が呼び出された――。

うっすら察してはいましたが、南波が沙綾を裏切ったという意味が明かされ、南波が彼女のお見舞いに来る理由も分かります。ルルーの冒険編は結構切ない。なんていうか、自分の生き方に自信を持っていられる人って少数派なんじゃないかなと思う。世間から立派だ、すごいと言われる人が皆最初から自分の理想通りになれたわけではなく、迷いながら揺れながらも自分のなりたい自分を探し続けていたのかなと。でも迷ったっていいんだよって、間違ってもやり直すことはできるよって語りかけてくれている気がします。結局沙綾とルルーの関係はいまいち分からなかったけど。子孫?

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2016年09月09日

Posted by ブクログ

幼い頃にシリーズを読んでた方にとっては、胸が熱くなる作品だろうなぁ。
この年になるともう、「シリーズものは早いとこ綺麗に完結させて!」って思っちゃうけど、昔は物語がずっと続けばいいと思ってたもの。
終わってしまって悲しかった物語の断片に、この年になって触れられたら、それだけでちょっと感激。

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2015年08月13日

Posted by ブクログ

意識が戻らないまま何年も眠り続ける沙綾.南波が枕元でいつも朗読するのは沙綾が大好きだった小さな魔女,ルルの物語.そして時は経ち,二人に訪れるルルの魔法とは・・・.
久々に本格的なファンタジを読めて大満足.気持ちが沈んでいるときに読んでみるのも良いですよ.

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2014年07月20日

Posted by ブクログ

ふんわりした雰囲気は、この作家さんの素敵なところ。


この話を一言で言うと「孤独との対峙」…かなぁ。寂しい人、淋しい人が出てくるにも関わらず、これだけあったかい雰囲気の作品はなかなかないかな。

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2014年07月20日

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