中山元のレビュー一覧
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言わずと知れた名著『純粋理性批判』のさわりを少しだけ。
人間の経験を経験たらしめる秘密のベールを紐解いていく。超自然的で形而上学的な概念や存在は我々の直感を超越してしまうゆえにそのブレーキの効かない理性に制限を作る、というよりも焦点を絞ると表現した方が適していそう。
時間と空間がアプリオリに与えられているからこそ感性が生まれ、主観と客観が入り混じるこの「世界」で体験を得ることができる。
物自体を見ることは不可能、その懐疑的思考が後の現代哲学を生み出す礎石ともなっている。
もちろん、批判哲学というすべての理性に対する基礎的学問を生み出すカントの言い分にはフッサールの現象学にも通じる。
ヘーゲルは -
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ニーチェの訳本とは思えないくらいに非常にわかりやすい語り口であった。『道徳の系譜学』の違う訳を参考にしたくて、本書を購入したが、一冊目では理解しづらかった部分も、非常に明瞭に理解できるようになった点がよかった。
しかし一冊目から光文社の本のみというのも、哲学を読み解く醍醐味が半ば失われてしまう気もするので、二冊目の参考書としてもっているくらいがとても良いと思う。
また、解説も内容をわかりやすく伝えようとしている訳者の姿勢が伝わってよかった。
以下、第二論文のみ再読した際に、一部メモをとったので、そのメモを自分用に全て載っけておく。
第二論文感想・メモ
第二論文2を読んで思ったこと -
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皆さんは物事の理解が、自分の中にある特定の法則に従って行われているのではないか、と疑問に思ったことはないだろうか。
カントはこの『純粋理性批判』の二巻によって、そのような法則の正体を明らかにしようとする。
すなわち感性で思い描いた現象の像(表象)は、知性(悟性)によってカテゴリーに分類された上で、規則に従って総合される。そして自己統合の意識(統覚)でその総合された概念を統一的に理解する。これらの作用によって物事を認識できるというのである。
何を言っているのかわからない方もいらっしゃると思われるので、少しわかりやすく言い換えよう。
物事を認識するには、物事を五感による現象としてイメージ(像 -
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三角形的な関係においてこそ男性の欲求が増していく。嫉妬心という人間の心的働きは予想以上に不合理。愛する人を救いたいと欲する気持ち、愛する人は不幸であってほしいという願望、全てが非常に文化的な視点からの読み解きを推進してくる。映画や小説でそのような構造的仕組みが配されているのがよく分かる。
フロイトお得意の近親相姦的な欲望とその不可能性によるリビドーの増大、そしてその解消対象の選択等、まだ前半だが非常に面白い。訳が分かりやすい。
流石に女性が抱く男根願望に関しては納得がしづらい。クリトリスの不完全性を打ち出すフロイトは今的な視点で見ると理解ができないが、男性にも女性的な側面が入り混じる両性性につ -
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オーストリアの高名な精神分析学者ジークムントフロイトの書いた最晩年の遺書的論文。彼自身がユダヤ人でもありナチスの迫害を受け親族のうちの何人かが強制収容所に送られている。
モーセがエジプト人でありアメンホテプ4世の一神教時代の神官であったという大胆な仮説を前提に、原始宗教のあり方やフロイトのエディプスコンプレックスをはじめとする精神分析論と絡めながら考察を展開している。世界史でも特異な人物として登場するアメンホテプ4世への当時の欧州での見方について(一神教であるキリスト教が価値観の前提にある欧州社会において多神教の古代エジプトの中で一神教を主張したアクエナテンは好意的にみられていたのかもしれない -
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『職業としての・・・』『プロ倫』に続いて、本シリーズ三冊目のウェーバーである。『プロ倫』でプロテスタンティズムと資本主義発展のダイナミズムの関係を論じたウェーバーが、それを一般化すべく、儒教や仏教など他の世界宗教との比較において、その教義体系や担い手としての社会層の特質を浮き彫りにし、それらが世界観や生活様式の合理化にいかなる影響を及ぼしたかを考察する。「序論」と「中間考察」はその方法論と骨子を述べたもので、壮大なウェーバー宗教社会学の肝が簡潔にまとめられている。
学問的な厳密さでは旧訳に敬意を表するが、概念過多のウェーバーの複雑な文章を忠実に日本語に移せば、一行一行辿るだけで閉口してしまう -
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本第5分冊の帯には「最大の難所、あのアンチノミーがついに理解できる」とある。アンチノミー。この歳になるまで全く知らなかった言葉だが、それほどまでに重要な概念なのだろうか。ともかく読み進める。
前分冊に引き続き、主眼は経験を超越しようとする理性の批判。西洋形而上学における「世界が絶対的・無条件的全体性を有する」という理念はどこから出てくるのか。カントは経験可能な総体としての「世界」と、現象が全体性を持つための条件としての「自然」からこの問題にアプローチするが、それぞれ対応するカテゴリーを2つずつ当てがうため、検討するアンチノミーも4つになっているというわけだ。
ここで「無限」の概念が重 -
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「批判」の内容からすれば、人間の客観認識を構成するメカニズムを詳解する「超越論的感性論」から「原則論」までが前半とするなら、理性の限界を論ずる本第4分冊の「超越論的弁証論」以降が後半ということになるだろう。しかし実際の章立ては大きく「Ⅰ. 超越論的原理論」と「Ⅱ. 先験的方法論」の2部構成であり、全体の8割が前者に含まれている。こういう章立ての奇妙さも「批判」を近寄り難いものにしている要因だと思う。
本分冊で焦点が当てられるのは「理性」。純粋理性概念、即ち〈理念〉を利用して知性の働きに統一を与えながら、事象の原因を際限なく遡上し〈無条件的なもの〉の探究に邁進するという本性を持つ。この理念 -
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まさかこの年でカントを読み始めるとは思ってもみなかったが、最近読む本読む本にやたらカントへの言及があり、そんなら一度読んでみようと決めた次第。訳書の中では最も平易だという触れ込みのこの光文社古典新訳文庫を選んだが、それでも僕には超難解。本文は全体の約半分しかなく、残りは訳者による頗る丁寧な解説が占めているという相当に親切な作りだが、それでも1回読んだだけでは殆ど理解できず。予め簡素な入門本を読んだ上、本書の本文と解説を何度も何度も行き来しつつ自分なりの読書ノートを作ってもまだよくわからず、最後に詳細な解説本を読んでようやく何となく、といったところ。通常の4、5倍は時間をかけ文字通り四苦八苦し
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Posted by ブクログ
先に入門書を読み過ぎたか、、、
大凡で色々理解しちゃったあと、こっちを読むと、入門書ではぼんやりしてたところがクッキリして気持ちいい!というのはあるのだけど、どうしても超越論的とか、アプリオリとかにだんだんと辟易してきて、あーもー鬱陶しい!という気持ちになってくるというか、そして眠くなってくるというか、、、
理論の厳密さは入門書では得難いけども、なんとなくつかんじゃうと、この延々との厳密さについていけなくなりました、、、
こうなるのでは、と、予想してましたよ、自分のことなんでね、、、
入門書を3冊も読んだせいで、書いてあることの衝撃的な発見はあまりなく、論理の厳密さはとうぜん、こちらの -
Posted by ブクログ
永劫回帰、超人、ルサンチマンなどの概念を生み出したことでも知られるニーチェだが、
なぜニーチェが、どうゆう理由で、それらの概念、価値を創り出したのか? それを良しとしたのか?
この本ではそれらのワードはまだ出てきてはいないが、その結論に至るまでの思考の変遷をニーチェと共に追体験することが可能な本だ。
結論が正しいかどうかの議論とは別に、
その結論に至るまでの道筋に対峙していくことができる。時代を超えて。
それが古典の醍醐味である。
善悪の彼岸というタイトルのこの著書は、
過去から作り上げられてきた良し悪しという価値基準をぶち壊しにかかるニーチェの精神の奮闘を共に味わうだけでなく、参加するこ